この話で極悪だったのって、一体誰だったんでしょうね?
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【イメージED】
AI - 最後は必ず正義が勝つ
【イメージサウンドトラック集】
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江戸川ミソラ改め新型未確認生命体第四十七号が倒されたことにより、事件は幕を閉じた。
死者は合計して23人。嘗ての未確認生命体の死傷者数に比べれば少ないように感じ取れてしまうが、新型のものでは最多である。
彼女は大人気アイドルであったために世間には衝撃が与えられた。7年前に
ただ詳細を全て知っている者からしてみれば、彼女も無理矢理身体を改造され、挙げ句別のフォルクローに人格を乗っ取られたという点ではある種の被害者だ。ただの猟奇的な怪物として葬られることが何よりの被害であるのだろうが。
だが世間を騒がせたのは、ミソラがフォルクローであったことではない。その裏で警察が起こした不祥事についてだ。
平井勝司は娘の犯行を隠蔽するために、メディアに対して虚偽の報道をするように圧力をかけた、というのが碧たちの考えだったが、それは大きな間違いだった。
隠蔽に加担していたのはメディアではなく、警視庁の上層部だったのだ。
上層部の一人が平井の大学の後輩であり、彼に頼んでマスコミへの発表の際に異なる死因を発表していたのだ。
結果、その大学の後輩や他数名の幹部たちが辞職する運びとなった。
そして肝心の平井勝司その人は、オフィスの入ったビルから飛び降りた。17時30分頃のことだった。
すぐに病院に搬送されたが、即死だったらしい。
こうして、一連の事件はどちらも被疑者死亡ということで幕引きとなった──。
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2022.02.13 12:20 東京都 渋谷区 SHIBUYA LAND 8階 natcita SHIBUYA LAND店
「全く。怖い話だねぇ」
そう言うと海斗は白いティーカップに入ったコーヒーを飲んだ。
この日は雨が降っており、海斗たちが座る席の隣にあるガラス張りの壁には大量に雨が打ちつけては水が下へと流れていく。
優雅にコーヒーを飲んで前を見据える海斗の前に座っているのは、碧と八雲だ。窓側に座った海斗の前にいるのは碧で、その隣に八雲が座る形となっている。
「ランチをしよう」とこの店に誘われた二人は笑顔でコーヒーを飲む父親の顔をじっと睨んでいた。元はと言えば諸悪の根源の一人は彼なのであるのだから。
「一つ聞いても良い?」
「? 何だい?」
「本当に、フォルクローの技術で死んだ人は蘇るの?」
平井は多額の寄付を海斗たちにしてきた。全ては亡くなった娘を甦らせるために。その成果を見る前に彼は屋上から飛び降りたのだ。しかも防犯カメラの映像を確認しても、自分自身の意志で飛び降りたことは間違いないのだ。
その動機として考えられることは、ただ一つだけだった。
「無理に決まっているだろ」
海斗は変わらず笑顔で答えた。
やっぱり、と二人は思ったが、自分たちが思っている以上にその事実が強烈なもので何も考えられなくなってしまう。
「そもそもフォルクローは、人間の遺伝子を操作することによって誕生する生命体だ。死人の遺伝子をいじったところで、死んでいる事実に変わりはない。出来ることなら、私も甦らせてみたいよ」
人の不幸は蜜の味。いや、蜜を吸ってその甘美を堪能しているわけではない。まるで玩具が壊れたのを楽しむ
「……騙したのか?」
八雲が震えた声で訊く。
「私は彼に一言も『死者を甦らせることが出来る』なんて言った覚えは無い。彼の思い過ごしだよ」
筋は通ってはいるが、それではまるで詐欺師のやり方だ。子供の頃に見た笑顔は、どうやら汚れたもので裏側が汚染されているようだ。ここまで来るともう腹の中は煮えきり、後は冷めるだけだ。
「それじゃあ、私はこれで失礼するよ」
海斗がテーブルの端に置かれた伝票を持って席を立とうとする。
「ちょっと待って。まだ訊きたいことがあるの」
「俺からも質問がある」
碧と八雲に呼び止められ、仕方なく海斗は自分が元いた席に着いた。
「春樹を目覚めさせるにはどうすれば良いの?」
碧からの質問は、自身の夫に関することだ。彼はもう2ヶ月も目を覚まさない。今も医務室のベッドの上で眠ったままだ。何かのタイミングで目覚めることが出来るのか、
「俺からは、特に碧についてだ。どうしてあの時、江戸川ミソラは俺たちにトドメを刺さなかった?」
江戸川ミソラ──エボルトがフェーズ4となったあの日、何故か彼女がブラックホールで二人を吸い込もうとした時、何故かアールたちによってそれを阻止されたのだ。しかもフロワの発言によれば、どうやら理由は碧にあるらしい。
「二つの質問に関してだが、両方を答えるためにまずはフォルクローについて詳しく説明しなければならない」
海斗の答えはどうやらここから長くなりそうだ。
「フォルクローは下級と上級に分けられるが、違いは至ってシンプルだ。
まず異形の姿をした下級は、改造の際に遺伝子操作に
一方私や碧のような上級は、遺伝子操作に身体が耐えられるために、姿形が変わることは無い。人間の姿を維持したままに能力を使用出来るんだ」
正直言って、二人はここで初めてその事実を知った。改造された張本人である碧や、海斗と一緒に活動をしていた八雲もだ。
淡々と事実を話す父の目は輝いており、まるで子供のようだ。
「ただ、私の口から話せるのはここまでだ」
だが答えまでは教えてくれない。思わず声が出てしまう二人。
「強いて言うなら、碧の質問には答えられる。彼を目覚めさせる方法は1つだけある。ただ、方法が方法だからね……」
「教えて! 一体どうすれば良いの?」
碧は両手で机を叩きながら立ち上がると、他の客にも聞こえる声で叫んだ。その声に他の客が静かに碧の方を見つめる中、父は右手の人差し指を口元に当てて口から音を出しながら注意をする。いくら彼でも流石に気にするようだ。
「すまないがこれ以上は何も、だ。彼を甦らせる方法も、碧が襲われなかった理由も」
再び立ち上がった海斗は伝票を持ってその場を立ち去った。伝票を持って行ったことが最低限の愛情だったのだろうが、今の二人はそれに気が付かなかった。
「どうする? うちのお父さんはあんな感じだけど」
海斗がその場を後にしてから少し経って、碧はコーヒーカップに口をつけた。
だが隣の八雲はずっと顔を下げたまま、何もしようとしない。父親があんな感じになってしまったのだ。無理もないだろう。
「……どうしたの?」
念の為に訊いてみた。
「一回、あの人にこんなことを言われたんだ」
君は、母親に会いたくないかい?
「え?」
八雲から教えられた海斗の嘗ての言葉に碧は理解が出来なかった。それが一体何を意味しているのか。皆目検討がつかなかった。
「ねぇそれ、どういう」
「ずっと考えていたんだよ。父さんは20年前に母さんを殺された。俺たちと同じくらい、いや俺たち以上に異形のものを憎んでいた筈だ。そんな男がフォルクローなんて生み出すか?」
確かに言われてみればそうだ。自身の最愛の妻を殺した生物と、同じようなものをどうやって作り出そうというのだろうか。だが自身らが知っている限り、海斗が妻を愛していなかったわけではない。彼女が死んだ時には本気で悲しみ、火葬の直前まで棺桶に抱きついて離れようとしなかった男なのだから。
「それに、さっき言っていただろ。『出来ることなら、私も甦らせてみたいよ』って」
その時、碧の頭の中に1つの仮説が浮かび上がった。
これまで想像もしていなかった、ある仮説だ。
「まさか、あの人がフォルクローを作ったのって……」
「ああ。きっと、母さんを甦らせるためだ」
二人の間に沈黙が流れる。碧は何とも言えない表情をしており、八雲はじっと誰もいない前を見つめている。
「恐らく、母さんを甦らせる技術を探していた
兄の口から語られる父親に関する推理を聞かされる碧は、今どんな気持ちなのだろう。机の上に置かれたコーヒーカップの中にある水面を眺める碧は、先程とは逆に下を向いた状態になってしまった。
「俺は父さんの気持ちには同情するが、行動については賛同出来ない。確かに母さんには俺ももう一度会いたいよ。けど、それが誰かの人生を巻き込んで良い理由になって良いわけがない」
「……そうね。私もそう同意見。あんな悲しい思い、もう誰にもさせちゃいけない」
再度碧は前を向いた。ここで二人とも前を向いた状態になり、ふと互いの顔を見合った。視界に入った自身の兄妹の顔は引き締まっている。
そしてふと笑みを浮かべて、同時にカップの中に入ったコーヒーを一気に飲み干した。
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2022.02.13 20:11 東京都 中野区 トキワヒルズA 601号室
食卓に置かれているのは鍋だ。中には切られた白菜と豚バラ肉がミルフィーユのように敷き詰められており、白菜から出た水分が和風だしの中に溶け出している。
その重なった白菜と豚バラ肉を箸で掴んで、一気に口の中に頬張る碧とあまね。
すると突然、迷わず箸を動かすあまねの前の碧は箸を置いた。
「春樹なんだけどさ」
思わぬ話の出だしにあまねの中で緊張が走り、思わず箸が止まった。
「来月、近くの病院に転院することになったんだ。一日でも早く目覚められるように研究するためにね」
「……そうなんだ……!」
その報告を聞いて、あまねは緊張から解き放たれたようで顔から笑みが溢れた。もしかしたら、もう少しで父親に会えるかもしれない。それが嬉しくて仕方がないようだ。そして再び箸を進め始めた。
そんな彼女の表情を碧は笑顔で見つめる。母親の妙な笑顔にあまねは箸を再度止めた。だが緊張した様子ではなく、失笑しながら碧に訊いた。
「何?」
「んん? なんか、最近明るくなったなって」
「えぇ!? ……ちょっと恥ずかしいんだけどさ……パパとママの子になることが出来て良かったなって」
恥ずかしさからあまねは箸を箸置きの上に置いて、両手で顔を覆い隠す。
一方の碧は感激のあまり両手で口を押さえると、すぐに立ち上がって娘のもとに駆け寄ると、その場に跪いて彼女の腰に抱きついた。
「あまねちゃぁぁぁん! ありがとーーーっ!」
あまねの腹部に顔を押さえて嬉し泣きをする碧。
「え、ね、ちょっと! 離れてよぉ……!」
余計に恥ずかしくなるあまねは碧をなんとか引き剥がそうとする。だが嫌なわけではない。むしろ嬉しいのだ。母親が自身のところに飛びついてくれたことが。
引き剥がそうとするのを止めたあまねは、口角を少し上げ左手で碧の頭を撫で始める。
そして碧もまた満面の笑みを浮かべ、ギュッとあまねに抱きついた。
外ではまだ雨が降っている。部屋の窓に雨が打ち付けられて音が鳴る。だがその音が二人に届くことは無かった。
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?????
「はい。これで完成」
デスクの上で花奈はパソコンのエンターキーを押し、思いっきり背伸びをした。後ろでアールたち三人が彼女に向かって拍手を捧げる。特にフロワとピカロの拍手は大きく、アールは思わず耳を塞いだ。
「有り難う! これで思いっきり戦うことが出来るね、お姉ちゃん」
「えぇ。もうあのお嬢ちゃんたちは必要ないわね」
フロワとピカロが満面の笑みを浮かべながら互いの顔を見合う。
「そんなこと言わないでください。まだ彼らは必要なんですから」
フロワの発言に軽く注意をするアール。だが彼も満更ではないらしい。それほど喜ばしい出来事のようだ。
「で、私たちはいつ出動になるの?」
「まさか、ずっと先じゃないよね!?」
「それは勘弁して。自分の研究ストップして
三者から質問と意見を浴びせられるアールは、両手を思いっきり前に突き出して止めるように促した。
「出てもらうのは来月です。どうしてだかは解っていますね?」
どうやらフロワとピカロは理解しているらしい。だが花奈だけは彼らが何を狙っているのかが分からず、首を傾げてしまう。なので、アールが親切に彼女に教えた。
「狙いが、椎名春樹さんだからですよ」
新型未確認生命体の残り総数
【参考】
東京の過去の天気 2022年2月 - goo天気
(https://weather.goo.ne.jp/past/662/20220200/)
寒い冬に負けない!食材別⭐︎あったかレシピ特集|レシピ特集|レシピ大百科(レシピ・料理)|【味の素パーク】たべる楽しさを、もっと。
(https://park.ajinomoto.co.jp/recipe/corner/event/dangohan/)
そう言えば、椎名夫妻とSOUPのメンバーの出会いを書いていなかったのですが、読んでみたいですか?
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本編で読みたい。
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スピンオフ形式で読みたい。
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どっちでも読んでみたい。
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そんなに読みたくない。