スーパー急展開です! 完結に向けて駆け足になっているので、そこはご了承ください……。
感想や読了報告等くださると筆者の励みになります故、何卒宜しくお願いいたします。
【イメージOP】
イトヲカシ - カナデアイ
【イメージサウンドトラック集】
https://open.spotify.com/playlist/23xA5ZAHZfdUR77F4JZ9lB?si=07c60fc3a3934b45&pt=97747cf874e1c0b08fb8e40c52da1ec2
Question094 How did she fight him?
2022.05.19 07:31 東京都 新宿区 SOUP
電話越しに春樹達から事の顛末を聞いた他の班員達は、あまりにも多い衝撃的な出来事に驚きを隠せなかった。
まずはピカロが裏切ったことだ。パラレインの下でフォルクロー達を牛耳っていた三人のバランスが崩れたことは自分達にとって有利であるのだが、それは同時に第三の全く違う勢力が誕生したということだ。荒くれ面倒なことになる。
そして何より、そのピカロが怪人態になったことだ。碧がカードの力で同じようにしたことがあったので、その点に関しては然程驚いていないのだが、何も使わずに異形になったことは特に薫を驚愕させた。
そんな中で深月が現状に関する報告を始めた。
「大田区の方でピカロとフロワが見つかったので、今春樹さん達に向かってもらってます」
「分かった。では我々も向かうことにしよう」
森田の指示で全員が支度を始めた。
この状況下では一体何が起こるのか検討もつかない。すぐに急行するのが最善だと思ったからだ。
「彼の行動がどう影響するんでしょうね……?」
「うーん……。さっぱりですね」
訊かれた圭吾も薫と同様に答えが見出せないらしい。
中途半端に悩んだ状態で荷支度を終えてしまった。
これから未知の領域に突入して行く。
それに対する訳の分からない興奮が彼らの胸をざわつかせ、部屋を飛び出す原動力と化したのだった。
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2022.05.19 08:01 東京都 世田谷区
フロワが目を覚ました時、自分がいるのは何処かの廃工場であることが分かった。
下を向くと、自身が一糸纏わぬ姿となっていて、その豊満な肉体が顕になっている。
そしてさらに分かったことは、立った状態で上に伸ばされた両手を鎖で縛られていることだ。
「目が覚めた?」
眼前で立っているピカロが訊く。
「……こんな格好にして、私を犯すつもり?」
「大切なお姉ちゃんにそんなことはしないよ。それ以上にもっと良い方法を思いついたんだ」
ピカロの言っていることの意味が解らず、睨んだまま首を傾げる。
彼女に向けて彼は満面の笑みを向けて話した。
「君を殺せば良いんだよ。そうすれば君は嫌がることは出来ないんだから、完全に僕のものになるんだ」
そう言うピカロの表情はまるで無邪気な子供だ。普段なら可愛らしく感じられるのだが、今は以上に怖く思えてしまう。
彼は自分の弟分の子供だ。だから仮に自分に恋心を抱いたとしても、所詮は子供の初恋に等しいのだからどうにかなると思っていた。
けれども事態はそう簡単なものではなくなってしまった。拗らせに拗らせ、ここまで深刻なものになってしまっている。
「さあ。始めようか」
ピカロがフロワに近付いて来る。
この縛られた状態では何も成す術が無い。彼の思うがままにされるだけだ。
ニッコリと微笑んで向かって来る彼をフロワはただじっと睨む。
そしてピカロは、彼女の首に両手をかけた──
「『鎖を外して彼女から離れろ』」
次の瞬間、首に向かっていたピカロの手は彼女の両手を縛る鎖に行き、すぐに解く。そしてゆっくりと解き放たれたフロワから後ろ歩きで遠ざかっていた。
行動をしたピカロ本人が自身の行動に一番驚いている。
こんな芸当が出来るのは一人しかいないと思うと、フロワの前に彼奴が現れた。
「ご主人様……!」
「パラレイン……!」
ピカロがヒナタを睨む。ヒナタはいつものような笑顔ではなく、同じようにして彼を睨んでいた。
「私の大切な人に何してくれてるんだい?」
「決まってるでしょ。彼女は僕のものだ……! それを永遠にするんだ……!」
するとヒナタは薄ら笑いを浮かべた。
「それは一生無理だね」
「……黙れぇっ!」
激昂をしたピカロは黒い異形に変わる。
自分の想いを踏み躙られた彼は、ただ彼奴に怒りをぶつけたくて仕方が無いのだ。
ヒナタは子供の戯事に付き合うしか無いと察し、腹部にドライバーを出現させた。
そして端末にカードを装填しようとしたその時、目の前にフロワが現れた。
ヒナタに向かい合う彼女が何を企んでいるのかと思った刹那、彼奴の口元に温かい感触が走った。
突然のことに戸惑ってしまったが、すぐに犯人が判った。フロワの唇である。目を瞑って彼奴にキスをしているのだ。
愛する女が裸で男に口付けをする。ピカロにとってはあまりにも残酷な光景であった。
今にも発狂しそうになる。
けれどもこれで終わることは無かった。
フロワは唇を離すと、ヒナタにこう言った。
「貴方様が新しい力を手にするために、私の命を捧げます。ですから、裏切り者の彼を倒してください」
その瞬間、何とフロワの身体が融解を始めた。
「え……?」
彼女の美しい白い肉体が溶けていく。辛うじて人の形を保っていたが、限界が来たのか最早ただの溶けた蝋のようになってしまった。
それがゆっくりと上がると、ヒナタの左手の中に集まって行く。そして1枚のカードの形状となった。
赤紫と青紫のグラデーションが美しい鎧が描かれたカードには、「Ⅴ GINGA」と白く刻印されている。
ピカロは驚きのあまり声も出せない。「驚き」と言うよりも「絶望」と言った方が良いだろうか。
フロワが目の前で亡き者になったことへの絶望もそうだが、それ以上に彼女が永遠にヒナタのものになったことが要因だ。彼奴の手の中にあるカードがその証拠である。
ヒナタはカードを裏返して端末に挿し込んだ。
『"GINGA" LOADING』
電源ボタンを押すと、上に現れたゲートからカードに描かれたものと同じ鎧が出現する。
その下でヒナタは端末を持った右手をゆっくりと挙げて、そして叫んだ。
「変身!」
『Here we go!』
端末をドライバーに装填すると、赤紫のラインが入った黒い素体に変身を遂げ、そこに鎧が装着されることで変身が完了した。
素体には黄色や赤色、青色等の丸いパーツが付けられていて、赤い罰点を模した複眼は第1形態と変わらない。そして頭部に付いた土星の輪に似た部分は、さながら帽子のようであった。
『Glitter, Sparkle, Galaxy! Everything is gonna perish! PARA-REIGN GINGA! It’s the 5th shape.』
仮面ライダーパラレイン ギンガシェープ。
自身の僕を犠牲にして完成した、第5形態である。
今回でフロワさんが退場してしまいましたね。こんなこと訊くのはあれなんですけど、結局碧とフロワの何方がエッッですかね?
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椎名碧
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フロワ