仮面ライダーアクト   作:志村琴音

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第44話です。
もう何回連続で投稿しているんだ俺は……。
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【イメージサウンドトラック集】
https://open.spotify.com/playlist/23xA5ZAHZfdUR77F4JZ9lB?si=07c60fc3a3934b45&pt=97747cf874e1c0b08fb8e40c52da1ec2


Question044 What has she learned to form?

2022.02.04 20:01 東京都 北区

 デュークとエボルはゆっくりとしていた足を急激に進めた。

 肉眼では捉えられない程の速さで動く二人。

 

 デュークはソニックアローから矢を放ったり刃で斬りつけたりする。

 一方のエボルは動きながら華麗な足技を繰り出して攻撃を仕掛ける。

 

 エボルが右のパンチを繰り出そうとすると、デュークはそれを軽々と左手で受け止めて、右手の武器で斬りつけようとする。

 だが彼女も身体を後ろに反らすことによって避け、左足で腹部を蹴った。

 蹴られて後退する寸前に、今度はデュークが弓から矢を飛ばして攻撃した。

 

 互いに一歩も譲らない。まさに互角だ。

 

 一旦足を止める二人。

 

「まさかな。能力が60パーセントまで伸びた俺に着いてこれるとは。中々良い物を作ったな」

 

 エボルが笑みを浮かべて言う。

 ファイティングポーズは崩さず、デュークも武器を離さない。

 

 するとデュークはソニックアローのスロットに、ドライバーのロックシードを装填した。

 

『ロックオン!』

 

 同時にエボルは再び高速で移動を開始。デュークの方に向かってパンチを繰り出そうとした。

 

『ドラゴンフルーツエナジー!』

 

 だがデュークは近づいてきた標的の肩から斜めに斬りつけた。

 さらに怯んだ彼女の胸部に弓を押し付けて引くと、矢を放った。

 

 派手に散る火花。

 散った瞬間にデュークは再びロックシードをドライバーに着け、レバーを2回押し込んだ。

 

『ドラゴンエナジースパーキング!』

 

 跳び上がると赤いエネルギーが炎のように纏われていく。

 そしてそのエネルギーが右足に溜まると、右足を彼女に思いっきり当てた。

 

「セイハァァァッ!」

 

 後ろに飛ばされるエボル。

 飛ばされた先では爆発が起こり、彼女の姿が見えなくなる。

 

 あれだけの威力の攻撃だったのだ。ひとたまりも無いだろう。

 

 荒い呼吸音だけが響く室内で、デュークはホッと息を吐いて仮面の下で笑みを浮かべた。

 

 これでようやく、仇が取れた──。

 

 

 

 筈だった。

 

「中々やるじゃねぇか。ただ、まだまだだな」

 

 平然と立っているエボル。ただ少しばかり効いていたのか、首や手首に足首をぐるぐると回す。

 

「そんな……」

 

 これだけやっても全く効果が無い。

 その事実はデュークを落胆させるには充分だった。

 

「さて、反撃開始だ」

 

 エボルはそんな彼にゆっくりと歩み寄りながら、ドライバーのレバーを回し始めた。

 

『Ready go!』

 

 

 

 

 

 同じ頃、2台のオートバイが廃工場の方へと走っていた。

 乗っているのは当然、碧と八雲だ。アクセルを回して徐々に速度を上げていく。

 

 とその時、バリンと言う大きな音と共に、遠くの方で何かが上がっていた。

 良くは見えないは、恐らくは人の形をしている。

 

 まさか──。

 

 それが落ちていくのを確認した瞬間、二人の間に嫌な予感がした。

 

 落ちていったと思われる建物の前でオートバイを停め、急いで中に入って行く碧と八雲。

 

 そこにいたのは、赤いマントを着けた戦士──デュークだった。

 うつ伏せで倒れた彼の変身がすぐに解除されてしまう。

 

「リョーマっ!」

 

 八雲が叫んで彼の(もと)へと駆け寄ろうとした瞬間、彼の身体は黄色い粒子へと変化。何処かへ行ってしまう。

 

 粒子の飛んでいった先にいたのは、エボルだった。

 彼らが見たことの無い形態に変身をした彼女が、アイテムの中に粒子を閉じ込めていっている。

 

 そんな中で、八雲は何故か脚を動かすことが出来ない。

 目の前で失ったものがあると言うのに。

 

 前を見ると、奪った者は仮面の下でニヤリと笑い、余韻に浸っていた。

 

「……お前っ!」

 

 ようやく脚が動いた。

 

 八雲はネクスパイに変身しながらエボルの方へと走り、攻撃を仕掛けようとする。

 だがエボルはそれを軽々と避け、逆に右脚で蹴り飛ばした。

 

「ッ!」

「お兄ちゃん!」

 

 碧の方へと吹き飛ばされたネクスパイだが、すぐに立ち上がり再び臨戦態勢に入った。

 

「折角の機会だ。お前たちに見せてやろう。新しい力を」

 

 そう言うとエボルは突然変身を解除し、元の江戸川ミソラの姿に戻った。

 

 するとミソラの右手に握られていたアイテムが突如として発光。全体が白と黒の2色で統一されたエボルトリガーへと変化する。

 その上にある赤いボタンを親指でそっと押した。

 

『オーバーザエボリューション!』

 

 エボルトリガーをエボルドライバーの上部の左側に挿し込む。

 そして2本のボトルをドライバーのスロットに挿し込んだ。

 

『コブラ! ライダーシステム! レボシューション!』

 

 レバーを回すと3つの銀色の円が彼女の周りで複雑に絡み合い、上中下に分かれて配置される。

 さらにその周辺に黒い立方体たちが紫色の稲妻と共に周回を始めた。

 

『Are you ready?』

 

 いつものように両手をクロスして言った。

 

「変身!」

 

 両腕を広げた瞬間、立方体がミソラの周りを取り囲むようにして一つの箱と化し、突然姿を消した。

 

 何が起こったのか分からず困惑する碧とネクスパイ。

 

 だがすぐに何も無い空間から姿を見せた。

 その姿はフェーズ1の時と大差は無いが、色は新しいアイテムと同じ白と黒で統一されている。

 

『ブラックホール! ブラックホール! ブラックホール! レボリューション! フッハハハハハハハハハハ!』

「フェーズ4、完了」

 

 新たなる形態の名前はブラックホールフォーム。

 所謂、完全態である。

 

 その姿を見た時、嫌な予感と言うのはこれの前兆だったのかと気が付いた。

 だが止まっているわけにはいかない。

 碧も変身を遂げると、二人は立ち向かって行った。

 

 するとエボルは二人の方に右手を向けると、人を追い返す時に使うジェスチャーをした。

 次の瞬間、リベードとネクスパイの前で爆発が起こり、二人は足止めされてしまう。

 

「「!?」」

 

 異常な火力に怯む二人。

 

 火が止んで前が見通せるようになったのと同時に、二人はカードを取り出した。

 

 リベードが取り出したカードには、仮果(かか)*1の中から核果がちらりと見えた様子が描かれており、下部には「No.106 WALNUT KNUCKLE」と書かれている。

 ネクスパイのカードには、信号が青になった歩道を骸骨が歩いている様子が、ザ・ビートルズの「アビイ・ロード」のジャケットのように描かれており、「No.123 LEARNING CHASER」と白く印字されている。

 

 そのカードをネクスチェンジャーのスロットに挿し込んだ。

 

『"KNUCKLE" LOADING』

『"CHASER" LOADING』

 

 ダイヤルを操作すると、二人にそれぞれ武器が支給された。

 リベードの両手には巨大な手甲──クルミボンバーが装着され、ネクスパイの右手には信号機のようなオブジェが付けられた斧──シンゴウアックスが握られる。

 

 リベードは手甲を着けた両手で強烈なパンチを食らわせようとする。

 だがエボルは軽々と両手で受け止め、外側へとゆっくり広げていく。

 そして瞬時に離して左手の掌を腹部に押し込んだ。

 

「アァァッ!」

 

 腹部に衝撃が走り、後ろに吹き飛ばされて倒れ込み、変身が解除されてしまう。

 

「碧!」

 

 うつ伏せで倒れた碧は両腕と両脚を使って立ち上がろうとするが、力が入らず上手くいかない。

 

 今度はネクスパイが斧を振るって攻撃をしようとする。

 縦に横に振るが、エボルは余裕に避けられてしまう。

 

「お前だけは! お前だけは! 絶対許さねぇ! 俺の大事なものを奪ったお前だけはっ!」

 

 ようやく斧の刃が彼女に当たりそうな距離になった。

 そこで一気に上から下に振り下ろした。

 

 するとエボルは左手で刃を掴んで、これ以上の攻撃が出来ないようにしてしまった。

 

「だから何だよ。俺のゲームを邪魔したお前も同罪だろ? 俺の最大の娯楽を奪ったお前を、俺は許さねぇからなっ!」

 

 そして右足で思い切り蹴り飛ばした。

 

「グァァァッ!」

 

 変身を解除された八雲は碧のそばまで飛ばされて、仰向けで倒れ込んだ。

 

「これで、終わりだ」

 

 そう言うとエボルはドライバーのレバーをゆっくりと回した。

 

『Ready go!』

 

 そうして上の方に両手を挙げた。

 

『ブラックホールフィニッシュ! チャオ!』

 

 すると寂れた屋根が突如としてガタガタと揺れ始めた。

 何だ何だと倒れたまま見上げる二人。

 

 次に見えた光景は、屋根が粉々に破壊され、宙空にある大きな黒い穴の中に吸い込まれていく様だった。

 

「ブラック、ホール……!?」

 

 碧が呟いたその名称が、その黒い穴を例えるのに最も適していることは当然であった。

 

 屋根が破壊されたことによって、工場の中にあった様々な工具や毛布等が穴の中に凄まじい勢いで吸い込まれていってしまう。

 

 まさか、自分たちも──。

 

 残念ながら、それは杞憂ではなさそうだ。

 もはや何も考えることも出来ず、ただ呆然と上の方を向いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Q: What has she learned to form?

A: Black Hole.

*1
実を守るためにつけられている固い殻のこと。




【参考】
「仮面ライダービルド」第38話『マッドな世界』
(脚本:武藤将吾, 監督:田崎竜太, 2018年6月3日放送)
ロックシード音声まとめ - 仮面ライダー鎧武/ガイム ロックシードコンプリート @wiki - atwiki(アットウィキ)
https://w.atwiki.jp/gaimu/pages/49.html
DXエボルトリガー|仮面ライダーおもちゃウェブ|バンダイ公式サイト
https://toy.bandai.co.jp/series/rider/item/detail/5633/
https://toy.bandai.co.jp/assets/products/rider/documents/4549660236139000.pdf
クルミ - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%e3%82%af%e3%83%ab%e3%83%9f
仮面ライダー鎧武 / ガイム - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%e4%bb%ae%e9%9d%a2%e3%83%a9%e3%82%a4%e3%83%80%e3%83%bc%e9%8e%a7%e6%ad%a6/%e3%82%ac%e3%82%a4%e3%83%a0

そう言えば、椎名夫妻とSOUPのメンバーの出会いを書いていなかったのですが、読んでみたいですか?

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  • どっちでも読んでみたい。
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