仮面ライダーアクト   作:志村琴音

36 / 115
第33話です。
春休みなので火曜日・木曜日・土曜日以外でも投稿して参ります。
P-2-Pシステムの力が、大体明らかになります。
因みにシステムのイメージCVはermhoiさんでございます。
宜しくお願いいたします。



【イメージED】
AI - 最後は必ず正義が勝つ

【イメージサウンドトラック集】
https://open.spotify.com/playlist/23xA5ZAHZfdUR77F4JZ9lB?si=07c60fc3a3934b45&pt=97747cf874e1c0b08fb8e40c52da1ec2


Question033 What has he showed to her?

2022.01.10 14:11 Yakumo Tokita's FAV ZONE

「始めようか。愛する妹(一般のお客様)に向けた、()()()()()()()()()()を……!」

 

 仮面ライダーネクスパイに変身を遂げた八雲。

 目の前で繰り広げられる光景に、碧は驚きが隠せない様子だ。

 

「グアルダ。今すぐに変身を解除して」

 

 ライダーシステムに関する全権はグアルダが握っている。変身は勿論のこと、根本的なカードの使用についてもだ。

 なので、グアルダが干渉することによって、八雲の変身を強制的に解除することが可能と言うことだ。

 

 だが

 

『駄目だ。彼の使っているデバイスに干渉することが出来ない……!』

「? どう言うこと!?」

 

 困惑する碧とグアルダに対して、ネクスパイは鼻を鳴らして解説を始めた。

 

「これが第二の特徴だよ。このP-2-Pシステムの場合、全ての権限は装着者が掌握している。つまりお前には俺を止めることは出来ない」

 

 即ち、碧が彼のことを止めようと思っても出来ないのだ。

 

「こんなにも天才的な俺の発明を今からプレゼンするわけだが、きっとお前は今、動揺し過ぎて手が動かないだろ。なーのーでー」

 

 すると暗い部屋の中にゲートが2つ、姿を見せた。

 開かれた先にある白い光の中から姿を見せたのは、2体の怪物だった。

 

 一体目はガゼルが二足歩行になったような容姿であり、茶色い身体をよく見ると一万円札の模様になっている。

 二体目は右手に剣を、左手に盾を持った銀色の甲冑の騎士で、何故か手には青色の手袋と口元には青いマスクが着けられていた。

 

「お前らはフォルクローのことをコードネームで呼ぶんだろ? じゃあ今からあの札束の擬人化みたいなのは『クラウド』で、中途半端な騎士の方は『サージェン』としようか」

 

 勝手に命名を始めたネクスパイ。

 

「ボス。もう帰って良いですか?」

「ああ。もう大丈夫だ」

 

 シドの提案が可決された。

 部下である三人は目の前に出現したゲートの中に入り、その場を後にした。

 

 すると残ったうちの一人である碧は、突如として現れた四角い枠の中に閉じ込められた。

 両手で叩いて脱出を試みるが、あまりにも固いため太刀打ち出来ない。

 

「販促なのにお客に危害が加わっては大問題だ。暫くここにいてくれ」

 

 所詮、この戦いと言うのはセールスのうちの一つに過ぎないと言うわけだ。

 

 そんな彼は首を時計回りに一周させて軽く3回程跳ぶ。

 これが彼のルーティンのようなものらしい。

 

「さて、これがP-2-Pシステムの三つ目の特徴だ」

 

 ネクスパイはカードケースの後方のスロットから1枚のカードを取り出した。

 小さな青い幽霊たちが紫色、水色、青色のパーカーを吟味している様子が描かれており、「No.132 THROB SPECTOR」と書かれている。

 

(なん)で貴方も持っているの?」

「これが完成されてすぐに、実験的にメモリアルカードの回収を行ったんだ。全部で何十枚かある」

 

 ネクスチェンジャーのスロットに入っているカードを取り出すと、そのカードを上のスロットに挿し込んだ。

 

『"SPECTOR" LOADING』

 

 ダイヤルを時計回りに180度回して、青色の面に合わせた。

 

『WEAPON』

 

 ダイヤルを押し込んだ。

 

『Summon its!』

 

 するとネクスパイの右手に青色の武器が現れた。

 先の方が開いた手のようになっている棍棒──ガンガンハンド ロッドモードだ。

 

 サージェンが剣と盾を握りしめて走って来る。重そうな見た目に反して、意外とすばしっこい。

 

 ネクスパイは跳びながら時計回りに横回転。

 その勢いを利用してガンガンハンドで勢いのある打撃をお見舞いしようとした。

 

 左手の盾で攻撃を防ぐが、サージェンの持っている盾はより強い攻撃によって崩壊してしまう。

 

 標的が怯んでいる隙に、ネクスパイはダイヤルを90度回して赤色の面を正面にした。

 

『Are you ready?』

 

 ダイヤルを押し込むと、ガンガンハンドに付いているレバーも押し込んで鉄砲のような銃モードに変形させ、銃口を隙が出来てしまった相手の腹部に押し込んだ。

 

『OKAY. "SPECTOR" BORROWING BREAK!』

 

 銃口に次々と青いエネルギーが溜まっていく。

 引き金を引くと、硬い鎧を放たれた弾丸が貫通。瞬時に確認をしたネクスパイが左足で蹴り飛ばすと、サージェンは壁に衝突して爆散した。

 

 だがこれでひと段落ついたとは言わない。

 もう一体、標的がいる。

 

 後ろからクラウドが跳びかかって来た。

 気配を察知したネクスパイが後ろを振り向きながら、背中の向く方へ一歩下がる。

 

 ネクスパイは持った鉄砲を投げ捨て、肉弾戦に持ち込んでいった。

 クラウドはざっくりとしたキックボクシングのような捌き方をしてきた。一定のリズムで両腕両脚を繰り出してくるが、一切ファイティングポーズをとっていないと言う、まさに自殺行為だ。

 

 そんな攻撃に屈することが無いと言うのは、新装備の性能だけでは無く本人のセンスもあるのだろう。

 否。そもそも相手のスペックが弱いのか。まぁ、そんなことはどうだって良い。肝心なのは、現在の状況はネクスパイの方が有利だと言うことだ。

 

 攻撃を躱しながらネクスパイは再度、1枚のカードを取り出した。

 夕暮れの中で鎖の巻きついている十字架を着けた女性が祈りを捧げている様子が描かれており、下部には白く「No.069 CLERGYMAN IXA」と書かれている。

 

 クラウドが両手を束にして頭部に攻撃を炸裂させようと仕組む。

 だが相手は軽々と左手で押さえ込みながら、カードを上のスロットに装填した。

 

『"IXA" LOADING』

 

 ダイヤルを時計回りに回していって、青色の面を正面に合わせる。

 

『WEAPON』

 

 ダイヤルを押し込んだ。

 

『Summon its!』

 

 クラウンを蹴り飛ばしたネクスパイの右手に新たな武器が装着された。

 金色のパーツが付いた白いナックル──イクサナックルだ。

 

 クラウンが再度攻撃を仕掛けてくる。

 ネクスパイは相手の右の手首を掴んで、背負い投げの要領で地面に叩きつける。

 そして地面にいるクラウンの腹部を左足で踏みながら、ダイヤルを操作する。

 

『Are you ready?』

 

 ダイヤルを右手の親指の付け根と人差し指の付け根の間のスペースで押し込んだ。

 

『OKAY. "IXA" BORROWING BREAK!』

 

 突然、クラウンをイクサナックルから放たれた衝撃波が襲った。

 その結果、クラウンから起こった爆発でネクスパイの姿が隠れてしまった。

 

 

 

「……あれ、大丈夫だよね……?」

 

 薄暗い部屋の中で起こった爆発に唖然としてしまう碧。

 変身した兄が爆発に巻き込まれたのだから気が気でないのだ。

 

 突如として、碧を囲っていた枠が姿を消した。

 何が起こったのか分からないままに、前に少しずつ進む碧。

 

 すると

 

『THE END OF VOLKLOW』

 

 爆炎が晴れると、先程爆発に巻き込まれていたネクスパイが姿を見せた。

 手には2枚のカードが握られている。恐らくは先程のフォルクローのカードなのだろう。

 

「元来、従来のライダーシステムではメモリアルカードの能力を引き出すために、アシスタンスカードの存在が不可欠だった。

 だがこのP-2-Pシステムではアシスタンスカードの使用の手間とコストを80パーセント削減することに成功した。……良いだろ?」

 

 まるで自分の宝物を眼鏡の少年に紹介する某漫画のキャラクターのようだ。

 反応を見るに恐らく大丈夫だろう。

 

「ねぇ。どうしてお兄ちゃんは()()を作ったの……?」

 

 碧が問いを投げかける。

 

 うーん、とネクスパイが悩み込み始めた。

 暫し流れる沈黙。

 

「さぁ。何でだろうね? まぁ、いずれ教えるよ。超ナチュラルスーパー天才の俺の気持ちは誰にも解らないだろうから」

 

 かなり抽象的な答えのみが帰ってきた。

 具体的な答えを見出そうと碧は己で考えてみるが、形を捉えることすら出来ない。

 

 それ以上に、ネクスパイのナルシストな態度が若干腹立たしい。

 10年以上一緒にいた家族であるのだが、数年ぶりに会うとその態度に寛容では無くなってしまったみたいだ。

 

「どうする? もうこのままお帰りいただいても良いけど、折角だし手合わせしないかい?」

 

 ネクスパイの提案に少し考える碧。

 

「どうする?」

 

 碧が端末の画面を持って尋ねる。

 

『私が接触することの出来ない彼の戦力は未知数だ。視覚的な情報だけでは無く、実戦でデータを取る必要がある』

「……分かった」

 

 グアルダ、正確には間接的にネクスパイの提案を呑み込んだ碧は、トランスフォンにカードをかざした。

 

『ACT DRIVER』

 

 出現したドライバーに取り付けられているカードケースからカードを1枚取り出すと、そのカードにパーツが自動的に取り付けられる。

 それを端末に装填した。

 

『"ZI-O" LOADING』

 

 電源ボタンを押すと、後方に出現したゲートから巨大なティラノサウルスの化石が出現。

 咆哮を上げる中で碧はポーズをとった。

 

「変身!」

『Here we go!』

 

 トランスフォンをドライバーに挿し込むと、青色の身体へと変化した碧に鎧が装着されていく。

 

『To know, Take time, Get the watch! It’s RIDER TIME! KING ZI-O! I’ll be the best and best king.』

 

 変身をしたリベードは剣を取り出して兄のもとへと走って行った。

 

「ハァァァァッ!」

 

 縦横無尽に剣を振る。だが軽々と全ての攻撃が避けられてしまい、ダメージを与えられない。

 攻撃の中で逆手持ちに変更したリベードは胸部に突き刺そうと、勢いよく腕を振った。

 それすらもネクスパイは刃を左手で掴んで制御する。

 

成程(なるほど)。旧式()()()()()()()()()()のに使いこなしている。中々やるなぁ」

「素朴な疑問なんだけど、本気出してる?」

「……いや。まだ10パーセント程しか出していない」

 

「じゃあ、30パーセントくらいまで出してみてよ。そんな逃げるような戦術じゃ無くてさ」

 

 その言葉が何か彼の心に触れたようだ。

 

 剣を握る左手を大きく上に挙げると、右手で強烈な一撃を食らわせた。

 

「のわっ……!」

 

 少しばかり後退するリベード。

 

「お客様の要望に最大限応える。それが(いち)社会人としての常識だ」

 

 するとネクスパイはダイヤルを時計回りに回し、青色の面に合わせた。

 

『WEAPON』

 

 ダイヤルを押し込んだ。

 

『Summon mine!』

 

 ネクスパイの右手に一丁の銃が現れた。

 銃身が角の丸い長方形であるその銃は長方形オレンジ色と青色のコラージュのような柄であり、右側面にはカードを挿れるためのスロットがあって、やはりカードの全体像が見える設計となっている。グリップも同じような形状であり、何故か斜めに付いている。そしてグリップの先には黒い円形のスイッチが上手く同化している。

 

「これがP-2-Pシステム専用の武器、『インディペンデントショッカー』だ」

 

 取り出された武器──インディペンデントショッカー マグナムモードの紹介を済ませたネクスパイは、銃口をリベードの方に向けて引き金を引いた。

 2つある銃口から何発か放たれた銃弾が全て命中。リベードの鎧から火花が散る。

 

 さらにネクスパイは彼女に近づきながら、グリップを銃身と一直線になるような形態──スタンガンモードに変形させる。

 

 前に向かおうとするリベードの胸部に先程の銃口に当たる部分、つまりは今電極に当たっている2つの部分を押し当てる。

 そこから放たれる電撃によって、再度火花が散ったリベードは後ろに吹き飛ばされて倒れた。

 

「ギャッ……!」

 

 左の方を向いて再びマグナムモードに変形をさせるネクスパイ。

 インディペンデントショッカーを左手に持ち替えると、ネクスチェンジャーに挿し込まれているカードを取り出しスロットに装填した。

 

『Are you ready?』

 

 右手に戻した銃のグリップに付いたスイッチを押すと、次々と銃口たちに橙色のエネルギーが溜まっていく。

 

『OKAY. "NEX-SPY" DISPEL BULLET!』

 

 なんとか立ち上がったリベードが走って向かって来る。

 横から来るリベードの方には目線を合わせず、銃口を彼女に向けてすぐに引き金を引いた。

 

 銃口から放たれた2つの弾丸が一つに纏まり、エネルギー弾となってリベードを襲撃した。

 

「グァァァァッ!」

 

 爆発が起こった。

 炎と煙が収まったところで見えたのは、変身を解除された碧の姿だった。着ていた赤いコートが中央から黒く焦げており、顔には擦れて出来た傷から血が見えている。

 

 そしてその場に倒れ込んだ。

 

「これでもまだ30パーセントの力だ」

 

 ネクスパイが左の指をパチンと鳴らす。

 するとそれまで展開されていた暗い部屋は無くなり、元の木が沢山生えた駐車場に戻った。

 同時にネクスパイも変身を解除して八雲の姿に戻る。

 

「本来であれば、これを売るには数億でも足りないくらいの金額を要求するんだが、一応家族と言うことで出血大サービスだ」

 

 八雲はコートのポケットから何かを取り出して右手で中身を投げた。

 投げた物が倒れた碧の前に落ちる。

 それは黒いUSBメモリであった。貼ってあるラベルには「For You」と書かれている。

 

「君の掛かり付けの技術者たちでも設計がしやすいようにしたデータだ。自由に使ってくれ。それじゃあ」

 

 八雲が後ろを向いて足音を少しだけ立てて去って行く。

 だが碧は声をかけることは無く、静かに目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現時点で未確認物質解析班が把握している

新型未確認生命体の残り総数

通常98体

B群10体

不明1体

合計109体

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Q: What has he showed to her?

A: He has showed performance of new.

そう言えば、椎名夫妻とSOUPのメンバーの出会いを書いていなかったのですが、読んでみたいですか?

  • 本編で読みたい。
  • スピンオフ形式で読みたい。
  • どっちでも読んでみたい。
  • そんなに読みたくない。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。