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【イメージサウンドトラック集】
https://open.spotify.com/playlist/23xA5ZAHZfdUR77F4JZ9lB?si=07c60fc3a3934b45&pt=97747cf874e1c0b08fb8e40c52da1ec2
2022.05.12 15:56 ゲームエリア内
「レベル、ビリオン……!?」
「
「そう。それが、僕が残りのライフを1にして到達した最大レベルだよ……!」
意気揚々と言うゲンム。
あまねとよくテレビゲームで遊ぶ春樹と碧であっても、見たことがある中で一番高いレベルは100であった。それを優に超えた数値はまるで現実味を帯びていない。
だが一つはっきりとしたことがあった。
彼はあのガシャットを精製するために、ライフを1になるまで削ったと言った。
ということは、彼を倒せば全てを終わらせることが出来る。至極単純な話ではないか。
「行くよ、春樹……!」
「ああ……!」
春樹と碧は兜の緒を締めたような感触を感じ合い、そのまま高速で動き始めた。
胸部に左足で飛び蹴りを食らわせると、グラウンドの中を砂煙を撒き散らしながら縦横無尽に動き回る。その間、何度も拳をぶつけ、蹴りを入れる。多少は蹌踉めくゲンムであったが然程効果は無いようであり、パンチを入れようとしたリベードンアクトはゲンムの裏拳で吹き飛ばされてしまう。
転がってもすぐに立ち上がったリベードンアクトは、ディスペルデストロイヤー バズーカモードを取り出し、砲丸を何発か打ち出した。
それに対し、ゲンムは手足を信じられない程に伸ばし、伸縮する手足を使って移動。次々と攻撃を躱していった。
結果、行き場の無くなった砲丸たちは客席に激突して爆発を起こす。
するとゲンムはグラウンドの後方へ着地をし、右手を上に掲げて呟いた。
「『コズミッククロニクル』、起動!」
次の瞬間、リベードンアクトの上に巨大な丸いガラスが現れたかと思うと、ゲームエリアを明るく照らす太陽がさらに発光。虫眼鏡で紙を燃やす容量で、熱線が放たれた。
何とかそれを避けていくが、ガラスは彼らの動きに付いて行き、そして強力な熱線を食らわせた。
「「グァァッ!」」
変身を解除されて、春樹と碧の二人に分裂した戦士。
同時にゲームエリアは消え、元々彼らがいた講堂の中へと戻った。
壇上で青年と共に倒れる春樹と碧を、変身を解除して階段のところから眺めて笑みを浮かべるクロト。
「僕の作ったこのガシャットは、新しいゲームをいつでもいくつでも作ることが出来る。今の僕は、何が起こっても大丈夫な存在……
意気揚々と語るクロトに、何とか立ち上がった春樹と碧が睨みを効かせる。
だが彼に再び戦いを挑む程の力は無く、ましてや今の戦力で立ち向かって行くのは自殺行為だと思い、敢えて何もしない。
「それじゃあ。僕はラスボスを倒しに行って来るよ。その後に、また戦ってね」
それだけを言い残し、クロトは紫色の粒子となってその場から姿を消した。
「何が、
呟いた碧はその場に倒れ込み、同じく春樹もその上に覆い被さるように倒れた。
救援に来た救急隊員だか機動隊員だかがドアを開ける音がした時、二人の意識を薄れ、そして途切れた。
────────────
?????
いつもの薄暗い室内で、ヒナタやアール、フロワにピカロが円の形に並べられている椅子に座っていた。
ヒナタとアールは笑みを浮かべているが、フロワとピカロは神妙な面持ちをしている。
「どうやら、クロトが何かしでかしてくれたみたいだね」
「えぇ。仰る通り、やらかしてくれましたね……」
クロトの蛮行は彼らにも知れ渡った。
いつもであれば見逃すところであれば、次に狙われるのが自信らの主であるヒナタだと言う。ただの生贄が楯突くなど、言語道断だ。
「折角だし、始末しましょうか? ご主人様」
「そうだね。お願いするよ」
微笑みを向けるフロワ。
その隣に座るピカロは、まるで睨むようにヒナタのことを見ていた。自身の大切な者を奪われかけている焦りで、彼の心は埋め尽くされている。否、もう既に奪われているという怒りだろう。
そんな彼のことをヒナタは薄ら笑い、まるで挑発をしているようであった。
──待っていろよ……。もうすぐ、お姉ちゃんは僕のものだ……!
────────────
2022.05.12 17:45 東京都 新宿区 SOUP
「レベルビリオンとはな……。厄介なものが現れた」
「はい。全くその通りですよね……」
クロトが新たに使い始めた力に、この場の全員が頭を悩ませていた。
自在にゲームを作る力や、あの伸縮自在な肉体。これまでに経験したことの無いタイプの敵であったことから、対策の考えようが無いのだ。
おまけに、彼の犠牲になった五人はもう二度と目を覚まさない。永遠に死への恐怖に怯えながら、老いて死す時を待つのみだ。
だが彼らに同情の余地など皆無だ。やり過ぎた因果応報。そう表現するのが最も妥当な結末である。
「そういえば、春樹さんと碧さんは? あ、それから八雲さんも」
圭吾の言う通り、今の室内には春樹、碧、八雲の三人はいない。
彼の疑問に答えたのは薫だった。
「春樹さんと碧さんは体を休めるためにご自宅です。で、八雲さんには
2022.05.12 17:51 東京都 中野区 トキワヒルズA 601号室
一方その頃、春樹と碧は二人だけで食卓を囲んでいた。
まだあまねが帰って来ていない中、二人は無言で向かい合っている。
その状況を打破しようと最初に仕掛けたのは、春樹だった。
「アイツのこと、倒そうか迷ってるのか?」
「迷ってる、ってわけじゃないんだけど……。もしかしたら、私もあんな風になってたんじゃないかなって……。誰のことも考えずに、ただ自分の復讐のために敵を倒す。そうなっていたら、って……」
机の上に置いた両手をギュッと握り締める碧。
目線は下を向き、下唇を軽く噛んで何かの感覚に悶えるかのようであった。
碧の両手に自信の掌を重ねる春樹。
彼女を安心させようと少しだけ口角を上げて彼女に言葉をかけた。
「もし俺よりも強いお前がなっていたら、確実にお前もなってる」
「……私は、春樹よりも強くはないよ……」
「いや。そんなことない」
互いの指を絡め合う二人は、何も発すること無くじっと相手の目を見つめ合っている。
手から伝わってくる仄かな温かさが、彼らを安心させてくれるのだ。
すると、
「お取り込み中申し訳ない」
後ろの方から八雲の声がしたので、思わず離してしまう。
二人の邪魔をしてしまったことを申し訳なく思いながら、彼らと一緒に食卓の前で腰掛けた。
「あのゲンムに対抗出来るかもしれないやつは出来た」
「それ作ってたから、今日の戦いに来られなかったのか」
「ああ、ごめん……。一応、碧が使うって形になるけど、良いか?」
ほんの少し間を置くと、碧は大きく頷いた。
「勿論。だから、頂戴」
「……分かった」
八雲は碧の前に自信が作った物を置いた。
それは春樹が使っているオールマイティーサーバーと同じようなものであった。ただ色は緑色から青色になっていて、タッチパネルに配置されているマークは20個から19個になっている。
そのサーバーを見つめながら、碧はゴクリと唾を呑み込む。
そして両手で手に取り、強く握り締めた。
【参考】
仮面ライダーエグゼイド トリロジー アナザー・エンディング 仮面ライダーゲンムVS仮面ライダーレーザー
(高橋悠也 脚本, 鈴村展弘 監督, 2018年)