仮面ライダーアクト   作:志村琴音

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第76話です。
ちょっとギャグよりになってしまいました……。
感想や読了報告等くださると筆者の励みになります故、何卒宜しくお願いいたします。



【イメージOP】
ソナーポケット - GIRIGIRI

【イメージサウンドトラック集】
https://open.spotify.com/playlist/23xA5ZAHZfdUR77F4JZ9lB?si=07c60fc3a3934b45&pt=97747cf874e1c0b08fb8e40c52da1ec2


EPISODE 26 付喪神(ARTIFACT SPIRIT)
Question076 Why was he scared to fight?


2022.04.14 17:05 東京都 中野区

 第三形態へと変身を遂げたパラレイン。

 赤と青の鎧を身に纏う彼奴に、リベードは剣を取り出して向かって行った。

 

「ハァァァッ!」

 

 一刻も早く彼奴を倒さなくてはならない。例え自身の大切な者を無くしたとしても。

 その覚悟を持って一歩一歩確実に、けれども速く足を動かして行き、彼奴に斬りつけた。

 

 さらに進化した姿である筈なのに、基本形態のリベードの斬撃に怯んでしまう。

 ──何故だか分からないが、これはいける。

 そう考えたリベードはただひたすらに剣で攻撃をお見舞いし、彼奴の胸部を剣先で突いた。

 

「ハァッ!」

 

 後ろに吹き飛ばされるパラレインであったが、すぐに立ち上がった。

 

 このまま押し切る。

 リベードは彼奴に向かって再び足を進めた。

 

 すると、

 

「ではここで問題です」

 

 パラレインの言葉と同時に、数メートル先にいるリベードの体が言うことを聞かなくなった。同時に彼女の前に黒い台が現れる。それはクイズ番組にて解答者が使っているものに酷似していた。

 さらにパラレインの上には大きなモニターが現れる。左側には赤い丸、右側には青い罰点が配置され、モニターの上には別のモニターが置かれている。そして彼奴の前には透明なパネルが置かれ、盾のような役割を果たしていた。

 

「『伊弉諾尊(いざなきのみこと)伊弉冉尊(いざなみのみこと)の間に産まれた最初の神である水蛙子(ひるこ)が後に転生したのは、恵比寿である』。(マル)×(バツ)か」

 

 大きなモニターに問題文が表示され、一番上にあるモニターに黒色で「10」の文字が表示される。それが1つずつ減っていき、カウントダウンが始まる。

 

 突然のことに動揺したリベードであったが、仮面の下で笑みを浮かべた。

 何故なら職業柄、古事記の頃から歴史を勉強していた彼女にとっては、まさにサービス問題であったからだ。

 

(マル)

 

 水蛙子は伊弉諾尊と伊弉冉尊の間に産まれた最初の子であったが、手足が無かったことから船に乗せて流された。その後流された先で、七福神のうちの一人である恵比寿に転生したとされている。

 

「正解」

 

 ピンポーンという音と共にモニターから紙吹雪が出てくる。

 それ以降は何も起こることは無い。

 

 パラレインの前のパネルが消えたところで、リベードの体も動けるようになったので、台の横を通って彼奴の方へと向かおうとする。

 だが、

 

「では第2問です」

 

 再び身動きが取れなくなってしまったリベードは、再び台の前に戻されてしまう。

 

 ここでリベードの頭に一つの不安が過った。

 

 自分はパラレインに乗っ取られていた時の記憶を持っている。それは恐らく、彼奴と記憶が共有されていた結果なのだろう。

 ということは、パラレイン側も春樹と自分の記憶を見ることが出来る筈だ。

 

 では、もしその記憶を利用して、自分に不利になってしまう問題が出題されたら──。

 

 そんなことが無いように祈りながら、リベードは次の問題に身構えた。

 

「『現在の「サザエさん」に登場する三河屋のサブちゃんは、2代目である』。(マル)×(バツ)か」

 

 恐れていた事態がまさに今発生した。

 正確に読み取れないだろうが、リベードは今苦悶の表情を浮かべている。

 

 碧は、「サザエさん」を観たことが無い。

 そもそも幼少期は海外にいたので観る機会が無く、日本に帰ってきたのは高校生の頃であったためにもう観ることは無かった。

 

 サザエとカツオの関係が姉弟ではないことを最近知った彼女に、そんなこと判る筈もない。

 だが彼女は頭をこれまでにない程回転させて考えた。

 

 サブちゃんと呼ばれるアルバイトが2代目なのか、それともサブちゃんがアルバイトの2代目なのか。

 そもそも、彼が2代目だとして、初代は一体どうしたと言うんだ……?

 

 国民的アニメのキャラに限って、途中退場はあり得ない。

 リベードの答えは固まった。

 

×(バツ)

 

 カウントダウンが「3」のところでストップする。

 後は天命を待つのみだ。

 

 答えが出てくるまでの間があまりにも怖い。

 ゴクリと唾を飲んだところで、パラレインは口を開いた。

 

 

 

「残念。正解は(マル)でした」

 

 ──そんな、馬鹿な……。

 

 ブッブーの音と共にパネルが揺れる。

 すると次の瞬間、リベードの前にあった台が突然爆発した。

 大きな爆発が起こり、すでに陽が暮れた住宅街に眩い光と黒い煙を齎す。

 

 爆煙が止んだところで見えたのは、変身を強制的に解除された碧がうつ伏せに倒れている様子だった。

 けれども前を見据えて標的を睨むことは止めない。

 

「では、カードはいただきますよ」

 

 パラレインは春樹の使っているトランスフォンを取り出し、画面を操作する。

 碧に憑依していた時と同じように、それでカードを奪うつもりであろう。

 

 だが、

 

「? これは……」

 

 何度操作をしてもカードが彼奴の手元に来ることは無い。

 何枚かカードの絵柄が表示されている画面が一転、今度はグアルダが現れた。

 

『君にカードを奪われた時から、私の許可が無い限りカードは取り出せないように設定しておいた。だからもう、カードを奪うことは出来ない』

 

 するとパラレインは溜息を一つ吐くと、トランスフォンを碧の方に投げ捨てた。

 

「じゃあこれに興味は無いですね。今度また力尽くで奪いに来ます」

 

 それだけ言い残し、パラレインは姿を消した。

 

 彼奴の姿を見送った碧の瞼が徐々に閉じていく。

 雨音だけではなく、遠くの方からパトカーのサイレンが耳の中に入ってきたところで、碧の視界は暗くなった。

 

 

 

────────────

 

 

 

2022.04.17 16:43 東京都 新宿区 SOUP

「しかしまぁ、まさか今度は春樹さんが……」

 

 深月の言葉で、全員が憂鬱な気分になってしまう。

 碧が戻ってきたことは良かったが、今度は春樹を奪われてしまった。

 しかも分離をする手は一切無い。

 正に八方塞がりというわけだ。

 

「見た感じ、あの形態は防御力は皆無に等しいですけど、ヤツの周りにバリアがあって攻撃を通すのは多分無理でしょうね」

「バリアが無くなる問題と問題の間に攻撃しようとしても、絶え間無く出題されるので、実質攻撃は不可能ですね」

 

 薫と圭吾の報告はかなり恐ろしいものだった。

 何しろ、事実上攻撃は不可能なのだ。2つの意味で八方塞がりである。

 

 そんな中、自身の席に座って誰よりも神妙な面持ちをしている碧に森田が慎重に声をかけた。

 

「もし次にパラレインが現れたらどうする? また戦って、その──」

「勿論、使いますよ。サーバーを」

 

 碧は一切の迷いを取り払った目を森田に向けた。ただ真っ直ぐと前を見据えるその表情を、慈愛の塊のように感じとれてしまうのは狂っているのだろうか。

 それを見た全員はこれ以上何も言えなくなってしまう。

 

 すると、

 

「あの……碧さんに一つお願いがありまして……」

 

 深月が座ったまま碧に何かを差し出した。

 受け取って確認をすると、それは緑色のUSBメモリだった。何の変哲も無いただのUSBメモリである。

 

「これは?」

「とりあえず、それを八雲さんに見せていただけませんか? 出来るだけ早く……」

「……分かった」

 

 深月の表情を見て只事では無いと感じた碧は、手の中にあるメモリをギュッと握り締めた。

 

 

 

 

 

 一応は終業時間になったために、碧は建物を出て駅を目指す。

 こんな中でもこの時間になれば腹が減ってくる。きっとあまねもそうだと思った碧は、今日の夕飯は何にしようかと考えて気を紛らわせた。

 

 その時だった。

 

「やぁ」

 

 自身の左側から声が聞こえた。

 そこにはクロトがビルの壁面に背中を預けながら立っていた。

 

「何しに来たの……?」

 

 思わず身構える碧。

 けれどもクロトはふと微笑むだけで何もしてこない。

 

「別に戦いに来たわけじゃないよ。ただ顔を見に来ただけ」

「……ねぇ、どうしてそんなに私に頓着するの?」

 

 するとクロトの表情が明らかに変わった。

 顔を下に向けるのと同時に、ビルに陽が当たって出来た大きな影がクロトを覆う。

 

「別に君のことはどうも思ってないよ。ただ……強いていうなら、君と僕は似ているようで似ていないから、かな」

「どういう意味?」

 

 碧が彼に訊いた瞬間、目の前から強いビル風が吹いたために思わず目を瞑る。

 そして目を開けた時には、クロトの姿は何処にも無かった。

 

 ──君と僕が似ているようで似ていないから、かな。

 

 その言葉の意味をまだ知る由の無い彼女は、首を傾げてそのまま立ち去って行った。

 

 

 

────────────

 

 

 

?????

 いつもの暗く広い部屋の中で、海斗と春樹が向かい合って座っていた。

 海斗の手には青色の銃が握られていて、その銃を何やら不満そうな目で見つめている。

 

「これが、どうやっても起動しないんだけど、どうにかしてくれないかい?」

「……良いですけど、その代わり、()()()()()()()はしていただきますよ」

 

 春樹の提案に海斗が微笑む。

 どうやら交渉は成立したらしい。

 

 その様子をアールたち三人が少し離れたところから見つめていた。

 何処か不安そうな表情を浮かべる彼らは、無言で互いの目を見合い、後ろの方を向いて去って行った。

 

 

 

────────────

 

 

 

2022.04.17 17:20 東京都 中野区 トキワヒルズA 602号室

 ガチャリとドアを開いて、碧は八雲の部屋のリビングに入って来た。

 まだ八雲はカーテンを閉め切った窓の方を見ながら体育座りをしていて、全く微動だにしない。

 

「ねぇ、お兄ちゃん。春樹が今大変なことになってるの。確実に、春樹を殺さないといけない……」

 

 その時、八雲の体が少しだけ動いた気がした。それを見た碧が彼の背中のすぐ後ろへと歩み寄って行く。

 

「お願い。春樹を倒すために力を貸して」

 

 すると、

 

「……無理だよ」

「……え……?」

 

 これまで一度も開かなかった八雲の口から、小さく言葉が放たれた。

 

「俺には、戦う覚悟が足りなかった。勿論、自分の大切なものが奪われることは承知だったよ。けど……だとしても、耐えられなかった……」

 

 小さくはあったが、出せる声を全て絞り出した。

 カーテンの隙間から僅かに入ってきていた光は消え、もう八雲の後ろ姿は殆ど見えなくなってしまう。

 

 碧はこれ以上何も言うことは無く、少し遠ざかって食卓の近くに立つ。

 

「分かった。……でもその前に、これだけ観ておいて」

 

 食卓の上に圭吾から受け取ったUSBメモリを置いた碧は、優しく八雲の背中を見ながらそっと部屋を出て行った。

 

 

 

 碧が立ち去ってから暫くしたところで、八雲はゆっくりと立ち上がった。

 どうしてだかは分からない。だが後ろの食卓に置いてあるUSBメモリに吸い寄せられた彼はパソコンを食卓の上に置き、挿し込んで中身を確認し始めた。

 

「花奈……!」

 

 画面には何故か花奈が映し出されている。

 彼女がこの動画を撮った場所が自身の部屋であることは、住んでいる本人であるためにすぐ判った。

 

 もう会うことの出来ない花奈は、画面の中で八雲への最後のメッセージを伝え始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Q: Why was he scared to fight?

A: Because he didn't have enough resolve to lose his favorite people.




【参考】
マンガ 面白いほどよくわかる! 古事記
(西東社, かゆみ歴史編集部編, 2017年)
東京の過去の天気 2022年4月 - goo天気
https://weather.goo.ne.jp/past/662/20220400/

先日のR-18版に関するアンケートで、碧のコスプレ姿を見てみたいという声が一番多かったのですが、その中で何が見たいですか?(もし書くとしたら、スク水と特定の人を殺すセーターを着る回は絶対書きます!)

  • メイド
  • ナース
  • 警察官
  • 教師
  • バニー
  • ギャル
  • セーラー服
  • 裸エプロン
  • ライダースーツ
  • 水着(紐)
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