実は先日、大ちゃんネオ様主催されている「ハーメルンジェネレーションズ」への参加が決定いたしまして、新作を先程投稿させていただきました。
合わせて読んでいただけると有り難いです。
https://syosetu.org/novel/321882/
感想や読了報告等くださると筆者の励みになります故、何卒宜しくお願いいたします。
【イメージED】
フレン・E・ルスタリオ - フラクタル
【イメージサウンドトラック集】
https://open.spotify.com/playlist/23xA5ZAHZfdUR77F4JZ9lB?si=07c60fc3a3934b45&pt=97747cf874e1c0b08fb8e40c52da1ec2
2022.05.04 16:05 東京都 港区 鉄砲坂病院
日菜太が病院を出て後ろを向いた時、陽は徐々に沈み始めていたのだがそれでも外はまだ明るく、病院の白い外壁は赤く染まっていた。
その赤を見る度に、日菜太は思い出してしまうのだ。自身の意思ではなかったとしても、誰かの命を奪った。その時に流れた赤黒い血液に似ているような気がしてならない。
吐き気が少しだけ襲い掛かった。吐瀉するまでではないが、とても気色が悪い。
それはまだ16歳の青年には早い感覚であった。
逃げるように前を向いて歩き始める日菜太。
送迎を行うタクシーが通る道の端にある通路を歩けば、駅に続く一本道だ。
誰にも会わず、ただ独りで家路につこうとした。
だがそれは、目の前に立っていたあまねによって妨害された。
もう会うことは無いと思っていた彼女の姿に、日菜太は戸惑いながらも冷静になろうと努めた。
「……何しに来たの? もう君は、僕に関わらない方が良いよ……」
俯く日菜太の表情は暗い。
「……嫌だ」
あまねは断固とした意志を持って、日菜太の方を見据えている。
その言葉に日菜太は、彼女をどうにか拒否しようと言葉を紡ぎながらあまねの方へと歩いて行く。
「……何で……? だって、言ってしまえば僕は人殺しなんだよ。そんな僕といたって君が不幸になるだけだ……。だから……」
すると突然、あまねが日菜太を抱き締めた。とは言っても、そこそこな身長差があるため、彼の胸に飛び込む形にはなってしまうのだが。
「離れるわけないでしょ!」
あまねの大きな言葉に驚く日菜太。
「離れたくなんてないよ……。もし今苦しんでいるなら、その痛みを一緒に乗り越えさせてよ……。だって、君のことが好きなんだから……」
ゆっくりと腰に巻き付いた両腕を離す。何だか呆然としている日菜太の顔を少しだけ見たあまねは、言葉に詰まって下を向き、最後に絞り出すように言った。
「今のは、軽い気持ちで言ったんじゃなくて、本気だから……」
「いやあの、そうじゃなくて……その……僕のことが好きって……」
自分の言ったことの一部始終が脳裏に流れ始め、思わず見上げたあまねの顔は赤く熱っていた。
だが、一切の後悔は無い。言いたかったことを、ようやく口に出すことが出来た喜びを噛み締めながら、ゆっくりと首を縦に振った。
彼の心情など全く考慮していない自分勝手な告白であったが、それが彼女に出来る一番のことであった。
「……僕も、
「それじゃあ……」
「うん。僕も好きだよ、あまねちゃん」
「……!」
ずっと、この時を待ち望んでいた。それが自分だけではなく彼もであった。
その事実があまねの胸を大きく昂らせ、これ以上に無い喜びを一身に受けていた。
嬉しさを共有し合うように二人は笑い合う。
これまで味わったことの無いような幸せ。まだ若人である彼らには受け止めきれない程のものであった。
「……それじゃあ……帰ろうか」
「うん。おじさんとおばさんも待ってるよ」
病院に背を向け、家路を歩き始めた。
徐々に沈んで行く太陽が放つ光は二人の男女を照らし、そしてゆっくりとこの場を去って行った。
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2022.05.04 10:54 東京都 中野区 トキワヒルズA 601号室
全ての灯りが消えて暗くなった寝室の中で、春樹と碧はベッドの上に横たわっていた。
普段であれば、春樹と碧は向かい合い互いの手を繋いで寝るのだが、碧は右側にいる春樹に背中を向けて寝てしまっている。
春樹に常軌を逸したと思える程の愛情を注ぐ彼女には考えられない行動であった。
「……起きてるか?」
「……うん」
試しに声を掛けてみると、どうやらまだ寝付けないらしい。
暫く流れる沈黙。
その中で春樹は、どうして碧が自身の方を向いてくれないのか大凡の検討がついた。
「……お
「ううん。仕事だから、理解している……」
「それがお前の本心か?」
それに碧は答えない。
「……この際だからはっきり言ってくれ。恨みも罵詈雑言も、全部受け止めるから……」
すると暫くして、碧は横に転がると、春樹の上に覆い被さった。
一切灯りが灯っていないこの部屋の中では、碧の表情を確認することは容易ではないが、海斗を葬り去った後に背中で感じたあの何とも言えない感触を、全身で味わうこととなった。
「──どうして……」
そして静かな寝室の中で、碧はこれまでの人生で出したことも無いような叫びを出した。
「どうしてお父さん
やっぱりか。
碧の言葉で春樹は黙って外方を向くと、光の無いこの部屋の中に存在する筈のない影が、彼の顔に差し込んだような気がする。
そう。春樹が倒したのは常田海斗
あの時、仮面ライダーアクト アルティメットシェープに変身した春樹は、見事常田海斗を倒すことに成功した。
その証拠が、春樹の目の前にあるディエンドのカードであった。
海斗と共に、彼に取り憑いていたパラレインも倒せた。これで、全てが終わった──
だが、
「──中々、良い攻撃でしたね」
聞き覚えのある声に、聞き馴染みのある口調。
まさかと思い前を向くと、そこに立っていたのは
どうして彼がここにいるのか疑問に思わなければならないのであろうが、彼の髪の毛が白色になっていることから、その場の全員が全てを察した。
「パラレイン……!」
ニヤリと笑みを浮かべる日菜太に扮するパラレイン。片仮名で「ヒナタ」とでも表記するべきか。
「どうして生きているんだよ……!?」
「この戦いの前に111枚のカードを吸収させていただきましてね。ようやく、誰に寄生せずとも実体を保てるようになりましたよ……!」
──実体を保てるようになった。
それは、本来の力を取り戻すための段階を順調に踏んで行っているということだ。と言うより、もう少しで完成してしまう。
「残りは百四十三番。これで後1体になりましたね」
後はクロトだけとなった。
彼奴はさらに駒を進めてしまっているということである。
彼らが感じるのは焦り以外の何物でもなかった。
「では、私はこれで失礼します」
いつの間にかヒナタの姿は視界から消えていた。
暑い外に立っていては、身体から汗が噴き出てくる。だが春樹から出てくるものは、ただ外気のために出てきたようではなかった。
「それが私たちの仕事だってことは自分が一番理解してるよ! ……でも……でも私は受け止められないの……。どうしたら良いのよ……」
春樹の首元に生温かい感触が襲って来る。碧が流した大粒の涙によるものであった。
彼女の目はあの時と同じであった。春樹がある目的のために碧に近付いて来たことを知った時、彼女は同じように睨んでいた。行き場の無い、怒り、悲しみ、憎しみ。全てを詰めた目線で。
泣き疲れた碧は春樹に抱き付いた。全てを吐き出し、今はゆっくりと呼吸を行っている。
「……有り難う。スッキリした。……ごめんね、色々と」
「……いや、大丈夫だ。寧ろ言ってくれてホッとした」
再び見つめ合う春樹と碧。
愛する者を見る碧の目から様々な感情は既に消え、ただ彼を想う慈愛の心だけが残った。
二人は静かに互いの唇を重ね合わせる。
これ以上、余計な言葉を紡がぬように口を塞いでいるのだ。今の彼らに無駄となる言葉など必要無いのだから。
それ以降に関しては、暗い部屋の中にいたがために誰も知らない。
ただ夜遅く帰って来たあまねが、硬い物同士と柔らかい物同士がそれぞれぶつかり合う音を聞き、溜息を吐きながら自室に戻ったとのことらしい。
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?????
「今、パラレインはあそこのベッドで寝ています。急激なカードの吸収は、やはり疲れてしまうそうです。今は安静にしているのがベストでしょう」
いつも通りに円形に椅子を並べて座るアールたち。彼の顔はいつも以上に深刻で、向かい合うフロワとピカロの気を引き締めさせる。
「休んでもらってる間に、クロトの坊やはとっとと倒さないとね。ところで──」
フロワが突然、ピカロの方を見始めた。
彼女の目は真っ直ぐとピカロの方を向いている。今までそんなことは無かったのに、どうして──。
「カードが2枚無くなってるんだけど、知らない?」
「……僕は、何も知らないけど……」
嘘だ。
彼は知っているのだ。
何せ盗んだのは、ピカロ本人なのだから。
クロトに話しかけた時、彼に頼まれたのだ。何枚でも良いからカードを奪って来てくれ、と。
なのでアールやフロワ、さらにはパラレインの目を盗んで、自分の好みに合うカードをクロトに手渡した。
「一体どうするって言うの?」
「これはただのログインボーナスだよ。これから始める
「ねぇ。その『ゲーム』って一体何なの?」
その瞬間、クロトの顔が突如として曇り始めた。
何か彼が蓋をして閉じ込めていたものを開いてしまったらしい。
否。もう開かれているのかもしれない。
「……復讐だよ。僕を貶して、愚弄して、滅茶苦茶にした奴らへの……!」
するとクロトは1本のガシャットを取り出した。
2本分の厚さを持った紫色のそれには、何やら装置の中に入ったキャラクターが描かれていて、さらに下部には小さなゲンムの胸像が設置されている。
「いよいよ始めるよ。最後のゲームを……!」
クロトがガシャットに付いた黒色のボタンを押すと、新たに空間が創り出される。
その中に足を踏み入れた瞬間、ピカロは彼の底知れぬ闇を見ているようで恐ろしくなったのと同時に、楽しくもなってしまった。
そして彼らを巻き込み始めたアイテムは、高らかに自身の名を叫んだ。
『ゴッドマキシマムマイティX』
新型未確認生命体の残り総数
各々が所持しているメモリアルカードの枚数
【参考】
東京の過去の天気 2022年5月 - goo天気
(https://weather.goo.ne.jp/past/662/20220500/)
日の出入り@東京(東京都) 令和 4年(2022)05月 - 国立天文台暦計算室
(https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/dni/2022/s1305.html)