仮面ライダーアクト   作:志村琴音

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第五話です。
前もってお伝えしておくと、クロト=檀黎斗本人ではないですよ。
そっくりさんだとかそういう感じで捉えていただけると有難いです。
でないと、ここから何話後とかの話が訳が分からなくなってくると思うので。

それでは、よろしくお願いいたします。



【イメージサウンドトラック集】
https://open.spotify.com/playlist/23xA5ZAHZfdUR77F4JZ9lB?si=07c60fc3a3934b45&pt=97747cf874e1c0b08fb8e40c52da1ec2


Question005 Why is he angry?

2021.10.28 12:47 東京都 文京区

「君は……一体……」

()()()。それが僕の名前」

 

 二頭身の戦士、ゲンムは赤と白で形成された目でベトレイを睨みつけていた。

 ベトレイが紫色の標的を見つけた。鉤爪のついた触手たちが襲ってくる。

 それをゲンムは見た目にそぐわない俊敏な動きで避け、前に進んで行く。

 

 雄叫びをあげてさらに狙っていく怪物。

 ゲンムは触手を伝って進んで行き、透明な部分の前まで来た。

 

「ハァッ……!」

 

 その部分に右手で強烈な一撃を食らわせた。

 

 するとどうだろうか。

 ベトレイの身体が突然発光。透明な部分から深月が飛び出してきた。

 そしてゆっくりと地面に着地する。

 

「た、助かった……」

 

 同じように地面に着いたゲンム。

「こうやって分離出来るのは()()()()()()()()だからね」

 

 一瞬、ゲンムの横顔が碧に見えた。

 

 笑っている。

 仮面越しだから実際には見えていない。

 だが彼女も同じ、仮面を着けて顔を隠す者。何となく分かるのだ。

 

 笑うゲンムは呟いた。

 次の形態に進むための言葉を。

 もっと自分を昂らせるための言葉を。

 

 

 

 

 

「グレード2」

 

 左手でレバーを軽く押した。展開されたドライバーから、戦士の姿が見える。

 

『ガッチャーン!  レベルアップ!』

 

 ドライバーからゲンムと同じくらいの高さのモニターが放出された。

 そのモニターがゲンムを通ると、後ろを向いた紫色の戦士が現れた。

 

 振り向いた戦士は先程の二頭身の姿とは異なり、等身大の姿をしており、背中には先程の形態の顔が着いている。

 

『マイティジャンプ! マイティキック! マイティ〜アクショ〜ンX!』

 

 仮面ライダーゲンム アクションゲーマー レベル2。

 この戦い(ゲーム)を次に進めるための姿へ、彼は変身(レベルアップ)したのだ。

 

 

 

────────────

 

 

 

2021.10.28 12:51 東京都 文京区

 通行止めになった車道を、一台の黒い遊撃車が走って行く。

 あと1分も経たずに到着する。全員が固唾を飲んで、車内で待機する。

 

 その時

 

『マイティクリティカルストライク!』

 

 跳びたった紫色の戦士が右足で、巨大な化け物に強烈な一撃を食らわせている様子が車窓から見えた。

 

「何ですか、あれ?」

「新型未確認生命体第十八号だ。碧くんの話では『クロト』と名乗っていて、人間態もあるらしい」

「そんな奴も出てきたんですねぇ」

 

 現場に到着した。

 すぐに車のドアがノックされ、現場にいた深月が入ってきた。

 

「状況は?」

「ベトレイとクロトが交戦中です。丁度今、ベトレイが倒されたところですね」

 

 

 

 

 

 碧の目の前でクロト、というよりゲンムは巨大な怪物を倒した。

 ゲンムの後ろでは大きな亡骸が置かれている。

 

「後は君の役目でしょ。ほら早く」

 

 碧はカードケースからカードを取り出し、トランスフォンにかざした。

 

『THE END OF VOLOKLOW』

 カメラ機能になると、シャッターを切った。巨大な亡骸が粒子状になり、碧の端末に集まっていく。

 

『Have a nice dream.』

 

 端末の中に一枚のカードが現れた。

 金色の鉤爪の付いた青い両腕を持つ、イエティという白い毛が生えた空想上の生き物が雄叫びをあげている絵が描かれており、数本の鎖が絵を隠すように表示されている。

 そしてその下には「No.072 BETRAY REY」と書かれていた。

 

「次は君の番だよ。リベード」

「……グアルダ……!」

 

『碧、こいつとは戦わない方がいい』

「何で?」

『これまでのやつとは桁違いだ。正直、()()()()()()()()()()()()どちらを使っても勝つのは難しいと思った方がいい』

「じゃあ、一人じゃ勝ち目は無いってこと?」

『そう解釈して一向に構わない』

 

「……それでも、やるしかないでしょ?」

『思った通りの答えが返ってきたな。承知した。これより、ライダーシステムの使用を許可する』

 

 端末をぎゅっと握りしめ、前を向く碧。

 目の前では、仮面のせいで顔が見えない獲物(対戦相手)がこちらをじっと眺めている。

 

 無理矢理にでも笑顔を作った碧は端末にカードをかざした。

 

『ACT DRIVER』

 

 腹部に現れたドライバー。

 端末をカードに装填する。

 

『"REVE-ED" LOADING』

 

 電源ボタンを押し、軽快なBGMの中でポーズを決める。

 

「変身!」

『Here we go!』

 

 端末を挿し込んだ。碧の身体は青色の戦士へと変わり、銀色の鎧と仮面が着けられる。

 

『I'm KAMEN RIDER REVE-ED!』

 

 ディスペルクラッシャーを取り出し、再度前を向くリベード。

 

 それを見たゲンムもまた、何かを取り出した。

 AボタンとBボタンの付いたゲームパッドのような見た目をしている武器──ガシャコンバグヴァイザー チェーンソーモードだ。

 

 右手に装着したゲンムもまた前を見つめる。

 互いの前にいるのは、それぞれ笑顔を作っている獲物(対戦相手)だ。

 じっと標的を見つめ、どちらが先に動き出すかと様子を伺っている。

 

 二人同時に走り出した。

 何度も互いの刃がぶつかり合い、その度に激しく火花が散る。

 

「中々やるじゃん。君、相当なやり手だよね?」

「当然でしょっ。君みたいな()()()()()と私とじゃ、経験値が違うのよ!」

「ふぅーん。でも、そんなのは僕の前では無意味なんだよっ!」

 

 押し返されるリベード。

 その隙に一閃二閃と斬りつけられてしまった。

 

「グッ……!」

 思わず後ろに退いたリベード。

 

 するとディスペルクラッシャーのグリップ部分を取り外し、本体の前と後ろを逆転させると、グリップを剣心の後ろ側に付け、銃のような形状、ガンモードに変形させた。

 

 ゲンムも同じようにバグヴァイザーのグリップを外し、反対側にグリップを装着、ビームガンモードに変形させた。

 

『チュ・ドーン!』

 

 互いの銃口から数弾の弾丸が発射される。

 その弾丸がぶつかり合い、両者の間で再び火花が散った。

 

 するとゲンムはガシャットをドライバーから外し、右側にあるアイテム──キメワザスロットホルダーに装填した。

 

『ガシャット! キメワザ!』

 

 ホルダーにあるボタンを押す。

 同時にバグヴァイザーに付いているBボタンを押した。

 

『マイティクリティカルストライク!』

 再び弾丸を発射すると、二つの銃口から発射された弾丸は、幾つにも分身。リベードに射撃する余裕を与えずにダメージを与えた。

 

「うわぁぁっ!」

 

 ライダーシステムには、装着者の身に危険が及ぶと判断された場合、強制的に変身が解除される場合がある。その機能が今発動した。

 

 倒れ込んでしまう碧。

 すぐに立ち上がるが、その脚は蹌踉めいており、苦しそうな表情を浮かべている。

 

「そんな……」

 モニターで状況を確認していた深月は困惑した。

 同じように戦士の姿をした対象は、これまでの敵とは比べ物にならないほどの戦力を持っている。

 そして、自分たちの最後の砦すらも通用しないのか──。

 

「アイツ、何者なんでしょうね? 解析しても、体内からそれと言って何か特別なものが出てくるわけでもない。じゃああの力は何処から来てるんだろう? それに、どうして人間態になれるんだろう?」

 

「多分、あのドライバーでしょうね。あのドライバーが本来の力を解放するための鍵みたいなものだと思っています。春樹さんと碧さんが使っているライダーシステムとは、また違ったものでしょうね」

 

「どうする、作戦担当?」

「……とにかくSATによる射撃でその場を凌ぎましょう」

「了解した。対象を射撃してください」

 

 森田の合図で碧の後ろで待機していたSATの隊員たちが、短機関銃から何弾も弾丸を発射する。

 だがゲンムにとっては、蚊に刺された、というより埃がついたような感触なのだろう。何の変化もなく、逆にバグヴァイザーで撃ち返されてしまった。

 

「イライラしてくるよ。早く僕を楽しませてくれる人はいないの?」

 

 碧の方に向かって来ると、胸ぐらを掴んで持ち上げた。

 

「君で遊んでも、もちろん楽しいよ。けどね、僕はもっと面白い戦い(ゲーム)がしたいんだよ。こんな初心者コースじゃ満足出来ないんだよ……!」

 

 死。

 その一文字が初めて碧の脳裏を(よぎ)った。

 それと同時に走馬灯のように自身の人生が目の前に浮かび上がってきたようだ。

 

 

 

 

 

 父親の仕事の都合で、海外を転々とした幼少期。

 どうにか周りに着いて行こうと、辞書を読み漁りその国の言語を完璧にマスターしようとした。

 結果として、かつての人類が使っていた言語を知りたい、と考古学の道を志した。

 

 そして、()に会った。

 

 正直、最初はどうも思っていなかった。

 顔は良いけど愛想がない。冷たい。冷酷な人間。

 ()に関わった人全員が抱く第一印象を、私も感じていた。

 

 でも、愛想がないのは変わりなかったけど、世間一般的なイメージと若干違うことに気が付くのに、そう時間は掛からなかった。

 愚痴を聞いてくれたり、解らない課題を見てくれたり、時には家に行って料理も作ってくれた。

 

 冷酷だとかそういうことじゃない。ただ不器用なだけだったんだ。

 

 ()()()()があってから、私と()の距離は一気に近くなった。

 ずっとこの人を守りたい。そしてずっと一緒にいたい。だから私は()と結婚した。

 

 でも、今も昔もずっと守ってもらってばっかりだった。

 私は()の力になれたんだろうか──。

 

 ごめんね。

 私は何も出来なかったよ──。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「出来てるよ」

 

 声が、聞こえた。

 

 さっきまで自身の胸ぐらを掴んでいた標的は、奥の方に吹き飛ばされている。

 そして肩を抱いている男は、剣の鋭い刃先を対象に向けていた。

 

「自分じゃ気付いてないだけで、お前も俺を沢山守ってくれた。だから、そんなこと言うな。少なくとも俺は傷つく。ごめんな、すぐに来られなくて。今改めて気付いたよ。俺は何時(なんどき)もこの人と一緒にいて、守らなきゃならないって」

 

 見たことのない微笑みだった。口角こそ上がっているが、その目は悲しみに満ちている。

 

「折角だし、新人の深月とそこのガキンチョにも教えてやるよ。俺がやられると怒ることは三つある。

 一つ目、唐揚げに勝手にレモンをかけられること。

 二つ目、デートの邪魔をされること。

 そして三つ目は……うちの家族を傷つけられることだ」

 

 標的を睨みつける春樹。

 現場にいた全員、そしてモニターを観ていた車内のメンバーたちですら硬直した。

 いつものように無表情だ。

 だが、その目は先程の悲しみと慈愛で満ちた目じゃない。怒りと憎しみで満ちた目だった。

 まるで一歩でも動けば、殺されるような恐怖で、その場の全員が動けなくなる。

 

「とは言いつつも、あれだったら俺なら5分で方が付くぞ。もっと痩せなさい」

「はい!? 貴方が倒すのに5分かかる相手に、私が敵うわけないじゃない!」

「そんなことないだろ。お前は十分に強いんだから」

「それに私は太ってない。前より1キロ痩せたからっ!」

 

 たわいも無い会話をしながら前に進む二人。

 ドライバーを出現させた二人は、カードを取り出し、裏返して装填した。

 

『"BUILD" LOADING』

『"DOUBLE" LOADING』

 

 電源ボタンを押した。

 ゲートが開くと、碧の後ろに二つのオブジェが現れ、赤い兎はゲンムを自身の足で攻撃、青い戦車は弾丸を発射しそれを援護する。

 

 それぞれがポーズをとり、そして叫んだ。

 

「「変身!」」

『『Here we go!』』

 

 姿を変えた二人に分解した鎧が装着される。

 アクトとリベード。二人の戦士が参上した。

 

 変身した二人はそれぞれ剣を取り出し、標的を睨む。

 その標的もバグヴァイザーを再びチェーンソーモードに変形させ、余裕綽々な様子で見つめていた。

 

「「READY……GO!」」

 

 走り出した三人。

 アクトとゲンムの刃がぶつかり合っている隙を突いて、リベードは風のような緑色のエネルギーを纏った右足で、強烈なキックを横からお見舞いした。

 

 今度はリベードがディスペルクラッシャーをガンモードに変形させると、数発の銃弾を発射。

 リベードの後ろをアクトが高く跳び、その手に握られている剣で一撃を食らわせた。

 

 想像以上の破壊力に怯むゲンム。

 

「おかしいな。さっきまで君は僕の足元にも及ばなかったじゃないか。それがどうして?」

 リベードを指差して問いかける。

「何でだろうね。私にも解らない。でも、これだけは解る。私たち、二人揃えば最強だってことは」

 

 すると

「僕は天才だ。それをも凌駕する力なんて、すでに持っているさ」

 

 ゲンムはもう一本のゲームカセットのようなガシャットを取り出した。

 ゲンムに似たプレイヤーが自転車に乗っている様子が描かれた緑色のガシャットだ。

 

 その黒いボタンを押した。

 

『シャカリキスポーツ』

 

 後ろにモニターが出現した。

 そこからゲーマドライバーと同じカラーリングの自転車が現れ、自動で縦横無尽に辺りを走り回る。

 

『ガッチョーン!』

 

 ドライバーのレバーを閉じたゲンム。

 

 そしてゲンムは呟いた。

 戦い(ゲーム)をさらに白熱させる言葉を。

 

 

 

 

 

「グレード3」

 ガシャットを二つ目のスロットに挿し込む。

『ガシャット!』

 そしてレバーを展開した。

 

『ガッチャーン! レベルアップ!』

 

 ゲンムの前にゲートが現れた。

 ゲートがゲンムを通ると、独りでに動いていた自転車が変形。ゲンムに鎧として装着された。

 車輪が両肩を覆い、ヘルメットのようなものが頭部に着けられている。

 

「何だよ……あれ……?」

 

 テントの中で思わず呟いた深月。

 

『マイティジャンプ! マイティキック! マイティ〜アクショ〜ンX! アガッチャ! シャカリキ! シャカリキ! バッドバッド! シャカっとリキっとシャカリキスポーツ!』

 

 レベル3。

 さらなる壁が二人を襲おうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Q: Why is he angry?

A: Because his wife is injured by someone.




何はともあれ、総UA数がまもなく500に届きそうです。
これも読んでくださっている皆さんのおかげです。

本当に有難うございます。
これからも引き続きよろしくお願いいたします。

今作のキャラクターたちの日常を描いたスピンオフがあったら、読みたいですか?

  • 読みたい。
  • そうでもない。
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