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【イメージOP】
ソナーポケット - GIRIGIRI
【イメージサウンドトラック集】
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Question088 Who did she meet in the game?
2022.05.16 12:08 東京都 江東区
ゲンムに向かって行くアクトとネクスパイ。
アンブレラブレイカー ロッドモードの先端とディスペルデストロイヤー チェーンソーモードの刃をぶつけると、少々の効果があったらしくゲンムは後退する。
これを好機と思った二人は、さらに攻撃を連鎖して後ろへと下がらせた。
だが突如として手応えが無くなったかと思うと、背中を蹴られ殴られた感触がアクトとネクスパイを襲うと、前方へ転がされた。
「「ッ!?」」
体勢を整えて攻撃が来た方向を見ると、そこにはレベル0の状態のゲンムが立っていた。形状こそレベル0であるが、ドライバーに装填されているガシャットはレベルビリオン用のものだった。
さらに先程まで自身らが攻撃を仕掛けていた巨体の中は、もぬけの殻となっていた。
「着脱可能かよっ!」
これで引き下がるわけにはいかない。
アクトはサーバーのタッチパネルにあるマークを1つ選んで押した。
『"DOUBLE" LOADING』
彼の右手に銀色の棍棒──メタルシャフトが現れる。
雨の中でも消えない炎が両端に出た棍棒を振り回して、ゲンムに攻撃を仕掛けたが躱されてしまう。
何度も試みるうちに、先端が彼の胸部に当たろうとした。
その棍棒をゲンムは左手で掴んで上げ、右足でアクトを蹴飛ばした。
「ハッ!」
「グァッ……!」
アクトの代わりに、ボウガンの形状に変えられた武器を持つネクスパイが銃弾を何発も発射。全てがゲンムに命中した。
若干蹌踉けるゲンム。
占めた。
僅かにそう思ったネクスパイは次々と銃弾を発射する。
若干の痛みに耐えながらもゲンムは前方へと歩いて跳躍し、元の巨体へと戻った。
そして長く伸ばした右手でパンチを食らわせた。
アンブレラブレイカー ボウガンモードには、露先から透明な膜を出してバリアに似たものを発生出来る。
その機能を利用して攻撃から身を守った。
「ッ……!」
だが何度も何度も殴られると、その衝撃に徐々に耐えられなくなってしまうのだ。
まだバリアこそ破られていないが、勢いに押されて徐々に徐々に後退してしまう。
そしてゲンムが右手で強烈なパンチを食らわせたその時、ネクスパイは吹き飛ばされてしまった。
「ガッ……!」
思わず武器を離してしまい転がるネクスパイであったが、何とか立ち上がってアクトの隣に立った。
「マジで手強いな……!」
「ああ。……一気に畳み掛けるぞ……!」
「よっしゃっ!」
怯むことを知らずに再びアクトとゲンムは、自身らよりも一回り大きな戦士へと向かって行く。
目線こそ敵の方へと向かってはいるのだが、彼らの気持ちが向かう先は、今後ろで眠っている女ただ一人であった。
今も冷たい雨が彼女を襲い、泥濘んでいく土の地面の中へと沈んでいく。
だがそれでも、彼女は目覚めない。
────────────
目が覚めると、碧は何処かも判らない場所に立っていた。
辺り一面が黒い空間に虹色のオーロラがかかる。
その形には見覚えがあった。
ただのオーロラというわけではない。幕、というよりも人の形を成したそれは、人と言うにはあまりにも変わっている。
──まさか……。
碧の全身にごく僅かではあるが痛みが走った。身体を貫かれ、裂かれ、殴られ、蹴られ。直接的に味わうわけではない。ただ体の奥底から襲って来る痛みに、碧は悶えるしか無かった。
ふと自分の手を見てみる。
赤、青、黒、緑。何とも言えない色でべっとりと塗り潰されている。自分がいる空間の色と類似しているためか、果たして空間そのものを見ているのか、自身の手を見ているのか、一切の見分けがつかない。
このゲームは自分のことを恨んでいる人や自分のトラウマになっている人、自分が後悔の対象にしている人が登場する。
とすれば、今碧の手を汚して目の中に映り込んで来るのは、彼女が手をかけてきた者たちということになる。
納得と言えば納得だ。
彼らが自分に恨みを持っていることは当然であるし、それを自覚はしているのだが、やはり体の震えが止まらない。
前を向こう。
どうせ四方八方に己を懺悔させるための仕掛けがあるのだとすれば、それを真っ向から食らうしかないのだ。
前を向いた時、目の前に1人の女性がいることが見えた。
女性は白いワンピースを着ているがために、暗がりの中でこれ以上も無く目立っているが、それでもこの場の澱んだ空気を変えることは出来ない。
彼女の顔を見た瞬間、碧は目を見開いた。
どうしてここにいるのか。だがそれでもその女性がいる理由が判った。
ああそうか。
私はこの人に後悔の念を抱いていたのか。
何の力も無かった自分が、救うことの出来なかったあの人だ。もう顔なんてあまり覚えていない。けれども彼女は充分な人選だった。
絞り出すように彼女の名前を呼んだ──。
「──お母さん……」
碧と瓜二つの格好をしたショートヘアの女性──常田夏美は無表情で碧のことを見つめている。
自分の朧げな記憶の中にはいない無表情であった。
永遠にここから出られない。しかも自分は、今から母に殺される。
さすれば、もう言いたいことは全て言ってしまおう。
碧は暫く間を空けると、大きく深呼吸をして、そして──
「……あのね、お母さん。私……結婚したんだ」
暗い部屋の中で碧の言葉だけが静かに浮かんで消える。
靄は彼女を取り囲み、一切の行動を起こさない。
「本当に良い人なの。私のことをいつも気にかけてくれて、優しくて、頼り甲斐があって……。それにね、娘も出来たんだ。とは言っても、本当の娘じゃないんだけどだけど、私のことを本当の母親みたいに扱ってくれるんだ」
夏美はただ碧の言うことを聞く。
目の前にいる娘の顔から徐々に笑みが溢れ、晴れやかなものへと変わっていく。
「だからね……もう大丈夫だよ。私……お母さんの分まで幸せになるから」
すると夏美の口角がゆっくりと上がっていく。
碧の目に見えるのは、ずっと昔の記憶の中でだけ暮らしていたあの姿そのものであった。
それを見た瞬間、目元が次第に熱くなって、少しずつ頬に同じくらいの温かい感触が伝わってきた。
そして碧も夏美に向かって彼女と同じ顔をしようと努めた。
彼女の目線の先が真っ暗になったのも、それと同時であった。
変な感触がやって来た。
そっと目を開けて己の状況を確認すると、身体の後ろに大量の雨によって冷たい感触が走り、前方は泥濘んだ地面が汚してしまっている。
ゆっくりと立ち上がってトランスフォンとサーバーに付いた泥を落とし、さらに広く現場を見た。
目の前では巨体になったゲンムがいて、変身を解除されて倒れ込んでしまっている春樹と八雲に向けて徐々に足を進めている。彼らは身体を起こして再度立ち向かおうとするが、相当な深傷を負ってしまったのか、体勢を立て直すことすら出来ない。
泥まみれの手や両腕を使って、同じく泥で溢れた顔を拭い、今戦うべき標的の方へと向かって行く。
一歩一歩、噛み締めるように進む足は、不思議なことに地面の底へと沈むことは無い。
そんな彼女を初めて確認したゲンムは、自らの足を止めてただ其方の方を見ていた。
「ど、どうして君がここに……!?」
ゲンムだけではない。春樹や八雲も、正直碧がもう目覚めないと若干思ってしまったがために、彼女が立ち止まってゲンムをじっと見つめていることに驚きを隠せない。
「……もうね、私は一切後悔してないし、自分が犯した罪の重さを背負う覚悟くらいとっくにあるのよ。……あんなもの完全に無意味だったのよ……!」
「そんな……あり得ないっ……!」
碧は両手に持ったデバイスをギュッと握り締める。
前髪は濡れて崩れ、目元を完全に覆い隠しているが、隙間から見える眼光は鋭く、はっきりと前方を睨んでいた。
「クロト。もうやることはやったでしょ。だから……今楽にしてあげる」
碧は左手に持ったトランスフォンを、右手に持った青色のサーバー──オールマイティーサーバー
『COMBINE』
左手の人差し指でタッチパネルのマークを下から上へなぞっていく。
『G4! RYUGA! ORGA! GLAIVE! KABUKI! CAUCASUS! GAOH! ARK! DIEND! ETERNAL! POSEIDON! NADESHIKO! SORCERER! MARS! DARK DRIVE! DARK GHOST! FUMA! BLOOD! BARLCKXS!』
電源ボタンを押すと、春樹がサーバーを使った時と殆ど同じような流れが始まった。
軽快で荘厳な音楽が流れ、碧の上で黄金の鎧を囲むように輪っかが現れる。
その上に乗っているものは──
銀色の鍬形虫。
漆黒の龍。
黒い馬。
白と黒の模様が入った金色の獣。
赤色と緑色の鬼。
黄金に兜虫。
銅色の鰐。
銀色と黒色の大きな蝙蝠。
シアンの色をした、風呂敷を頭に被った古いタイプの泥棒。
USBメモリの形をしている白色のオブジェ。
青色、水色、赤色の3色が入った逆三角形。
白色と青色のロケット。
金色と黒色の魔法陣。
金色の林檎。
黒色の高級車。
白いパーカーの幽霊。
獅子面を被った紺色の着物の役者。
紅色の龍。
大きな黒い飛蝗。
それらの下で碧は右手を曇天へとゆっくりと挙げ、急激に下げる。そして両腕を大きく開いて左手を右肩の方へと持って行き、この場を制圧するために必要不可欠なあの言葉を放ち、サーバーをドライバーへと装填した。
「変身!」
『Here we go!』
輪が降りて地面に着いた瞬間、碧の身体は素体へと変わっている。
そこに輪っかの上のものが吸収されていって、幾つもの戦士の模様が描かれていった。
さらに黄金の鎧が全身に装着され、4本の角が生えた頭部に透明な青色の仮面が装着された。
『All nineteen in this server! This is perfect for me to fight! I’m KAMEN RIDER ULTIMATE REVE-ED! It’s the sharpest.』
仮面ライダーリベード アルティメットシェープ。
それは、全ての因縁を断つための、最後の切り札である。
【参考】
傘のパーツ名称について|前原光榮商店
(https://maeharachigasaki.jp/?page_id=607)
洋傘のパーツ名称|傘専門店 小宮商店
(https://www.komiyakasa.jp/encyclopedia/parts/)
ギリシア文字 - Wikipedia
(https://ja.wikipedia.org/wiki/%e3%82%ae%e3%83%aa%e3%82%b7%e3%82%a2%e6%96%87%e5%ad%97)