仮面ライダーアクト   作:志村琴音

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第67話です。
今回はかなり短いです。
感想や読了報告等くださると筆者の励みになります故、何卒宜しくお願いいたします。



【イメージOP】
ソナーポケット - GIRIGIRI

【イメージサウンドトラック集】
https://open.spotify.com/playlist/23xA5ZAHZfdUR77F4JZ9lB?si=07c60fc3a3934b45&pt=97747cf874e1c0b08fb8e40c52da1ec2


EPISODE 23 本当の姿(PARA-REIGN)
Question067 Why did she break up with him?


 昨日の出来事は、色々な面で大きな影響を及ぼした。

 

 まず岩田室長が誘拐されたことが、SOUPにとって大きな傷となった。

 要は彼らの最終決定権を持つ者が無くなってしまったがために、何か行動を起こそうとしても手続きが面倒なことになってしまう。それは森田がどうにかしてくれたので、何ともないのだが。

 

 だがもっと影響を及ぼしたのは、日菜太が零号である、正確に言えば日菜太が零号に乗り移られている、ということだ。

 まず新井夫妻にどうやって報告をすれば良いのか分からず、深月が「急遽長期間のボランティアに行くことになった」とだけ報告をした。

 

 そして何より、あまねがこの一件で相当な傷を負ったことは言うまでもない。

 自身が想いを寄せていた人が、自身の父に手をかけた者であったのだ。これほどまでの裏切りは無い。

 

 今は碧が自宅にて彼女に寄り添っている。

 あまねのことを気にした、春樹の頼みであった。

 

 

 

────────────

 

 

 

2022.03.31 13:40 東京都 新宿区 SOUP

「あのマインドコントロールってどうやってやっているんでしょうね?」

 

 深月が昨日の日菜太の映像を観ながら言う。

 彼の疑問に答えたのは、その手のことには詳しい薫であった。

 

「ああいうマインドコントロールを装置も無しで行うには相当な時間が必要ね。あれをたった1秒足らずでやるだなんて、ねぇ……」

 

 途中から言葉が震えてくる。

 恐怖からなのか、それとも、未知の領域を見せられたことによる好奇心からなのか。少なくとも前者であることを全員が祈った。

 

「それに引っかからないようにする方法は無いのか?」

 

 今度は森田が訊いて、圭吾と八雲が答える。

 

「マインドコントロールに引っかからないようにするには、神経系に影響の無いようにするしかないですね」

「ただ、アイツが従来のフォルクローと同じならば、仕組みが判れば必ず俺たちで防げる、が──」

 

 果たして本当に上手く行くのか──。

 それが彼ら共通の一抹の不安であった。

 

 すると、

 

「ねぇ。貴方、アイツにやられた時、何か気が付かなかった?」

 

 花奈が春樹の方を向いて言った。

 彼女は室内にも関わらず、緑色のコートを身に纏ったままである。さらに何故か黒い手袋と赤いマフラーを着けている。

 

 天を仰ぎながら腕を組んで考える春樹。

 すると何かを思い出した。

 

「そう言えば、すっごい細かい粒がから出てきたような……」

 

 それを聞いて、深月が何かを思いついたようだ。

 

「だったら、その粒々を防げるような物を作るっていうのはどうでしょう?」

「そうですね! 春樹さん! その靴お借りして良いですか? 洋服は洗濯しちゃったとしても、靴に微量にでもそれが付いていればなんとかなりますよね、圭吾さん?」

「はい! 何とかなります!」

「じゃあ、頼んだ」

 

 森田の合図で圭吾が春樹の靴を半ば強引に貰い、部屋の外に出て行った。

 

 それと同時に、八雲は隣に立っている花奈に声をかけた。

 

「……ちょっと来てくれ」

「え? 何で?」

 

「班長、デネブ。ちょっと彼女借りるぞ」

「え?」

「あ、ああ」

 

 いきなりのことに驚く二人を他所に、八雲は花奈の手を引いて部屋を出た。

 

 

 

────────────

 

 

 

2022.03.31 14:15 東京都 中野区 トキワヒルズA 601号室

 例え曇り空だったとしても外は明るいために、電気を点けずともカーテンを開ければ部屋を明るくなる。

 

 あまねの部屋に設置されたベッドの上で、碧とあまねは座り込みながら一緒に布団を被る。中では碧の右手とあまねの左手が繋がっていた。

 

「ねぇママ」

「ん?」

「私、彼のことをちゃんと愛せるかな?」

 

 あまねの言葉の意図が解らず、思わず彼女の顔をみてしまう碧。

 

「だって、私が愛した人はあの化け物だったわけで、本当の彼のことを私は知らない。だから……」

 

「じゃあ、もう彼のことは嫌い?」

 

 暫く黙ってしまうあまね。

 

「判らない。けどね、きっとまた日菜太くんのことを好きになる気がするんだ。ううん。きっと好きになる」

 

 真っ直ぐと碧の顔を見るあまね。その目は恋焦がれる乙女の目であることに間違いは無かったのだが、それ以上に何かの使命感に駆られているようにも見える。

 

「そっか……。そっか〜」

 

 碧があまねに笑顔で抱きついてくる。嫌がる素振りを見せること無く、抱きついてきた母の両手にそっと手を添えて笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

 丁度同じ頃、隣の602号室に八雲と花奈が帰ってきた。

 だが花奈は部屋の中に入ってもコートや手袋を取ろうとはしない。

 

「何なの? いきなり家に連れて来て」

 

 不満そうな顔を見せる花奈。だが自身の顔を見据える八雲の神妙な面持ちを見て、ただ事ではないと察した。

 

「お前さ、何隠してるんだ?」

 

 花奈は鼻を鳴らして笑みを浮かべる。

 

「何よいきなり。そんなことあるわけ無いでしょ」

「……俺と判れた時もそうだったよな。理由も何も言わずに判れて、ズルズルとこういう微妙な関係を続けることになって……。この際だからはっきり言ってくれよ!」

 

「言えるわけ無いでしょ!」

 

 突然、花奈が声を荒げた。今まで見たことの無い彼女の姿にたじろぐ八雲。

 

「だって──」

 

 すると花奈はマフラーに手袋、コートを脱ぎ出した。さらにはその下に着ていた白いブラウスや黒いスカートも脱ぐ。そして身につけていた白い下着も全て取った。

 

 いきなり起こした行動に戸惑い、咄嗟に目を両手で覆って何も見えないようにする。

 だが意を決して指と指の間から繰り広げられている光景を見ると、信じられないことに思わず手をゆっくりと下げた。

 

 目の前にいる一糸纏わぬ花奈の身体中に、緑色の線が入っているのだ。顔以外に入った線はまるで血管のように皮膚の下から浮き出ており、痛々しい印象を出している。

 

「こんな身体になっちゃったんだから……」

 

 あまりのことに絶句してしまう八雲。

 

「私のフォルクローとしての能力は、『増強』。他のフォルクローと同じコストで、その倍以上の力を生み出すことが出来る。

 ……でも、私は唯一の失敗作でね、自分で生み出したあのチケットを使う度に体が蝕まれていく。後2枚も使えば、私はもう終わりだね……」

 

 得体の知れないものが肌に見える彼女の美しい体を見つめながら、ただ花奈の言葉を聞いていた。

 

「こんな身体になったら、きっと貴方は離れる。だから! 私の方から手を引けば、貴方を傷つけることなんて──」

 

 その時、八雲は花奈の言葉を最後まで待たず、思いっきり抱き締めた。

 突然のことのあまり、言葉が詰まって何も言えなくなってしまう。

 

「嫌いになるわけないだろ」

 

 消え入るような声が花奈の耳元で聞こえる。

 

「どんな姿になっても、お前はお前だろ……。なのにどうして、お前のことを嫌いにならなきゃいけないんだよ……」

「気持ち悪くないの……? こんな身体……」

 

 すると八雲は花奈の後ろに回している手をゆっくりと動かし、彼女の背中を摩るようにする。彼の手の動きによって生み出される僅かな快感に、花奈は呼吸を少しだけ荒くする。

 

 抱き締めるのを止めた八雲が彼女の顔を見ながら微笑み、そして言う。

 

「綺麗だよ。この上無い程に」

 

 花奈は顔を下げて体を震わせる。だが顔を上げて八雲の目をじっと見て言った。

 

「有り難う……」

 

 気が付いた時には、彼らは互いの唇を塞ぎ合っていた。

 息が出来なくなったところで離す。

 酸素が頭に行かないために、頭が上手く働かない。

 目の前の相手を見据えて、そして彼らは諸々のことを考えるのを止めた。

 

 

 

────────────

 

 

 

?????

 さて、拐われた岩田はアールたちの暮らす謎の空間に閉じ込められていた。風景と同化する透明な壁によって囲まれ、自身が寝転べるくらいの範囲でしか行動が出来ない。

 

 すると、左側から日菜太が黒色のジャンパーを着ながら歩いて来て、彼の目の前に立った。

 

「すみません。本当はもっと早く貴方と話をするつもりでしたが、何しろ()()の相手をしなければならなかったのでね」

 

 日菜太の来た方向の奥にある大きなベッドの上では、顔を赤くしたフロワが座っていた。ドレスを着ながら日菜太の方を虚な瞳で見て、ふやけた笑みを浮かべた。

 

 それには一切触れること無く、岩田は日菜太と話を始めた。

 

「話とは一体?」

「ちょっと、交渉したいことがありまして──」

 

 

 

 

 

2022.03.31 16:44 東京都 新宿区 SOUP

 八雲と花奈が戻って来た頃、突然春樹の端末が音を鳴らし始めた。

 画面を見てみると知らない番号からの着信であったがために首を傾げるが、念のために出てみる。

 

「もしもし」

『もしもし』

「!」

 

 電話の主は日菜太であった。

 すぐに森田のデスクの横にあるモニターに接続をして、全員に内容が聞こえるようにする。

 

「どうして俺の電話番号知ってるんだ?」

『誘拐させてもらった方に聞いたんですよ。あまねちゃんに掛けると、彼女は今以上に傷ついてしまうでしょう』

 

 そんな気遣いを彼がするとは想定外であった。が、そんなことはどうでもよく、話を元に戻す。

 

「で、何の用だ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『いい加減、()()()()を返していただけませんか?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Q: Why did she break up with him?

A: Because she thought that he wouldn’t love her.




【参考】
東京の過去の天気 2022年3月 - goo天気
https://weather.goo.ne.jp/past/662/20220300/
マインドコントロール - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%e3%83%9e%e3%82%a4%e3%83%b3%e3%83%89%e3%82%b3%e3%83%b3%e3%83%88%e3%83%ad%e3%83%bc%e3%83%ab
MIT Tech Review: 電気刺激でどこまでマインドコントロールできるか?
https://www.technologyreview.jp/s/11740/how-network-neuroscience-is-creating-a-new-era-of-mind-control/

もし碧が闇堕ちするとして、一体どんな髪型が良いですか?

  • ポニーテール
  • ボブカット
  • ストレートヘアー
  • ポニーテール(茶色以外の色)
  • ボブカット(茶髪以外の色)
  • ストレートヘアー(茶髪以外の色)
  • 上記以外の髪型
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