仮面ライダーアクト   作:志村琴音

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第46話です。
どうして名言っぽいことを書こうとしても、薄っぺらくなってしまうのか。
きっと人間として薄いんだろうな、自分が。
感想や読了報告等くださると、筆者の励みになりますので宜しくお願いいたします。



【イメージOP】
Roselia - 閃光

【イメージサウンドトラック集】
https://open.spotify.com/playlist/23xA5ZAHZfdUR77F4JZ9lB?si=07c60fc3a3934b45&pt=97747cf874e1c0b08fb8e40c52da1ec2


EPISODE 16 幕引き(THIS SHOW ENDS)
Question046 How did she surprise to them?


2022.02.06 15:02 東京都 新宿区 焼肉専門店 ぎゅう

 16時開店をするこの店では、新井夫妻と日菜太が店内を掃除していた。不二雄は厨房のまな板を、靖子はテーブルやカウンターを布巾で拭いている。

 日菜太はモップで床を掃くが、二人とは違って業務には集中出来ていない様子だ。

 

 ふとロゴの描かれた店の赤いエプロンのポケットから、自身のスマートフォンを取り出した。電源ボタンを押してロックを解除すると、LINEを開いて届いたメッセージを見た。

 

「今日開店前に来てもいい?」午前11:55

「いいよ」午後0:02既読

 

 突然、今朝にあまねから送られてきたものだった。意味が分からなかったが、あまねから連絡がくることは基本的に無いため、何かあったのだろうと心配になっていた野田。

 

 すると店の引き戸がノックされた。

 新井夫妻は間違って開店前にやって来た客だとでも思っているのだろうが、日菜太だけは心当たりがあった。

 すぐに鍵を解いてドアを開けた。

 

 そこに立っていたのは、やはりあまねであった。

 

「こんばんは……」

 

 消えていくような声で挨拶をするあまね。

 思っていた通り、どうやらただ事では無いようだ。

 

「どうしたの、急に」

 

 日菜太が呼びかけるが、あまねはそれを無視して店の中に入って行った。

 

「ちょっと……二人だけで話したいんだけど……」

 

 幸い、開店まではまだ時間がある。

 なので個室の中からまだ掃除をしていない一室を選んで、日菜太はあまねをその部屋に招き入れた。

 

 靴を脱いで掘り炬燵の上にあまねを座らせると、日菜太は畳の上に正座をしてあまねの横に座る。

 

「話って、何?」

 

 日菜太が優しく訊く。だがあまねは下を向いたまま顔を動かない。

 彼女の顔には部屋の灯りによって作られた影が入っていて、ギュッと結ばれた口元だけが見える状態になっている。

 

 ようやく彼女は口を解いた。

 

「あのさ……」

「?」

 

 

 

「私って、いない方が良いのかな……?」

 

 

 

────────────

 

 

 

2022.02.06 17:02 東京都 港区 日本体育館

 リベードとネクスパイは標的の方へと走って行き、自らの右の拳をぶつけようとする。

 またか、とエボルは思った。どうせ何をしてもこの二人は自分に敵わない。そう思っていた。

 

 だが彼らの拳を己の掌で受け止めた時、彼女は何故か手応えを感じられなかった。これまでの戦闘では、どんな状況であったとしても自分が必ず勝つと感じられた筈なのに……。

 

「そうか。かなりシステムを強化したと言うわけかっ……」

「ああ。そんでもって、お前を倒すための計画も立ててあるっ!」

 

 ネクスパイの言葉と共に拳を押し込もうとする二人だが、2つの右手と相手の両手の位置が動くことは無い。

 しかしそれは、裏を返せば互いの力は互角だということだ。

 

「どんな作戦なんだぁ?」

「すごく単純よ……。とにかく攻撃をしまくるっていうねっ!」

 

 エボルの両手、そしてリベードとネクスパイの右手が同時に前に進もうとした。その影響によって三者共に後退する。

 エボルが体勢を崩さないのは流石のことだが、リベードとネクスパイもぶれていない。

 

 至極単純な作戦が開始したのと同時に、リベードとネクスパイはそれぞれカードを取り出した。

 

 ネクスパイの取り出したカードはファイズのカード。

 リベードのカードには畑の中に栽培されているメロンの実が描かれており、下部には「No.102 MELON ZANGETSU」と白く印字されている。

 

 それをスロットに挿し込んだ。

 

『"FIZE" LOADING』

『"ZANGETSU" LOADING』

 

 ダイヤルを操作して押し込んだ。

 

『『Summon its!』』

 

 ネクスパイの右手には銀色のナックル──ファイズショット ナックルモードが、リベードの左手には華やかな装飾がされた緑色の盾──メロンディフェンダーが装着される。

 

 それを見たエボルはふと、ドライバーにセットされているエボルトリガーの赤いボタンを押した。

 

『オーバーオーバーザレボリューション!』

 

 だが特に何も起こることは無い。

 

 再び立ち向かっていく二人。そんな二人にエボルは左の掌を向けて、衝撃波を流し辺りを爆発させた。

 だが先頭にいるリベードの盾が爆炎や爆風を防いでおり、止めることは出来ていない。

 

 そしてネクスパイがリベードの後ろから飛びかかり、ナックルを着けた右手で一発お見舞いした。

 

「テリャァッ!」

「グッ!」

 

 攻撃はエボルトリガーに命中した。

 その攻撃の影響からなのか、エボルはそれ以降上手く体を動かせない。

 

 絶好のチャンスを作ることが出来た。

 この好機を逃すわけにはいかない。

 

 再び二人はカードを取り出した。

 

 リベードのカードには、水色の鮫、青色の鯨、赤色の狼魚(おおかみうお)が海中を悠々自適に泳いでいる様子が描かれており、下部には「No.089 SUCTION POSEIDON」と書かれている。

 一方のネクスパイの方のカードには、灰色の背景の中に開いた状態の松笠が水彩画のタッチで大きく描かれており、「No.114 OUTWIT KUROKAGE SHIN」と印字されている。

 

 そのカードをネクスチェンジャーのスロットに挿し込んだ。

 

『"POSEIDON" LOADING』

『"KUROKAGE SHIN" LOADING』

 

 ダイヤルを操作すると、リベードの手元には柄の先が青い赤色の槍──ディーペストハープーンが、ネクスパイの手元には黒い三叉槍──影松・真が現れた。

 

 ネクスパイが影松・真をエボルの上から振り下ろす。それをエボルは軽く左手で受け止めた。

 だがそれが狙いだった。リベードはその隙に長い赤い槍で彼女の足元を掬い、体勢を崩させた。

 さらに無防備になった彼女を、ネクスパイはゴルフの要領で遠くに飛ばした。

 

 壁面に激突したエボル。エボルトリガーを攻撃され、さらにそこに攻撃を受けた影響なのだろう。立ち上がるだけでも精一杯の状態になった。

 

「これで終わりだ!」

 

 リベードとネクスパイはインディペンデントショッカー マグナムモードを取り出し、そのスロットにカードを装填する。

 

『『Are you ready?』』

 

 柄にあるスイッチを押した。

 

『OKAY. "REVE-ED NEX" DISPEL BULLET!』

『OKAY. "NEX-SPY" DISPEL BULLET!』

 

 次々と銃口にエネルギーが溜まっていき、一つの塊となっていく。

 そして固まり終えた瞬間、二人は引き金を引いた。

 その瞬間、塊は銃弾としてエボルの方へと猛スピードで進んでいき、エボルに激突。一気に爆発が起こった。

 

 改造の結果として威力が増した弾丸の威力は凄まじく、壊しかけのステージや2階席の座席が爆風でガタガタと強く震える。

 

 大きく息を吐いた二人。

 これでようやく仇が取れたのだ。幸福が心を埋め尽くすと思っていた。

 

 だがネクスパイの心の中に残ったものは、何も無かった。

 幸福も罪悪感も何も残らない。空っぽな状態だ。

 

 これが、復讐ということなのか。

 なんとも言えない気持ちになった思わず振り向いて、先へと進んで行く。

 

「? どうしたの?」

「なんでもない。後処理は頼んだ」

 

 目の前にいるリベードに後のことを頼み、何処かに向かおうとした──。

 

 

 

 

 

 その時だった。

 

『Ready go!』

 

 爆炎の中から突如として音声が聞こえてきた。

 

 まさか──。

 

 だが音声のした方には誰もいない。

 対象は一体何処に行ったのか、辺りを見回す。

 

 すると

 

「ガハッ……!」

 

 リベードが突如として地面にうつ伏せで倒れた。倒れた場所には広くひびが入っている。

 ネクスパイは何が起こったのか分からなかったが、当の本人は大体理解が出来た。誰かに高く持ち上げられて落とされたのだ。それも一瞬のうちに。

 

 さらに

 

「グァッ……!」

 

 彼も誰かに蹴り飛ばされ、壁にめり込んでしまう。

 

 二人は自分たちに攻撃をした者を見ようと、なんとか前を向いた。

 

 そこに立っていたのは見たことの無い化け物だった。ドライバーはそのままだが、体表は白黒から紅色の変わっており、両肩には半円のオブジェが付いている。さらに顔は説明するのに億劫な気持ちになるほど変貌していた。

 

『フィーバーフロー! フハッハッハッハハハハ! フハッハッハッハハハハハハ!』

 

 エボル。

 否。

 エボルト。

 

 紅色の悪魔は、静かに二人の方を見つめた。

 

 

 

────────────

 

 

 

2022.02.06 15:05 東京都 新宿区 焼肉専門店 ぎゅう

「私って、いない方が良いのかな……?」

 

 あまねの発言に、日菜太は面食らった。だがその驚きを顔に出すのは彼女にとって逆効果かもしれないと思い、平静を保っている。

 

「それ、どういう意味?」

 

「詳しくは言えないんだけどさ、私がいるとみんなに迷惑がかかる気がして。それだったら、私がいない方がみんなのためになるんじゃないかって……」

 

 あまねが震えた声で訴える。膝の上の両手は強く握られており、顔はよく見えないが口元はきつく結ばれていた。

 

「だから、私……」

 

 そんなあまねを見た日菜太は居ても立ってもいられなくなり、言葉の続きを言わせるよりも先にあまねのほうに近づいて彼女を抱きしめた。

 突然のことに驚くあまね。

 

「そんなこと言わないでよ……」

 

 消え入るような声であまねの耳元で言う日菜太。

 

「それじゃあ、自分のことをどうでも良いと思ってる僕はどうすれば良いのさ……。僕だけじゃない。春樹さんや碧さんも……」

 

 その言葉にあまねはハッとした。自分が一体何を言ってしまったのか。

 

「お願いだから、君のことを愛してくれている人がいるんだったら、その人の前だけでも良いから、自分を愛してみてよ……!」

 

「……ごめん。ごめんね……」

 

 あまねは日菜太の背中に腕を伸ばし、自身も彼を抱擁する形となる。

 暫くその状態が続いて、あまねが日菜太から身を引いた。

 

「言いたいことは、それだけ?」

 日菜太が訊く。

 

「うん。でもなんか、それが一番良いなって思えた」

 

 そう答えるあまねの顔に室内の明かりが差す。

 優しい光が照らす彼女の表情は、ぎこちなくも晴れやかなものとなっていた。

 

 

 

 あまねを見送った日菜太は、二人が使っていた部屋の清掃と床のモップがけを行っていた。開店前の忙しい時間に時間を割いたのだ。これくらいはしておかなければならない。

 

 だが、もっとやらなければならないことがある。

 彼女と同じように、あまり人には話したくないのだが。

 

「不二雄さん」

 

 厨房で牛ロースの塊を捌いていた不二雄に声をかける。

 

「どうした?」

「1時間半くらいしたらちょっと出て行きます」

 

 今から1時間半後は幸いにもそこまで忙しい時間ではない。この店の店主は二つ返事で彼の外出を許した。

 

「有り難うございます」

 

 いつもと同じような笑顔で礼を言う日菜太。

 整った顔から放たれる笑みであったが、上手く証明が届かない死角に立ってしまっていたのか、その顔はよく見えなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Q: How did she surprise to them?

A: She surprised them by being crimson figure.




【参考】
講談社シリーズ MOOK 仮面ライダー 平成 vol.12 仮面ライダーオーズ/OOO
(講談社, 2014年)
講談社シリーズ MOOK 仮面ライダー 平成 vol.15 仮面ライダー鎧武/ガイム
(講談社, 2014年)
メロン - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%e3%83%a1%e3%83%ad%e3%83%b3
DXエボルトリガー|仮面ライダーおもちゃウェブ|バンダイ公式サイト
https://toy.bandai.co.jp/series/rider/item/detail/5633/
https://toy.bandai.co.jp/assets/products/rider/documents/4549660236139000.pdf
松かさ - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%e6%9d%be%e3%81%8b%e3%81%95
アーマードライダー黒影・真|仮面ライダー図鑑|東映
https://www.kamen-rider-official.com/zukan/kamen_rider_members/157
エボルト(怪人態)|仮面ライダー図鑑|東映
https://www.kamen-rider-official.com/zukan/phantoms/31

そう言えば、椎名夫妻とSOUPのメンバーの出会いを書いていなかったのですが、読んでみたいですか?

  • 本編で読みたい。
  • スピンオフ形式で読みたい。
  • どっちでも読んでみたい。
  • そんなに読みたくない。
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