比較的長いです。
よろしくお願いいたします。
【イメージOP】
PEOPLE1 - 銃の部品
【イメージサウンドトラック集】
https://open.spotify.com/playlist/23xA5ZAHZfdUR77F4JZ9lB?si=07c60fc3a3934b45&pt=97747cf874e1c0b08fb8e40c52da1ec2
Question016 Why is that girl frightened?
2021.12.08 15:57 東京都 新宿区 大泉ビル 204号室
森田
休日に雨が降れば両親と一緒に出かけることが出来なくなる。
ただでさえ父親の仕事が忙しく、三人一緒になることが中々ないため、一日一日が惜しいからだ。
だから今日が平日で良かったと心から思っている。
何も用事が無かったため、クラブ活動が終わってすぐに家に帰ってきた。
母親も仕事で17時頃まで帰って来ないため、雨の音が五月蝿い中、部屋のテレビで刑事ドラマの再放送を観ていた。
母親が用意しておいてくれた煎餅をバリバリと貪り、推理に脳を働かせる。
雨の音、テレビの音、煎餅を貪るときに出る音。
この三つのせいで、彼女が気が付くことはなかった。
何かの気配を感じ、ふと後ろを見る奈緒美。
見たことのない光景に声も出せない。
ただ歯軋りをして怯えるだけだ。
そして、静かに事件は起こった。
────────────
2021.12.08 15:54 東京都 新宿区 SOUP
数分前。
春樹たちSOUPの一行は、部屋の外にある駐車場の蛍光灯の照らす長い道路の上にいた。
春樹と碧が他のメンバーの方を向き、圭吾は自身のパソコンを片手に持っている。
「では、只今より、新しいメモリアルカードの試用を行なっていただきます。よろしくお願いします」
「「はい」」
二人はドライバーを腹部に出現させると、各々1枚ずつカードを取り出した。
碧が取り出したのは、先日手に入れた「STRATEGY EX-AID」のカード。
一方の春樹が取り出したものには、朝日の前に聳え立つ東京タワーの周りを赤い兜虫が飛行している様子が描かれており、「No.50 SHEEDING KABUTO」と下部に白く印字されている。
それを端末に装填した。
『"KABUTO" LOADING』
『"EX-AID" LOADING』
電源ボタンを押す。
ゲートが出現し、そこから何かが飛び出して来た。
春樹の後ろからは赤い大きな兜虫が、碧の後ろからは「マイティアクションX」の主人公、マイティが飛び出して来た。
ポーズをとり、試用を始める二文字を放った。
「「変身!」」
『『Here we go!』』
端末をドライバーに挿し込んだ。
素体へと姿を変える二人。
二人の後ろから飛び出して来たものたちが分解を始めた。
「よし……!」
圭吾がパソコンの画面を確認する。
そこに表示されているのは、言わばアクトとリベードの新しい姿の設計図だ。
アクトは赤いアーマーが体に装着され、顔の中央からは兜虫のものに似た角が伸びている。
リベードにはマゼンタのアーマーが着けられたポップな姿で、胸には様々なデータが表示されたモニターが装着されている。そして複眼の上から白いゴーグルのような部品が装着されていた。
いよいよ新しい形態が
全員が固唾を飲んで見守る中、ついに鎧が装着された。
だが、想定外の事態というのは、いつでも起こるようだ。
装着され変身が完了した次の瞬間、突然その上から何かが覆い被さった。
そうして出来上がった姿を見て、全員が絶句した。
「な……何じゃこりゃあっ!?」
まずリベードに関しては、胸部にモニターの付いたパーツがあることと、複眼の上から白いゴーグルのようなものが着いていることは設計図通りだ。
だが着けられた鎧は白く、尚且つその姿は
アクトに関しては、複眼以外のほぼ全てが銀色の鎧で包まれているという、設計図とは全く違う見た目になっていた。
「どういうことだ!? 設計図と全く違うじゃないか」
「分かりません。何が何だかさっぱり……」
「可愛いーっ!」
「すっごい奇抜な見た目ですね」
圭吾と森田が慌てふためく一方、深月と薫は楽しそうだ。
おまけに薫はスマートフォンで写真を連写している。だが使っているのがSOUPが支給したものだというのが、薫の真面目さを表している。
「ちょっと! そんなに撮らないでっ!」
リベードがふざけて大きな右手で薫の胸を叩く。
すると叩いたところで、思い出した。
ライダーシステムは人間の身体能力を何十倍、下手すれば何百倍にも引き上げる。そんな状態で叩いたら、薫の体はただじゃ済まない。
だが
「あれ?」
まるで効いていない。薫は自身の身体を触るが、特に異常は無さそうだ。
「大丈夫? 痛くない?」
「大丈夫です。ていうか、前より元気かもしれません。
体から悪いものが抜けていった気がします」
「あのすみません。僕もちょっと風邪気味かもしれないので、お願いしても良いですか?」
「え、あ、うん」
先程のように優しく叩いてくれると思った深月。
だが食らわされたのは、強い蹴りだ。
「えぇっ!?」
吹き飛ばされた深月は、蹴られた腹部を押さえながら立ち上がった。
「あれ? なんか、治った?」
「え!? すごい!」
三人はわちゃわちゃと新しい能力に喜ぶ。
だがその他の三人はそうはいかない。
「これでは敵を回復させるだけだな」
「ああ。ところで、こっから足が一歩も動かないんだけど、どうすればいい……?」
若干の静寂。
圭吾は見るからに落胆していた。
この部署に入ってから自身の思った通りにいかなかったことは無い。
もちろん失敗することは百も承知だ。だがその失敗は、体が2頭身になったり、敵を回復させてしまうような能力であったり、足が一歩も動かなくなったりと、想像の斜め上をいったものだ。
落胆することは無理もないだろう。
すると森田のスマートフォンが着信音を鳴らした。
画面を確認して、通話に出る森田。
「はい。…………え?」
────────────
2021.12.08 16:11 東京都 新宿区
閑静な住宅街の中にある、とあるマンションの前には数台のパトカーが停まっており、近隣住民が何事かと覗き込んでいる。
そこに2台のバイクと1台の遊撃車が到着した。
バイクから降りた春樹と碧は車の中に乗り込む。
それと同時に、車の外から機動隊長が報告を始めた。
「状況は?」
「
その道中、
「班長の娘さんから!?」
「それで、何と?」
「『怪物が私の中に入り込んだ』、と」
全員がその言葉を理解出来ず、首を傾げる。
その中でも森田は気が気でない。
自分の娘に何かあったのかもしれないのだから、当然のことだろう。
「どういうことですか、それ」
「今現在、隊員数名が確認を行なっています」
すると次の瞬間
「うわーっ!」
マンションの方から叫び声が聞こえた。
春樹と碧が車を降りると、一緒に森田も飛び出して行った。
念の為にドライバーを出現させ、待機する。
聞こえてからすぐにマンションの入り口から、拳銃を構えた数名の隊員が後ろ歩きで出て来た。
そして隊員たちが銃口を向ける標的が姿を見せた。
それは──
「奈緒美っ!」
「え!?」
そう。森田奈緒美だ。
だが何かがおかしい。
着ている衣類は緑色で染められており、指先から緑色の液体が出ている。
その液体が地面に落ちて、コンクリートが音を立てて煙を出すのを、春樹と碧は見逃さなかった。
「離れてっ!」
碧の言葉で先程の機動隊員は、別の隊員が盾で作った横長の壁の後ろに隠れる。
すると突然、奈緒美は自身の両腕を交差し大きく開いた。
緑色の液体が指先から飛び散り、盾に付着した。
その液体は頑丈な盾をドロドロに溶かしていく。
想定外の攻撃に、隊員たちは退避せざるを得なかった。
『あれは見た感じ、強酸性の液体ですね! 当たったら一溜りもないですよ!』
薫の言葉で、全員はあることを思い出した。
21年前。未確認生命体第四十三号は同じように、爪から白金をも溶かす強酸性の体液を出して、
最終的には科警研の開発した中和弾によって、体液が中和されて倒された。
「今すぐ科警研から21年前と同じ中和弾を用意してください!」
深月が急いで伝達する。
だがそれを静止したのは圭吾だった。
「待ってください! 相手は一応、人間です。無闇矢鱈に中和弾を打ち込んで、彼女に被害が出たらどうするんですか」
「しかし、このままではいつ誰が被害に遭うか分かりません。絶対に撃たせませんが、用意だけしておきましょう……!」
「……分かりました」
「行くぞ。グアルダ!」
『了解した。只今より、椎名春樹、椎名碧、両名のライダーシステムの使用を許可する』
それぞれ1枚のカードを手に取り、端末にかざす。
ドライバーが出現したのを確認すると、二人はカードをカードケースから取り出した。
だがすぐには装填せず、コソコソと何かを話し始めた。
「どうする? 人間態を持ったフォルクローではなさそうだし」
「そりゃそうよ。だって班長の娘さんよ」
「お前忘れたのか? 大学生の時に起こった、
碧は何も言えなくなってしまう。
「あれ」とは、2013年に未確認生命体が起こした事件だ。
その事件にはこれまでのものと明らかに違った点が一つあった。
それは、ナカケンパルプ製造所の社長・
伽部と郷原は大衆の認知度が高かったことや、特に郷原は未確認生命体への対処法がまとめられた、通称・マルエム法の改定に携わったことから、世間に大きな衝撃を与えた。
「うちの娘に限ってそんなことはない……」
「そうですよね。どうしたら
すると遊撃車から着信が入った。
『私に考えがあります』
『今、データを送ります』
着信の後、グアルダが突然端末の画面上に姿を現した。
『なるほど。ウィザードシェープで使用するアシスタンスカードのようだ。基本的にどんな相手であっても、12時間睡眠状態に出来る』
「よし。それでいこう」
「オッケー!」
碧は取り出したカードをカードケースに戻し、別の一枚を手に取る。
そして二人はカードを端末に装填した。
『"ACT" LOADING』
『"WIZARD" LOADING』
電源ボタンを押し、ポーズを決める。
「「変身!」」
『『Here we go!』』
変身すると、二人は奈緒美の方へとゆっくり近づいて行く。
奈緒美はどうやらパニックを起こしているらしく、息を荒くしている。
様子のおかしい自分の娘に、森田が後ろから呼びかける。
「奈緒美! 今助けてやるからな!」
「お父さん……。助けてっ!」
その時、奈緒美の後ろから、緑色の管のようなものが何本も出てきた。そこから再び液体が噴出される。
それを軽々と避け、リベードは彼女の左手に1枚のカードを持たせる。
そして端末をドライバーから外し、そのカードを読み取らせた。
『"SLEEP" please.』
すると、カードの効果が効いてきたようだ。
目を閉じたのと同時に、後ろの管がゆっくりと下がっていく。
リベードは彼女を抱き抱え、すぐに機動隊員に受け渡した。
『すぐに病院に運んでください。その後、今から送る場所までお願いします』
『了解』
機動隊員によってストレッチャーに運ばれると、その体を何重にもロープで固定される。
そして救急車に乗せられた。
その中に森田も入って行く。
サイレンを鳴らしてその場を去って行く救急車を、二人が見送っていたその時だった。
「ねぇ、彼女とはもう遊び終わったの?」
後ろから声がした。
振り返ると、そこにはラフにジャケットを着こなす1人の青年──クロトが立っていた。
その腹部には蛍光色に光るドライバーが着けられている。
「残念だけど、今は貴方に構っている暇は無いの」
「そうだ。上司のお嬢さんの一大事だ。今日は帰ってくれ」
「なんで〜。少しだけ遊んでよ」
クロトはポケットから1本のガシャットを取り出し、ボタンを押して起動した。
『マイティアクションX』
「グレード2。変身」
ガシャットをドライバーに挿し込む。
『ガシャット!』
レバーを引くと、目の前に等身大のモニターが現れる。
それがクロトを通ると、1人の戦士が姿を見せた。
『マイティジャンプ! マイティキック! マイティ〜アクショ〜ンX!』
仮面ライダーゲンム アクションゲーマー レベル2と同時に、後ろからソルダードたちが現れた。
兵隊がコンバットナイフを振り回しながら、静かに二人に向かって来る。
「こんなタイミングで……」
「空気読めないよね」
端末を取り外し、別のカードを装填する。
『"BLADE" LOADING』
『"GAIM" LOADING』
電源ボタンを押し、端末を挿し込んだ。
鎧が解かれ、新たな鎧が装着される。
『Shut up, Turn up, Slash the undead! Take the joker of your destiny! SPADE BLADE! I’ll fight my destiny and win.』
『Dancing, Compete, Open the crack! I will never forgive you! ORANGE GAIM! It’s time to start my stage.』
アクトはカードケースの前方から1枚のカードを取り出した。
赤い猪が描かれており、下部には「TACKLE BOAR」と書かれている。
そのカードを端末の裏側にかざした。
『TACKLE』
「おらぁぁっ!」
カードを読み取らせたアクトは、怪人の大群に向かって走り出して行った。
その物凄い勢いに押され、怪人たちが次々と吹き飛んでいく。そしてあっという間に半分ほどが倒された。
「ハァッ!」
一方のリベードは、ディスペルクラッシャー ソードモードと擬似大橙丸を振り回し、次々と斬り裂いていく。
まるで舞うかのようなその姿は、可憐という言葉が良く似合う。
二人の攻撃により、瞬く間に敵の軍勢は減少。残るはゲンムだけとなった。
するとゲンムは緑色のガシャットを取り出し、そして起動した。
『シャカリキスポーツ』
後ろにモニターが出現し、そこから緑色の自転車が現れ、ゲンムの周りを走り始める。
「グレード3」
2つ目のスロットにガシャットを挿し込んだ。
『ガシャット!』
レバーを展開した。
自転車は変形をすると、鎧として胸部と頭部に装着される。
『マイティジャンプ! マイティキック! マイティ〜アクショ〜ンX! アガッチャ! シャカリキ! シャカリキ! バッドバッド! シャカっとリキっとシャカリキスポーツ!』
スポーツアクションゲーマー レベル3。
かつて二人が苦戦を強いられた相手が、再び姿を見せた。
スロットに白いガシャットを装填したガシャコンバグヴァイザー チェンソーモードを右手に装着し振り落とした。
リベードは2本の刀で避け流していく。
だがゲンムが武器を振り落とした時には、咄嗟に対抗したが、やはりそのパワーには敵わない。
隙をついてゲンムを蹴り飛ばし、ジャンプをする。
そしてその勢いで横に回転。その鋭い刃で斬りつけた。
その反動でゲンムは、自身の右手に着いていた武器を失った。
するとゲンムは両肩に着いている車輪に手をかけ、二人の方に投げつけた。
それをどうにかしようと、リベードはアクトを目の前に持っていく。
「おい! 夫を盾にするな!」
「良いからなんとかして!」
夫を盾にしようとしている自分の妻に衝撃を受けながらも、冷静にカードケースから2枚のカードを取り出した。
そのうち、三葉虫の絵が描かれ「METAL TRILOBITE」と印字されているカードを端末にかざした。
『METAL』
アクトの全身が銀色に変化する。
そこにゲンムが投げた車輪が激突した。
だがアクトの体はびくともせず、それどころか車輪は跳ね返され、ゲンムの肩へと戻って行った。
それを確認したリベードはドライバーのプレートを押し込む。
『Are you ready?』
端末を下に押し込む。
そしてゲンムのもとに走って行き、高く跳んだ。
「セイハーっ!」
地面に落ちていく勢いを利用して、2本の刀で敵に斬撃を食らわせた。
さらに着地してその場にしゃがみ込むリベードの後ろを、今度はアクトが跳んだ。
その手に握られている「BEET LION」という文字と、ライオンの絵のあるカードを端末にかざした。
『BEET』
「はぁっ!」
右手で強烈なパンチを顔面にお見舞いする。
標的は吹き飛ばされ、そして紫色の粒子となって消滅した。
だが油断大敵だ。
何せ、敵の最大の能力は
すぐに二人の目の前に、紫色の土管が現れた。
そこから姿を見せたのは、案の定ゲンムだった。
「強くなったね。でも、僕も強くなったんだ」
すると目の前からゲンムが消えた。
慌てて辺りを見渡す二人。
だが時すでに遅しと言ったところだろうか。
目の前にゲンムが現れ、手元のチェーンソーで二人に攻撃を始めた。
「「グァッ……!」」
すぐに応戦しようと、各々が刀を握りしめて斬りつけようとする。
だが武器を振るったところで、結局敵はそれよりも速く動き、反撃を開始する。
流石に限界が近づいてきたのだろうか。二人とも息が荒くなっている。
ゲンムが傷ついた二人の戦士に向かって、足を走らせる。
対抗しようとするが、体が思うように動かない。
思わず身構えたその時の出来事だった。
ゲンムが突然足を止めた。
そして顔を左に向け、何かを凝視する。
同じ方向を二人が向くと、マンションのベランダが見える。
幾つかあるベランダの中の1つに、1人の女性が立っていた。花柄のシャツに白いズボンを履いた年配の女性だ。
女性は雨の日にもかかわらずベランダに出て、目の前に広がる光景を物ともしない様子で眺めている。
すると、ゲンムは一つ溜息を吐いた。
そして体を再び分解させ、その場を後にした。
女性はアクトとリベードの目線に気がついたのか、慌てて部屋の中に入って行く。
二人は変身を解除する。
誰もいなくなった濡れたベランダを、春樹と碧はしばらく見つめていた。
奈緒美ちゃんが観ていた刑事ドラマの再放送は、テレビ朝日で平日のお昼頃にやっているものです。
僕も小学生の頃、帰ってそれを観るのが唯一と言っていいほどの娯楽でした。
今でも学校が終わると必ず観ています。
第1クールも折り返しですよ、もう。
ラストには怒涛の伏線回収をしなければならないという義務のようなものがあるので、頑張ります……。
今作のキャラクターたちの日常を描いたスピンオフがあったら、読みたいですか?
-
読みたい。
-
そうでもない。