仮面ライダーアクト   作:志村琴音

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第93話です。
感想や読了報告等くださると筆者の励みになります故、何卒宜しくお願いいたします。



【イメージED】
柴咲コウ - 野生の同盟

【イメージサウンドトラック集】
https://open.spotify.com/playlist/23xA5ZAHZfdUR77F4JZ9lB?si=07c60fc3a3934b45&pt=97747cf874e1c0b08fb8e40c52da1ec2


Question093 How did he fight without her?

2022.05.19 06:20 東京都 品川区

『考えられる理由としては、彼が零号から直接力を貰ったのが大きいだろうな』

 

 トランスフォンの中からグアルダが突如として呟いた。

 

「それ、どういう意味?」

『アール、フロワ、ピカロの三人は直接零号から力を与えられた。クラックボックスを通じて力を得た春樹や碧達とは全く違うだろうな』

 

 春樹や碧等のフォルクロー達は、パラレインが目覚めてすぐに作り上げたクラックボックスによって、その肉体を改造された。結果として、怪人態にしか持っていない下級の者達と、人間の姿だけを備えた上級の者達の二つに分けられたのだ。

 だが、パラレイン本人から直接力を分け与えられたアール達三人もそうなのかと言われれば、与えたものが全くの別物であることから、はっきりとは断言出来ない。

 その答え、今ここでピカロが見せたというわけだ。

 

「フロワ。君は僕のものだ。それを身を持って教えてあげるよ……!」

「……気持ち悪いわね……。そういう感じの愛を持っている男は大体嫌われるのよ」

 

 ようやく対抗出来る姿になることが叶ったピカロがジャンプをすると、一瞬でピアAの前へ着地。両手に持ったS字の刀で斬りつけた。

 

「ッ!」

 

 想像だにしていなかった威力に驚きながら、火花を散らして後退する。

 怯む彼女に隙を与えないようにと、素早く両腕を動かして何度も何度も攻撃を仕掛けた。やられる度に激痛が走る。

 そして両足で蹴り飛ばされてしまった。

 

「キャッ……!」

 

 宙空で一回転したピカロが着地をしたところで、ピアAは別のカードをネクスチェンジャーに挿し込んだ。

 

『"YUUKI" LOADING』

 

 幽汽シェープに変身したピアAは左手に独楽を持つと、それを上へと投げて剣先を当てる。

 すると独楽が大量に分身をし、ピカロに襲い掛かった。

 四方八方からやって来る独楽を避けられないと誰もが思った。

 

 けれども道化師(ピエロ)というものは、誰も予想だにしなかったことを軽々と起こしてしまうものなのである。

 故意であるのか、そうではないのかは関係の無い。とにかくそういうことを起こしてしまう。

 

 ピカロの姿が突然消えた。

 目標の無くなった独楽達は地面に当たるなり、ぶつかり合うなりして自爆してしまう。

 

 次の瞬間、ピアAの目の前にジャンプをした状態のピカロが現れた。そして彼女に向かって何回も飛び蹴りを食らわせて吹き飛ばした。

 

「ッ!」

 

 これで攻撃が終わるわけもなく、ピカロは両手の刀から、墨のように黒い斬撃を放った。S字の刀から放たれるがために、歪んでしまった斬撃は全てピアAに激突した。

 

「キャァァッ!」

 

 変身を解除された状態でその場にうつ伏せで倒れ込んでしまう。意識は保っているのだが、立ち上がる気力は無い。

 それを見たピカロはゆっくりとフロワに近付くと彼女を抱き抱えた。目を瞑っていることから、もう意識を失っていることが判る。

 

「彼女をどうするつもりだい? ピカロ」

 

 ヒナタがピカロに問う。

 

「決まってるでしょ。お前のものになったお姉ちゃんをもう一度僕のものにする。それだけだ」

 

 確固たる意志を見せたピカロは、彼女を抱き抱えたまま何処かに消えていった。

 彼が元いた場所を春樹達はただじっと見つめる。今まで起きた出来事があまりにも予想外のことだらけであったため、脳の処理が追い付いていないのだ。

 

「……面倒なことになりましたね……」

 

 それだけ言い残し、ヒナタもこの場を去ってしまう。

 これで残ったのは春樹達の三人だけになってしまった。

 

「すごく、嫌な予感がするんだけど……」

「……俺もだ」

 

 春樹と碧が呟く。これからとてつもないことが起こるのではないかと不安を覚えずにはいられなかったのだ。

 その様子を見ていた八雲は、何かを考えながら俯いていた。春樹や碧以上に重く深刻そうな表情で。

 

 彼らの心境を完全に無視して太陽は昇る。

 陽の光が彼らを強く照らす。

 けれども春樹達はそんなことなど気にする余地も無く、ただただ考えに耽っていた。

 

 

 

────────────

 

 

 

2022.05.19 07:22 東京都 中野区 トキワヒルズA 602号室

 家主のいなくなったリビングの扉が開き始めた。ゆっくりと開かれた扉からは、制服を着たあまねが憂鬱そうに入って来る。

 

「何で単語帳をここに忘れちゃうのかなぁ……」

 

 昨日、あまねは春樹や碧と共に八雲の部屋で夕飯を食べていた。その際いつも使っている小さな単語帳を持って行ったのだが、それをここに忘れてしまったのだ。

 

 探して見たところソファや食卓には無い。自分が座った場所はそれしか無いというのに。

 こういう時に考えられることは2つ。一つは八雲が自分の物と思って仕舞ったこと。もう一つは間違えて捨てられたことだ。

 後者の方であれば不味いのだが、そんなことはあり得ないと信じて、目の前にある棚を調べてみることにした。

 

「あった……!」

 

 真ん中の段を開けてみると、文房具類に紛れて単語帳が入っていた。きっと八雲がうっかり入れたのだろう。

 一安心したあまねは、ここで一つ疑問を抱いてしまった。

 

 ──他に一体何が入ってるんだろう……?

 

 基本的にナルシストであることしか分からないあの男は、この棚の中に一体何を入れているんだろう。

 ふと気になったあまねは、一番下の大きな段を開けた。

 

「これは──」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただのエロ本じゃん!」

 

 可愛らしい水着や華やかなランジェリーに身を包んだ女性達が表紙を飾る本が、大量に入っていたのだ。

 男の気持ちを昂らせて誘うその表紙を見て、隠したくなる気持ちも解る。もしこれが碧の目に入ったら茶化されるし、今はもう亡き花奈に見つかったらただじゃ済まされない。

 

 けれども本当に隠したかったものは、どうやらこれではなかったらしい。

 

「ん?」

 

 それらの本を全て外に出してみると、姿を見せたのは()()()()()()()()()()だった。

 

「何、これ……?」

 

 具体的に何かは分からない。新聞紙越しでも分かる硬さだけしか分かることの出来ない。

 だがそれが何なのかは分からなくても良いと思ってしまった。

 

 昔読んだ漫画で、同じように新聞紙に包まれた何かが棚から発見される場面があった。

 正体を確認しようとしたところで、キャラクター達が「これは不味い!」と仕舞い込んだのだ。

 それが何故か今、脳裏に浮かび上がって来たのだ。

 

 ──これを見るのはやめておこう。

 

 そっと棚の中にそれと雑誌を全て戻したあまねは、棚を閉めて部屋を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現時点で未確認物質解析班が把握している

新型未確認生命体の残り総数

通常0体

B群6体

合計6体

 

現時点で未確認物質解析班が把握している

各々が所持しているメモリアルカードの枚数

SOUP:42枚

零号:123枚

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Q: How did he fight without her?

A: By being a monster.




新聞紙で包まれた()()が出てくる漫画というのは、麻生周一先生の「斉木楠雄のΨ難」です。
窪谷須くんの家のシーンは衝撃的だったのでwww



【参考】
東京の過去の天気 2022年5月 - goo天気
https://weather.goo.ne.jp/past/662/20220500/
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