仮面ライダーアクト   作:志村琴音

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第十九話です。
EPISODE07ではアクトの、EPISODE08ではリベードの強化形態が登場します。
乞うご期待ください。
それから、今回より後書きに参考文献を記載いたします。
たった一話を書くのに、これだけ見ているんだなぁと思っていただければ幸いです。
よろしくお願いいたします。



【イメージOP】
PEOPLE1 - 銃の部品

【イメージサウンドトラック集】
https://open.spotify.com/playlist/23xA5ZAHZfdUR77F4JZ9lB?si=07c60fc3a3934b45&pt=97747cf874e1c0b08fb8e40c52da1ec2


EPISODE 07 蝿が翔ぶ時(WHEN A FLY FLIES)
Question019 Why is he in high spirits?


2021.12.10 10:27 東京都 中野区 トキワヒルズA 601号室

 授業と授業の間にある休み時間。だがあまねが休み時間を過ごしているのは教室ではない。自宅の自室だ。

 

 学校がフォルクローとの戦いでボロボロになってしまったため、オンラインで授業を行わざるを得なくなったのだ。

 とは言え授業は時間通りに進んで行くため、気休めを出来るのはこの時間たちだけだ。

 

 そんな束の間の休息の中で、あまねは日菜太に電話をかけていた。

 

「ねぇ。今日の放課後、お店に寄っても()い?」

『もちろん良いよ。お父さんとお母さんも一緒?』

「ううん。私一人。今日は二人とも、大事な仕事があるらしいんだ」

『へぇ……』

 

 日菜太からの応答が無くなった。恐らく何かを考え始めたのだろう。

 椅子に座りながら本を読んでいたあまねは一先ず釘を刺しておく。

 

「何ニヤニヤしてるの?」

『に、ニヤニヤなんてしてないよ!』

 

 突如として慌て始める日菜太。まさかとは思うが、電話越しに表情が読み取られたからではないだろうか。

 だがあまねは満更でもない様子だ。

 

 そろそろ時間になりそうなので、あまねは通話を切って授業に戻って行く。

 耳にかかった髪をかき上げようと右手が髪の毛に触れた時、ふと耳に触れた。

 仄かに熱い。

 

 まさか。

 

 気がつけばパソコンの画面が切り替わり、授業が始まってしまった。

 それに気がついたのは、あまねが自身の呼吸を忘れていることに気がついた時だった。

 

 

 

────────────

 

 

 

2021.12.10 10:38 東京都 千代田区 永田町 首相官邸 2階 小ホール

 首相官邸は和をモチーフにした空間となっている。竹林の美しい中庭。目の前に緑の広がるホワイエ。

 その中でも、2階にある小ホールは静かに和を体現している。大ホールが光の壁や桜の絨毯で鮮やかになっているからであろう。2階には特にそういった類のものはないため、やや暗い印象があるからだろうか。

 

 今、室内には円卓の周りに椅子が8脚並べられており、そのうちの四つにSOUPのメンバーは座っていた。

 

 森田は腕を組んで静かに待ち、深月はパソコンで何かを確認している。

 圭吾と薫は二人ともスマートフォンをいじっていたが、見ていたものは全く違かった。薫がイギリスの生物学者が書いた海牛に関する論文を読んでいるのに対し、圭吾はワイヤレスイヤホンを両耳に着け、インターネットTVでアニメの一挙放送を観ている。

 

 その中に春樹と碧の姿はない。

 いつもであれば、春樹はスマートフォンでゲームをし、碧は後ろの方で軽く筋トレをしているはずだが、部屋の中に二人はいない。

 

 この状況を説明するためには、時を13時間程前に戻さなければならない。

 

 

 

 

 

2021.12.09 19:58 東京都 新宿区 SOUP

「それはつまり、米国が()()()()()()()()()()()()()()()()、ということですか?」

「そうだ。明日、向こうの研究所から使いが来る。首相官邸の2階にある小ホールで受け渡しの予定だ」

 

 飲み会の最中、岩田に呼び出された一同。

 酔っ払って千鳥足の薫を支えながら着いて、聞かされたことがこれだ。

 流石の薫も一気に酔いが覚めたようだ。

 

「そもそも、メモリアルカードって作成とか複製って可能なんですか?」

 

 深月が全員に訊いてみる。

 答えたのは圭吾と薫だった。

 

「無理無理。データ化こそなんとか出来るけど、複製するにはロックを解除する必要があって、1枚だけでも解除するのにスパコンでも90年以上はかかるんだよ」

「だから僕が解析しても、本物のデータじゃない、それらしきものしか知ることが出来ない。本物のデータは僕たちが知る(よし)も無い、未知の領域なんですよ」

 

「じゃあコピーも出来ないそんな難解なものを、どうやって新しく作り出したっていうんですか?」

「第一、技術的なことは差し置いても誰が頼んだ? メモリアルカードの存在は、俺たちSOUPの人間しか知らないトップ・シークレットの一つだろ」

 

 春樹の言う通り、確かにフォルクローと仮面ライダーの存在こそ公表しているが、メモリアルカードのことは一切公表されていない。

 そのため、知っているのは春樹たちSOUPのメンバーと、政府の高官たちしか知らないはずだ。

 だがどうして……?

 

 

 

「依頼したのは私だ」

 

 春樹と碧の質問に答えたのは岩田だった。

 

「強力になっていくフォルクローに対抗するために、米国を始めフランス、ドイツ、ロシアの研究室に極秘で依頼した。

 最も構造がシンプルなアクトとリベードのカードを基に製作を依頼したが、どうやら米国の研究所に協力者が現れたらしい。

 まさか完成されるとは、夢にも思っていなかった……」

 

 岩田の声には静かな中に響めきがあった。

 聞いたことのない声に押し黙ってしまう全員。

 

「椎名夫妻には、研究員たちが乗る車の護衛に当たってもらいたい。万が一フォルクローが攻めて来る場合もあるからな」

「「了解」」

 

 これで話は終わり、全員が荷物をまとめ始めた時、今度は岩田が質問を投げかけた。

 

「ところで、ヒュージルーフの解析はどうだ? 順調か?」

「ええ。しかも、もう全部分かったも同然です」

「? どういうことだ?」

 

 森田の言葉に驚く岩田の前で、圭吾は再び席に着くと、パソコンを操作し始めた。

 すると森田の席の隣にあるモニターに何枚かの写真が表示された。

 それはヒュージルーフの屋根や柱を撮ったものだ。柱が光ったものや赤いカーテンが垂れる様子を撮したものもある。

 

「もっと早く気が付くべきでしたが、アールが現れた時にようやく分かりました。

 ヒュージルーフはただフォルクローを感知するための装置じゃない。その根幹は、フォルクローを出現させるための、言わば『次元転移システム』だったんです!

 恐らく、フォルクローはアールたちのいる世界から、あの屋根を通してこちらの世界に移動しているんだと思います」

 

「だから屋根のある東京23区にしか出現しないのか……」

 

「ただ撤去方法に関しては、全く検討がつかないですね。

 まずサンプルを取ろうとしても、あまりにも硬すぎてチェーンソーでも切れませんでした。

 それにもしバラしたとしても、埋め立てる場所は無いですし、爆破するにしても1000万人以上を非難させることは、現実的に考えて不可能です」

 

 再び沈黙の流れる室内。

 何故か白い蛍光灯が暗く見えてきた。

 

 

 

────────────

 

 

 

2021.12.10 10:40 東京都 港区

 都道415号線の上を黒いレクサスが走る。

 その前では春樹の、後ろにはリベードのアクトチェイサーが走っていた。

 

 羽田空港から都心環状線に乗り、飯倉で下りたため、もう少しで首相官邸に到着する。

 ここまで特に変わったことはない。通常そのものだ。

 

 

 

 ここまでは、の話だが。

 

 

 

 もうまもなく都道412号線との合流というところで、何者かが前に立ったのだ。

 慌てて道路脇に止まる3台の乗り物。

 

 そこに立っていたのはジャケットを着た青年、クロトだった。

 

 ヘルメットを取ってクロトと対峙する春樹と碧。

 

「何しに来た? 今日も俺たちは忙しいんだ」

「だろうね。なんか面白そうなことを今日するんでしょ?」

「!? 何でそれを知っているの?」

「さぁ。でも、何があるかは知らないし、僕は君たちと遊べればそれで良いんだ」

「……。場所を変えようか」

 

 

 

 レクサスの中には、万が一に備えて護衛が3人乗車している。

 彼らに警護を任せ、春樹たち三人は近くにある駐車場に場所を移した。

 

『彼らはどうする?』

「俺らを置いて先に官邸に向かうように言ってある。聞いた限りでは何を運んでいるのか全く分かっていないから、襲われる問題は無いだろう」

「それに、私たちが遊べばどうせ帰ってくれる。だから少しばかり付き合って早く帰らないと。深月くんの通訳を担当されてるからね」

『了解した』

 

 春樹と碧は端末を使って腹部にドライバーを出現させる。

 そして端末にカードを装填した。

 

『"FIZE" LOADING』

『"DRIVE" LOADING』

 

 電源ボタンを押すと、各々のアーマーたちが出現する。

 赤いスポーツカーは駐車場を走り回り、銀色の鮫は体を使って跳ね回る。

 その中で二人はポーズをとり、そして叫んだ。

 

「「変身!」」

『『Here we go!』』

 

 素体に変身すると、その体には鎧が着けられていく。

 そして二人の戦士が参上した。

 

『Given, Stolen, Fight for somebody! Open your eyes for the next! GUARD FIZE! Standing by complete.』

『Running, Searching, Exchange! Start your engine! DRIVING DRIVE! Will you drive with me?』

 

「君たちに一つ、見せたいものがあるんだ」

「「?」」

 

 するとクロトはバグヴァイザーをグリップの付いていない状態──パッドモードと黒いバックルを取り出し、それらを一つにまとめた。

 そして自身の腹部に装着するとベルトが巻かれ、新たなドライバー──バグルドライバーが現れた。

 

 ポケットから1本のガシャットを取り出す。ガスマスクを着けた戦士が描かれた白いガシャットだ。

 そのガシャットの起動ボタンを押した。

 

 

 

『デンジャラスゾンビ』

 

 後ろにモニターが現れた。ガシャットに描かれたのと同じものが表示され、「DANGEROUS ZOMBIE」と毒々しい文字もともにある。

 ガシャットを持った右腕を肩の高さまで挙げ、右手を裏返す。

 そして発した。次のゲームを遊ぶための言葉を。

 

 

 

「グレード(テン)。変身」

 

 ガシャットをスロットに挿し込む。

 

『ガシャット!』

 

 左手の親指で、ドライバーの上部にある赤いボタンを押し込んだ。

 

『バグルアップ!』

 

 目の前に白いゲートが黒い煙を撒き散らしながら現れた。

 それら二つがクロトの姿を完全に覆ってしまう。

 

 だがヤツは、そのゲートを破って姿を見せた。

 現れたのはただのゲンムではない。

 ガシャットやモニターに描いてあったように、白い装飾が大量に着けられた姿で、胸のモニターに表示されているゲージは全く無い。

 

『デンジャー! デンジャー! ジェノサイド! デス・ザ・クライシス! デンジャラスゾンビ! Woooo!!』

 

 仮面ライダーゲンム ゾンビゲーマー レベル(10)

 「ゾンビ」の名のもとに相応しい力を宿した、禍々しい戦士が誕生した瞬間だった。

 

 

 

「ますますアメコミっぽくなったな……」

「ね。昔映画でああいうの見たことあるんだけど」

 

 奇怪な動きを続けるゲンム。だがその動きが治まると、ピタリと動かなくなる。

 

 若干の疑問を抱きつつも、チャンスとばかりに二人は武器を取り出す。

 アクトはディスペルクラッシャー ライフルモードで標的を撃った。

 

『CHECK』

 

 ゲンムの体に赤いマーカーが刺される。

 アクトはライフルを投げ捨て、ドライバーのプレートを押し込む。

 同じくリベードもプレートを押し込んだ。

 

『『Are you ready?』』

 

 端末を押した。

 

 リベードの体からスポーツカーが分離。周囲を走り回る。

 二人は上空にジャンプ。アクトは前から、リベードはスポーツカーを蹴って後ろから強烈なキックをお見舞いした。

 

 その衝撃でゲンムの上半身は吹き飛び、その場には下半身だけが残っている。

 

「やったか?」

 

 後ろを振り向いた二人。

 これで1つライフが削れたはず。

 そう思った。

 

 

 

 だが、現実は時に想像を凌駕するようだ。

 

 ゲンムの上半身がみるみるうちに修復されていくではないか。

 肩を押さえて首を回して、何事も無かったかのように立っている。

 

「最高だよ……! これが新しい力か……!」

「……どういうこと?」

 

 困惑する二人。

 その間でゲンムは仮面の下で高らかに笑う。

 

「この『デンジャラスゾンビ』の最大の能力は『不死身』。

 例えどんな攻撃を与えられたとしても、このガシャットがある限り、僕がライフを削られることは二度と無い」

「そんな馬鹿な……」

 

 

 

 今度はゲンムが仕掛けた。

 ゲンムはドライバーのAボタンとBボタンを同時に押した。

 そして再度Bボタンを押した。

 

『クリティカル・デッド!』

 

 するとアクトとリベードに、夥しい黒い幻影がまとわりついていく。

 なんとか引き剥がそうとするが、数が増大過ぎて対処のしようがない。

 

 完全に姿が見えなくなったとき、幻影たちは一気に爆発した。

 

「「グアアアッ!」」

 

 変身が強制的に解除される。

 想定外の能力だ。脳よりも先にその体がその強さを分かったような感覚だ。

 

 倒れ込んだ二人を確認した化け物(ゲンム)が次の行動を起こそうとしたその時、ゲンムの身体から白い煙が上がった。

 苦しんだ様子を見せるゲンム。

 

「やっぱりまだ未完成の状態か……。今日のところはこのくらいにしておくよ。じゃあね」

 

 紫色の粒子となってその場を立ち去ったゲンム。

 宙空には微かに白い煙が上り、そして消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Q: Why is he in high spirits?

A: Because he got a new force. Name of that force is DANGEROUS ZOMBIE.




【参考】
「仮面ライダーエグゼイド」第12話『クリスマス特別編 狙われた白銀のXmas!』
(脚本:高橋悠也, 監督:山口恭平, 2016年12月25日放送)
東京の過去の天気 2021年12月 - goo天気
https://weather.goo.ne.jp/past/662/20211200/
1階・2階|首相官邸ホームページ
https://www.kantei.go.jp/jp/guide/guide02.html
公用車とは?センチュリーやテスラなど、都知事や首相、全国47都道府県の車種|2022最新情報
https://car-moby.jp/article/car-life/useful-information/official-car/
変身ベルト DXバグルドライバー|仮面ライダーおもちゃウェブ
https://toy.bandai.co.jp/series/rider/item/detail/4891/

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