仮面ライダーアクト   作:志村琴音

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第37話です。
二日連続投稿です。
millennium parade × 椎名林檎の「W●RK」があまりにも格好良くて一日中聴いていました。
感想等頂けますと、大変嬉しく思います。
宜しくお願いいたします。



【イメージOP】
Roselia - 閃光

【イメージサウンドトラック集】
https://open.spotify.com/playlist/23xA5ZAHZfdUR77F4JZ9lB?si=07c60fc3a3934b45&pt=97747cf874e1c0b08fb8e40c52da1ec2


EPISODE 13 恥ずかしくってしょうがねぇ(I AM SO EMBARRASSED)
Question037 Why did he stay with them?


?????

「残りのフォルクローの数は、幾つになった?」

「もう、70とかそのくらいじゃないでしょうか?」

「……そうかい」

 

 海斗が椅子に座りながらアールに訊く。

 

 海斗の手に握られているのは、嘗て海斗が使っていたディエンドライバーと同じ形状をした武器だ。だがその色は白く、塗装も何もされていない。

 

「もうそろそろ一気に片付けたいな」

「えぇ。そのために、我々には2つの策があります。上手くいけば3つになるかもしれませんが」

 

 アールが満面の笑みで言う。

 目線をそちらに向けることは無く、同じように微笑みで返した。

 

 すると海斗は、着ている白衣の内ポケットから1枚の写真を取り出した。

 その中に写っているのは、左側の白衣を着た今よりも若い海斗と、右側の碧に姿が似ている女性で、右下には「89.01.21」とオレンジ色で書かれている。

 

 じっとその写真を見つめながら深く息を吸って、ふと独り呟いた。

 

 

 

 

 

「もうすぐ会えるな、夏美」

 

 

 

────────────

 

 

 

2022.01.12 16:07 東京都 新宿区 SOUP

「潜入捜査ー!?」

「ああ。八雲君にはその役割を担ってもらった」

 

 岩田室長から、事の顛末について話したいと言われて待機をしていた全員に向けて、本人の口から出た言葉だ。

 

 狭い室内の壁面沿いにて、八雲は隅にある机に前から身を預け、リョーマとヨーコは立ちながら読書に勤しみ、シドは白いハンカチで自らのロックシードの手入れをしている。

 

「つまり、彼はフォルクロー側の動向を探るために潜り込ませた、と言うことですか?」

 

 森田の質問に対して、岩田は首を縦に小さく振るった。

 

 あっち側の状況なんて、スパイを送り込むなり何なりしないと分からないぞ。

 

 嘗て己が言った推論は事実だったと言うわけだ。

 

「そう。俺は逐一状況を春樹(碧の婿殿)に送っていたと言うわけさ」

 

 八雲は上半身を起こして、碧の方を見ながら発言をする。

 腕を大きく広げて言うその姿には、余裕という言葉が一番良く似合う。

 

「まさか! 岩田室長に私たちのトランスフォンとカードを送ったのって……」

 

 リョーマたち三人が八雲(自分たちのボス)を指指す。

 その方向にいる八雲の顔は、ドヤ顔だった。

 

「じゃあ、米国が開発したカードの情報を横流しにしたのって」

「いや。それは俺じゃない」

 

 薫の言葉を否定する八雲。

 

「それは別のどっかの誰かだろ。俺は開発に参加しただけで、運搬のことに関しては何も知らなかった」

 

「そう言えば、クロトは私たちが何をやっているか全く知らなかったわね」

 

 八雲の発言で、碧はクロトの何気ない一言を思い出した。

 

 

 

 なんか面白そうなことを今日するんでしょ?

 

 

 

 もし知っているのであれば、このような発言はしない筈。

 カードのことについて言及をする筈だ。

 だがそれをしなかったと言うことは、何も知らなかったと言うことになる。

 

「じゃあ、この中にスパイはいなかった、ってことですか?」

「そう、なりますね」

 

 どうやら薫があそこまで感情を露わにした必要は無かったらしい。

 

 SOUPのメンバー全員がふと圭吾の方を見る。

 圭吾は何も言わず、何もせずにじっと下を向いている。

 いつもと違う彼の様子に、全員が引っ掛かったが特に何も訊くことは無かった。

 

 すると

 

「ところで、君たちは今後どうやって生活するつもりだ?」

 

 森田が八雲たちに訊いた。

 だがそこまでは考えていなかったのだろう。八雲が碧の方を向いてじっと見つめる。続いてリョーマたちも碧を見た。

 

「言っておくけど、私ん()は2LDKだから、もう貴方が入り込む余地は無いけど」

「「「「え……」」」」

「それとも何? 家賃肩代わりしてくれるなら、玄関で寝ても良いけど」

 

 碧の容赦無い攻撃に怯む八雲たち。

 そんな彼らに岩田が助け舟を出した。

 

「安心しろ。彼らの生活拠点はもうすでに我々が確保している」

 

 四人はホッと胸を撫で下ろした。

 

 

 

────────────

 

 

 

2022.01.12 17:46 東京都 中野区 トキワヒルズA 601号室

 あまねちゃんのせいじゃないよ。

 あまねちゃんのせいじゃない。

 

 その言葉が何度も頭の中を回っていく。

 

 けれども、彼女が自分を責めることは止められない。

 止めてはいけないのだ。

 

 それが、自分に対する戒めなのだから。

 

 すると突然、ビー、と大きな音が鳴った。

 何処から声がするのかと音のした方を探していると、音源が見つかった。

 

 音源は、あまねのバッグに付いたキーホルダーだった。誕生日に日菜太から貰った「A」の形をした赤いプラスチック製の物だ。

 だが今までと違うのは、側面の部分が同じ濃さの赤色に光って点滅している。

 

「え? 何これ……?」

 

 その場から離れて、あまねはリビングにある棚の中から、キーホルダーに付いてきた取扱説明書を広げて読み始めた。

 

 

 

 当製品はバッテリーが切れかけると、ブザー音と共に赤く点滅します。

 タイプCのケーブルで充電してください。

 

 

 

 良く見てみると、このキーホルダーは押し込むと音が出る、言わば防犯ブザーのような役割も担っているようだ。

 帰りが時折遅くなるあまねに対する、日菜太なりの思いやりなのだろう。

 だが今まで説明書を注意深く読んでこなかったあまねは、その思いやりに気づくのが貰ってから数ヶ月経ってからとなってしまった。

 

 急いで充電口にケーブルを挿し込んで、充電を始める。

 そうすると、点滅は収まってただ赤く光るだけになった。

 

 それを見ながらハァと溜息を吐くあまね。

 ただ赤い光を見つめて、それ以上動くことは無かった。

 

 

 

 

 

「ねぇ」

「? 何だい碧」

 

「支給された物件が何でここなの!?」

 

 碧の叫び声がマンションの廊下にこだまする。

 そんな彼女に八雲は笑みを浮かべる。

 

 そう。

 八雲たちが入居するのは、碧たちが住んでいるトキワヒルズAだった。

 しかも、彼女が住んでいる601号室の隣の602号室に、だ。

 

「折角だしお前の家で今日ご飯食わせてくれよ」

「は?」

「良いだろ別に、な?」

 

 呆れた様子で溜息を吐く碧。

 久々に会った家族の面倒臭さに、参っているのだ。

 

 

 

 結局。

 

「こっちにももっと肉をくれたまえ! これ以上白菜ばかり食べるのは嫌なんだ!」

五月蝿(うるさ)いわね! もっとボスと妹さんに肉を献上しなさい!」

「俺は遠慮無く渡すぜ! 何せ、俺はベジタリアンだからな!」

「だとしたらお前、これ、鶏鍋だぞ」

 

 五月蝿い四人衆と共に食卓を囲むことになってしまった。

 6人で囲む食卓はかなり狭く、足と足とがくっつきそうになってしまう。

 

 そんな中で彼らは鶏鍋を囲んでいた。

 黄土色の鍋の中に入った白いスープの中からは湯気が立ち込め、そこから次々と具が持っていかれる。

 

 白く変色した鶏肉がお玉を通して碧と八雲の取り皿の中へと入っていく。

 だが野菜が一向に入っていかないため、鍋の中には人参やエノキ等の野菜だけが残っていった。

 

「みんなちょっと静かにして! 近所迷惑になるでしょ!」

 

 その中であまねだけが一言も喋らずに黙々と口の中に食べ物を入れていく。

 彼女に八雲が笑顔で話しかけた。

 

「君が碧と婿殿の娘か。挨拶が遅れて申し訳ない」

「……どうも」

 

 素っ気無い態度を取るあまね。

 

 すると今度は碧が八雲に話しかけた。

 

「一つ訊きたいんだけど」

「?」

 

「グアルダを作ったのって誰なの? 『彼女』って言っていたけど」

 

 八雲が箸を持っていた手を止めた。

 そして話し始める。

 

「彼女は天才だよ。この世で天才は俺だけだと思っていたけど、彼女は俺と同等の天才だよ」

「ふぅん」

「ただ、グアルダを旧式のライダーシステムに搭載した判断は、ハズレだと思いたいけどね」

 

 左手で取り皿を持って中に僅かに入ったスープを飲む。

 鶏の旨みと野菜のだしが混在する液体が喉を伝っていくのを確かめると、八雲は取り皿を置いてもの寂しげな顔で取り皿の中を見つめた。

 

 

 

────────────

 

 

 

2022.01.14 11:02 東京都 杉並区

 都道427号線のT字路にて、スタークがソルダートたちと2体の怪物を引き連れていた。

 

 1体目は立方体の身体をした金色の生命体で、宙空に浮かび上がっている。

 2体目はライオンのような顔をした二足歩行の金色の生物で、右肩には鷲、左肩には海豚、そして胸には牛を模した彫刻が飾られている。

 

 幸いにも赤いカーテンが降りてからフォルクローが出現するまでに1時間程かかったため、現在はパトカーが道路を塞いで交通規制を行い、目の前には八雲たちが立ち塞がっていた。

 

「よう。裏切り者」

 

 スタークが皮肉を込めた挨拶をする。

 

「五月蝿いなぁ。別に良いだろ。何度も言うけど、俺は一切協力していないんだからっ!」

 

 八雲はネクスチェンジャーを取り出してカードを挿し込んだ。

 

『"NEX-SPY" LOADING』

「変身!」

 

 ネクスパイへと変身を遂げた八雲。

 

「さて、SOUP(お前たち)の持っているカードを使わせてもらおうか」

 

 ネクスパイはカードケースのスロットからカードを取り出そうと手をかけた。

 

 だが、一向にカードが出てくる様子が無い。

 

「? あれ?」

 

 何度か叩いて状況を打破しようとするが、何も変わることは無い。

 

「おい! これどうなってるんだよ!?」

 

 

 

「どう言うことだ!?」

 

 遊撃車の中で森田が動揺した。

 口には出さないが、他のメンバーたちもそうだ。

 

 すると

 

「無駄ですよ。()()()()()()()()()

 

 突然のカミングアウトに全員が一斉に圭吾の方を向いた。

 

 発言者は向き合うことは無く、じっとパソコンの画面を見つめている。

 画面に映っているのは、カードを取り出せずに戸惑っているネクスパイの姿だ。

 

 その姿を見つめながら、圭吾はギュッと拳を握りしめた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Q: Why did he stay with them?

A: Because he was a spy who snoops about them.




【参考】
東京の過去の天気 2022年1月 - goo天気
https://weather.goo.ne.jp/past/662/20220100/
色の名前と色見本・カラーコード|色彩図鑑(日本の色と世界の色一覧)
https://www.i-iro.com/dic/
IKAROS - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/IKAROS
ビーストキマイラ|仮面ライダー図鑑|東映
https://www.kamen-rider-official.com/zukan/phantoms/1410

そう言えば、椎名夫妻とSOUPのメンバーの出会いを書いていなかったのですが、読んでみたいですか?

  • 本編で読みたい。
  • スピンオフ形式で読みたい。
  • どっちでも読んでみたい。
  • そんなに読みたくない。
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