仮面ライダーアクト   作:志村琴音

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第十五話です。
1日1話のペースで書いているので、もうアドレナリンが出まくっています。
多分冬休みが終わったら、週一に戻ると思います。

そんなわけでよろしくお願いいたします。



【イメージED】
米津玄師 - 恥ずかしくってしょうがねえ

【イメージサウンドトラック集】
https://open.spotify.com/playlist/23xA5ZAHZfdUR77F4JZ9lB?si=07c60fc3a3934b45&pt=97747cf874e1c0b08fb8e40c52da1ec2


Question015 Where was he shooting?

2021.11.20 12:04 東京都 品川区 品川中央病院 屋上

 優しく風の吹く屋上に、深月とセパレートタイプの病衣を着た春樹が立っていた。

 

 すると深月のスマートフォンに着信が入る。

 通話を切ると、春樹は深月に声をかけた。

 

「そろそろ時間です」

「了解」

 

 端末にカードをかざす春樹。

 

『ACT DRIVER』

 

 腹部にドライバーが出現する。

 カードケースの後方のスロットから1枚のカードを取り出した。

 

 銀色のメタリックな鮫から赤い電波のようなものが出ている様子が描かれたカードで、下部には「No.021 GUARD FIZE」と白く印字されている。

 

 そのカードを端末に挿し込もうとしたその時、春樹は深月に話しかけられた。

 

「すみません。自分はこんなことしか出来なくて……」

 

「は? 何言ってんの? それがお前の仕事だろ?

 お前がこうやって作戦を練ってくれるおかげで、俺と碧は上手く戦えてる。今は与えられたもので満足していれば()いんだよ。

 ……俺もそうだから」

 

 最後の言葉を言い放った時、春樹の表情は何故か悲しそうだった。

 何処かにやりきれない思いを抱えているような、そんな気がしてならない。

 

 深月の若干の戸惑いを他所に、春樹はカードを端末に挿し込んだ。

 

『"FIZE" LOADING』

 

 電源ボタンを押す。

 するとゲートから何かが飛び出し、病院のすぐ横にある川へと落下していく。

 

 その正体は、絵に描かれていたのと同じメタリックな銀色の鮫だ。

 水中を優雅にスイスイと泳いでいる。

 

 ポーズをとって、そして静かに言った。

 

「変身」

 

 ドライバーに端末を装填した。

 

『Here we go!』

 

 素体へと身体が変化すると、川の中から鎧が飛び出し戦士に装着されていく。

 

 両腕両脚に装着された黒いパーツ、胸に着けられた銀色のパーツには血管のように赤い細い線が脈々と書かれている。

 頭部には中央から伸びる赤い2本の触覚と、複眼の上に覆い被さる2つの黄色い半円のパーツが装着されていた。

 

『Given, Stolen, Fight for somebody! Open your eyes for the next! GUARD FIZE! Standing by complete.』

 

 仮面ライダーアクト ファイズシェープ。

 持ち主の運命を翻弄する力を受け継いだ瞬間だった。

 

 アクトは2枚のカードを前方のスロットから取り出し、ドライバーに差し込まれている端末の裏側にかざした。

 

『DISPEL CLASHER』

『BLAST POINTER』

 

 ディスペルクラッシャー ガンモードが右手に現れ、左手には新たな武器──ブラストポインターが出現した。

 形状は圭吾が見ていた設計図のものと同じ、槍のような形をしており、銀色の表面に赤いラインが入ったものだ。

 

 するとアクトはブラストポインターの縁頭(ふちがしら)を押し込んだ。

 

『COMBINE』

 

 ブラストポインターが自動的に持ち手、中央部分、先端部分の3つに分解されていく。

 そのうち、先端部分は銃口に、中央部分は銃の上部に装着されていく。

 そして残った持ち手を、下部の引き金より先の部分に付けた。

 

『READY』

 

 こうしてディスペルクラッシャー ライフルモードは誕生した。

 

 射撃態勢に入ると、スコープの役割を果たす槍の中央部分を覗き込む。

 だがその先には敵と思しきものは目視出来ない。

 

 そんな何もないところに向かって銃口を向けるアクトは、ハンドルのような持ち手の、言わばブレーキ部分を押す。

 

『CHECK』

 

 すると目に見えないほどの赤い針が、凄まじいスピードで発射された。

 宙空を舞う針。

 そして、ついに標的に激突した。

 

 それは、猛スピードで上空を飛行していたシェディングだった。

 その動きが急に止まり、まるで等身大のフィギュアが上空に浮いているような状態となった。

 

 

 

 これが深月の狙いだった。

 あえてシェディングを逃し、ここぞというタイミングでライフルで撃破する。

 ここまで全てが計算通りに事が進んでいる。

 改めて深月の作戦立案の凄さを、他のメンバーは見せられたのだ。

 

 

 

 アクトは端末を取り出し、ライフルにかざす。

 

『Are you ready?』

 

 端末を戻す。

 再度スコープを覗いて、狙いを宙空に浮く怪物に定めた。

 

『OKAY. "FIZE" CONNECTION BLAST!』

 

 引き金を引いた。

 銃口から一発の弾丸が飛び出して行く。

 

 その弾丸が怪物を貫くと、その体からクリムゾンのエネルギーが吹き出し、そして爆散した。

 

 フゥと一息()いて後ろに歩いて行く。

 深月の肩に手を置いて、その場を去って行った。

 

 その後ろ姿を深月はじっと見つめ、いつもよりゆっくりと息を吐いた。

 

 

 

────────────

 

 

 

2021.11.21 20:10 東京都 新宿区 焼肉専門店 ぎゅう

「え!? もう退院したんですか?」

「だから碧さん、今日は飲み会にいらしゃらなかったんですね」

「あの人、すっごい旦那さん大好きですよね……」

 

 乾杯をして各々が飲み物を飲み始める。

 いつもの個室にいるのは、深月、圭吾、薫、森田の四人だけ。

 

 春樹は入院していたのだが、奇跡的に何事もなかったため、今日の夕方に退院となった。

 夫を迎えに行くため、碧も昼頃に早退して行った。

 

 これはむしろ、この四人にとって好都合だった。

 

 肉を焼きながら、四人は話し始めた。

 最初に話を切り出したのは森田だった。

 

「あの、筒井あまねさんについてなんだが……」

「ああ。春樹さんと碧さんと一緒に住んでいらっしゃる娘さんですよね?」

 

「ああ。埼玉県で生まれ、地元の中学に通っていたが、中学校3年生の時に両親が交通事故で他界。椎名夫妻に引き取られ、現在に至る。というのがあの娘の経歴なんだが……」

「? どうしました?」

 

 三人がそれぞれ肉を焼こうと、トングでそれぞれ皿の上に乗っている生肉を挟み持ち上げた。

 

「埼玉県警にいる同期に筒井家を訪ねてもらったら、当時同居していた祖母と会うことが出来た。

 話を聞けば、確かに筒井家の両親は亡くなっているが……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「その事故であまねも一緒に亡くなっていた」

 

 トングを持っていた手が緩み、肉が焼き網の上に落ちてしまう。

 広げようと思ってたのに〜、と慌ててトングで肉を広げ始めた。

 だがそれ以上に森田の発言が気になってしまう。

 一息置いて、続きを語り始めた。

 

「これがその証拠だ」

 

 森田は自身のスマートフォンの画面を見せた。

 そこに映っていたのは1枚の写真で、仏壇の上に男性、女性、そしてセーラー服を着た女の子の笑顔の写真が立っている。

 だが女の子の見た目は、深月たちの知っているあまねとは全く異なる顔をしていた。

 

「祖母の話によれば、本人確認の後に死亡届を書こうとしたら、()()()()が『私が記入します』と言ってその作業を引き受けたらしい。

 特に断る理由も無かったため、その人物に任せたそうだ」

 

「誰なんです? その人」

 

 圭吾が聞くと森田は一旦、自分のノンアルコールビールを呑み干し、そして答えを言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うちの岩田将吾室長だ」

 

 次の瞬間、バリンと何かが割れる音が聞こえた。

 どうやら厨房の奥で日菜太がグラスを割ってしまったらしい。

 

 三人の箸を持つ手が止まってしまう。

 そして肉やサラダが小皿の中へと落ちていった。

 

「つまり、今のあまねさんは、室長が奪った他人の戸籍を乗っ取った別人ということですか?」

「そういうことだ」

「どうして、うちの室長がそんなまねを……?」

 

 深月は下を向いて、何かを考え始めた。

 

 

 

 今は与えられたもので満足していれば()いんだよ。

 ……俺もそうだから。

 

 

 

 あの悲しそうな目は、一体何によって作られたものなのだろう。

 自分たちには想像もつかないようなものを抱え込んで、それを表面には出さず、着々と業務を遂行する。

 何となく悪寒が走ってきた。

 

 その悪寒をどうにかしようと、焼きたての自分の肉を口の中に次々運んでいく。

 ふと前を見ると、陽気な音楽の流れる店内の個室で、全員が黙って肉を黙って頬張っていた。

 

「そもそも、フォルクローって何なんですかね?」

「そうね。アールたちのいる別空間から現れることは間違いないんだけど、どうやってあの生命体が生まれたのか全く検討がつかない」

「まさに、未知の生命体ですね。身体つきも個体差がありますし、人間態を持っているのもいる。不思議ですね……」

 

 

 

────────────

 

 

 

2021.11.21 20:49 東京都 品川区 シナガワスーパー

 春樹たちがここにいるのは、春樹の要望だったからだ。

 碧から「退院してやりたいことは何?」と訊かれた春樹は、何故か「食料品が買いたい」と言い始めたのだ。

 何故だと碧とあまねが驚愕したが、本人のやりたいことなので止めることは出来ない。

 退院祝いに回転寿司に行った帰りに、ここに寄ったというわけだ。

 

 カートを押していた春樹が急に立ち止まると、後ろの二人に話しかけた。

 

「ごめん。トマト缶買いに行ってくるわ」

「え? 結構遠いよ」

「大丈夫? 病み上がりの体で」

 

 二人の言う通り、今いるレジ付近の場所から、トマト缶のある棚まではそこそこ距離がある。

 病み上がりの体を心配する気持ちも無理はないだろう。

 

「大丈夫。だからカート頼んだ」

「オッケー。私たちも買いたいもの入れたらそっち行くから」

「気をつけてねー」

 

 

 

 トマト缶のあるコーナーに着いた春樹。

 棚と棚の間にできた通り道には、眼鏡をかけたスーツの男しかいない。

 その男の隣に立って、棚を物色し始めた。

 すると

 

「仲良く買い物ですか?」

 

 スーツの男に話しかけられた春樹。

 ニヤリと微笑み、手を止めずに言葉のラリーを始める。

 

「ああ。ていうか、お前がここに呼び出した結果、家族みんなで仲良く買い物するはめになったんだろ」

「そうでしたそうでした」

 

 男も買い物かごの中に数種類の香辛料を入れていく。

 それ以外には何も入っておらず、小さな瓶がかごの中で音を鳴らして揺れる。

 

「進展ありました? もう一ヶ月経ちましたけど」

「あったら早急に報告するだろ。何の連絡も入っていない。

 ()からも特にこれといった報告はない。今は待て」

「……分かりました」

 

 すると遠くから碧とあまねが近づいていた。

 それを確認した男は、また来ます、と言い残してその場を後にした。

 

 その場に取り残された春樹の表情はやや曇っている。

 その異変に碧とあまねはすぐに気がついた。

 

「どうしたの?」

「……いや、何でもない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現時点で未確認物質解析班が把握している

新型未確認生命体の残り総数

通常134体

B群6体

合計140体

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Q: Where was he shooting?

A: The roof of the hospital where he was hospitalized.




交通事故に遭われた方がお亡くなりになった際の手順については、以下のサイトを参考にさせていただきました。

https://onl.la/QzRFE6X

もう第1クールも折り返しです。
きちんと伏線回収出来るように頑張りますので、今後もよろしくお願いいたします。

今作のキャラクターたちの日常を描いたスピンオフがあったら、読みたいですか?

  • 読みたい。
  • そうでもない。
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