仮面ライダーアクト   作:志村琴音

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第十四話です。
まさか3日連続投稿になるとは──。

よろしくお願いいたします。



【イメージサウンドトラック集】
https://open.spotify.com/playlist/23xA5ZAHZfdUR77F4JZ9lB?si=07c60fc3a3934b45&pt=97747cf874e1c0b08fb8e40c52da1ec2


Question014 Why is he to worry?

2021.11.19 19:58 東京都 中野区 トキワヒルズA

 すっかり暗くなったマンションのエントランスに、あまねが溜息を()きながら入って行く。

 物理基礎の小テストの点数が振るわず、放課後に再テストとなった。

 通常はこんなことないため、何か不吉なことの前兆なのではないかとほんの少し怯えている。

 

 エレベーターで6階に上がり、自分の部屋に入っていった。

 

「ただいまー。……?」

 

 まだ部屋の電気が点いていない。

 いつもこの時間であれば、春樹と碧のうちのどちらかが帰って来ているはずだ。

 二人の業務を考えれば、どうせ残業だろう。

 そこまで深く考えず、手を洗ってリビングに入った。

 

 その時、スマートフォンが可愛らしい音を立てて震え始めた。

 何だ何だとブレザーのポケットから取り出し、画面を確認する。

 碧からだ。

 

「もしもし」

『あまねちゃん? 今何処にいる?』

 

 電話越しの保護者は、今までにないくらい焦った声で自分に話しかける。

 すぐに只事ではないと悟った。

 

「どうしたの? そんなに焦って」

『……落ち着いて聞いてね。春樹が……春樹がっ……!』

 

 その後の言葉は続かず、嗚咽だけがその後についてきた。

 急いでスクールバッグを再び持ち、靴を履いて部屋を飛び出した。

 

「今何処にいるの!?」

 

 

 

────────────

 

 

 

2021.11.19 20:39 東京都 品川区 品川中央病院 5階

 あまねが廊下を走ると、幾つかある病室のうちの一つの前で、碧と森田が立っているのが見えた。

 すぐにそこに駆け寄る。

 あまねが近くに来たところで、森田が話し始めた。

 

「第三十二号と三十三号が起こした爆発に巻き込まれて、それで……」

 

「ごめんね……。私が守ってあげれば……」

 

 椅子に座り込んだ碧をあまねが優しく抱きしめる。

 

「大丈夫。ママはなにも悪くないよ」

 

 廊下に啜り泣く音が反響する。

 白く輝く廊下はやけに眩しかった。

 

 

 

 

 

 1階のカフェテリアでは、深月、圭吾、薫の三人が同じテーブルを囲んでいた。

 こんな遅い時間に客が来ることはそこまでないため、灯りは半分しか点いていない。

 その中途半端な光だけが三人を照らしている。

 

「高エネルギー反応があって、何かくると思ったら、まさかの自爆アンド第二形態への変身……。想定外中の想定外でしたね……」

「しかもシェディングが逃走した際の飛行速度は時速300キロ。どうやって倒せば……」

 

 ふと二人は深月の方を見た。

 今まで見たことのない暗い顔が、灯りの少ないこの場所によく似合っている。

 

「なんか……こういうときに、どうして戦えないんでしょう……」

「……え?」

 

「春樹さんと碧さんみたいに直接戦うことの出来たら、どれだけ皆さんを助けられるだろうって。

 いつも前線に立っているお二人に、やらせてばっかりじゃないかって……」

 

 深月は机上に置かれている自身の左手をギュッと握りしめる。

 歯を噛み締め、苦悶の表情を見せていた。

 

 

 

 すると、圭吾がその上に自身の右手を重ねた。

 

「それは僕たちも同じですよ」

 

 圭吾の言葉に思わず顔を上げる深月。

 

「どうしてあの人たちみたいに戦えないんだろう。どうしてもっと貢献出来ないんだろう。そんなことしょっちゅう考えます。

 でも、僕たちは僕たちに出来ることをやるしかないんです。それがきっとあの人たちを助けることになるんですから……」

 

 笑みを浮かべながら、薫もその上に自信の左手を重ねる。

 

「大丈夫ですよ。ていうか、あの人たち、ぶっちゃけ私たちがいなくても何とかなる人たちですから。

 そう考えすぎないでください。ね?」

 

 もやのようなものが取れたのだろうか。

 表情が(ほころ)び、一番上に自分の手のひらを重ねた。

 下がっていた顔は上がり、目をまっすぐと向いている。

 

「はい!」

 

 動いた影響か、影が小さくなる。

 何故か灯りがより一層強くなったような気がした。

 

 

 

「さて、どうやって倒しましょうか?」

 話を切り替える薫。

 

 すると森田がカフェテリアに現れた。そして空いている席に座る。

 

「どうでした? 春樹さんの容体は?」

 

「目立った外傷も無ければ、内部にも何も無い。ライダーシステムを装着していたおかげだな。今は気絶しているだけだから、すぐに起きるはずだ。

 ただ、医者からは絶対安静が言い渡されている。しばらくは戦闘に参加することも、そもそも病院を出ることも出来ないだろうな」

 

「そうですか……」

 

 深月は何かを熟考している。

 だが何かが引っ掛かるようで、眉間に皺を寄せている。

 

 森田はそんな深月を横目に、圭吾に話かけた。

 

「ところで、新型の武器はどうだ?」

 

「はい。槍型の武器ですが、3つのパーツに分裂してディスペルクラッシャーと合体。ライフルのような形状になります。

 ライフルモードには敵を15秒間だけ静止させる能力があり、その射程距離は10000メートルを超えます」

 

「良いですねー。1つの武器でそんな2つの能力が使えるだなんて……。

 自分もそんな器用な人間になりたいですよ」

 

 薫が独り言を呟いたその時、深月が自身の両手をパンと叩いた。

 突然のことに驚く三人が音の方を向くと、頭の中に突如衝撃が走ったようで、目を見開いている。

 

「どうした作戦担当? 何か思いついたか?」

 

「はい……。思いついたんです。

 春樹さんが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()が…………!」

 

 

 

────────────

 

 

 

2021.11.20 09:05 東京都 品川区 品川中央病院 5階 513号室

 ゆっくりと目を覚ます。

 右側から差し込む光と、天井の灯りがやけに眩しい。

 

 次に視界に入ってきたのは、スーツを着た若い男──深月だ。

 

「おはようございます。調子はどうですか?」

「……まぁまぁかな。強いて言うなら、ちょっと腰が痛い」

 

 ゆっくりと上半身を起こす春樹。

 すると深月はスマートフォンを取り出し、その画面を病院用ベッドのテーブルの上に置く。

 

 そこに映っていたのは、ここにはいないメンバーたちだった。

 

『もしもし春樹? 元気?』

 碧の顔が全面に出ている様子に、春樹は苦笑してしまう。

 

「まぁ、なんとか」

 

《いいか春樹君。今から反田君が作戦を説明する。その通りに実行してくれ』

「ちょっと待ってください。俺は今、腕も脚も腰も痛い、まさに満身創痍の状態だ。戦うことは──」

「大丈夫です。これから説明します」

 

 深月が春樹に作戦の概要を説明し始めた。

 聞いている間、何回も目を見開いて驚愕する。

 

「お前、よくそんな作戦思いついたな……」

「まぁ。こういうの真面目にやってきましたから。……行きましょう」

「ああ」

 

 深月と春樹がスマートフォンの画面に、自分の手のひらを見せる。

 同じく画面越しの碧、圭吾、薫、森田も手のひらを重ねた。

 

 そして六人は気怠い声をあげて、戦闘態勢に入った。

 

 

 

「「「「「「うぇーい」」」」」」

 

 

 

────────────

 

 

 

2021.11.20 12:01 東京都 北区

 紅葉橋の上で、碧は仁王立ちをしながら来客を待っていた。

 その手にはアンパンと牛乳が握られており、すごい勢いで貪る。

 

 完食したところで、ようやくお出まししたのは、ドレッドヘアのマゼンタの怪人──ストラテジーだ。

 

 すると碧は端末で何処かに電話をかける。

 

「もしもし。違う方が来た。こっちに来るのは2分後みたい。

 来たら班長から連絡がくるから、準備しておいて」

 

 通話を切ると、端末にカードをかざした。

 

『ACT DRIVER』

 

 腹部にドライバーが出現する。

 その右側に付いているカードケースの、後方のスロットから1枚のカードを取り出した。

 

 そのカードには青空の中を駆け抜けて行く赤いスポーツカーが描かれており、下部には「No.121 DRIVING DRIVE」と白く印字されている。

 

 それを端末の中に装填した。

 

『"DRIVE" LOADING』

 

 電源ボタンを押す。

 後ろにゲートが出現すると、赤いスポーツカーのようなものが現れ、碧の周りを走り回る。

 その中央でポーズを決め、そして叫んだ。

 

「変身!」

『Here we go!』

 

 端末をドライバーに挿し込むと、その体は青い素体へと変化する。

 するとスポーツカーは分解。鎧として装着されていった。

 

 両腕両脚に赤い鎧が着けられ、両足にはタイヤのような小さな部品がある。

 上半身にも赤い鎧があり、両肩にそれぞれ1つずつタイヤが着けられ、胸には2つのタイヤがクロスをしながらそこに存在していた。

 そしてその口にあたる部分に、エンジンを模したマスクが着けられ、上にはスポーツカーの羽根のようなものがついたものが着いている。

 

『Running, Searching, Exchange! Start your engine! DRIVING DRIVE! Will you drive with me?』

 

 仮面ライダーリベード ドライブシェープ。

 猛スピードで駆け抜ける戦士の姿を受け継いだ瞬間だ。

 

 

 

 ストラテジーはかなり飛距離のあるジャンプをし、ひとっ飛びでリベードのもとに来た。そして大きなハンマーを出して、リベードに襲いかかる。

 

 だがそこにリベードの姿はない。

 困惑し始めたところで、誰かに背中を叩かれた。

 後ろを向くと、そこに標的が立っていた。

 

 ハンマーを横に振るうが、素早く避けられ、右足で蹴られた。

 後ろに転がる怪物。

 

 するとリベードはカードケースの前方のスロットから、1枚のカードを取り出した。

 オレンジ色のタイヤが描かれており、「MAX FLARE」と書かれている。

 

 そのカードを、ドライバーに挿し込まれている端末にかざした。

 

『Exchange tires! "MAX FLARE"!』

 

 その瞬間、リベードに装着されている4つのタイヤの形状が変化を始めた。

 

「てりゃっ!」

 

 まるで炎のような形状へと変化すると、リベードはストラテジーに向けて何発もパンチを食らわす。

 

 続けて1枚、カードをかざした。

 

『Exchange tires! "FUNKY SPIKE"!』

 

 再び形状が変わる。サボテンのように刺々しい見た目へと変化した。

 

「はっ!」

 

 気合いを入れると、タイヤから棘のような鋭い弾丸が怪物を攻撃した。

 火花を散らして後退する怪物。

 

 三度(みたび)カードをかざす。

 

『Exchange tiers! "MIDNIGHT SHADOW"!』

 

 今度はまるで手裏剣のように、刃の付いた形になる。

 

 するとリベードは突如分身を始め、4人になった。

 4人の戦士が怪物を囲むと、タイヤから手裏剣の形をした紫色のエネルギー弾を発射。ストラテジーの体に火花を散らした。

 

 分身が一つに戻ると、ドライバーに付けられているプレートを横に押し込んだ。

 

『Are you ready?』

 

 端末を下に押し込む。

 すると、リベードから鎧が離脱。再び赤いスポーツカーの形に戻った。

 

 そのスポーツカーはストラテジーの周りを高速で回り始めた。

 目にも止まらぬ速さのため、残像がくっきりと見える。

 

『OKAY. "DRIVE" DISPEL STRIKE!』

 

 素体となったリベードはその中に飛び込むと、右足でスポーツカーを蹴り飛ばした。

 するとどうだろうか。リベードはその勢いで反射。ストラテジーを蹴る。もう一度車体を蹴って再び反射、怪物を蹴る。その繰り返しが続いた。

 

「オリャァァ!」

 

 そして最後に一発、右足で強烈なものを食らわせ、そして貫いた。

 

 着地をしたリベードに鎧が再び纏われる。

 立ち上がったタイミングで、後ろで爆炎が上がった。

 

 前方のスロットから1枚のカードを取り出し、端末にかざす。

 

『THE END OF VOLKLOW』

 

 端末を取り外して、シャッターを切る。

 すると端末の中に1枚のカードが出現した。

 

 「マイティアクションX」という人気のアクションゲームのパッケージと全く同じ絵が描かれており、「No.139 STRATEGY EX-AID」と書かれている。

 

「よし! あとは……」

 

 その時だった。

 後ろに何かの気配を感じた。

 振り返ると、上空に黒い穴が開いている。

 そこから赤い化け物(シェディング)が美しい翅を羽ばたかせて飛び出して来た。

 

「来たーっ!」

 

 すると怪物は攻撃をするわけでもなく、猛スピードで飛び去って行った。

 

 飛び去った後から、風が吹いてくる。

 その後ろ姿をリベードはまじまじと見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Q: Why does he to worry?

A: Because he cannot fight like them.




因みに、イメージOPの歌詞は碧目線、イメージEDの歌詞は春樹目線だと思っています。
それを踏まえて聴いていただくと、今後の展開も見えてくるのではないかなと思っています。

今作のキャラクターたちの日常を描いたスピンオフがあったら、読みたいですか?

  • 読みたい。
  • そうでもない。
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