仮面ライダーアクト   作:志村琴音

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第49話です。
そろそろシーズン2も折り返しになりそうです。そんな中で遂にアイツらが変身します。
感想や読了報告等くださると筆者の励みになります故、何卒宜しくお願いします。



【イメージOP】
Roselia - 閃光

【イメージサウンドトラック集】
https://open.spotify.com/playlist/23xA5ZAHZfdUR77F4JZ9lB?si=07c60fc3a3934b45&pt=97747cf874e1c0b08fb8e40c52da1ec2


EPISODE 17 ブラックジョーク(BLACK JOKE)
Question049 Why were they glad?


2022.03.14 15:33 東京都 千代田区 警視庁 9階 会議室2

「監察官の一条と申します。本日は宜しくお願いします」

 

 一礼をした一条薫警視正は、警視庁内の不祥事を捜査する監察官である。

 22年前、信頼出来る相棒と共に未確認生命体の脅威に立ち向かった彼は、ずっと現場の一線で勤務をしていた。

 だが丁度先日警視正に昇進した彼に、監察官として異動するように命があったのだ。理由としては、彼が現場で培ってきた観察力や経験を生かして欲しい、とのことらしい。現場一筋だった彼としては不服ではあったが、きっとこれも次に自分に課せられたものなのだと受け入れた。

 

 そんな彼は今、白い蛍光灯によって照らされる室内の中でパイプ椅子に座っている。

 その前には深月が同じくパイプ椅子に座っており、同じように頭を下げた。

 

「まさか、22年前に助けた君と、こんな形で再会するとは思ってもいなかった……」

「僕もですよ……。こんなの初めてですし……」

「私も初めてです。どうか気負わずにお願いします」

 

 22年前、両親を未確認生命体に殺された深月は一条たちに助けられた。その影響もあってか、深月は一条と同じ警察官の道を選んだ。

 そして今まさに自身の恩人と再会を果たしたのだ。最悪な形で。

 

「それで、どうして僕は呼ばれたんでしたっけ……?」

 

 それが愚問だということは彼にも分かっている。だが念のために訊いてみた。

 彼の意図を読み取ったのか、一条は少し間を置いて言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「椎名春樹と椎名碧、両名の()()()()についてです」

 

 

 

 

 

────────────

 

 

 

2022.03.04 11:51 東京都 新宿区 SOUP

 何か不吉な出来事が起こると、近く天変地異のような何かとんでもないことが起こる。古くから日本ではそう信じられてきた。テレビや漫画でも、誰かが命を落としたりする時、その者の家で食器が割れる描写をするのもその名残だろう。

 

 それが今、この部屋の中でも起こっていた。

 

「私が……負けた……!?」

 

 この日、近くの弁当屋にて昼食を買って来る人を決めるじゃんけんで、碧が負けた。

 碧は春樹を含めたメンバーの中で3番目にじゃんけんが強い。負けたことなど10回も無い筈なのに。

 なので全員が起こった出来事に驚き、右腕を出して立ち上がっている碧の方を見ている。

 

 だが目線こそ碧の方を向いているが、驚いているのは碧が負けたということではない。

 

「嘘だろ……。僕が、勝った……!?」

 

 深月が勝った、ということに驚いているのだ。

 深月のじゃんけんの実力はチームの中で最弱だ。勝った回数など片手で数えるほどしかない。

 そんな彼が、勝った。いや、勝ってしまった──。

 

「こんなことが……。確率的にあり得ないことは無いけど、実現するなんて……」

 薫が口元を両手で覆いながら言う。

 

「えぇ。春樹さんが負ける方があり得ないですが、まさか……」

 圭吾は薫と顔を見合わせて一緒に驚いた。

 

「きっと今日は、確実に不吉なことが起こるな……」

 森田はデスクに両肘をつき両手を重ね合わせた状態で俯く。

 

「ちょっと待ってくださいよ! 何で僕が勝っただけでこんな空気になるんですか!?」

 

 立ち上がっている深月が三人に向かって抗議する。自分が勝ち残っただけでこんな状態になるのが気に食わないらしい。

 だが目の前で少し凹んでいる碧の姿を見て、以降は何も言わなくなった。

 

 その凹んでいる本人は黒いセーターの上から、下に履いている黒いカプリパンツにかかるくらいの丈の青いチェスターコートを着た。

 

「じゃあ、買いに行って来まーす」

 

 やや不機嫌そうな顔を見せながら入り口のところに向かう碧。だが何故かドアノブに手をかけたところで手を止め、近くの席に座っている八雲の方を見始めた。丸いテーブルに身を預けていた八雲は、何故自分が見られているのか分からず、思わず上体を上げて姿勢を正してしまった。

 

「そうだ。お兄ちゃんも一緒に来てよ」

「え? 何でだよ。俺外に行く用事は()ぇよ」

 

 すると八雲のスマートフォンが音を鳴らした。何だ何だと画面を確認すると、八雲は両手の甲で顔を押さえて立ち上がり、椅子にかけていたペールブラウンのモッズコートを着始めた。

 

「? どうしたの?」

「ネットでBEYOOOOONDS*1の曲買ったの思い出したわ。コンビニで支払いしねぇと」

「え? クレジットカードで払ったんじゃないの?」

「俺クレカ持ってないんだよ」

 

 そう言われても何ら違和感は無い。10年近く行方不明だったのだ。そもそもクレジットカードの審査が通るかどうかも怪しいのだから。

 

 嫌そうな顔をしながら八雲は、ドアを開けてくれた碧と共に部屋の中から出て行った。

 

 それを見届けると、深月は席に座って他の全員は同時に神妙な面持ちになった。

 

「それで、例の話は事実なのか? 常田海斗がフォルクローを作ったのは自身の妻、つまり、碧君と八雲君の母親のためというのは」

 

 森田が早速切り込んだ。八雲がこの前深月にボソッと話し、今朝に彼が他のメンバーに話したのだ。

 

「八雲さんの話を聞く限り、事実でしょうね」

 

 深月が静かに言うと、全員が大きく息を吐いた。

 

「じゃあ、春樹さんや碧さんたちをあんな風にしたのも、あんな高い屋根を生み出したのも、多くの犠牲を出したのも、全部奥さんのためってことですか!?」

 

 圭吾が驚いた表情を見せる。こんな壮大な計画が、全てただ一人の女性のために行われているという事実が、自らの予想の域を超えていたのだ。

 

「そんなこと絶対にあっちゃ駄目ですよ……。例えどんな事情があったとしても、私情で他人を犠牲にすることが、科学であってはいけない……!」

 

 薫の顔に浮かび上がる感情は、怒りだった。彼が一連の出来事を起こした理由が、彼女の許容量を超えたようだ。

 

「……だが、もしかしたらそんなことは言っていられないのかもしれない。大切な人を失った人の悲しみは、私たちには分からないのだから……」

 

 森田の発言に、誰も何も言えなくなってしまう。

 そして部屋の中で、それ以上に会話が広がることは無かった。

 

 

 

 さて、会話の議題に上がっていた男の子供達は、それぞれの目的のために道を歩いていた。高層ビルが立ち並ぶ中にある歩道を八雲が車道側を歩くことで、内側の碧を走る車から守るようにしている。

 

「そういえば、婿殿はどっかの病院に転院したんだっけ?」

 

 八雲が思い出したように言った。歩いている間、あまり会話が無かったので苦肉の策に出たというわけだ。

 

「うん。私と警備担当者が許可しないと誰も会えないけどね。こないだはあまねちゃんと日菜太くんが来てくれたわ」

 

 そこまで警備を厳重にしたのは春樹がフォルクローである他無い。死体の状態ではなく昏睡状態の彼を連れ去って色々試したいと企む国や組織がいる可能性もある。それらから彼を守るためだ。

 

「……そうか」

 

 後少し歩けばいつもの弁当屋に到着する。その近くにあるコンビニにもだ。嫌々進めていた足ももうすぐ止めることが出来る。各々の目的のために、再度足に力を入れた。

 

 その時だった。

 二人の端末が振動を始めた。まさかと思い画面を確認する。

 

「嘘でしょ……。お昼ご飯の前に出動って……」

「ああ。最悪だな。とっとと片付けるぞ」

 

 

 

2022.03.04 12:39 東京都 品川区

 東品川の埋立地の上に、機動隊やSOUPのメンバーたちはいた。倉庫が集中するこの場所に快晴の空から赤いカーテンが降りてきている。

 報告によれば、後5分程で現れるらしい。しかも、11体もだ。

 

「まさか、11体も出て来るだなんて」

 深月が碧の買ってきたハムとレタスが挟んであるサンドウィッチに齧り付きながら言う。

 

「お二人とも大丈夫ですかね?」

 同じ種類のサンドウィッチを貪りながら圭吾は二人の心配をする。

 

「我々がしっかりバックアップをすれば問題は無い」

 森田は二人の心配と共にペットボトルに入った烏龍茶を胃の中に流し込んでいった。

 

「こんな時春樹さんがいてくれたらな……」

 薫がたまごサンドを頬張って言った。

 

 

 

────────────

 

 

 

「全員が各々の発言を後悔することになったのは、ここから少し経ってからでした」

 

 経緯を話す深月の顔が徐々に暗くなっていく。その表情の変化を一条は見逃さない。

 

「どうされました? 少し休憩されますか?」

「……いえ。続けましょう」

 

 気を遣う一条に取り繕ったような笑顔を見せる深月。

 だがもう幾度となく誰かの笑顔を見てきた一条にとって、それが作り笑いであることなど明確であった。それでも一条は仕事のために続けなければならない。

 

 話は再び紡がれ始めた。

 

 

 

────────────

 

 

 

「10体が何よ。10人相手に戦ったことあるし」

「まぁ確かに。父さんとその仲間に比べたら楽かもね」

 

 顔を見合って笑みを浮かべる二人。最早この二人に怖いものは無いと言ったところだ。

 

 するとその時。

 

「こんにちはーっ」

 

 右の奥から男性の声が聞こえた。見るとそこに立っていたのはアールたち三人だった。アールはいつものスーツの上から茶色いポロコートを着ており、フロワは薄ピンクのファーコートで全身を隠している。最後のピカロは迷彩柄のM-65を上に羽織り、下にはジーパンを履いている。

 

「おい、何しに来た?」

「ちょっと、皆さんにお見せしたいものがありまして」

「「?」」

 

 するとアールの両端にいたフロワとピカロは一歩前に出ると、フロワは左の、ピカロは左の袖を捲った。よく見るとフロワの左手首には碧たちと同じ黒い腕輪が、ピカロの左手首には見たことの無い腕輪が着けられている。

 ピカロの腕輪はネクスチェンジャーと同じくらいの大きさだが、ダイヤルやスロットは付いておらず、ただ黒いだけだ。

 

「それは、何?」

「P-2-Pシステムの完成形。だってまだ貴方、四つ目の機能を紹介していなかったでしょ?」

「だから、僕たちが先に作って見せてあげようと思ったんだ。まぁ、()()()()()()()()()()()()()()けど」

 

 フロワは1枚のカードを取り出した。碧たちが使っているようなものと同じで、ポップな文字で「KAMEN RIDER PEERS」と書かれており、下部には「Froid」と印字されている。

 そのカードを黒い腕輪にかざした。

 

『NEX CHANGER, Peer-to-Peer mode』

『CONNECTED』

 

 フロワの手首にネクスチェンジャーが出現すると、ピカロの腕輪が縁を虹色の発光させながら音声を鳴らした。

 

 そしてフロワはもう1枚のカードを取り出した。左側にはピンク色の戦士が、右側には水色の戦士描かれており、下部には「KAMEN RIDER PEERs」と書かれている。

 そのカードをスロットに装填した。

 

『"PEERS" LOADING』

 

 腕輪を回してオレンジ色の面に合わせる。

 

『CHANGE』

 

 金属がぶつかり合う音に似たものが流れると、フロワの周りをピンク色の、ピカロも周りを水色の正方形が取り囲んだ。見ると天面に付けられたパイプ同士が繋がっている。

 

 その中でピカロは時計回りに一回転し両手を広げるポーズをとる。一方のフロワは左手を口元まで挙げ、ネクスチェンジャーの側面に軽く口付けをした。

 

 そして二人は同じ言葉を発した。

 フロワは静かに。

 ピカロは楽しそうに。

 

 

 

 

 

「「変身!」」

 

 彼女はダイヤルを押し込んだ。

 

『Here we go!』

 

 その後の手順としてはほぼ碧たちと同じだ。まずフロワの正方形の中に煙が充満すると、その煙はパイプを伝ってピカロの正方形の中に入り込んでいく。両方の中に煙が満ちた瞬間、複数の影が人影に合わさって正方形は破裂。煙は外へと逃げていった。

 

 煙の中から現れた2人の戦士の姿は、まるで色違いのアクトだった。同じような楕円形の目を持っているが、目の色はフロワの方はピンク、ピカロの方は水色となっている。さらに鎧の色は銀色から銅色に変色していた。

 

『This is RIDER SYSTEM of next generation. We’re KAMEN RIDER PEERs! It’s reused as like heavy rotation.』

『Connect completely.』

 

「へ、変身した!? しかも、片方は何も操作していない……!」

 

 驚く碧の前で、変身した二人は仮面の下で笑みを浮かべる。

 

「これがP-2-Pシステムの最終形。私が仮面ライダーピアA、ピカロが仮面ライダーピアB。二人合わせて仮面ライダーピアーズ」

 

 フロワ、否、仮面ライダーピアAは高らかに自身らの名前を宣言した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Q: Why were they glad?

A: Because they have become being able to transform.

*1
「ハロー!プロジェクト」に所属する日本のアイドルグループ。




【参考】
東京の過去の天気 2022年3月 - goo天気
https://weather.goo.ne.jp/past/662/20220300/
警視庁と警察庁の内部、ホントのところ
https://www.fbijobs.jp/police/keisityou-keisatutyou
監察官 - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%e7%9b%a3%e5%af%9f%e5%ae%98
BEYOOOOONDS
https://ja.wikipedia.org/wiki/BEYOOOOONDS
【2022-2023年】大人女子のための冬コーデ40選 |ファッション通販 d fashion
https://dfashion.docomo.ne.jp/static/cont/id_lpCODE08
色々なパンツの種類(118種)や名前の一覧(イラスト付)|ファッション検索 モダリーナ
https://www.modalina.jp/kind/pants.html
【コートの種類】メンズのコート&アウターおすすめ10選|The Style Dictionaly
https://www.uktsc.com/thestyledictionary/mens_coat_style
コートの種類を徹底解説!シーン別レディースコートの選び方 - &mall
https://mitsui-shopping-park.com/ec/feature/ladiescoat

そう言えば、椎名夫妻とSOUPのメンバーの出会いを書いていなかったのですが、読んでみたいですか?

  • 本編で読みたい。
  • スピンオフ形式で読みたい。
  • どっちでも読んでみたい。
  • そんなに読みたくない。
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