仮面ライダーアクト   作:志村琴音

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第34話です。
事件が起こります。
宜しくお願いいたします。



【イメージOP】
Roselia - 閃光

【イメージサウンドトラック集】
https://open.spotify.com/playlist/23xA5ZAHZfdUR77F4JZ9lB?si=07c60fc3a3934b45&pt=97747cf874e1c0b08fb8e40c52da1ec2


EPISODE 12 幸せになりたい(I JUST WANT TO BE SATISFIED)
Question034 What happened in that office?


2022.01.10 18:00 東京都 新宿区 SOUP

 碧は頬に出来た傷口に、水を染み込ませたガーゼを当てていく。いたた、と声を少しばかり上げながら正方形状の絆創膏で傷口を隠した。

 

 その間、他のメンバーたちはかなり焦っていた。何せただの人間が変身したのだ。しかもライダーシステムの開発者であり、尚且つ失踪した碧の兄であるのだ。はっきり言って対応に困ってしまっている。全員がパソコンの画面にのめり込んで手を動かしていた。

 

「そもそも、『ただの人間でも使える』ってどう言うことなんですか? 僕みたいな人間だと使えない代物ってことですか?」

 

 深月が一旦手を止めて、特定の誰かにと言うわけでも無いが訊いた。

 

『それについては私が説明しよう』

 

 答えたのは碧の端末の中にいたグアルダだった。

 

『碧や春樹が使っているライダーシステムでは、変身の際に装着者の細胞を活性化させる物質が全身に流される。フォルクローには(なん)の問題も無いが、君のような人間にとってはかなり有害なものだ。

 もし人間が接種すれば、使用して10分足らずで死に至る。なので人間にライダーシステムを使用させることは出来ない筈だ』

 

「けれども新しいものだと私たちでも使うことが出来る、ってことですね? ひやー、恐ろしいですね〜」

 

 薫が補足をする。

 

「もしあれが世界中に出回ったら、世界中で軍事利用される可能性がある。相当危険な代物だ」

 

 森田が書類に目を通しながら深刻そうに言った。

 

 すると圭吾がキーボードを叩くのを止めた。

 

「解析が終わりました」

 

 前のモニターに何かの設計図が表示される。オレンジ色の画面に白い線で描かれたのは、ネクスチェンジャーと全く同じ形のものであった。

 

「途轍もなく良く出来ています。あんなに性能が凄いのに、造りが単純で生産がしやすい。信じられないですよ、全く……」

 

 圭吾も八雲と同じ一人の技術者だ。

 自分がこれまで作り上げてきた物の開発者が現れて、その男が新たに開発した新型が自分では考えられない程に高度であると言う事実が到底受け入れられない。

 

 モニターから設計図が消えて、元のSOUPのロゴマークだけになった。

 

 流れる若干の沈黙。

 

「あれ? 今碧さんが使っているものも常田八雲が開発した物なんですよね?」

 

 静寂をすぐに切り裂いたのは深月だ。

 

「碧さんはどうやってトランスフォンを受け取ったんですか?」

「私はお兄ちゃんからじゃなくて岩田室長から受け取ったの。春樹と一緒にね」

 

「じゃあ、その岩田室長はどうやって手に入れたんだ?」

 

 森田の質問に頭を抱えてしまう碧。

 自身はあくまで受け取っただけであったため、その仕入れ先に関しては考えたことも無かった。

 

 結局のところ、何も答えを出すことの出来ないまま、この日は終わった。

 

 

 

────────────

 

 

 

?????

「妹さんとは再会出来たんですか?」

「ああ。お陰様でな」

 

 椅子に座った八雲は振り返って笑みを浮かべる。それを見てアールも微笑んだ。

 再び前を向いた八雲は、再び目の前に置かれたパソコンを操作し始めた。

 

 画面に表示されているのは、正方形の何かだ。それが春樹たちの使っているドライバーの右側に装着されていく様子を描いたアニメーションもだ。

 

「良いなぁ。君も変身出来るようになるだなんて」

「ホントよねぇ。私たちも変身したいのに……」

 

 羨ましそうに言うフロワとピカロ。

 背中を見せてフッと鼻を鳴らした。

 

「そのうち、ね」

「しかしまぁ。君には助かっているよ。ライダーシステムを開発してくれたお陰で、()()()()の復活のための準備が着実に進んていっている。これほどまでに嬉しいことは無い」

 

 横から姿を見せたのは海斗だった。右手には先の戦いで壊された自身の銃が握られていて、未だに黒焦げたままだ。

 

「俺のやりたかったことがここでは出来る。そんな環境を作ってくれた、言わば恩返しだよ」

 

 パソコンを動かす手を止めることは無い。ましてや父親に目を向けることもだ。

 だが海斗はそんな息子の様子を見守りながら笑みを浮かべる。

 

 

 

 すると

 

「なぁ、もう俺ももう出て良いか?」

 

 向こうの方から低い男の声が聞こえてきた。

 後に暗い中から現れたのは赤色の怪人だった。目元と胸元には緑色の透明のパーツが着いていて、まるで蛇のようだ。

 

「出ているも何も、貴方は自分が勝手に始めた()()()の真っ最中でしょ?」

「気晴らしだよ、気晴らし。(いず)れ戦う相手の下見も兼ねて、な」

 

 フロワの言葉に怪人は言い返す。

 

「じゃあ、()()()は100パー成功するって言うことで良いんだね?」

「ああ。構わない」

 

 ピカロの質問にも動じない。

 邪険に思っているような態度を取る彼らからの言葉を、寧ろ楽しんでいるようにも見える。

 

「だったら俺も行こう。俺も一つ、やらなければならないことがあるんだ」

 

 

 

────────────

 

 

 

2022.01.11 11:08 東京都 品川区 平井ホールディングス本社 1階 フリーオフィススペース

 広い室内の中には、10人程の人が座る座席にプレゼン台、そして大きなスクリーンが設置されている。座っているのは言わずもがな、あまねと日菜太を含めた城南大学附属高等学校1年6組の生徒たちだ。

 

 彼らが熱心に見ているのは、プレゼン台の上で繰り広げられている平井勝司社長の熱弁だ。50代後半には見えない程に若々しい彼が台の上を横に歩き回りながら話すその姿は、まるで昔の偉大な実業家のプレゼンを生で見ているようだ。

 

 この会社が一軒の小さな不動産会社から始まったこと。

 事業が成功して、製薬や食品にも事業を展開。不動産ほどでは無いがそこそこ上手くいっていること。

 中でも製薬の方に関しては、6年前に娘のうちの一人が亡くなってから心血を注いでいること。

 

 包み隠さず熱弁を振るう彼だが、正直自慢話にしか聞こえない大人の話など高校生にとっては耳障りの悪いことに過ぎない。

 

「じーつーはー、製薬事業の方に関しては今後良い発表が出来ると思います。皆さん、楽しみにしておいてください」

 

 

 

 最初のプレゼンテーションが終わった後は、社内の探索と言うことになった。

 最初に訪れた場所はオフィスのエントランスだ。全体がガラス張りとなっていて、すごく開放的である。

 今日が晴れた日であるのであれば、爽やかな陽の光が入る筈なのだが、今日は生憎雨だ。外が暗いために台無しになってしまう。

 

 気怠そうに列になって辺りを見回す生徒たち。

 

 と、その時。そのうちの後ろの方にいた女子生徒が立ち止まった。

 

「ねぇ、あれ、何?」

 

 女子生徒が指を指す方を見る全員。

 指は外を指しており、そこにはマスクを着けた黒装束の集団が迫って来ていた。

 

 警備員たちが彼らを静止しようと傘を差しながら駆け寄り声をかける。

 

 だが、警備員たちは集団たちが持っていたコンバットナイフによって斬りつけられ、その場に倒れ込んでしまった。持っていたビニール傘も同時に落ちるが、雨の音によって人と傘が落ちる音はかき消されてしまう。

 

「早く逃げてっ!」

 

 繰り広げられることの衝撃とあまねの叫びによって、全員が悲鳴を上げながら逃げて行く。

 

 黒ずくめの集団──ソルダートたちは自動ドアのからオフィスの中へと侵入して来た。

 幸いにも全員が非常口から避難をすることが出来たが、あまねだけは受付のカウンターの裏に隠れて状況を見ていた。

 

 待機をしていた他の警備員たちが駆けつけて応戦するが、やはり人智を越えた存在だ。あっという間に容赦無く蹴散らされてしまう。

 

 その惨状を見ていたあまねの呼吸がどんどんと荒くなっていく。

 目の前で血が流れようが、人が死のうが、正直何も感じることは無かった。

 だが、今の彼女が感じているのは何かの圧力だ。零号が現れた時とは違う、また別の。

 

 覗き込んでいたあまねは身を下げて姿を隠し、この惨状が見えないようにする。

 それでもまだ、呼吸が緩やかになることは無かった。

 

 

 

 

 

 暫くして碧たちが着いた時、爽やかで近代的な白いオフィスの床は、血と死体で白が見えなくなってしまった。警備員たちが倒れ込む中を、ドライバーを装着しながら中に入ろうとする。

 

「やぁ、碧」

 

 横から声をかけられた。

 そこにいたのは八雲たち四人と、もう一体怪人がいた。

 

()()は?」

「俺の名はブラッドスターク。ちょっと暇になった怪人だ」

 

 ご丁寧に自己紹介をしてくれた怪人。

 

「暇ってことは、普段は忙しいってこと?」

「ああ。仕事が忙しくてな。今日は久々のオフだ」

 

 草臥れた声でスタークが言った後、八雲たちは変身するための準備を始めた。

 碧もカードを取り出して臨戦態勢に入ろうとする。

 

 すると

 

「なんだか面白そうだね」

 

 彼女の後ろからもう一つ声が聞こえた。

 声の方から現れた青年──クロトは碧の右横に立った。

 

「何しに来たんだ?」八雲が訊く。

「今ここで僕のお気に入りの玩具(おもちゃ)を壊されては困るから、僕が止めに来た、ってこと」

 

 クロトが余裕綽々な様子で受け答えをする。

 

「それに、正直言って僕は()のようなのが嫌いなんだよ」

 

 クロトが右腕を前に伸ばして指を指す。

 指した先は、八雲だった。

 

「天才は僕だけなのに……。君を倒せば、天才は僕一人になるんだ」

「五月蝿いなぁ。天才はこの世でただ一人、超ナチュラルスーパー天才のこの俺、常田八雲様だけだからな」

 

 なんて不毛な争いなのだろう。

 とても雨と血で濡れるこの場でやるような会話ではない。

 

「とりあえず貴方は今、私の味方ってことで良いんだよね?」

「うん。問題無いよ」

 

 もし信じなければ、自分は1対6と言うすごく不利な状況になってしまう。

 ここで手を組むのは、この状況では暗黙の了解に過ぎないと言うことだ。

 

『レモンエナジー!』

『ピーチエナジー!』

『チェリーエナジー!』

『"NEX-SPY" LOADING』

『デンジャラスゾンビ』

『"ZI-O" LOADING』

 

「「「「「「変身!」」」」」」

 

 そして各々が操作をし、それぞれの形態に姿を変えた。

 武器を取り出して標的たちを睨みつける。

 

「あの果物みたいなの被った奴らは僕に任せて」

「分かった」

 

 リベードとゲンムがその場限りではあるが阿吽の呼吸を出し始める。

 そんな彼らは、目の前に立ちはだかる目標に向けて走り出して行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Q: What have happened in that office?

A: Monsters have come there.




ブラッドスターク(BLOOD STALK)
(イメージCV:金尾哲夫)
生年月日:不明
出生地:不明
所属:不明
好きなもの:不明
嫌いなもの:不明



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【参考】
東京の過去の天気 2022年1月 - goo天気
https://weather.goo.ne.jp/past/662/20220100/
傷・化膿した傷の対策|くすりと健康の情報局
https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/health/symptom/25_kanou/index2.html
ブラッドスターク(ぶらっどすたーく)とは【ピクシブ百科事典】
https://dic.pixiv.net/a/%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%83%E3%83%89%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%82%AF
米津玄師 Kenshi Yonezu - KICK BACK - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=M2cckDmNLMI

そう言えば、椎名夫妻とSOUPのメンバーの出会いを書いていなかったのですが、読んでみたいですか?

  • 本編で読みたい。
  • スピンオフ形式で読みたい。
  • どっちでも読んでみたい。
  • そんなに読みたくない。
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