仮面ライダーアクト   作:志村琴音

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第二話です。
ついに本作主人公登場です。
感想等書いていただけると嬉しいです。
質問もお待ちしております。



【イメージサウンドトラック集】
https://open.spotify.com/playlist/23xA5ZAHZfdUR77F4JZ9lB?si=07c60fc3a3934b45&pt=97747cf874e1c0b08fb8e40c52da1ec2


Question002 How can kill them?

2021.10.02 13:10 東京都 中央区内

「な、何なんですかあれ!? あれって()()ですよね?」

「落ち着け! あれは()()じゃない」

「え?」

 

 思わず立ち上がり、興奮した状態で話す深月と、それを宥める森田。

 

「あれは『リベード』。この国が保有する最強の兵器にして、最後の切り札だ」

「リベード?」

「君の仕事については追って説明する。今はただ、見ていればいい」

 

 再度モニターを見る深月。

 画面の中では、リベードと呼ばれる得体の知れないものへと姿を変えた碧と、青色の生物が交戦していた。

 

 リベードはカードケースの後方のスロットから一枚のカードを取り出した。銀色の剣と銃が描かれ、「DESPEL CLASHER」と下部に白く印字されている。

 それをドライバーに装着されている端末の裏側にかざした。

 

『DESPEL CLASHER』

 

 リベードが右手を前に出すと、その手の中にカードに描かれていたのと同じ短剣──ディスペルクラッシャー ソードモードが現れた。それをしかと握りしめ、怪物に向かって行く。

 互いの剣が音を立てながらぶつかり合う。その腕は互角なようで、互いに一歩も譲らない。

 

「警察庁より通達。新型未確認生命体第十四号の名称が決定。現時刻より、対象を『スペード』と呼称する」

 現場の責任者が抑揚のない事務的な声で通達した。

 

「あの、これって誰がつけているんですか?」と深月。

「警察庁長官の趣味だって。()()()()()も一緒になってつけてるらしいけど」

 鼻で笑いながら圭吾が答えた。

 

「構造は至ってシンプルですね。それに放射線などの有害物質は検知されません」

 二人を横目に薫がモニターを見ながら報告する。

「だったらこのまま叩いても問題はないですね。倒したとて、次元の歪みだとかは出なさそうですし」

 圭吾のパソコンの右側には「スペード」と名付けられた怪物が映され、左側には計算式がまるで雪崩のように流れていく。

「とのことだ。このまま倒せ」

 

「了解!」

 

 森田の言葉と同時にリベードはスペードを蹴り飛ばした。

 その威力は絶大なものだったらしく、スペードは辛うじて盾で防いだが、20メートルほど後ろに吹き飛ばされた。

 

 それを確認すると、リベードはトランスフォンをドライバーから取り外し、ディスペルクラッシャーの剣鍔の部分にある楕円形の部分にかざした。

 

『Are you ready?』

 

 再びトランスフォンを挿し込んだ。すると刃に青色のエネルギーが溜まっていく。右足を前に出し腰を低くした状態で、構え方でじっと前を見据えていた。

 そこにスペードが走って向かって来た。だがリベードはじっと標的を待つ。

 

『OKAY. "REVE-ED" CONNECTION SLASH!』

 

 標的が目の前にやって来た。

 やっと来た…!

 剣を大きく振った。

 

 スペードはリベードの後ろで足を止めた。そして勢いそのままに、後ろを向いて敵を斬り裂こうと刀を振り上げた。

 

 その刀が床に落ちるのに、一秒も掛からなかった。

 

「グッ…ガァッ……!」

 

 腹を押さえて苦しみだした。その腹部には一文字の傷がついていた。その傷口からは青いエネルギーが漏れ出している。

 そして

 

「グアアアアア!」

 

 リベードの後ろで爆炎が上がった。

 その衝撃が深月たちが乗っている遊撃車の中にも響いてくる。

 

「うわっ!」

 

 あまりの衝撃に驚く深月。

 だがその衝撃を至近距離で受けているはずのリベードは、平然とそこに立っていた。

 

 

 

────────────

 

 

 

2021.10.02 17:37 東京都 新宿区 SOUP

「疲れた〜」

「お疲れ様です碧さん」

 

 深月は得体の知れないものを見るような目で碧を見ていた。

 さっきまで姿を変え、怪物と戦っていた女が、今は自分と同じ形のデスクの前に座り、コンビニのパンにかぶりついている。

 それを全く気にせず、報告書を書くためにパソコンに齧り付く圭吾や、自身の爪をまじまじと見つめる薫、誰かと電話をしている森田の姿に本能的な違和感を覚えてしまっている。

 

「あの」

「「「?」」」

「一から説明していただけませんか? 僕はどうしてここに異動になってですか? あの化け物は何なんですか?」

 

『それに関しては私が説明しよう』

 

 突然、部屋にあるモニターがついた。

 そして映し出されたのは、十人中十人が「可愛い」と答えるであろう見た目をした、猫のようなキャラクターだ。

 

『はじめまして。私の名はグアルダ。このチームに所属している、唯一の人間以外のメンバーだ』

 

 その風貌からは想像出来ない低い声で話し始めたグアルダ。

 

『あの生命体の名は『フォルクロー』。この国に八年ぶりに現れた怪異であり脅威、とでも言おうか。全部で165体いるその怪物は、2000年に現れた未確認生命体同様、通常の兵器は通用しない。それどころか、対未確認生命体専用に開発された神経断裂弾も効かなかった』

「神経断裂弾が……!?」

 

 その発言に深月は絶句した。

 未確認生命体第三号の遺体を解析し生み出された、最強の兵器。今までに一体を倒し、二体にダメージを与えられたというその兵器が効かない。そんな生命体がいるのか……。

 

『そんな彼らに一番効果のある対処方法は、碧たちの使う『ライダーシステム』だ。フォルクローと同等の力を装備し、彼らを倒す。だがそれもいつまでもつか判らない。ライダーシステムという最後の砦が無くとも、フォルクローを倒す方法を導き出し、同時にヒュージルーフの解析を行う。それがこのチームの本当の任務だ』

「そこでだ、君には作戦立案の総括を担当してもらいたい」

「はい?」

 

 森田の言葉の意味がよく分かっていない深月。

 

「橘田君が生物学の観点から、雨宮君が物理学の観点から作戦を提案し、それらを私が総括、椎名君たちに伝えてフォルクローたちを倒してもらう。ここまでが従来の流れだった。だがここは作戦立案のプロに頼むのが一番だと考えたんだ」

「でも…」

「大丈夫だ。いずれ慣れる」

 

 半ば強引に励まされた深月。

 その目にあるのは国を護るという使命感でも、警察官が持っている正義感でもなんでもない。

 ただ戸惑いだけだった。

 

 

 

────────────

 

 

 

2021.10.02 19:01 東京都 中野区 トキワヒルズA 601号室

 ガチャと音を立てて鍵が解かれ、ドアは開いた。

 碧が家の中に入ると、そこは美味しそうな香りが充満していた。

 手を洗い、なんだなんだとドアを開け、碧は目を見開き嬉しそうな表情を見せた。

 

「うわぁ〜!」

 

 リビングの中央にある丸いダイニングテーブルの上には、大鍋が置かれており、中には赤いビーフシチューが湯気を立てて待機している。

 その周りを二人の男女が囲んでいた。

 

「「おかえり」」

 

 男の方は碧とそこまで歳は変わらないであろう若い男で、茶色いTシャツの下に緑色のジョガーパンツを履いている。

 女の方は碧よりも若く、モコモコのパジャマに柔らかそうなスリッパを着けている。

 

「ただいま〜」

 

 碧はすぐさま椅子に座り、手を合わせて器の中にビーフシチューをよそり始めた。

 

「ところで、何で今日は出動せずに、あまねちゃんとデートしてたのかな?」

 不貞腐れた声で男性に訊く碧。

「別に理由なんてない。こいつに誘われただけだ」

「ちょっと待ってよ。パパ、あの時呼び出されてたの?」

「そうだけど」

「ダメだよ行かないと。税金で食ってる身なんだから」

 

 あまねと呼ばれた少女──筒井(つつい)あまねに強烈な一言を加えられた男は、思わず吹き出してしまった。

 

「言っておくが、お前が食っていられるのは、その税金を俺たちが貰っているからで」

「下手したら私だけでもあまねちゃんと一緒に食べていける額なのに?」

 

 もう何も言えなくなってしまった。無様に天を仰ぐ男。

 

「それに、私たちが戦うのは、この()のためでもあるんだから。それは忘れないで」

「はいはい」

 

 無言でビーフシチューを貪る三人。

 咀嚼音と生き残った鈴虫たちの鳴き声が、三人を包み込み、しばらくして消えた。

 

 

 

────────────

 

 

 

2021.10.10 13:08 東京都 港区 かもめショッピングモール

 休日のショッピングモールは大勢の人で賑わっていた。デートをするカップル、買い物をしに来た家族、お茶を飲みながら何気ない世間話に花を咲かせる人たちもいる。

 何気ない日常。何の違和感もない、悪く言えば退屈な休日だ。

 

 そんな平和なこの場所に、戦慄が走ったのはあまりにも突然の出来事だった。

 

 突然、ショッピングモールに怪人が入ってきたのだ。

 赤い身体の上から鎧を羽織り、両手には拳銃が一丁ずつ握られていた。その顔はジュリアス・シーザーの肖像画が歪んだようになっている。

 

 当初、何かのイベントかと皆んな思っていた。

 だが、投げ飛ばされ、血を流して倒れる警備員や客を見て、思い出したくもない記憶が、教科書で習った知識が頭の中を駆け巡った。

 

 パニックになる館内。悲鳴をあげて皆が一斉に逃げ始めた。

 

 

 

 

 

 そこにSATとSOUPのメンバーが着くのに、そう時間は掛からなかった。

 

「休日なのに出勤ですか。この後、『パンダ・プリンセス』の一挙再放送があるのに」

「好きなアニメを一気見してオタクの尊厳を守るのも良いけど、この国を護る方を最優先にして欲しいね」

 

 ガックリと肩を落とす圭吾の肩に手を置いて、隣の席でドンマイと励ます薫。

 前の席で目の前を見据える森田。

 端末を構えて出動の用意をする碧。

 不安な面持ちで一番後ろの席に座る深月。

 

 それぞれの思いを乗せて、車がショッピングモールの前に着いた。

 いつものように引き継ぎの手続きをすると、パソコンを取り出し、モニターを確認する。

 

「えぇっと、名称は何だっけ?」と碧。

「『ダイヤ』だ」森田が返答した。

「特に空間の歪みや放射性物質の存在は確認されていません。このまま行っても大丈夫だと思います」

「ちょっと待って」

 

 圭吾の発言に間髪を容れずに薫が話し始めた。

 

「あいつの銃から高エネルギー反応が示されています」

「このエネルギーの量だとざっと…」

 

 パソコンの画面を見つめていた圭吾は思わず目を見開いた。

 

「えぇっと、倒した衝撃で、一階が吹っ飛びます。ただ、一階が吹っ飛んだらその影響で二階も三階も崩れて、最悪このショッピングモールごと崩壊します」

「そうか…。どうする作戦立案係?」

「え?」

 

 急に話を振られ、困惑する深月。

 

「じゃぁ…。両手から拳銃を奪った(のち)撃破、とかはどうでしょう?」

 

 精一杯捻り出してみた。

 だが、全員の視線が何となく怖く、一歩後ろに退いてしまう。

 

「それで行こう」

「了解!」

 

 森田がアイコンタクトをすると、碧は車内から飛び出し、中に入っていった。

 何となく安心感を覚えた深月はホッと息を吐いた。

 

 ダイヤの前に立つと、碧はトランスフォンを取り出し、カードをかざそうとした。

 

 次の瞬間

 

 バーン!

 

 一発の銃声が鳴り響いた。ダイヤが引き金を引いたのだ。

 その弾丸は碧の手の中にある端末に衝突。命中した衝撃で碧は吹き飛ばされてしまった。さっきまで碧のいた場所に、黒い端末だけが取り残されてしまう。

 

「やってくれるじゃない…」

 

 何とか立ちあがろうとする碧。だが脚に力が入らず、うんともすんとも言わない。

 

 その様子を見ていた森田が急いで指示を出した。

「すぐにSATを出撃させてくださ」

 

 だがそれよりも早く動いた男がいた。

 

「反田君!」

 

 動けない碧のもとに怪物が詰め寄ってくる。

 その間に反田は立った。両手には拳銃を握り、銃口を標的に向けている。

 

 SOUPの職員には万が一の場合に備え、出動中に限り拳銃の携帯がされている。

 だが、使うとなれば別問題だ。現場の責任者(今回の場合は森田)の許可が必要であり、無許可で発砲すれば処分の対象となってしまう。

 それを深月が知らないわけはない。それでも行かなければならなかった。そんな気がした。

 

 震えた手についている人差し指で引き金を引いた。

 一発、二発、三発、四発、五発、六発、七発目を撃とうとしたところで何の反応も無くなった。

 

 戸惑う深月の肩を、何の痛みも感じなかったダイヤが掴み、左側に放り投げた。

 

「うあああああ!!」

 

 倒れ込む深月。

 無情にも怪物は一歩ずつゆっくりと詰め寄ってくる。

 

 無力だ。目の前で苦しんでいる人を守ることも出来ない。

 こんな自分に一億何千万人という人々が護れるわけがない。

 

 絶望で拳を床に叩きつけた。

 

 

 

 

 

 その時だった。

 

 遠くからけたたましい音を鳴らして何かが後ろから近づいてきた。

 それは碧が乗っていたのと同じバイクで、黒いヘルメットを被った何者かが搭乗している。

 

 バイクは前輪を上げると、その勢いで後輪も浮かしジャンプ、前輪でダイヤに体当たりした。

 吹き飛ばされる怪物。

 

 バイクを止めると、運転手はヘルメットを取ってバイクから降りた。

 男だ。ペールブラウンのズボンに灰色のTシャツ、その上から緑色のラインが入った黒いシェルジャケットを着ている。

 

「貴方は……?」

「この間さ、映画観たんだよ」

「はい?」

 

「『ジュリアス・シーザー』っていう伝記映画でさ。一緒に観た高校生の同居人がすっごい影響受けたっぽいんだよ。この間のテスト期間の時、その同居人がLINEで送ってきた文章があるんだよ。それがすごく格好良くてさ、俺もコイツら倒したら、試しに送ってみるわ」

 

 突然後ろの碧がお腹を押さえ始めた。だが見たところ痛みで押さえているのではない。

 笑いを堪えていた。

 

「『来た、見た、勝った』ってさ」

 

 ついに堪えられなくなった。吹き出して大声で笑う碧。

 少し不機嫌そうな顔をした男は後ろを振り向くと、碧に向かって右手を差し伸べた。

 

「正義のヒーローが寝転がってどうするんだ。お前も税金で食ってる身だろ。人のこと言えねぇじゃねえか」

「でも無断欠勤を繰り返す君よりかはマシだと思うんだけど」

「はいはい」

 

 右手を掴んで立ち上がる碧。

 二人の間には、互いを認め合う友人同士の友情や、離れたくないという恋人同士の熱でもない、それ以上の何かがあると深月は感じていた。

 

「まさか…。貴方は……」

「え、誰この人?」

「新入りの反田くん。春樹、貴方の後輩」

「ふーん」

 

 椎名春樹。

 幾度となく無断欠勤を繰り返し、一度も顔を見たことのない、言わば幽霊職員。

 そして、碧の夫。

 

 すると吹き飛ばされた怪物が再び動き始めた。

 

「さーて、職務を全うしますか。グアルダ」

【了解した。ただいまより、椎名春樹、椎名碧、両名のライダーシステムの使用を許可する】

 

 春樹はポケットから端末を取り出し、碧は床に落ちていた端末を拾い上げ、カードをかざした。

 

『『ACT DRIVER』』

 

 二人の腰回りにドライバーが形成された。春樹のドライバーの右側は碧と異なり、緑色の戦士が描かれていた。

 すぐさまカードを裏返し、端末に装填する。

 

『"ACT" LOADING』

『"REVE-ED" LOADING』

 

 電源ボタンを押した。

 軽快な音楽とともに春樹の頭上には

「2021 A-CT」と書かれたゲートが、碧の頭上には「2021 REVE-ED」と書かれたゲートが現れ、それが開くと、同じ形状の銀色の鎧が出現する。

 

 春樹は右腕を左肩の方まで持っていき、手の甲を見せるようにする。それを反転、素早く右肩の前へと腕を振った。

 碧も右腕をゆっくりと上げた。それをすぐさま下ろすと、両腕を大きく広げ、右腕を左肩の前まで持っていった。

 

 そして二人は叫んだ。

 春樹の言っていた「職務を全うする」ための言葉を。

 目の前の人々を守る姿へ変わる言葉を。

 

 

 

 

 

「「変身!」」

 

 勢いよく端末をドライバーに挿し込んだ。

 

『『Here we go!』』

 

 二人の身体が一瞬のうちに変身、青色の戦士と緑色の戦士に姿を変えた。そこに宙に浮かんでいた鎧と仮面が装着される。

 

 緑色の身体に白い線が入り、縦長の楕円形の目を輝かせ、二本の銀色の角を輝かせた戦士と、青色の戦士が姿を見せた。

 

『I'm KAMEN RIDER ACT!』

『I'm KAMEN RIDER REVE-ED!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Q: How can kill them?

A: By the system of KAMEN RIDER.




いかがだったでしょうか。
春樹の部屋着は自分の父親の部屋着がモチーフになっています。
あまねの部屋着は「どうせ女子高生ってこういうのが好きなんだろ!?」という自分の偏見です。
女子高生の方がいらっしゃいましたら、どういうのが流行っているのか教えてください。
よろしくお願いいたします。

今作のキャラクターたちの日常を描いたスピンオフがあったら、読みたいですか?

  • 読みたい。
  • そうでもない。
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