シーズン2終了まで残り5話です。どうやって締めようか……。
感想等いただけると筆者の励みになります故、何卒宜しくお願いします。
【歌詞使用楽曲】
モーニング娘。 - そうだ! We're ALIVE
(作詞:つんく)
【イメージサウンドトラック集】
https://open.spotify.com/playlist/23xA5ZAHZfdUR77F4JZ9lB?si=07c60fc3a3934b45&pt=97747cf874e1c0b08fb8e40c52da1ec2
2022.03.05 14:24 東京都 中央区
愛情で包んであげたい
いくつになっても WOW 青春だよ
GO! GO! GO! GO!
We're ALIVE
いつものフレーズを口ずさみながら一歩ずつ前進をするリベードの姿を、春樹は虚な目を使って見つめていた。
慈愛に満ち溢れた彼女であるが、今の彼にとっては最早獲物としか認識出来ないらしく、カードをトランスフォンに挿し込んだ。
『"ACT" LOADING』
「……変身」
『Here we go!』
黒いアクトに変身を遂げた春樹。彼もリベードと同じくらいの速さで足を進める。
2体の獣が着々と一歩踏み出す光景を、全員が動きを止めて見守る中で、二人は脚を速めて向かって行く。
そして、けたたましい雄叫びが上がって戦いは始まった。
リベードの右の拳が前からぶつけられようとしたが、アクトは自身の左手で受け止めながら引き寄せられ、腹部に右膝で蹴りを入れられてしまう。さらに右手で左の頬を殴られ、後ろに倒れ込もうとしてしまうが、地面につく際に体を回転させその勢いで立ち上がる。
今度はアクトが走り出し両腕を振り上げて下ろし、着けられた2つのカッターで切り裂こうとする。するとリベードはなんとその攻撃を何もせずに両肩で受け止めた。減り込んだ刃を外した瞬間、彼女の両肩から赤い血が勢いよく吹き出し、後ろの方に狼狽えてしまう。
その隙を見逃さず、アクトはリベードを押し倒して馬乗りになり、彼女の顔面を右手で何度も殴打した。首を前から左手で掴んで離そうとするが、それでも攻撃は止まない。
殴られる度に口から赤い霧を出しながらも、リベードは彼が殴る前に一瞬隙が生まれることを見逃さなかった。隙が生まれた瞬間にリベードは右足の踵に鋭利な突起が着けられ、まるでハイヒールのような形となる。それをアクトの腹部に刺し込むと、彼は腹部から血を出しながら後ろに吹き飛ばされた。
地面に着いた両足がブレーキの役割を果たし、暫く滑った後で体を落とす形で停止した。
だが体を落としたのは止まる為ではない。徐々に力が抜けていっているのだ。先程に比べて込められる力の最大値が低くなっているような気がする。攻撃を仕掛けていた側である自分が、攻撃を仕掛けられた側と同じくらいに弱っている。目の前の彼女の能力に、本能的な恐怖を覚えてしまった。
だが本能は同時に、ここで戦わなければ殺される、と彼を掻き立てた。否が応でも体は動き、前へと全身を始める。
その場で高く跳んだアクトは空中で一回転、落ちる勢いを利用して右足で飛び蹴りを食らわせようと目論んだのだが、リベードは左手でそれを受け止める。威力が凄まじいために、立った状態のままで後ろに引き摺られてしまうのだが、体勢は一切変わらない。
そして左手を下に引き落とすと、落ちていくアクトの胸に右手で強烈なパンチをお見舞いし、逆に吹き飛ばした。
ネクスパイとゲンムは二人の戦いを茫然自失として見ていた。死闘ではあるのだが、何も考えていないというわけではないようなのだ。一心不乱に何かを求め合うように見えるその戦いを眺めていた彼らであったが、
「何処見てるの!?」
クウガが二人の胸部を叩いたために正気に戻った。こちらの戦いは再び始まろうとしているらしい。
すると、
「オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛!」
突然リベードが上を向きながら両手を広げて凄まじい音量の叫び声を響かせた。他の者らは何が起こるのかと再び声の方向へ目をやるが、クウガは目の前の戦いに集中しているらしく、ネクスパイとゲンムを蹴り飛ばした。
雄叫びが上がる間、アクトやクウガたち四人の上に大きな水色の円が現れた。アクトは上空の円に気を取られているが、他の三人は戦いに夢中になってまるで気が付かない。
次の瞬間、その円から
重たいコンクリートの塊が落ちたことによって大きな水飛沫が上がり、機動隊員たちは目の前の対象たちがどうなっているのか全く確認出来なくなってしまう。
水が全て落ち、目の前が視認出来る状態までになると、ようやく状況が把握出来た。
橋の向こう側にいるのはリベードと、変身を解かれた春樹だけだ。所謂お姫様抱っこの状態で春樹のことを抱き抱えている。そっちの方へと向かおうとしたい機動隊員たちであるのだが、彼らが向かうための橋が殆ど決壊しており、大きな溝が彼らの行手を阻んでいる。
「彼をこっちに渡してください!」
機動隊の隊長がメガホンを使ってリベードに呼びかける。ゴクリと固唾を飲んで他の隊員たちは銃や盾を握り締める。
だがリベードは一切の素振りをしない。
「彼をこちらに手渡してくれれば、貴女には何も手を出しません」
「貴女には」。その言葉にどうやら彼女は引っかかったようだ。
つまり自分には手を出さないだろうが、やはり彼は無事では帰さないらしい。
何か言葉のあやであっても、その発言を彼女が許す筈がなかった。
リベードは春樹を抱き抱えている右手を握り、人差し指だけが前に向いている状態にした。
すると彼女の前に一本の横に長い青色の線が現れて、そこから何本もの針が飛び出して来た。
先程起こった橋の決壊を見ていた隊員たちは盾を少し上げて身を防ごうとする。それにどれだけの効果があるのかは定かではないが、こうするしかないのだ。
だが真っ直ぐと迫って来ていた針は彼らの眼前で突如として停止。向きをくるりと変えて、橋の上にぶつかった。
橋が壊れるまでの威力は今回は無かったが、代わりに煙が起きて再度前が見えなくなってしまう。
淡い煙が晴れた際に見た時、二人の姿は全く無くなってしまった。見渡してもどの方向に行ったかを示す手がかりは無く、曇りきった白い空が一面を覆っているだけに過ぎず、聞こえてくるのはせせりたつ波の音とサイレンだけだ。
全員、目の前で起こったことの全てが現実か否かを疑い始めた。
自身らの信頼する仲間が二人とも遠ざかっていってしまう。そのなんとも言えない焦燥感が彼らの胸の中に残った。
だがそれはただ負の出来事だったというわけではない。むしろこれからを模索する上で非常に重要な出来事であると、内数人は考えていたのだ。
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2022.03.05 14:52 東京都 中央区
「いや〜、大変な目にあった」
八雲が首に巻いた白いバスタオルで頭を拭きながら遊撃車の中に入ろうとしたが、自身の体が濡れているのを思い出して、ドアを開けて顔を見せるだけにする。
あの後、八雲は川の中から発見されて救助されたが、クロトとリクは発見されなかった。きっと隙を見て逃げたのだろう。
「それにしても、碧さんはどうしてSATを攻撃したんでしょう?」
「春樹さんを引き渡せば、殺される可能性がある。そう思ったんでしょう」
「まぁ、あそこで逃げたのは得策だろうな」
圭吾と薫がパソコンのモニターを見つめながら言った後に、八雲が発言を加える。
二人が見ているのは先程のアクトとリベードの戦いを防犯カメラから撮った映像だ。拡大したり何かのデータと照らし合わせたりしているが、どうやら何も有益な情報は得られていないらしい。
「……本当に得策か?」
いきなり森田が発言をしたので、全員が森田の方を見る。一体何を言い出したのかと不思議に思いながら次の言葉に耳を傾けた。
「春樹君はただでさえ、今警察庁に狙われている身だ。そんな彼を守ったということは、碧君も狙われることになる。……それがどういう意味だか解るか?」
それは、碧も自身らの敵になるということを意味していた。一度想定した最悪な可能性が、2つ同時に現実となってしまったのだ。
世にも恐ろしい可能性だ。
「早急に対策を打たないと不味いですよね……」
「えぇ。本当に、不味いですよね……」
すると深月は自身の端末をポケットから取り出して車外に出た。
いつもならこういう時に取り乱してしまう彼が、今のような軽やかな行動をとったという事実に、その場の全員がよく分からない不安に取り憑かれる。だがそれを口にすることは無く、ただ茫然と深月の後ろ姿を見ていた。
さて、全員の目線を一身に背負った彼は端末を操作すると左耳に当てて誰かに電話を始めた。
「あの、ちょっとお願いがありまして──」
このやり取りで功を奏すことになるとは、この時は誰も思っていなかった。
【参考】
東京の過去の天気 2022年3月 - goo天気
(https://weather.goo.ne.jp/past/662/20220300/)
モーニング娘。 そうだ! We're ALIVE 歌詞 - 歌ネット
(https://www.uta-net.com/song/15168/)
そう言えば、椎名夫妻とSOUPのメンバーの出会いを書いていなかったのですが、読んでみたいですか?
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本編で読みたい。
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スピンオフ形式で読みたい。
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どっちでも読んでみたい。
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そんなに読みたくない。