仮面ライダーアクト   作:志村琴音

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第92話です。
今まで短くても3000字だったのに、遂に1000字になってしまいました……。本当にごめんなさい。何も浮かばなかったんです……。
感想や読了報告等くださると筆者の励みになります故、何卒宜しくお願いいたします。



【イメージサウンドトラック集】
https://open.spotify.com/playlist/23xA5ZAHZfdUR77F4JZ9lB?si=07c60fc3a3934b45&pt=97747cf874e1c0b08fb8e40c52da1ec2


Question092 Does she love him?

2022.05.19 06:15 東京都 品川区

 春樹に碧、八雲の三人が現場に着いた時、彼らの前では目を疑うような光景があった。

 ピカロがピアAに襲われているのである。繰り出される剣術からただ只管逃げ、反撃を仕掛けようとする様子は皆無だ。

 先日の戦いで彼がパラレインやフロワに牙を剥いたせいであることは確実なのだが、まさか仲間討ちをするとは思ってもいなかった。

 

「これは……どっちの味方につけば良いんだ?」

 

 八雲が眺めながら困惑する。

 同じく戸惑っている春樹と碧はすぐに答えを出せない。

 

「そうね……。一先ずフロワを止めよう」

「了解。じゃあ行くぞ」

 

 春樹と碧がドライバーを腹部に、八雲はネクスチェンジャーを左の手首に出現させる。

 そしてそこにカードを装填しようとした──

 

 

 

 その時だった。

 

「結構面白いことになっていますね」

 

 聞き覚えのある若い男性の声が聞こえてきた。

 其方の方へ目線を向けると、そこには暖かくなってきたにもかかわらず、長袖の白いワイシャツを着たヒナタであった。

 

「これはどういうことだ?」

「処刑してもらっているんですよ。私が独立出来るようになって完全態になるまで後少しとなった今では、裏切り者の彼はもう用済みです」

 

 笑顔から放たれる言葉はあまりにも冷酷であった。

 今まで連れ添って来た彼は仲間ではなく、どうやらただの使い捨ての駒に過ぎないのかもしれない。

 使い捨ての駒は、チェスでは一番最後に倒され、将棋では再利用されるとしても再び使い捨てられるだけ。どちらにしろ悲惨な最期を遂げることに変わりは無い。

 

「このまま放っておいて彼が倒されれば、敵が減るんだから互いにウィンウィンじゃないですか」

 

 理に適った意見に対し、誰も何も反論することは出来ない。

 ただ目の前で起こることに対して目を向けることしか出来なかった。

 

 

 

 ピカロはただ只管逃げる。

 彼を追う剣心は中々当たらず、殆どは地面を叩いて罅を作るだけになってしまう。

 

「どうしてあんな奴のことが好きなの!? フロワっ! どうして僕じゃないのっ!?」

「決まってるでしょ。あの人は貴方と違って私を満たしてくれる。貴方なんてただの子供じゃないのっ!」

 

 刃が彼の左の頬を傷付けた。吹き飛ぶピカロの顔から血が流れる。

 うつ伏せで倒れた彼は立ち上がることが出来ない。攻撃の威力が大きかったのも理由だが、主なのはフロワの口から投げられた言葉であった。今まで姉のように慕って愛した彼女からそんなことを言われるとは思ってもいなかった。受け止めることは不可能。顔は地面に付けられていて見えないが、凡その予想はつく。

 

 ゆっくりと立ち上がるピカロ。自らの身体を支える両脚は震えていて、彼が心に受けた攻撃の凄まじさを物語っている。

 真っ直ぐと自身のことを睨むピカロを、ピアAは見たことが無かった。

 

「ふざけるな……。ふざけるな……ふざけるなぁぁぁぁぁっ!」

 

 聞いたことなど無かった、愛する人に対する怒りの叫び。

 彼の身体に異変が起こり始めたのは、それと同時だった。

 

 ドス黒いオーラが渦巻き始め、一瞬のうちにシルエットから何から何まで一切が原型を留めない程に変貌してしまった。

 水色と黒色が斑になった体色で、両足のつま先は上を向いて鋭く尖っている。白い歪んだ円のようなパーツが両手首と両足首に何重にも付けられていて、頭頂部には白く丸い部位を頂点に後ろへ曲がっている。

 ピアBの楕円形の目の下に引き攣った笑みを浮かべたようなその姿は、まるでピエロのようであった。

 

「何、あれ……」

 

 ピアAは突如として姿を変えたピカロに驚いている。

 彼女だけではない。春樹を含めたその場の全員がそうだ。

 

 このような現象に1つだけ、心当たりがあった。

 嘗て春樹が仮面ライダーアクト クラックシェープになった際、暴走を止めるために碧がカードの力で怪人態になったことがあった。

 人間態のみを持っているフォルクローであっても怪人態になることが出来る。それを彼女が証明したのだ。

 

「まさか自分一人の力で変身が出来るだなんて。想定外でしたね」

 

 ヒナタが呟く。

 先程の笑顔から真顔に変わったことから、彼奴もかなり動揺しているらしい。

 

「フロワ。君は僕のものだ。それを身を持って教えてあげるよ……!」

 

 ピカロ(Picaro)

 スペイン語で「悪戯好き」を意味する名をした彼は、ただの悪戯を彼女にしようとしているわけではない。

 口に出すことの出来ない程の、悪辣な悪戯をしようとしているのだと全員が察した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Q: Does she love him?

A: Yes, she does. But she likes her master more than him.




【参考】
幻想世界13ヵ国語ネーミング辞典
(コズミック出版, ネーミング委員会編, 2019年)

八雲の棚の中に入っていたのって、一体何だと思いますか?

  • 変身アイテム
  • 変身アイテム以外で何かとんでもない代物
  • 花奈達に内緒で隠していた裏本の山
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