もうすぐ冬休みが終わってしまう……。
【イメージサウンドトラック集】
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2021.12.08 21:21 東京都 新宿区 SOUP
SOUPの部屋の中には、メンバー全員がいた。
全員の洋服は微かに濡れており、表情は暗い。
それもそうだ。
「ハイジャック」と名付けられた新型未確認生命体第三十四号。
その性質はこれまでのものと全く違うものであり、しかも自身の上司の娘の身体に寄生をし始めたのだから……。
「それで、検査結果は?」
春樹が森田に訊く。
森田はモニターに、人間の上半身を横向きに見たモノクロの画像を表示した。その身体の中では、背中から何本もの管のような異物が上に向かって伸びている。
「MRI検査の結果、奈緒美の脊髄に異常なパイプのようなものが絡みついていた。恐らく、これを軸にハイジャックに憑依しているんだろう。
このまま脳幹に辿り着くと、意識がだけじゃなく呼吸をもコントロールされ命に関わる。早急に切除しないと……」
「しかし、この検査結果を見ると、手術とかで切除するのは無理ですよ。脊髄が損傷する可能性がありますから……」
薫が深刻な顔で補足をした。
「強酸性の体液によるこれ以上の被害拡大を防ぐために、奈緒美さんは今、大田区の廃工場に移しています。
経過観察のために機動隊員が見てくれていて、何かあればすぐに連絡がきます」
深月の表情もまた深刻なものだ。
全員が押し黙ってしまい、若干の沈黙が流れる。
破ったのは、森田だった。
「頼む……。娘を救ってくれ……!」
深く頭を下げる森田。
初めて見るその姿に、他の班員たちは何とも言えなくなってしまう。
白髪の交じる黒髪を、白い灯りが艶やかに照らしていたその時、部屋の中に誰かが入って来た。
「調子はどうだ?」
岩田室長だ。
すると岩田は森田のもとに寄り、その肩に手を置いた。
「娘さんのところに行ってあげたらどうだ? 後のことは彼らが何とかしてくれる」
「いや、しかし……」
「行ってあげてください。それが奈緒美さんのためにもなりますから」
「……すまない」
立ち上がった森田は再度頭を下げると、足早に部屋から退出して行った。
それに続くように岩田も部屋の外に出る。
すると深月はそれを追いかけた。
「あの!」
エレベーターに向かおうとしている岩田に、深月が部屋のドア付近から大きな声をかけた。
それに反応して岩田は振り返らずに立ち止まる。
「春樹さんと碧さんについて、何か知っているんですか?」
その瞬間、岩田の背中から何か強烈なものを感じた。
何と言えば良いか検討がつかないが、まるで岩田将吾という人間の、心の底から湧き出てくるマグマのような何か。
「君は、何故椎名春樹が常田碧と結婚したのか知っているか?」
「……いえ」
「それが、全ての真相だ」
それだけ言い残し、岩田はエレベーターに乗ってその場を後にした。
蛍光灯が照らす暗い道路の上で深月は一人、前を見つめる。
何も分からず仕舞い。飲み込めるのは自身の唾だけだ。
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2021.12.08 23:09 東京都 新宿区 SOUP
部屋の灯りは半分しか点いていない。それもそうだ。
この後、いつ出動要請が出るか分からない。そのために仮眠室で休養をとっているのだ。
だが圭吾だけは、他の全員が休んでいる間もパソコンに齧り付いている。
すると森田の席のモニターが点き、画面上にグアルダが姿を現した。
『まだ作業をしていたのか? 少し休んだらどうだ』
「いえ、もう少しやりたいんです。というより、やらなきゃいけないんです」
キーボードを動かす手が止まる。
目線は下を向き、苦しそうに声を出す。
「……正直、なんか変な感じっていうか……。
どれだけ科学が進んだとしても、それを凌駕する脅威が現れる。はっきり言って、すっごい疲れるんですよ
今回も、現代医学ではどうしようもない事例で、対応策も検討がつかない。どうすれば
顔を両手で覆いながら天を仰ぐ。
両手を下げて頭を机に置くと、大きな溜息を一つ吐いた。
『それはそうだ。そうやって科学は歴史を紡いできたんだ。今焦る必要はない』
圭吾は顔を上げ、モニターを見つめた。
多少は気持ちが晴れたのか、顔つきが変わっていった。
もう一度パソコンに食らいつく圭吾。
それを見ると安堵したのか、グアルダはモニター上から姿を消した。
キーボードを素早く動かし、画面を凝視する。
そこには今朝のと同じ設計図が表示されており、下部には大量のデータの羅列があった。
だが手を動かして早々、煮詰まってしまったようだ。
頭を抱えて熟考する。
何かないか。どうすれば良いか──。
その時、圭吾はあることを思い出した。
それは、今朝の実験で深月が言っていたことだ。
体から悪いものが抜けていった気がします。
またキーボードを打ち込み、エンターキーを押し込んだ。
そして表示されたものを見た圭吾の顔は、晴れやかなものとなり、両腕を上げてガッツポーズをとった。
2021.12.08 23:12 東京都 大田区
廃工場の中には、当然のことながら電気が通っていない。
そのため、警察の用意してくれた大きな間接照明で照らすしかない。
だが今は、睡眠をとる者が中にいるため、照明の光は弱くしている。
簡易ベッドの上で寝息を立てる娘の様子を、森田は眺めていた。
優しい目で少女を見つめ、両手を握りしめる。
そんな中でも少女の背中は緑色に染まっていき、ベッドからこぼれた右手からは緑色の液体が垂れてきた。
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2021.12.09 11:45 東京都 品川区
大崎駅には都道317号線の上を跨る連絡口がある。その先にある商業施設の2階の大広場に春樹は立っていた。
まっすぐと前を見据えるその先には、
「あれ? もう一人は?」
「残念だが別件でいない。大人は忙しいんだ」
「ふーん。残念」
するとクロトは白いガシャットの挿さったバグヴァイザー ビームガンモードを右手に装着する。
そして後ろを向くと、その勢いで大量の光弾を発射。兵隊を殲滅した。
「ちょっとイライラしてきたよ。暇つぶしに付き合ってくれないかな」
「上等だ。俺も同僚から頼まれたものがあるから、丁度良い」
春樹とクロトはドライバーを腹部に装着した。
春樹は1枚のカードを端末に装填。一方のクロトは2本のガシャットを起動した。
『"KABUTO" LOADING』
『マイティアクションX』
『シャカリキスポーツ』
二人は各々の動作をし、そして対戦開始のための言葉を発した。
「「変身」」
『Here we go!』
『ガシャット! ガッチャーン! レベルアップ!』
春樹の体が緑色の素体に変化。赤い鎧が装着されようとするが、やはりその上から銀色の鎧が着けられてしまう。
クロトの前にゲートが現れ、それがクロトを通過。変身した姿にライムグリーンの鎧が装着された。
『Changing, Wearing, Flying away! I’m the justice! SHEDDING KABUTO! Going on the way to the heaven, and rule all.』
『マイティジャンプ! マイティキック! マイティ〜アクショ〜ンX! アガッチャ! シャカリキ! シャカリキ! バッドバッド! シャカっとリキっとシャカリキスポーツ!』
仮面ライダーアクト カブトシェープ。
仮面ライダーゲンム スポーツアクションゲーマー レベル3。
銀色の戦士と紫と緑の戦士が向かい合ったその時、戦いのゴングは鳴った。
ゲンムがエネルギー弾を飛ばしながら、アクトに向かって来る。
対するアクトもディスペルクラッシャー ガンモードで対抗する。
それを物ともせず、バグヴァイザーを変形させ、その刃でアクトに斬りつける。
だがその硬い体表には全く効かず、びくともしない。
戸惑うゲンムにアクトは左手で重い一撃を食らわせた。
「のわぁっ!」
思いっきり吹き飛ばされるゲンム。
立ち上がったゲンムは明らかに苛ついていた。
右の爪先を動かして、音を鳴らしながら首を回している。
するとゲンムは昨日と同じように、目にも止まらぬ速さで動き始めた。
アクトの周りを縦横無尽に動き回り、硬い体に次々と斬りつけていく。
何度も何度も攻撃しているからか、徐々にダメージを与えられ、最後の一撃で今度はアクトが後退した。
「こうなったら、これを使うしかないか……」
「何使うの? 僕を楽しませてくれるんだろうね?」
「……もちろんだ」
アクトはカードケースの前方のスロットから1枚のカードを取り出した。
そのカードには鎧を脱ぎ捨て、羽を付けた人が天に羽ばたいて行く様子が描かれており、「CAST OFF」と印字されている。
それを端末にかざした。
『CAST OFF』
するとアクトに着けられた銀色の鎧が浮き出ていく。
その中でもゲンムは再び高速で向かって行き、右手の刃を振りかざした──。
次の瞬間、ゲンムは何かにぶつかった。立ち止まって前を見ると、先程まで銀色の重厚な鎧を身に纏っていた戦士は、赤いシャープな姿に変化していた。その頭部からは兜虫のような赤い角が上っている。
『Change to the next shape.』
言わば第二形態。
真の姿に変身した瞬間だった。
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2021.12.09 11:45 東京都 大田区
同時刻。廃工場。
所々破けた天井から覗く日光だけが照らす室内で、碧は少女を見つめていた。なんとか立ち上がったようだが、呼吸は荒くその苦しみに悶えているようだ。
目は充血し、背中から伸びる管の数は前よりも増えている。
「何か解決策が見つかったのか?」
「はい。こうするんです」
すると碧はカードを端末にかざして、ドライバーを出現させた。
何をするのか皆目見当がつかない森田は、黙ってその様子を見つめる。
「奈緒美ちゃん。ちょっと一発殴らせてね」
『"EX-AID" LOADING』
電源ボタンを押すと、後ろのゲートからマイティが飛び出し、碧の前に立った。
コミカルなダンスを踊っている最中、碧はポーズをとって、廃工場中に響く声で叫んだ。
「変身!」
『Here we go!』
端末を挿し込んだ。
青い素体に変身したその上にマイティが分解してできた鎧が装着される。だがやはり白い鎧が着けられ、2頭身の体になった。
『Examine, Playing, Level up! I’ll change patient’s destiny! STRATEGY EX-AID! I’ll clear this game with no-continue.』
「どういうことだ……!?」
「まぁ、見ててください」
エグゼイドシェープに変身したリベードは、カードケースの前方のスロットから1枚のカードを取り出した。
様々なメダルの描かれたカードで、「ENEGY ITEM」と印字されている。
そのカードをドライバーに挿し込んでいる端末にかざした。
『"ENEGY ITEM"』
すると地面や空中に、チョコブロックのようなものがランダムに出現した。
寂れた廃工場の中は、まるで「マイティアクションX」のゲーム画面のようになる。
「あああああああ!!」
発狂した奈緒美の背後から管が襲いかかっていたのが、
それを軽々と避けると、地面にあるチョコブロックを叩き割った。
中から出てきたのは黄色いメダルだ。
それを取り込むと、リベードは目にも止まらぬ速さで動き始めた。
攻撃をする管の大群を潜り抜けて奈緒美のもとへと駆け出して行く。
その時、1本の管が空中のチョコブロックを壊した。
「チャンス……!」
急いでそっちの方にジャンプ。中から出てきた赤いメダルを取り込んだ。
そして奈緒美の前に立つと、一応は生身の人間である奈緒美に強烈なパンチを食らわせた。
「おい! 何しているんだ!?」
すると突然、奈緒美の身体から
それは黒いパーカーを着た白い怪人で、同じように緑色の管が全身から伸びている。
その瞬間に奈緒美の身体から管は無くなり、意識を失っている。
そう。これこそ逆転の切り札だ。
エグゼイドシェープの真の能力は「分離」。有害物質等を安全に処理するための力だったのだと、圭吾はあの時気がついた。
そして、エグゼイドシェープとカブトシェープにもう1つ能力を付け加えた。
それは──。
彼女を森田に預けると、リベードは怪人──ハイジャックに対峙する。
「さてと、これを使うか……」
リベードは前方のスロットからもう1枚のカードを取り出した。
「LEVEL UP」という、2頭身の体が等身大の姿に変わっていく様子が描かれたカードを、端末にかざした。
『LEVEL UP』
すると白いアーマーが飛び出し、2頭身だった頃の顔のパーツが背中に装着されると、設計図にあったのと同じ等身大の姿となった。
『Being the next level and get high.』
それこそ、圭吾の用意したもう1つの能力。
今作のキャラクターたちの日常を描いたスピンオフがあったら、読みたいですか?
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読みたい。
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そうでもない。