感想等書いていただけると、作者は踊り狂いながら喜びます。
【イメージOP】
PEOPLE1 - 銃の部品
【イメージサウンドトラック集】
https://open.spotify.com/playlist/23xA5ZAHZfdUR77F4JZ9lB?si=07c60fc3a3934b45&pt=97747cf874e1c0b08fb8e40c52da1ec2
Question001 Why am I transferred to this team?
子どものときに僕は、「正義のヒーロー」に会ったことがある。
三歳の頃、両親が得体の知れない何かに殺された。人間が手に負えないようなものに。
当時の僕には何が起こったのかよく解っていなかった。警察署のソファに座って、来るはずのない両親をずっと待っていた。
でも、いつになっても迎えは来なかった。
そんな時、一人の男の人に話しかけられた。
その人は僕の隣に座って僕と一緒に何分か話をしてくれた。
しばらくして男の人を誰かが呼んだ。
はい。と返事をして歩いていく。
「またね!」
僕はなぜかそう声をかけてしまった。
男の人は振り返らなかった。
ただ左手を上げてサムズアップをした。
今でもその後ろ姿は鮮明に覚えている。
哀しくも見えたその背中を。
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2021.10.02 15:37 東京都 落合警察署
「本日付けで、君は異動になる」
「…はい?」
警察学校を卒業後、落合署の警備部に配属されてから早五年。落合で行われるイベントの雑踏警備などで、その誘導経路や配備位置を幾つか考案した。交通の便が停滞しないことには自分が一枚噛んでいると、自分でも思っている。
と言うことは、
「もしかして、出世ですか?」
「多分な。ただどうしてお前がここに異動になるのか意味が全くもって分からないんだ」部長が首を傾げながら辞令を渡してくる。
「未確認物質解析班?」
「あれ、あるだろ。それの解析をやっているところらしい」
部長は窓の外は指差した。
上空では巨大なガラスの板が、地面から伸びる何十本もの柱によって支えられている。
もう当たり前のような光景になってしまったが、改めて見るとこんな歪なものがあるのかと呆気に取られる。
「詳しいことは向こうに行ってから訊いてくれ」
「……はい」
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2021.10.04 08:30 東京都 新宿区 四谷
深月の見つめる先には、
中に入ると、目の前にはエレベーターがあり、その横にはこのビルには釣り合っていない新しい自動販売機が置いてあった。
「えぇっと、どうするんだっけ?」
クリアファイルの中の書類を見ながら自動販売機の前に行く。一番上の段の飲み物のボタンを押し、そして電子マネーをかざす部分に自信のIDカードをかざした。
するとどうだろう。
「えぇっ!?」
突然自動販売機が真ん中からパックリと裂けたではないか。
正確に言えば、自動販売機の中に入っていた何かが、殻を破って姿を見せたのだ。
「これって、エレベーター?」
チーン、と音が鳴ってドアが開いた。
その中に恐る恐る入っていく深月。するとボタンを押さずとも自動的にドアが閉まり、下へと降っていった。
ドアが開くと、目の前に一人の男が立っていた。赤色のネクタイをしたスーツの中年男性だ。「Mitsuhiro MORITA」と書かれたIDカードの入った吊り下げ名札を首から下げている。
「反田深月くん、だね?」
「はい」
「初めまして。未確認物質解析班、班長の森田です。ようこそSOUPへ」
森田光広は細やかな笑顔を見せて、深月を誘導した。
そこはわずかな灯りでしか照らされていない、広い地下駐車場だった。歩く度に二人分の靴音が反射する。
「ここでは一年前に出現し、瞬く間に東京23区を覆い被した『ヒュージルーフ』の解析を行なっている。メンバーは後で紹介するが、物理学者に生物学者、考古学者、その他諸々の君を含めて計六人だ」
「あの、どうして僕がここに移動になったんですか? 警察の仕事はこの業務に関係はないですし、そもそも僕は理系でもない。僕がこの部署で出来ることは何も無いですよ」
「この部署にはもう一つ業務があるんだ。そこで君の力を使いたい。その業務については、彼らが説明してくれるはずだ」
そうこうしている内に二人は一つのドアの前に着いた。
焦茶色のドアに付いているドアのぶを下げ、ドアを押した。
その中には今いる通路よりも明るい照明で彩られた部屋があった。
白い部屋の中には二個ずつ二列に白い机が並べられており、奥には大きな机が一つ置かれていた。
左側の手前には丸眼鏡をかけた男が座っており、奥の席は空席になっている。
一方の右側の手前の席にはピンク色の髪の毛をした派手な格好の女、奥にはスカジャンを着たポニーテールの女が座っていた。
「まずは
「よろしくお願いします」
雨宮圭吾は立ち上がると深々とお辞儀をした。深夜アニメのキャラクターが描かれたTシャツがボサボサの頭に異様に似合っている。もし道を歩いていたら不審な目で見られてもおかしくはないどころか、違和感がなさすぎて何とも言われない可能性もある。
「次に
「よろしくね〜」
彼女の風貌を端的に説明すると、典型的なギャルとも言うべきだろうか。ワイシャツにスカート、カーディガンをラフに着こなした橘田薫は屈託のない笑顔をし、その顔の横に着いた耳には、幾つかピアスをしている。
「
「よろしく」
椎名碧は茶髪のポニーテールに触覚の着いた髪型。さらにジーパンの上では黒いワイシャツにピンク色のジャンパーを重ね着している。どう頑張っても国の組織に属しているようには見えない三人の中で、最もまともに見えるのが彼女だ。
「そしてもう一人いるんだが…」
「今日は来てないですね。昨日は夕方だけ来ていたんですけど…」と圭吾。
「どうせいつもの
「良いのよ。
「え、もう一人の職員って、椎名さんの旦那さんなんですか!?」
「そう。椎名
「まぁいい。とりあえず、反田くんはそこに座ってくれ」
森田に指さされた空席に腰掛ける深月。
そういえば、班長の言っていた「もう一つの業務」って何だろう……。
右隣にいた圭吾に声をかける。
「あのすみません」
「ん?」
「SOUPのヒュージルーフの解析以外の業務って何なんですか?」
「あぁ。それはその時になったら分かります。今はただ待てばいい」
「そうですか……」
「正直、人生でこんなにもスリリングなことは無いですよ。まぁ、一番大変なのは僕らよりも碧さんと春樹さんですけど」
深月は目の前に座る碧を見つめた。
碧は今、おにぎりを頬張りながらノートパソコンの画面と睨み合っている。
正直なことを言うと、深月は圭吾の言った言葉に対して半信半疑だった。「前より具材少なくなった?」と誰に聞かせるわけでもなく呟いている彼女が、どうして一番大変だと言われているのか、彼にはまだ分からなかった。
────────────
「
「何言ってるの? 私だってこうなることぐらい想定の範囲だった。別に怖くなんてない」
衣服がボロボロで傷だらけの二人の男女が向かい合って話し込んでいる。大量の書類で溢れたこの部屋とはどうも釣り合っていない。
「けど」
「それに!」
二人の視線は女の後ろに向けられた。後ろに置いてあったソファの上では、一人の少女が毛布に包まりながら眠っている。
「この
女は男の両手を柔らかく握り、その目を真っ直ぐと見つめた。
そこから先、言葉は聞こえず、ただ時計の針がチクタクとひとりでに音を鳴らした。
2021.10.02 11:29 東京都 中野区 トキワヒルズA 601号室
お馴染みの音が黒いスマートフォンから流れ始めた。
モゾモゾと布団から手を伸ばすと、スマートフォンを操作して音を止めた。けれども、彼の操作したものはスマートフォンに似た違う別の端末だった。確かに液晶画面はついているし、電源ボタンや音量ボタンもある。遠目から見れば10以降のiPhoneに見えてしまう。だが端末の上部には、何かを挿れるための細いスロットがある。
「11時……」
男はベッドから起き上がると、カーテンを開けた。ほとんど登り切ってしまった太陽がぎろりと睨みつけてくるような感触に襲われる。本来であれば二度寝、と言うよりほとんど昼寝に近い眠りにつこうとしていた。だが生憎にも、この日は10月にも関わらず30度以上を記録した真夏日だ。この後昼寝をするにはあまりにも不向きだ。
仕方なく起き上がると、歯を磨いてシャワーを浴びた。
着替えた男の服装は灰色の無地のTシャツに黒色の長ズボン、そして緑色のラインが入った黒いシェルジャケット。シェルジャケットは日によって着るか否かは変わるものの、それが暑い日に着るお決まりの服装だ。本当はスティーブ・ジョブズのようにこのセットを100セットは買いたいのだが、「そんなお金はウチにはありません!」と一蹴されたため、3セットをローテーションすることで話はまとまった。
ふと端末を見ると三件、LINEにメッセージが届いていた。
「今日、12時に授業終わるから、デートしない?」午前8:01
次に送られてきたのは有名な映画のLINEスタンプで、男性が「Shall We Dance?」と女性を手招きしている。そして最後には何かのURLが添付されていた。
またか。
ハァと溜息を
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2021.10.02 12:45 東京都 新宿区 SOUP
「それにしても、こんなにやること多いんですね」
深月は目の前のお菓子を見つめながら言った。食堂で昼食をとった後、碧からはショートブレッドというスコットランドの焼き菓子を、圭吾からはアニメのキャラクターが描かれたチョコレートバーを、そして薫からは透明な袋に包まれたカラフルな綿飴を渡された。正直全部を一気に食べられるわけではないので、どれから食べようか迷った結果、圭吾から貰ったチョコレートバーを口にした。
「そりゃそうよ。あの10000メートルの屋根は、材質、建築方法共に一切不明。それをいち早く解析しないと、対象区域に住む約1000万人にどんな被害が出るのか分からない」
パソコンのキーボードをとんでもないスピードで打ち込んでいく碧。
「それに一週間に一度報告書をまとめなきゃいけない。さらに数ヶ国語に翻訳しないといけないから、相当な労力がかかるなり」
圭吾はパンダのぬいぐるみを抱えながら、手で宙に何かを書いていく。
「そもそも碧さんと薫さんはどうしてこの部署に?」
「私と碧さんは君がさっき言っていた
「そんなこと言っているけど、ほとんど僕が解析やっているからね。君はヒュージルーフに関しては、マジで何にもやってないからね」
圭吾は思わず何とも言えない笑みを浮かべた。そのまま机上のお菓子に手を伸ばす。
「そんなことないですよね! 私の仕事があってこそ、このチームは成り立ってるんです! あと貴方は、まるで報告書の翻訳を自分を含めた全員が担っている風の言い方をしていたけど、全部やっているのは碧さんですからねっ!」
薫が立ち上がって抗議する。
「はいはいはいはい。いいから速く、定期報告書仕上げましょ。終わったら焼肉奢るから。班長のポケットマネーで」
「やめてくれ。下手をしたら倫理規定違反だ。というかバッチリアウトだ。もし食べに行くなら絶対に割り勘だ」
手を叩いて4回叩き、二人を宥める碧。奥の席から冷静にツッコミを入れる森田。
これが彼らの日常なのか。深月は何とも言えない気持ちになった。
落合署にいたとき、心が休まる時間はなかった。
だがここにいる者たちは皆、気の抜けたような態度をとっている。そのコントラストに眩暈がしそうだ。
その時だった。
森田のデスクの上に置かれている白い固定電話が鳴いた。受話器をとる森田。
「はい、未確認物質解析班」
受話器を置いた。
「中央区内で『赤いカーテン』が出現し、
「よーし」
伸びをする薫。
「いきますか……!」
手元のぬいぐるみに話しかける圭吾。
「いっちょやってやりますか!」
手を2回叩く碧。
「え?」
何のことか分からず戸惑う深月。
急いで部屋を出る四人。深月もそれを追うように飛び出した。
すると、四人は部屋の扉の前で立ち止まると、全員円陣を組んで手を重ねた。
何だかよく分からないが、どうやら仕事前の景気付けをするらしい。
深月は気合いを入れて声を出そうとした。
だが、
「「「「うぇーい」」」」
四人が出した掛け声は、とても景気付けとは思えないほど、弱いものだった。
再び困惑する深月を含めた彼らは停められている、パトランプの付いた黒いバン──遊撃車Ⅲ種に乗り込んだ。
碧以外は。
碧はその横で一つの黒い端末──トランスフォンを取り出した。それはホームボタンの無いタイプのiPhoneに似ているが、上部にスロットが取り付けられている。
そして一枚のカードを取り出した。そのカードには青と緑のまだら模様のスーパースポーツタイプのオンロードバイクが描かれており、下部には「ACT CHASER」と印字されている。
そのカードをトランスフォンの裏側の上部にかざした。
『ACT CHASER』
男性の声に似た音声が流れると碧の目の前に
「ACT CHASER
BORROWER IS AOI SHIINA」と書かれたゲートが出現。そこからカードに描かれたのと同じオンロードバイク──アクトチェイサーが現れた。
碧はそれに跨ると、右ハンドルにある赤いスペースに自身の右親指で触れた。
『This ACT CHASER can only be used by Aoi Shiina for twenty hours from now.』
ハンドルの上に置かれた黒いヘルメットを被ると、碧はバンと一緒に出発した。
2021.10.02 13:06 東京都 中央区
お昼時のオフィス街は、昼食をとりに行く会社員たちで賑わう。
本来であれば、の話ではあるが。
そこにSOUPのバンと碧の乗ったバイクが到着した。圭吾と薫は
黒い箱の正体、それは「TOUGHBOOK」という名のパソコンだ。耐久性に優れ、尚且つ軽くて持ち運びやすいのが特徴で、よく自衛隊が重宝している。
森田は遊撃車から出ると、機動隊員の一人に一枚の書類を手渡した。どうやらその隊員は現場の責任者らしい。
「未確認物質解析班、班長の森田です。現時刻より我々の指示に従っていただきます」
「了解した」
森田が車内に帰って来たのが、
「さぁて、あと3分ね」薫が背伸びをしながら言った。
「碧さん、今行けますか?」
「大丈夫。グアルダ!」
圭吾の問いかけの後、碧は何かの名前を呼んだ。
すると碧のトランスフォンによく分からないものが現れた。
一見するとまるでゆるキャラのような風貌だ。白い猫のようで右耳は緑色で左耳は青色。首からパスケースをぶら下げ、額には「猫封」と書かれた赤いお札が貼られている。
『事情は理解している。だが、
「大丈夫。何とかなると思う」
『了解した。では現時刻より、『ライダーシステム』の使用を許可する』
見た目とは想像出来ないバリトンボイスを発したキャラクターの言葉と同時に碧は車内から飛び出した。
「え、ちょっとどこへ!?」驚く深月。
「さぁ、ここからが君の出番だ」
森田は深月の肩にそっと手を置いた。何が起こっているのか解らない深月は、ひとまず目の前のパソコンの画面に集中することにした。
碧は銃を構えている隊員たちの前に立った。銃などという物騒なものを持ったものたちを背に立っているのだ。それ相応の理由がある。
その理由が、静寂を掻き分けて現れる瞬間がやってきた。
突然上空にまるでブラックホールのような黒い穴が出現した。
そこから一体の魔物が現れた。青色の肌の上にゴツゴツとした黒い鎧を纏っていて、その右手には刃先の鋭い剣が、左手には盾が握られている。頭部はダビデ王の顔が歪んだように見える。そして腹部には「BLADE」と印字されたバックルが装着されていた。
「な、何ですか、あれ!?」
「『フォルクロー』だ」
「フォルクロー?」
「詳しくは後で説明する。今は業務に集中してくれ」
「教えてください! 僕はここで何をすればいいんですか」
森田はただパソコンの画面を指差すだけだ。何が何だか解らない深月には、ただただ画面に映し出されている光景を見ることしか出来なかった。
碧は一枚のカードを取り出した。白い円の中に「KAMEN RIDER REVE-ED」とポップな青い文字で書かれており、「AOI SHIINA」と下部に白く印字されている。
それをトランスフォンの裏にかざした。
『ACT DRIVER』
すると腹部に黒いドライバーが出現した。右側には青い戦士が描かれたパーツがあり、左側には何もない。帯の右側には上下に二つのスロットがあるカードケースが設置されていた。
カードケースの上側のスロットから、カードを取り出す碧。ドライバーのパーツに描かれたのと同じ戦士の絵があり、下には「KAMEN RIDER REVE-ED」と書かれている。
そのカードを裏返し端末に挿し込んだ。
『"REVE-ED" LOADING』
右手に握ってある端末の電源ボタンを押した。
警戒な音楽と共に、碧の上にゲートが出現した。
「2021
REVE-ED」と書かれたゲートが開くと、そこから銀色の鎧が姿を見せた。
それと同時に、碧は端末を持った右腕をゆっくりと上げた。それをすぐさま下ろすと、両腕を大きく広げ、右腕を左肩の前まで持っていった。
そして叫んだ。自身の役目を全うするための、たった四文字、されど四文字を。
「変身!」
トランスフォンをドライバーの左側に装填した。
『Here we go!』
すると碧の身体が突然変異。青色の戦士に姿が変えた。そして宙に浮いている鎧が両腕両脚、胸部に装着。そして仮面が顔面に付けられた。
青い身体に白いライン。縦に長い菱形の青い目。真っ直ぐに伸びた鋭い銀色の二本の角。
その姿はまるで、
「……四号……!」
深月は思わず呟いてしまった。
『I'm KAMEN RIDER REVE-ED!』
仮面ライダーリベード。
八年越しにこの世に誕生した、戦士の一人が見参した。
今作のキャラクターたちの日常を描いたスピンオフがあったら、読みたいですか?
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読みたい。
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そうでもない。