仮面ライダーアクト   作:志村琴音

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第64話です。
今回から、ついに黒幕に近づいていく回に突入します。
感想や読了報告等くださると筆者の励みになります故、何卒宜しくお願いします。



【イメージOP】
ソナーポケット - GIRIGIRI

【イメージサウンドトラック集】
https://open.spotify.com/playlist/23xA5ZAHZfdUR77F4JZ9lB?si=07c60fc3a3934b45&pt=97747cf874e1c0b08fb8e40c52da1ec2


EPISODE 22 黒幕(THE MASTERMIND BEHIND ALL)
Question064 What is the color of new enemies?


2022.03.29 07:35 東京都 中野区 トキワヒルズA 601号室

「ねぇ、ママ」

 

 春樹と碧が出勤の準備をしている最中、突然あまねに話しかけられた。振り向くと、食卓の前に座っているあまねは俯いており、ただ事ではなさそうな雰囲気に不安になるが、二人は碧だけを呼んだことで恐らく女性にしか話せない悩みなのだろうと思い、春樹は玄関先で待機をすることにした。

 

 碧があまねの左隣に座る。するとあまねが口を開けた。

 

「あのさ……私、好きな人が出来たの」

 

 こういう時、親としてどういった反応をすれば良いのか見当が付かず、固まってしまう。

 薄々勘付いてはいた。

 娘が『彼』を見る時の目。それが、嘗て愛する人のことを思っていても伝えることが出来なかった時と同じであったから。

 

「……うん」

「それでね、どうしたらこの気持ちを伝えられるかな、って……」

 

 一体どうすれば良いのか分からないこの状況に思い悩むあまね。

 人生の先輩として、同じ女性として、そして母親として、一体どんな言葉を投げ掛ければ良いか悩んだ結果、一番単純な答えを出すことにした。

 

「正直に言えば良いんじゃない? ()()()だったら、きっとあまねちゃんの想いを真っ直ぐに受け止めてくれるよ」

「そう……かな……?」

「うん!」

 

 碧の言葉に、あまねは顔を上げて微笑んだ。母の言葉が嬉しく、自身を奮い立たせてくれた。

 

「……分かった。頑張る! 今日、この後新宿の方で映画観て来るから、その後に会って告白する!」

「うん。頑張ってね!」

 

 乙女として決意を固めたあまね。

 彼女の表情を見て安心した碧は、立ち上がってリュックサックを自身の背中に着け、娘に手を振って春樹と共に部屋を出た。

 

 

 

────────────

 

 

 

2022.03.29 09:02 東京都 新宿区 SOUP

「始業の前に春樹君、八雲君、大野君の三人に聞きたい」

 

 いきなり朝から顔を出していた岩田が、森田の席の右隣に立っている。

 

「? 何ですか?」

 

 一体何についてのことを聞きたいのか分からずに質問をする春樹。

 

「向こうの世界についてだ。一応、八雲君からある程度の情報は提供してもらっていたが、全員に共有しておきたいからな、念の為に」

 

 岩田の言葉に彼ら以外の五人が偶然扉の方に固まっていた春樹たち四人の方に向けられる。

 話す時が来たのか、と八雲とその次に花奈の順番で語り始めた。

 

「報告の通りだよ。あそこはアールたちが住んでいた世界、そして、零号が嘗て滅亡させた世界だ。その中に建っているビルの中の広い部屋で、奴らは過ごしている」

「その外は当に地獄絵図よ。街は跡形も無く崩壊していて、虹色の空のせいで永遠に陽が落ちることは無い。ずっと研究に没頭出来るっていう点では良いけどね……」

「確かに、買い物するときはこっちの世界に戻ってこなきゃ行けないから不便だよね〜」

 

 デネブの脳天気な発言は完全に無視され、次は深月が問いた。

 

「それで、彼らの狙いはやっぱり、メモリアルカードを全て集めて零号を完全に復活させること、ですか? あの、メモリアルブックにカードを全て挿し込んで……」

「ああ。だがいくらメモリアルカードを集めたとしても、ヤツが本来の姿を取り戻さない限りは無意味だ。だからあまねを狙っている」

 

 春樹が質問に答えた後、今度は薫と圭吾が訊く。

 

「あの、零号はどうやって本来の姿に戻るんですか?」

「というか、本来の姿ってどういうことですか?」

「……ノーコメント」

 

 碧から返ってきた答えに納得をすることは出来ない。

 

「どうしてです? 私たちに話してくれれば、何か解決法が見つかるかもしれないのに!」

「そうですよ! チームで大切なのは報告・連絡・相談、通称報連相じゃないですか!」

「それでも駄目なのっ! 話すことは、誰にも出来ない……。すれば、どうなるか分からない」

 

 それ以上、彼らが何かを追求することは無かった。

 

「それだけ不味い代物を隠している、というわけか」

「……俺から言えるのは、元の姿に戻る前に、零号を倒さないと不味いことになる。それだけだ」

 

 碧を森田と春樹がフォローしたところで、暫し沈黙が流れた。

 

 すると突然、春樹と碧のトランスフォンが静かに振動を始めた。

 画面を確認すると、家族三人のLINEグループにあまねから着信が入っている。

 自分たちが仕事をしている時に電話をしてくることはまず無いため、心配になった彼らは部屋の隅に行って電話に出た。

 

「もしもし?」

『パパ? ママ? 助けて! 誰かに追われてるのっ!」

「誰に!? 不審者?」

『違う。あの、化け物と同じ……!』

 

 彼女の言葉に血相を変えた春樹と碧は、すぐさま部屋から飛び出して行った。他の者たちも彼らに着いて行こうと部屋を出る。

 

 最後に部屋にいた花奈が退室しようとした時、彼女の携帯電話もバイブレーションを起こした。

 着信元を確認すると、画面に書いてあった文字は「玄斗」であった。

 

 

 

────────────

 

 

 

2022.03.29 09:13 東京都 新宿区 バルカンビル 屋上

 ヘリポートと広い芝生のある屋上の、大きな室外機の下であまねは座り込んでいた。

 ただ映画を観ようとこのビルに入ったが、得体の知れない恐怖に突如として襲われたのだ。姿こそ見ていない。だがそれでも何かがいて自分を狙っていると察したあまねは、清掃のために開いていた屋上に逃げ込んで来たというわけだ。

 

 荒い呼吸をようやく整えられたその時、目の前にドアが音を立てて開かれた。

 恐怖のあまり立ち上がって目を見開くが、そこから入って来たのは春樹と碧であった。

 

「パパ! ママ!」

 

 二人の元に走り合流した。

 これでもう安心だと、三人が一安心した次の瞬間、

 

 

 

「よう」

 

 春樹たちの前から低い男の声がした。

 

 そこに立っていたのは、二人の男であった。

 左側の男は大体あまねと同年代、右側の男は大体春樹や八雲よりも少し年上の男だ。二人とも赤色のパイロットスーツを身につけており、右の手首には腕輪が着けられている。

 

 姿を見た瞬間、春樹と碧は気が付いた。

 この男たちが、あまねを追いかけていた者たちなのだ。そして、自分たちと同じく人ではもうないのだ、と。

 

「うちの娘に何のようだ?」

「その女が隠している物を貰いに来たんだよ」

 

 若い男が言う。

 やはりそうか。

 

「春樹。あまねちゃんを連れて逃げて」

「おい、お前独りで大丈夫なのか?」

「そうだよ。無理しないで」

「大丈夫。任せて」

 

 碧の言葉を聞いた春樹はあまねを連れて屋上から出て行こうとする。

 だがドアの前に何十体ものソルダートが姿を見せた。その標的は言わずもがな、あまねである。

 

「こっちも駄目か……」

 

 

 

 碧は2人の男と睨み合っていた。自身の娘に危害を加えようとした彼らを許そうとしないのである。

 

「言っておくけど、あまねちゃんには指一本触れさせないから」

 

 そう言ってトランスフォンにカードをかざし、ドライバーを出現させてカードをスロットに装填した。

 

『"DRIVE" LOADING』

 

 電源ボタンを押すと音楽が鳴るのと同時に、上のゲートから赤色のスポーツカーが飛び出してきた。目の前の敵にクラクションを鳴らして威嚇をしている中で、碧はポーズを決めた。

 

「変身!」

『Here we go!』

 

 端末を挿し、素体へと変身した彼女にスポーツカーが分解されて出来た鎧が装着されていく。

 

『Running, Searching, Exchange! Start your engine! DRIVING DRIVE! Will you drive with me?』

 

 仮面ライダーリベード ドライブシェープに変身をした。

 その姿を見て年上の男はニヤリと笑みを浮かべる。

 

「そういえば自己紹介が遅れていたな。俺はアルジェン。でコイツが」

「キュイヴルだ」

「そう」

「……ここでぶっ潰してやるよ!」

 

 二人は腕輪の着いた右の手首を肩の前まで挙げた。

 すると突如として宙空に穴が空き、そこから銀色と銅色の兜虫が飛んで来る。そして銀色の兜虫はキュイヴルに、銅色の兜虫はアルジェンの腕輪に合体をした。

 

「「変身!」」

『『HENSHIN』』

 

 二人が碧と同じことを言った瞬間、彼らの周りに小さな六角形が無数に現れ、鎧を形成していく。キュイヴルは銀色、アルジェンは銅色の鎧だ。まるで兜虫のように角を持った彼らは、変身を遂げるとじっとリベードの方を睨む。

 

『『CHANGE BEETLE』』

 

 銀色の戦士──仮面ライダーヘラクスに、銅色の戦士──仮面ライダーケタロス。

 ゼクトクナイガンと呼ばれる武器を握った彼らは、同じく剣を出現させたリベードに向かって襲いかかった。

 

 

 

 一方、春樹もあまねを狙うソルダートに対抗するために、ドライバーを出現させてカードを読み込ませた。

 

『"FIZE" LOADING』

 

 ボタンを押すと、ゲートから現れた銀色の鮫の後ろでポーズを取り、端末をドライバーに装填した。

 

「変身!」

『Here we go!』

 

 銀色の鮫が分解され、生み出された鎧が緑色の素体に装着されていく。

 

『Given, Stolen, Fight for somebody! Open your eyes for the next! GUARD FIZE! Standing by complete.』

 

 仮面ライダーアクト ファイズシェープに変身をした春樹は、ディスペルクラッシャー ソードモードを取り出して、標的たち全員に狙いを定めた。

 

 黒装束の兵士たちが、コンバットナイフを振り回してあまね、というより彼女を守るアクトに攻撃を仕掛ける。

 アクトは四方八方から襲いかかってくる彼らを、あまねに刃が入らないように彼女を守りながら返り討ちにする。ナイフを剣の刃先で弾き、距離を空けて敵の体を剣で突いていった。

 

 だがそれでも敵はまだ何体もいる。ざっと二十体くらいだろうか。

 

「埒が開かないな……!」

 

 嫌そうに呟くアクトはドライバーからトランスフォンを取り出し、ディスペルクラッシャーにかざした。

 

『Are you ready?』

 

 端末を再びドライバーに挿し込んだ。

 

『OKAY. "FIZE" CONNECTION SLASH!』

「あまね! 伏せろっ!」

「え? あ、うん!」

 

 父親の言葉であまねは咄嗟にしゃがみ込む。アクトは剣の先で床を叩いた。すると赤色の円が現れ、その上にいた全てのソルダートたちが宙空に浮かんで動けなくなってしまう。

 

「ハァァァッ!」

 

 一回転をして剣から赤色の斬撃を出し、黒色の敵を全員粉砕した。

 

 起こった爆発を防ぐために両腕で顔を覆うあまね。腕に風が来なくなったところで腕を下げて横を見ると、そこに立っていたのは剣を構えた戦士であった。その姿を見たあまねは、何処となく安心を覚えて微笑んだ。

 

 

 

「「クロックアップ!」」

『『CLOCK UP』』

 

 ヘラクスとケタロスが腹部に着いたベルトに手を触れた瞬間、二人は目にも留まらぬ速さで走り始めた。同時にリベードも両足に着いた小さなタイヤを使って、彼らに追いつくように速く動いた。

 

 ヘラクスが思いっきり縦に振った斧を後退することで避けたリベードに、ケタロスが逆手持ちしているクナイが襲いかかる。

 その刃をリベードが自身の剣で受け止めると、ヘラクスは斧の持ち方を変えて銃のようにすると、その銃口から弾丸を発射した。

 だがリベードはすぐにその気配を察知。ケタロスから距離を取ることで攻撃を回避すると同時に、剣で銃弾を全て真っ二つに斬り裂いた。

 

「チッ! 乳がデケェだけノロマかと思ったら素(ばえ)ぇなっ!」

「五月蝿い男の子ね。ちゃんと筋トレしているから脂肪だけで出来てるんじゃないの!」

 

 癇癪な性格のせいで怒るヘラクスに言い返すリベード。その前でケタロスが静かに狙いを定めていた。

 

 このまま長引かせるのは不味いので一気に勝敗を決めよう。

 そう決心をしたケタロスとヘラクスは、腕輪にくっついている兜虫を半回転させた。

 

『『RIDER BEET』』

 

 腕輪からエネルギーが流れて武器に集まっていく。

 それを見たリベードはディスペルクラッシャーをソードモードからガンモードに変形させ、ドライバーから取り外したトランスフォンをかざした。

 

『Are you ready?』

 

 端末を再び挿し込んだ。

 

『OKAY. "DRIVE" CONNECTION SHOT!』

 

 銃口を上に向けて引き金を引くと、赤色のオーラが纏われている黒いタイヤの形をしたものが現れる。

 

「ハァッ!」

 

 跳んだリベードは右足でタイヤを敵の方へ思いっきり蹴り飛ばした。

 それをケタロスとヘラクスは力を溜め込んだクナイと斧で斬りかかり、タイヤを壊して爆発を起こした。

 

 強風と炎が止んだところでリベードが前を見ると、まだ敵は健在であった。どうやらまだ戦いは続くらしい。

 だがここでアクトが合流した。これで戦況は自身が有利なように働くであろう。そう確信した二人はケタロスとヘラクスに向かって行った。

 

 

 

 その時であった。

 

「「?」」

 

 突然、目の前に青色の薄い何かが現れた。

 それは青色の薔薇の花びらであった。1枚だけではない。何枚も、何枚も。屋上で吹く風によって運ばれてくるのだ。

 

 視界が塞がれる程の花びらが収まったところで前方を確認すると、そこにはケタロスとヘラクスと、それとは別の三人目の男が立っていた。白いパイロットスーツに同じく白いベレー帽を被った、アルジェンと同じくらいの男である。

 

「誰だ……お前?」

「やっと来たのか、()()()

 

 ケタロスにオールと呼ばれた男は、突然右手を上へと挙げた。そこにはケタロスやヘラクスと同じ腕輪が着けられていた。

 

「私の薔薇に彩りを加えましょう。貴方方の血と、屈辱の涙で」

 

 すると何処からか金色の兜虫が現れ、オールの腕輪に接続した。

 

「変身」

『HENSHIN』

 

 右の手首を起点にして次々と変身を遂げていくオール。

 その姿は彼らと同じように鋭利な角がいくつもある金色の戦士だ。だが唯一、ベルトの帯の右側に赤色のボタンが付いた銀色の兜虫型のアイテム──ハイパーゼクターがあることだけ、他の二人と異なっている。

 

『CHANGE BEETLE』

 

 仮面ライダーコーカサス。

 黄金の処刑人は鮮やかに、そして優雅に登場した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Q: What is the color of new enemies?

A: Gold, silver, and copper.




【参考】
講談社シリーズ MOOK 仮面ライダー 平成 vol.7 仮面ライダーカブト
(講談社, 2015年)
幻想世界13ヵ国語ネーミング辞典
(コズミック出版, ネーミング委員会編, 2019年)
東京の過去の天気 2022年3月 - goo天気
https://weather.goo.ne.jp/past/662/20220300/
織田秀成|仮面ライダー図鑑|東映
https://www.kamen-rider-official.com/zukan/characters/2318
大和鉄騎|仮面ライダー図鑑|東映
https://www.kamen-rider-official.com/zukan/characters/2319
仮面ライダー カブト 変身ブレス カブティックゼクター Kamen Rider Kabuto Henshin Brace Kabutick Zecter - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=126GbxAWNkw
黒崎一誠|仮面ライダー図鑑|東映
https://www.kamen-rider-official.com/zukan/characters/2320

零号って誰だと思いますか?

  • 椎名春樹
  • 椎名碧
  • 筒井あまね
  • 常田八雲
  • 反田深月
  • 橘田薫
  • 雨宮圭吾
  • 森田光広
  • 岩田将吾
  • アール
  • フロワ
  • ピカロ
  • 常田海斗
  • クロト
  • 大野花奈
  • 新井不二雄
  • 新井靖子
  • 七海日菜太
  • 井川
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