仮面ライダーアクト   作:志村琴音

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第62話です。
八雲と花奈の関係を描くのがかなり難しかったです。
感想や読了報告等くださると筆者の励みになりますので、どうぞ宜しくお願いします。特に評価を頂きたいですっ!



【イメージサウンドトラック集】
https://open.spotify.com/playlist/23xA5ZAHZfdUR77F4JZ9lB?si=07c60fc3a3934b45&pt=97747cf874e1c0b08fb8e40c52da1ec2


Question062 Why wasn’t he cooperate with her?

2022.03.22 12:33 東京都 杉並区 杉並区立杉並公園

「最初に言っておくけど、私、かなり強いから」

 

 中々に痛い台詞を言い放ったゼロノスに向かって、プレイヤーが羽根を使って飛びかかってきた。だがゼロノスは自身の大剣で思いっきり腹部に斬りつける。そのために着地に失敗して倒れ込んだ。

 さらにエボリューションが真っ直ぐと走って襲いかかるが、最早武器を使わずに腹部を思いっきり蹴って後ろに飛ばした。

 

 どうやら大口を叩いただけではないようだ。彼女の実力がそれを体現している。

 

 龍の化け物が再度彼女に襲いかかり、今度は両手に着いた鋭い爪で引っ掻こうと試みる。ゼロノスはスキップをしながら後ろに避け流す。

 するとエボリューションの体から先程と同じように火花が散った。見ると横から烏の怪人が人差し指から弾丸を放ったらしい。その隙にゼロガッシャーを使って化け物の体を突いた。

 

 後退したエボリューションは流石に不味いと思ったのか右手を地面に叩きつけると、そこから大きな火柱を立て始めた。火が治ったところでその場所を見ると、龍の怪物は姿を消していた。

 

 消えたか、とその場所を見つめているゼロノスの背中に、これ以上の好機は無いとプレイヤーは飛び上がって背中に蹴りを入れようとした。

 だが彼女は決して甘くない。振り返って怪物の右脚を掴んで投げ飛ばし、自身の方に投げ飛ばされたものを烏の怪人は横に殴り飛ばした。

 

 もうここまで来たら一切の勝ち筋は無くなってしまった。プレイヤーは自身の羽根を大きくして飛び立とうとする。

 

 それをゼロノスは見逃さなかった。

 

「デネブ!」

「了解!」

 

 デネブと呼ばれた烏の怪人は突如として姿を変形させて、ゼロノスの右手に収まった。

 

「「「ええええええええ!?」」」

 

 他の三人は目の前の光景に驚きを隠せない。自身らも先日これと同じようなことを起こしたにも関わらず、だ。

 手の中にあるデネブは今や1丁の銃──デネビックバスターとなっていた。金色の指は10個の銃口となり、上部にはスロットが付いている。

 

 するとゼロノスはベルトにある黒いボタンを押した。

 

『Full charge.』

 

 ベルトの受け皿の中にあるチケットを取り出してデネビックバスターのスロットに挿し込んだ瞬間、プレイヤーは上空へとゆっくり飛び立とうとする。

 それを許さないゼロノスは銃口を怪物に向け、引き金を引いた。10個ある銃口からは怪物に向けて真っ直ぐとビームが飛び出し、標的に命中。宙空で爆発が起こって黒焦げになった死体が地面に落っこちる。

 

「後は、貴方たちの仕事でしょ?」

 

 ベルトを外して変身を解除し花奈の姿に戻ると同時に、手元の銃も元の人型に戻った。

 

 ハッとした春樹がトランスフォンにカードをかざす。

 

『THE END OF VOLKLOW』

 

 死体に向けてレンズを向け、シャッターを切る。

 

『Have a nice dream.』

 

 彼の前に現れたカードを手に取って絵柄を確認する。

 一本のバイオリンの周りを無数の蝙蝠が飛んでおり、その上から数本の鎖がその様子を隠している。下部には「No.068 PLAYER KIVA」と印字されていた。

 

 三人と花奈は互いに見つめ合う。突如として変身を遂げ、その力を見せつけた彼女に驚きが隠せないのだ。

 

「何しに来たんだ、お前」

「……貴方たちに協力しに来たの」

 

 ニヤリと笑みを浮かべた花奈を春樹たちが睨んだ瞬間、木の上にかかっていた雪が落ち、その木は白色を無くして木の枝だけが見えるようになった。

 

 

 

────────────

 

 

 

2022.03.22 13:16 東京都 新宿区 SOUP

「俺はデネブ! で、こっちが俺の開発者の大野花奈! みんな、花奈ちゃんを宜しく!」

 

 あの戦闘力とは裏腹にかなり温厚であるデネブは、手に持った籠の中から何かを取り出して椅子に座る全員に「どうぞ」と言いながら配り始める。

 配られたのは所謂ペロペロキャンディーだった。大きな丸い飴にはデネブの顔と「でねぶきゃんでぃ」の文字が印字されている。

 

 一方の花奈は部屋の角で班員たちを見つめながらペットボトルの水を少しずつ飲んでいく。口から離してふと息を吐くとほんの一瞬だけ笑みを浮かべた。

 

「あの」

「?」

 

 深月がデネブに話しかける。

 

「デネブさん、って、フォルクローなんですか? 怪人態にしてはどうして喋れるのかなって」

「ああ。俺はロボットですよ」

 

 デネブが当たり前のように言った言葉に全員が驚く。特にその手に精通している圭吾と八雲がだ。

 

「いや、でも、あんな小型の銃に変形出来るって、そんなの、ありえないじゃないですか!」

 

 圭吾が自身の想像の範疇を超えていた現象に対する指摘をする。それに答えたのは、同業者でありこのロボットの開発者でもある花奈であった。

 

「メモリアルカードの力を使ったの。あれを吸収させれば既存の物理法則では到底計り知れないような現象を起こせることは、取り扱っている貴方たちも分かっているでしょう?」

「何枚融合させた?」

 

 同じく端に置いてある丸テーブルの前で、八雲と向き合うように座っている春樹が訊く。

 

「3枚。本当は、時空を自由に行き来出来る電車を作るだとか、他のフォルクローの身体(からだ)を乗っ取れるようにするとかっていう案もあったんだけど、流石にどれも現実離れし過ぎていたから却下しちゃった」

 

 そう考えてみれば、変形して小型の銃になる方が浮世離れしてはいないのか、と全員は何故か納得してしまう。長年の経験というものの恐ろしさを改めて理解出来たような気がした。

 

「ところで、あの二体のフォルクローについて、何か分かったか?」

 

 森田がキャンディーの袋を取り外し、牛乳と砂糖の甘さを堪能しながら問う。

 同じくキャンディーを舐め始めた薫が端末を操作すると、モニターに先程の二体の様子を収めた映像が映し出され、それに合わせて解説を始めた。

 

「まずエボリューションですけど、奴は時間が経つにつれてどんどん変化を続けていくので、早めに倒すのが得策です。次にウェアリングなんですけど、見ての通り両手で対象物を何処か別の空間に移動出来るみたいです」

「囚われたあまねちゃんと日菜太くんを取り戻す方法は模索中ですけど、どうすれば良いのかは皆目見当がつかないですね……」

 

 圭吾の言葉で全員が頭を抱える。

 するとここで口を開いたのは、花奈であった。

 

 

 

「だったら、誰かがあの中に吸い込まれれば良いでしょ」

 

 まさかの提案に全員が彼女の方を向く。

 

「おい。お前、今何て言った……?」

 

 八雲が俯きながら言う。

 

「だから、誰かがあの中に入って、取り戻せば良いでしょ。どうなるかは知ったこっちゃないけど」

 

 突然、八雲が立ち上がって花奈の前に立った。そしてその目で真っ直ぐと花奈を睨みながら、右手で壁を殴りつけた。彼女の左耳の真横で大きな音がしたが、表情ひとつ変えることは無い。

 

「ふざけんなよ……。お前、いつもそうじゃねぇか。人のことは顧みずに自分の都合の良いように事を運ぶ。それでグアルダを作った結果どうなったのか分かってるだろっ!」

「分かっているわよ。けど()められないの。……自分にどこまで想像力があって、それを今の技術でどれだけ実現出来るのか、楽しみたくて仕方が無いの」

「! お前……!」

 

 全く自身の姿勢を崩さない花奈に苛立ちが隠せない。

 

「まぁまぁ二人とも、落ち着いて!」

 

 もう少しで手が出そうになったところで、デネブが仲介に入った。左手で彼の右肩を掴んで自身の主から離そうとする。だがその勢いがあまりにも強すぎ、八雲は軽々と投げ飛ばされてしまった。

 その体を春樹は受け止め、彼に呆れた様子で声をかけた。

 

「ちょっと着いて来い」

 

 さらに碧も自身の席から立ち上がって花奈に声をかける。

 

「ちょっと良い?」

 

 

 

 

 

2022.03.22 13:25 東京都 新宿区 Stock Store 四谷三丁目店

 花奈が連れて来られたのは、近くにあるコンビニであった。中に入っているイートインスペースで並び合って座りながら、店内で買った食品で昼食をとっている。碧が食べているのは数種類のおにぎり、花奈が食べているのはベーコンとアスパラガスの入ったペペロンチーノだ。

 

「……どうして貴女は、そんなに研究にのめり込んだの?」

 

 碧が食事をする手を止めて、左隣にいる花奈に優しく問いかける。すると花奈もプラスチック製のフォークを持った左手を止めた。

 

「自分でも分からないの。どうしてあんなに人を傷つけるくらいにやっていったのか。多分、それくらいしか私を満たしてくれるものが無かったから」

 

 再度手を動かして麺をフォークに絡ませて口の中に含む。3種の異なる食感をよく味わってから呑み込み、目線を碧に配ることは無いまま言葉を続けた。

 

「貴女だって腹の底は煮え繰り返っているでしょ? 私が作ったもののせいで、旦那があんなことになったんだから」

 

 テーブルの上に置いてあった小さなペットボトルを取って、中に入った烏龍茶に少しだけ口をつけて机上に置いた。その目は雲で覆い尽くされた空を見ており、それ以外に何の偏屈も無いことに飽き飽きとしているようであった。

 

 だが、

 

「そうね……。でも別に怒ってはいないよ」

 

 想定外の答えに花奈は思わず碧の方を向く。

 

「勿論、春樹をあんな目に合わせたことは許せないけど、なんとなく貴女のことは信じることが出来る。だって、お兄ちゃんが選んだ人だから」

 

 笑顔で言い放つ彼女に、何処か嘗て自身の愛した男の面影を感じてなんだか可笑しくなってしまう。だがそれを上手く顔には出さず、ただ口角を上げるだけにしてじっと碧の顔を見つめていた。

 

「お願い。今だけでも良いから、お兄ちゃんの言うこと聞いてくれない?」

 

 碧の言葉に、花奈はただ頷いた。

 

 

 

 

 

2022.03.22 13:32 東京都 新宿区

 一方の八雲が連れて来られたのは、SOUPの入り口となる廃ビルの1階だった。春樹は自動販売機で缶コーヒーを買って八雲に1本渡し、同時に栓を抜いて一口つけた。

 

「あのさ、どうしてアイツと別れたんだよ」

「どうした急に」

「いや、なんとなく。あれか? さっきみたいな理由か?」

 

 春樹の指摘に口をつぐむ八雲。先程の行動で殆どを表してしまったので何も言うことが無くなった、というよりもそれ以上の何かを隠そうとしているかのようであった。

 誰も何も圧をかけているわけではないのだが、八雲は溜息を吐いてから重い口を開いた。

 

「まぁ、さっきのもあるけど、それ以上に自分と殆どが正反対だった。研究の内容もそうだったけど、例えば、俺がモー娘。派なのに対してアイツはAKB派だったし、俺が好きなものの大体が彼女は嫌いだった……。要は、何もかもが違っていたんだ」

 

 再度コーヒーを飲む八雲。もう半分も無くなった中身のせいで段々と軽くなっていき、その手はまるで空虚を握っているかのようである。

 

「どうすれば、彼女を受け止められるんだろうな……」

 

 俯きながら呟く。彼の横顔を見ながら春樹はふと口角を上げ、彼に言葉をかけた。

 

「……別に受け止める必要は無いだろ」

 

 八雲は思わず彼の方を向いた。だが気にせず春樹は言葉を続ける。

 

「全員の考えや意見を聞き入れる必要性は全然無いだろ。それは別に義務じゃないし。ただ、聞いてやれば良いだけだろ」

 

 春樹も同じように缶コーヒーに口をつけて一気に飲み干した。

 

 すると音を立てながら扉が開いた。見ると碧と花奈が一緒になって入って来ている。

 互いの顔を見合った八雲と花奈はすごく気まずそうな表情を見せた。だがこのままではどうにもならないと思ったのか、先に花奈が口火を切った。

 

「……ごめんなさい。……最大限、誰も傷つかない方法を選ぶから……」

「……いや、こっちも悪かった。いきなりあんなことして……」

 

 申し訳無さを隠し切ること無く出す二人の様子を見て、春樹と碧は微かな笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

 さて、その他全員はと言うと、デネブが淹れてくれた緑茶を飲みながらゆったりと四人の帰りを待っていた。渋みが殆ど無く甘味だけが感じられる緑茶を飲む班員に対して、入り口の前に立っているデネブが謝る。

 

「本当にすまない!」

 

 突然謝り出したデネブに驚く全員。

 

「あんなこと言った花奈ちゃんだけど、本当はみんなのこと思ってくれる優しい()だから!」

 

 するといきなりドアが開き、デネブに激突した。痛みに悶えるデネブの後ろから、花奈を先頭に四人が入室する。その顔が先程よりも晴れやかなものになっていることを誰も深く追及せず、まずは森田が言葉をかけた。

 

「で、どうやってあの二人を奪還する?」

「あの二人は今、恐らくアイツの体内じゃなくてアールたちの普段いる空間に連れて来られている。そこに頑張って行くしかない」

 

 花奈の発言に全員が焦りを覚えた。言ってしまえば敵の本拠地に彼らは連れて行かれてしまったのだ。下手をすれば何も出来ずに終わってしまう可能性が高い。

 

「そっちに行くことって出来ないんですか?」

 

 圭吾の質問に今度はデネブが答えた。

 

「それは無理だ。あっちの世界に行くことはフォルクローしか出来ないし、アクセス出来る人間は誰かが管理しているから、他の人たちは入れない。ましてや、彼らを裏切ったことになる俺たちもだ」

 

 最早打つ手無し、と言ったところか。

 だがそこに一筋の光を灯したのは八雲であった。

 

「いや、だったらコイツの言う通り、誰かが吸い込まれれば良いんじゃないのか?」

 

 まさかの発言に一同は驚愕する。それを良しとしなかった彼が容認することが何よりの驚きなのだ。最初に発言した花奈ですら彼の方を見て目を見開いている。

 

「それしか方法が無いんだろ。やるしか無いだろ」

「……そうね。じゃあ俺が吸い込まれる」

「私も。娘が囚われたのに、黙って見ているわけにはいかないから」

 

 立候補したのが春樹と碧だったために全員が安堵した。彼らならばなんと無く安心出来るのだ。

 

 すると碧が、

 

「じゃあ、いつものやつ、やっておきますか?」

 

 と言って自身の左手を前に出した。それに春樹と八雲が自身の手を重ね、花奈とデネブも大体察して同じように重ね合わせる。だが他の座っているメンバーたちは「そこに集まると狭いので」と一切立ち上がること無く、その場で腕を前に伸ばすだけであった。

 

 そして全員が息を合わせて掛け声を出した。

 

「皆さん、出番です」

「「「「「「「「うぇーい」」」」」」」」

「おぉーっ! ……?」

 

 いつものように気怠い声で手を下げた全員に対し、デネブは全くそれを予想出来ていなかったらしく、大きな声を出しながら右腕を挙げた。戸惑う彼のことは一切気にすること無く、全員は自身の仕事に取り掛かろうとする。

 

 その時花奈が圭吾の横に来て、彼に話しかけた。

 

「? 何ですか?」

「貴方に作って欲しい物があるの」

「……え?」

 

 その様子を前から薫が睨みつけていたことは、言うまでも無い。

 

 

 

────────────

 

 

 

2022.03.23 10:10 東京都 足立区

 そこは大きな工事現場であった。コンクリート製の太いパイプや木材が置かれた場所の中で、2体の化け物と4人の人間とその仲間である1体のロボットが睨み合っていた。

 

「それじゃあ、俺が誘導するから、後は頼んだ」

「分かった」「オッケー」

 

 八雲がカードを腕輪にかざし、ネクスチェンジャーを左手首に出現させて一歩前に出る。花奈も腰にベルトを巻いてデネブと共に八雲の隣に立った。

 

「花奈ちゃん、本当に大丈夫だよね?」

「ねぇデネブ」

 

 花奈は自身の僕を睨みながらチケットを取り出す。

 

「私の元カレが、ヘマするとでも思ってるの?」

 

 彼女の発言に思わず吹き出しながらも、八雲もカードを取り出してスロットに挿し込む。

 

『"NEX-SPY" LOADING』

 

 八雲がダイヤルを回したのと同時に、花奈がレバーを押すと音楽が流れ始めた。

 

「「変身!」」

『Let's go!』

『Charge and up.』

 

 二人の体がオレンジ色と紅色の戦士へと変化していく。各々が武器を取り出した瞬間、2体の化け物が彼らに襲いかかってきた。

 

 エボリューションが変貌した両手でゼロノスを引っ掻こうとする。それをデネブが防ぎ、ゼロノスがお返しとしてゼロガッシャーで体に斬りつけた。

 だが今の奴には全く効き目が無いようであり、彼女の大剣を左手で掴んで引き寄せ、右手で彼女の顔面を殴りつけた。

 

「ッ!」

 

 後退するゼロノスの代わりにデネブが前線に立ち、その強固な肉体を使って攻撃を仕掛ける。実力はほぼ互角らしく、互いに一歩も譲らない。

 デネブが両手の人差し指から弾丸を放ち、相手が怯んだ隙にゼロノスがデネブの背中を踏み台にしてジャンプ。思い切り大剣を縦に振った。

 

「ハァッ!」

 

 一方のネクスパイはウェアリングと戦っていた。とは言っても別に倒すためにではない。寧ろ倒してはいけないのだ。

 怪人が出してくる拳や蹴りを避けながら、スタンガンを使ってダメージを徐々に与えていく。致命的なものは与えること無く、あくまでも動きを封じる程度の威力でだ。

 

 すると怪人は両掌を前方に見せた。どうやら彼を吸収しようとしているらしい。

 

 それが合図であった。

 

「今だっ!」

 

 ネクスパイの言葉と同時に後ろにいた春樹と碧が勢い良く走り始めた。そして怪人との距離がかなり縮まってきたところで、二人の体が粒子と化し、姿が消えてしまった。

 

 上手くいった、とホッと一息吐く三人。彼らは先程消えていった二人に期待を寄せて、再び戦いに赴いて行った。

 

 

 

────────────

 

 

 

?????

「グッ……! アァッ……!」

 

 少しの灯りしか灯っていない広大な部屋の中で、日菜太はピアBに首を絞められていた。右手で首を掴まれた彼は上に上げられ、身動きが全く取れなくなってしまう。

 

「日菜太くんっ!」

 

 その様子をあまねはただ見ることしか出来なかった。二人で目覚めた瞬間に日菜太が襲われたのだ。

 本当であれば今すぐにでも駆け出して助けたいが、自身の目の前にはピンク色の目をした怪人、ピアAが立っているために無闇に動けない。

 

「さぁ、教えてください。()()()()()()()の場所を」

 

 横からアールの声がする。嘗て自身の父を殺めた者の側近の姿に恐怖を覚えるが、それ以上に日菜太に手をかけているピアBのことが許せない。

 

「もしも貴女が話さないのならば、彼がどうなろうが我々の知るところではありません」

 

 まさかこのために自分たちを連れ去ったのか。

 駄目だ。『あれ』がある場所は誰にも話してはならない。けどそうすると彼の命はない。

 もう選択肢は一つしかない。

 だって彼は私の──。

 

「……分かった。それがあるのは……」

 

 

 

 その時、あまねが言葉を紡ごうとするのを阻止するかのように、ピアBの腕に火花が散った。走った痛みのために、思わず日菜太を離してしまう。離された日菜太は一気に解放されたことによって気を失ってしまう。

 

 あまねが後ろを向くと、そこには右手に持った銃を前に向けている春樹と、その横に立っている碧がいた。

 

「パパ! ママ!」

「そんな……。どうしてここに……!?」

 

 安堵するあまねであったが、他の者たちは驚くばかりであった。アールたち三人にしてみれば、こちら側に来ることを許していない彼らがここにいるのかが理解出来なかったが、すぐにその答えが分かった。

 

「成程。百三十一番の力を利用したわけね」

「ああ。そういうことだ」

 

 春樹は手に持った銃を床に置く。そして二人はトランスフォンにカードをかざした。

 

『『ACT DRIVER』』

 

「さて、コイツらどうする?」

「そうね。あまねちゃんを怖がらせたからには、徹底的に分からせなくちゃね」

「ハハ……。そうだな」

 

 端末のスロットにカードを装填する。

 

『"RYUKI" LOADING』

『"WIZARD" LOADING』

 

 電源ボタンを押すと、宙空に現れたゲートが開いて、そこから赤いドーナツ状のオブジェと同じく赤色の龍が飛び出して来た。その前で彼らはポーズをとり、室内に響き渡る程の声を放った。

 

「「変身!」」

『『Here we go!』』

 

 ドライバーに端末を挿し込んだ瞬間、二人の身体は素体へと変貌し、そこにそれぞれ先程のものたちが変貌して出来た鎧が着けられていく。

 

『Come across, Participate, Fight each other! You cannot survive without fighting! FLAME RYUKI! I will never die.』

『Witchcraft, Activate, Bibi de bob de boo! I’ll be your last hope. MYSTERIOUS WIZARD! It’s showtime.』

 

 変身を遂げた春樹と碧。

 

 アクトは足元に置かれた銃を変形させて剣にし、リベードは同じものを出現させる。

 そして体勢を低くして標的を睨み、息を合わせて走り出した。

 

 

 

「「READY……GO!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Q: Why wasn’t he cooperate with her?

A: Because he couldn’t hit it off with her.

零号って誰だと思いますか?

  • 椎名春樹
  • 椎名碧
  • 筒井あまね
  • 常田八雲
  • 反田深月
  • 橘田薫
  • 雨宮圭吾
  • 森田光広
  • 岩田将吾
  • アール
  • フロワ
  • ピカロ
  • 常田海斗
  • クロト
  • 大野花奈
  • 新井不二雄
  • 新井靖子
  • 七海日菜太
  • 井川
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