シーズン2も残り4話となりましたところで、今回は碧推しの皆さん発狂回だーっ!
そんなわけで、感想や読了報告、評価等をくださりますと筆者の励みになりますので、何卒宜しくお願いします。
特に碧推しの方々! 書いてください! というか、書けっ!
【イメージED】
AI - 最後は必ず正義が勝つ
【イメージサウンドトラック集】
https://open.spotify.com/playlist/23xA5ZAHZfdUR77F4JZ9lB?si=07c60fc3a3934b45&pt=97747cf874e1c0b08fb8e40c52da1ec2
2022.03.08 09:13 東京都 台東区 HOTEL PILLOW 鶯谷店 203号室
ポツポツポツポツ。
音が大きくなっていくのと同時に、黒一色だった視界に段々と白い光が差し込んできた。
黒から白に変わった次は徐々に様々な色が付け加えられていき、目の前に一つの風景が広がった。
何か柔らかいものの上に横たわっている自分の目の前には、壁に付けられたカウンターテーブルがあり、その前に椅子に座った者の長く茶色い髪の毛が見えた。
「おはよう、春樹」
こちらを振り向くこと無く、優しい声色の声をかける。
朦朧としている意識の中でもその声が一体誰のものなのか、彼にはすぐに判った。
「……碧?」
「今日、3月8日なんだけどさ、昨日何の日か覚えてる?」
「……結婚記念日、だよな?」
「……正解」
ホッと一息を吐いた碧。
そんなに寝てしまっていたのか。春樹はゆっくりと上体を起こすと、まるで項垂れるように頭を下げた。そして再び顔を上げると、この部屋の全貌が分かった。
黒装束の春樹が座っているのは白いクイーンサイズのベッドで、右側を見ると壁が透明なために内部が見える風呂場がある。怪しげな暗い照明の灯るこの部屋がラブホテルの一室であることは一目瞭然だった。
カウンターテーブルにいる碧は目の前にある鏡越しに自身の旦那の姿を見ていた。愛おしそうに見つめる彼女の目線は鏡に反射し、再度顔を下に向ける春樹に向けられている。
これからまた、彼と一緒に生活することが出来る。その事実に彼女は笑みが止まらないのだ。だが肝心の春樹はまだ下を向いたままで、何も反応が無い。
すると、
「なぁ」
「?」
「……もう、お前は俺と別れた方が良い」
春樹の言葉に、碧は笑みを浮かべることを中断した。余りにも予想外の言葉に思わず振り向いてしまう。
「どういうこと……?」
「……今の俺がどういう扱いなのかは知らないが、きっと暴走した俺を普通のフォルクローとして処理したいと思うのが
語尾に近づいていくにつれて、どんどん声が細くなっていく。吐き出された声は下に沈んでいき、彼女の耳に届くのはほんの僅かしか無い。
「分かってたの? 自分が何やってたか」
「ああ。でも、体が言うことを聞かなかった……」
春樹の頭の中に流れるのは自身の起こした行動についての記憶だ。体の自由を奪われた自分が意のままに操られ、何体もの異形のものたちを倒し、遂には自身の愛する人にまでも手をかけた。
後に残ったのは自己嫌悪だけだ。状況が状況とはいえ、自分がしたことを、まず自分自身が許せないのである。
「素朴な疑問なんだけどさ、それで私が君の
驚愕した顔から、今度は呆れた様子を見せる碧。
「そうかどうかが問題なんじゃない! じゃないと──」
その時、春樹は突然立ち上がって碧の下に近づくと、碧の左手を掴んで引っ張る。そして勢いそのままに自身が横たわっていたベッドに押し倒した。押し倒した碧の上に馬乗りになった春樹は、彼女の首をこれまでに無い程の笑みを浮かべながら両手で絞めている。
力を込めた両手によって一切の呼吸が出来なくなってしまった碧だが、一切の抵抗を見せることは無い。
そして暫くしたところで気が付いたのか、春樹は両手に込めた力を抜くと、ゆっくりと離した。碧と共に呼吸が荒くなった春樹は怯えたような目で碧を見ると、何度目にもなるだろうが顔を下げた。
「……こうなるんだよ……。このままだと俺と一緒に誰かに殺される。況してや、俺にも……。そんなことがあっちゃいけない……。だから──」
すると言葉を待たずして、碧が春樹の両手を掴むと自身の顔の横に置いた。開かれた彼の指の間に自身の指を絡めて、ゆっくりと握る。
ふと碧の顔を見ると、彼女の顔は笑っていた。彼にあんなことをされたにも関わらず、慈愛に満ちた目でじっと目の前の男の顔を見つめている。
「大丈夫。私は君のいない世界に興味なんて無いし、誰かに君が殺される前に、君を殺そうとする人たちがいるなら私が先に殺す。……だから、最後まで一緒にいさせて」
怯えた表情を見せていた春樹であったが、徐々に開いた目は細まり、荒く呼吸をしていた口は徐々に閉じていって音も静かになった。
「それに、きっと君は私を殺せないよ」
「? どうして?」
「……そんな気がする」
何故か笑いが込み上げてきた。何故だかは分からない。心の繋がりあった彼らであってもだ。だが、彼らですら分からないのにも関わらず、何かを使って言語化することなど出来るわけがない。そもそも彼らは、それを言語化しようとしないのだ。
「ねぇ」
笑いがひと段落したところで、碧が春樹に話しかけた。
「多分、まだ暴走するかもしれないでしょ」
「……多分」
さっきのようにいつ彼女に危害を加えるか分からない。それに春樹は再び怯え始めたようだ。碧は彼にふと微笑みを向けて優しく語る。
「君は知らなかったと思うけど、薬物が抜けるのは、私に触っている間だけ。きっとその効果も、多分後もう少しだけ使える筈。だから──」
碧は春樹の両手を握る自身の手の力を徐々に抜いていき、指を開いた。こうして春樹の両手の自由がきくようにする。
そして、これ以上無い程の笑みを浮かべて、じっと彼を見つめた。
「好きにして」
その瞬間、春樹の中で何かが外れた。
それから、男は肉を貪る獣となり、女はただ欲を受け止めるだけの玩具と化したのだ。
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2022.03.08 11:56 東京都 新宿区 SOUP
「今室長が交渉中だが、
森田が自身のデスクで深刻そうな表情を浮かべながら発表をした。
だが他のメンバーの反応は驚きというよりも、「やっぱりか」という寧ろ納得に近いようである。けれどもその「納得」というのは、二人に対する対応が適当であるということでは全くなく、上層部はそうするだろうとは思っていた、というものだ。
「俺が大野花奈から貰った情報が確かなら、碧は別に暴走もしていないし、婿殿ももう正気に戻った筈だ」
実は先程、花奈から八雲に向けてメッセージが届いたのだ。自分が彼女に送ったカードについての説明や設計図に加えて、「後は宜しく」という謝辞も加えて。
「ということは、春樹さんと碧さんをどうにかする必要は無いってことですよね。それなら、室長の交渉も上手くいきますよ」
薫が嬉しそうな声を上げる。
「えぇ。ですが、問題はお二人とどうやってコンタクトを取るかです。多分、僕たちの会話も何処かで盗聴されている筈ですから」
圭吾が指摘をした通り、春樹と碧が一番最初に接近をしそうなのは、家族であるあまねか、このSOUPのメンバーたちのいずれかに絞ることが出来る。それを考えた警察庁側が、恐らくは自分たちの会話を盗み聞いているのではないかと考えたのだ。
「……僕に考えがあります」
突然深月が挙手をした。昨日の不審な動きを見た彼らにとっては充分に怪しく思えてしまうが、今は頼れるのが彼くらいしかいないのは周知の事実であった。
「何だ? その
すると、突然深月の端末が震えながら音を鳴らした。木琴が奏でる可愛らしく癒される音楽である。深月が電話に出ると何故だかすぐにドアを開けて外に出て行ってしまった。
流石に不審すぎるために、森田たち他の班員もそれに着いて行き、一緒にエレベーターに乗車をした。だが深月は嫌そうな反応を一切見せることは無い。これでこちら側の不利益になるようなことではないと悟ったのだが、それでも彼の訝しんでしまう。
エレベーターが地上に着くと、そこで待っていたのは一人の男だった。白い作務衣と和帽子、そして眼鏡を身につけた、いかにもな蕎麦職人の風貌をした男である。その手には桶が握られていて、幾つもの黒い箱が入っている。
「出前お持ちしましたー」
「ご苦労様です。これ、お願いします」
深月は男に分厚い茶封筒を渡し、それと引き換えに男は桶に入った箱を深月に渡した。一人で全部を持つのは彼の負担になってしまうと考えた他四名は、一人一つずつ深月から受け取って持つ。
「毎度有り難うございます」と一礼をして、男は去って行ったのだ。一体全体何が起こったのか解らずに混乱する同僚の方を振り向き、深月は言い放った。
「お気づきですか? もう作戦は始まってますよ」
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2022.03.08 17:21 東京都 台東区 HOTEL PILLOW 鶯谷店 203号室
「「ふぅ。さっぱりした〜」」
バスローブに着替えた春樹と碧が満足そうな顔でベッドに横になる。
あの後、何度も何度も互いを求め合った結果、春樹は完全に正気を取り戻した。さらには一緒に風呂に入って体を洗い合った始末である。
「あ、そういえば。お前、着替えとかどうするの?」
春樹の指摘の通り、二人は着替えを持ってきていない。急にこのホテルに逃げ込んで来たからだ。近くのコインランドリーで洗うという手もあるのだが、それで見つかってしまう可能性だってある。
「大丈夫。
「え?」
「え? 忘れたの? 私たちには、自慢の子どもがいるでしょ」
その時、ドアが3回ノックされた。インターホンがあるのにどうしてとも思った春樹であったが、碧はノリノリでドアの方に向かって開いた。
そこに立っていたのは、あまねだった。赤いコートに身を包んだ彼女は部屋の前で若干震えていたが、母親の顔を見て安堵したようである。
碧に案内されるままに中に入ると、視界に入ったのは自身の父親だった。
それを見た彼女は、
「! パパーっ!」
思いっきり走ってベッドに横たわっているベッドに飛び込んだ。そして春樹の右腕に抱きつきながら、満足そうな顔を浮かべながらも両目から涙を浮かべている。
「良かった……。ホントに良かった……」
すると碧は奥の方で何だか嫌そうな顔を見せると、
「あまねちゃんだけズルいっ!」
と同じようにベッドに沈み込んで、春樹の左腕に自身の両腕を絡めた。
「……ようやく、家族三人揃ったね」
嬉しそうな声を出すあまね。釣られて春樹と碧も思わず笑みを浮かべた。
久々の家族の集合。それが何よりも嬉しくてならない。
碧とあまねは絡める両腕を強くし、春樹は拳の力を適度に抜いていく。
だが、
「あ、そうだ」
突然春樹が声を出して上半身だけを起き上がらせると、彼の両腕が離れてしまったために両端にいた乙女二人が不服そうな顔をする。
「二人に頼みがあるんだけど」
「?」
「何?」
「ちょっと、やってもらいたいことがあって……」
【以下、提出されたデータより抜粋】
あまね:え? パパまた入院するの? しかもママも!?
春樹 :ああ。再検査で引っかかっちゃってさ。
碧 :私も、人間ドッグに引っかかったから、検査入院って形。
あまね:いつ? それ。
春樹 :俺は16から23までの予定。
碧 :私は22から31まで。だから家のこととかよろしくね。
あまね:任せて! それくらいばっちりだから!
(全員で笑う)
それ以降は雑談
新型未確認生命体の残り総数
そう言えば、椎名夫妻とSOUPのメンバーの出会いを書いていなかったのですが、読んでみたいですか?
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本編で読みたい。
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スピンオフ形式で読みたい。
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どっちでも読んでみたい。
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そんなに読みたくない。