仮面ライダーアクト   作:志村琴音

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第91話です。
今回が最終シーズンとなり、完結へのカウントダウンが始まりました……!
そんなわけでイメージOPとイメージEDが変わりますので、是非とも聴いてみてください。
感想や読了報告等くださると筆者の励みになります故、何卒宜しくお願いいたします。



【イメージOP】
イトヲカシ - カナデアイ

【イメージサウンドトラック集】
https://open.spotify.com/playlist/23xA5ZAHZfdUR77F4JZ9lB?si=07c60fc3a3934b45&pt=97747cf874e1c0b08fb8e40c52da1ec2


EPISODE 31 狙われるピカロ(PICARO IS TARGETED)
Question091 Why does he run away from them?


 ピカロの両親は、彼が5歳の時に事故で他界した。車を運転していた際、玉突き事故に巻き込まれてだ。

 

 それ以来、彼は児童養護施設で過ごしていた。

 けれども中々周りに馴染むことが出来ず、いつも独りでいるか、孤児院の院長と二人で遊んでいるだけだった。

 

 そんな時、彼に一人の女性が現れた。フロワである。

 中学生だった彼女は、父親からの虐待を受けていた。父親が警察に逮捕をされたため、此方に引き取られたのである。

 

 年齢に合わない程の母性を持った彼女に、ピカロは亡き両親を重ね、共に行動することが多くなった。

 グループで活動する時は必ずフロワと行い、絶対に離れようとはしない。

 

 そしてピカロ、フロワ、孤児院の院長の三人で遊ぶことが増え、まるで本物の家族のようになっていった時、()()()がやって来た。

 

 突如として現れた化け物が攻撃を始めたのだ。

 同じく異形の戦士達が束になって彼奴を襲ったが、敵うことは無く、次々と街は破壊され、人は死に、世界は荒廃してしまった。

 

 残されたのは建物として機能をしていたものと、ピカロ達の三人だけとなった。

 彼らの前に現れた化け物は、全員に自身と同等の力を分け与えて、この世界を一緒に去ったのだ──。

 

 

 

────────────

 

 

 

2022.05.19 04:33 東京都 中野区 トキワヒルズA 301号室

 一糸纏わぬ春樹と碧は、徐々に耳に入って来る音で目が覚めた。

 

 意識がはっきりしたところで、視界には美しい姿をした相手がいて、そして枕元で端末が音を鳴らしながら震えていた。ただのアラームではない。聞き覚えのある音だったため、急いで画面を見て詳細を確認する。

 

 そしてすぐに飛び起きて、各々が支度を始めた。

 

 

 

「どうしたの? 二人共慌てて。緊急出動?」

 

 慌てて準備をしていたため物音が五月蝿かったのだろう。あまねが眠い目を擦りながら話しかける。

 春樹と碧はそれぞれが出掛ける為の服装に着替え、後は荷物をリュックサックの中に入れるだけだ。

 

「半分正解半分不正解、ってとこかな。実は、23区内全域の防犯カメラにアール達を捜索する機能が付けられたんだけど──」

「結果、10分くらい前にピカロが品川駅近くで発見された」

 

 二人の口から出されることに、あまねは驚いた。

 まずは自分が街中で見かけるカメラ達にそんな機能が搭載されたこと。そしてそれの成果が顕著に現れたということにだ。

 

「じゃ、行って来る」

「う、うん。行ってらっしゃい」

 

 その場で立ち竦むあまねは、玄関から飛び出して行く春樹と碧を見送った。

 

 何故だろう。何故だか気持ちが落ち着かない。

 二人が出て行った玄関が異様に暗く見えてしまうのだ。今まで出掛けて行く彼らを見たとしても、そんな風に思ったことは無い筈なのに──。

 

 考えていても仕方の無いと思ったあまねは自室へと足を運び、二度寝の準備を始めた。

 

 

 

────────────

 

 

 

2022.05.19 06:12 東京都 品川区

 そろそろ出勤する会社員達がちらほらと現れ、全員が大きな駅へと向かう。皆が皆虚ろな表情をして、前を向いて歩いていた。

 

 それらと逆の方向を歩くピカロは、俯きながらゆっくりと歩いていた。

 出始めた光が柔らかく彼を照らして、さらには吹く向かい風が行く手を阻もうとしている。

 

 何があっても進み続ける。

 逃げなければ、逃げなければならないのだ。

 

 だが、

 

「こんなところまで逃げていたんだね、ピカロ」

 

 後ろから聞き馴染みのある、大好きな声が聞こえた。

 振り向くとそこにいたのは、やはりフロワであった。左の手首にはネクスチェンジャーが付けられていて、笑顔を崩さずにじっと睨んでいる。

 

「何しに来たの?」

「決まってるでしょ。貴方を殺しに来たの。ご主人様に楯突いた貴方をね」

 

 もう、彼女は彼方側になってしまったのか。

 

「本気なの? それは」

「当たり前でしょ」

 

 フロワはカードを取り出してネクスチェンジャーのスロットに挿し込んだ。

 

『"PEERS" LOADING』

 

 なのでピカロも共に変身をしようと、自身の腕輪を確認する。

 同時にフロワはダイヤルを回す。

 

『CHANGE』

 

 フロワの周りに、変身のために必要な枠が設置されるのだが、ピカロには何も起こらない。

 戸惑う彼は驚きながら目の前を見た。

 

「どう、して……」

「このP-2-Pシステムであれば貴方に力を分け与えることが出来る。でも裏を返せば、力を与えないことだって、私の気分次第では出来るのよ」

 

 そうか。

 それが力や変身の権限を付与される側のデメリットであった。自分も変身出来るという事実に喜んでばかりいたために、すっかりと忘れていた。

 

「変身!」

『Let's go!』

 

 枠の中で煙が充満。壊れて晴れたところで、フロワの姿がピアAになったことが確認出来た。

 

『This is RIDER SYSTEM of next generation. We’re KAMEN RIDER PEERS! It’s reused as like heavy rotation.』

 

 剣を取り出して着々と足を進める。

 成す術の無いピカロはただ後ろの方へと逃げ始めた。けれども何日も逃げ纏っていたため、素早く逃げることなど出来ず、すぐに追い付かれそうになる。

 

 前へと回り込んだピアAは、黒い剣を真っ直ぐと振り下ろした──。

 

 

 

────────────

 

 

 

 その少し前の話。

 同じく出動要請のあった八雲は、派手なアロハシャツに袖を通し、リビングから出ようとした。

 確認したところ、部屋の電気は今いるリビング以外全て消えていて、ガスの元栓も閉められている。

 

 けれども確認しなければならないことは、それだけではなさそうであった。

 

 角に置かれた小さな3段の棚の中身を見ていく。

 一番上の段には、判子や保険証等の生活で必要な物が入っていて、真ん中には鋏やスティックのりといった文房具が敷き詰められている。

 

 そして最後、一番下の段は底が深く、大量に物が収納出来るようになっているのだが、殆ど何も入っていないためか軽々と開けられてしまう。

 

 その中を数秒間じっと見つめた八雲は、そっと棚を閉じて足早にリビングから姿を消していった。

 

 何が入っているのかは、彼のみぞ知ることである。




【参考】
東京の過去の天気 2022年5月 - goo天気
https://weather.goo.ne.jp/past/662/20220500/
日の出入り@東京(東京都) 令和 4年(2022)05月 - 国立天文台暦計算室
https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/dni/2022/s1305.html

八雲の棚の中に入っていたのって、一体何だと思いますか?

  • 変身アイテム
  • 変身アイテム以外で何かとんでもない代物
  • 花奈達に内緒で隠していた裏本の山
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