「ダメェェェェェェェェ!!!!」
「ーッ!?
驚愕した
しかし、放たれたエネルギー弾はもう止めることはできない
「クッ!?」
トーチの巨腕に捕まり縛り上げられていたレクイエムはもがきながらもなんとかドライバーに手を伸ばし、アニマアルカナを交換する
『ガハハハハ‼︎オラァ!!!』
トーチは豪快に笑いながら縛り上げたレクイエムをそのまま近くのビルの壁面に力任せに叩きつける
衝撃で壁面が大きくヒビ割れ、陥没する
「ぐっ……あっ……!?」
『オイオイどうしたお前?手品はもう無いのかよ⁉︎』
「いいや…あるねッ‼︎」
《リバース・テンパランス》
《MAXイグニッション》
『ーあん?』
テンパランスフォームに変身したレクイエムがブラストロフィーをドッキングさせトーチの胸に押し当て、ゼロ距離で放つ
『グッ、おぉッ!?』
派手な火花を散らしながらトーチが爆炎に包まれ、拘束が外れる
《リバース・デス》
《ラスト・エクスキューション》
「ーはぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!」
緩んだ拘束から離脱したレクイエムがそのまま逆噴射の勢いを利用し、デスフォームに変身しながら
白い稲妻と黒い炎がぶつかり合い火花を散らし、しばらく拮抗するがレクイエムの蹴りが打ち勝ち、エネルギー弾を霧散させる
「…無茶をするなって言った側から…キミってヤツは…」
レクイエムがよろめき、膝を突く
「じゅーレクイエムさん⁉︎」
その体をなんとか
『ガッハッハッハ‼︎今のは効いたぜぇ‼︎』
燃え上がる爆炎を描き消しトーチが姿を現す
レクイエムの必殺の一撃をゼロ距離で受けたにも関わらずその体には目立った損傷がなかった
「バケモノめ…‼︎」
レクイエムが悪態を吐き出す
『本当ならもうちょい遊びてぇが、バーナーのヤツはまた不安定化して逃げちまったみてぇだし…今日はお開きだな』
炎上する町工場の方を振り返り、いつの間にか消えていたバーナー・ノーワンを確認して去ろうとするトーチの背に声が投げかけられる
「なんで、なんであの人にこんなことを⁉︎」
叫んだのは
『あン?あの人?バーナーの生前のことか?』
「あの人は……自分を抑え込んだんじゃない‼︎未来のために道を選んで、今の幸福を掴んだんです‼︎それなのに、それなのにその幸せをあなたは…ッ‼︎」
トーチが頭の炎を揺らめかせる
『幸せぇ?押さえ込んだもん噴き出して暴れんの最高に気持ちいいだろうがよ』
「ーは?」
『押さえたモン吐き出しまくって暴れて、押さえ込んだ「オレ」をのうのうと生きてきた連中の脳に刻み込む‼︎ガハハハハ‼︎最高のショーだろう?なぁ⁉︎』
トーチが愉快そうに語るその言葉に
「…ランタンもシャンデリアもそうだったが…お前もやはりジョンドゥだな…」
荒い息を吐き出しながらレクイエムがトーチを睨む
「お前も…あの2体に負けないゲス野郎だ…‼︎」
『はっ、知るかよ。お前らの価値観なんざ』
トーチが肩を回す
『ったく、シラけちまった』
拳を打ち合わせたトーチの体の各所から廃棄熱の水蒸気が吹き出す
手甲を巨大砲塔に戻したトーチの頭部の炎が一回り小さくなる
『……また会おう。仮面ライダー』
先程までの荒々しい言葉とはうって変わった無感情な声で告げ、トーチが大砲で地面を盛大に吹き飛ばし、土煙に紛れて姿を消した
呆然としていた
レクイエムはまだダメージが残っているのか立ち上がれないでいた
「非死者0号、今ここでお前をー」
その銃口の間に
「……
「どきません‼︎この人は、化け物じゃない‼︎」
「以前問いただした時、君は非死者0号とは関わりが無いと言っていたと思うが……あれは虚偽だったのか?」
「…それについては謝ります。でも、私はこの人を怪物だなんて思いたくないんです‼︎」
毅然と
「この人は…レクイエムは、ノーワンやジョンドゥと戦っています‼︎そんな彼が、ノーワンたちと同じなはずがないじゃないですか‼︎」
「人智を超えた力を振るっている時点でそいつは悪だ‼︎どんな理由があれ、怪物と類似した力を振り回すそいつも排除することが正義のはずだ‼︎」
機関銃にかけた指に力を込め始める
「こんな、こんなボロボロになってまでノーワンたちと戦うこの人に、銃を向けることがあなたの『正義』なんですか⁉︎」
機関銃の銃口が下げられる
言葉が届いたのか、と
ギリッ、と歯を噛み締めた
「きゃっ⁉︎」
尻餅を付いた
「……一般人の女の子を突き飛ばすのが、お前の正義なのか」
「黙れ‼︎怪物が…ッ‼︎」
機関銃の引き金が引かれる
瞬間、
「がはっ!?」
驚く
『ああ、確かお前にはまだ言ったことがなかったかな?埋葬部隊のイノシシくん』
炎の白衣と蝋の髪を揺らめかせ、コツコツとヒールを鳴らしながら怪人の姿になったジャクリーン・キャンドルが姿を現す
『ー私のお気に入りに傷を付けたら、灰すら残さないぞ』
いつもの妖艶さを纏いながら、いつも以上に殺意をみなぎらせてキャンドルが
キャンドルが手をかざすと灰色の蝶の群れが周囲に渦巻き、
降り始めた雨が町工場に燻る炎を弱めていく
一人残された
「怪物は……皆殺さねばならないんだッ‼︎」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「ヒラさん今日は来れないってよ。ギックリ腰やらかしたらしくて」
翌日の部活
(あの傷と疲労でしたし、仕方ないですよね…)
あの後退却した3人はすぐに
変身解除した
キャンドルー
「…………」
活発な
(
「
「
「……親父と話、したんだろ…でも、あんたには関係ない…」
「関係あります」
「ーッ、あんたのとこの優しい母さんとは違うんだよッ‼︎」
「私のお母さん、突然倒れていたんです。中学校から帰ってきて、いつも通りおかえりって笑ってくれると扉を開けたら、キッチンで倒れてたお母さんがいた…」
「そこから私のいつも通りは、なくなってしまった。家でおかえりなさいって言ってくれる人はいなくて、お母さんもいつ急変してもおかしくなくなって…」
「当たり前でも、こんな簡単に壊れてしまう。たった1人の家族だからこそ、本当に突然無くなることがあるんです…‼︎だから、だから
「……押さえ込むって…なんでわかるんだよ…」
「…描けないなら、キャンバスを用意してもらうことはしないはずです。でも、
「……あたし、親父の部屋でさ…見たことあるんだよ。古い絵筆が飾ってあるところ…」
「結構使い込まれててさ、あたしはそれが親父のモノだったって気づいて、親父も絵が好きだったのにやめなきゃならなかったんだって気づいちまったんだよな」
はは、と自嘲気味に笑う
「だから、親父の果たせなかった夢も果たしてやりたいから親父に伝えたのに、絵なんかで食って行けるかって怒鳴られて…親父のためにやろうとしたのにって腹が立っちまってさ…」
「バカだよなあたし……イラスト描くの、本当に好きなのに…恩着せがましい理由付けて勝手にキレて……」
「
「……昔、なんとなく描いたイラストで親父がめちゃくちゃ褒めてくれてさ。それが本当に嬉しくて。あたしが描いたイラストで、誰かが笑ってくれるのが、めちゃくちゃ嬉しいんだ」
「やっぱり、
「描くことあったわ、大切な思い出」
「思い出させてくれてありがとうな、
その言葉を聞いて
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
埋葬部隊本部
「独断専行なんて何を考えてるのよ
「あの場ではあれが最善だったと言っている‼︎」
先日のバーナー・ノーワンの事件で
「最善だって…それでも結局ノーワンは逃しているじゃない…‼︎」
「それはー」
脳裏に
『こんな、こんなボロボロになってまでノーワンたちと戦うこの人に、銃を向けることがあなたの『正義』なんですか⁉︎』
あの時の言葉を思い出し、目を伏せながらかけた眼鏡を直す
「……想定外のアクシデントが、あっただけだ」
「そういうことにも対処するために、部隊があるのを忘れないで」
背を向けて立ち去ろうとする
「あなたの気持ちはよくわかる。でも、そんな命を張るやり方はー」
振り向いた
「わかる、だと…?」
「お前に、ただの同僚のお前に俺の何がわかるんだ…ッ‼︎」
怒りを込めた言葉を吐き捨て、
捻り上げられた襟元を直し、
「わかるわよ…」
『ー■■■さん』
「私だって、ノーワンに焼かれた過去があるはずなんだもの…」
「キミが私の方を直接訪ねてくるとは意外だねぇ」
その中の仕切りカーテンの中に腰掛けたキャンドルがニヤニヤと愉快そうに笑う
「で、聞きたい話とはなんだい
キャンドルの向かいに腰掛けた
「……ジョンドゥのキャンドルさんなら、ノーワンを人間に戻す方法を知っているんじゃありませんか…⁉︎」
「
キャンドルは深く背もたれに身を預け、長いため息をこぼす
「はっきり言おう。不可能だよ、そんなことは」
「……ッ‼︎」
無情な答えに、予期していたこととは言え
「ノーワンという存在は、ヒトの生の概念である白のアニマと死の概念である黒のアニマを混ぜ合わせた灰色のアニマを魂として生まれくる怪物、ヒトならざるものだ。混ざり合うアニマはデスサイズシステムで分断してそれぞれを正常化するか、アニマ干渉波で消滅させるしかない」
キャンドルは手すりに頬杖を突きながら続ける
「分断したアニマの正常化は白も、黒もどちらもだ。黒のアニマの顕在化はどういう形であれヒトの死を意味する。黒のアニマを制御・利用するデスサイズシステムという例外を除けばな」
はぁ、とため息を吐き出しながら膝に両肘を置き身を乗り出しながらキャンドルは続ける
「そして、ノーワンに変身しないままというのも無理だ。私たちはともかく、ノーワンの意識は生の喜びと死の苦しみに溺れた状態になっている。そして苦しみ喜ぶが故に、生者を襲い仲間を増やそうとする本能からは逃れられない」
「ー私たちのようなジョンドゥにならねば、な」
キャンドルが自分の胸に手を置く
「それに、トーチのノーワンなら尚更絶望的だ。ヤツのノーワンは人間が押し殺した『自分』を表出させ、主人格を飲み込ませて完成する。主人格に殺され続けた『自分』の殺意・暴力への渇望は、火が付いたら止まらないんだからなぁ」
俯く
「ーたしかに、ジョンドゥがノーワンを生み出しその過程で誰かが必ず命を落とすのは『悲劇』だ。だが、人間はそうでなくともいつ『別れ』が来るかなんてことは分からない」
キャンドルは目を細める
「だからこそヒトは、『選択』し『覚悟』しなければならない。どんな時でも、どんな辛い場面でも」
「ー今回はキミに選択と覚悟の時が来た、という訳だ」
立ち上がるキャンドルを見ることもなく、
「ーヒトは『選択』し『覚悟』する。その瞬間とその行動、それが私を楽しませるんだよ」
その外で背を預け、話を聞いていた
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
制作開始から4日経過
「下書き、できた…‼︎」
そこに描かれていたのは、小さな女の子とそれを撫でる父親らしい人物。そして、撫でられた笑顔の少女の背から花や動物たちなど色々なものが溢れ出し大きな翼を作り出していた
「すごい綺麗…‼︎」
「ああ、いい出来だ」
「おお…‼︎これは大型新人だねぇ
賞賛の声を上げる
思い思いの反応に
「そうかな…?いい感じに、かけてる?」
「はい。とてもいいと思います」
「下書きでこれなら彩色してからはもっといいだろうなぁ…こいつは描き上がりが楽しみだ‼︎」
「そういえば、
「あはは…私はまだ、構図も上手く決まらなくて…」
苦笑いしながら
そこには桜並木やら桜の花やら桜に関連したイラストが描き込まれていた
「桜がいっぱいだねぇ〜」
「はい、お母さんと一度お花見に行った時に見た桜並木がとても綺麗だったので、その時の絵を描きたいと思って」
「
「頑張ってみます…‼︎」
にひひ、と笑う
「親父に見せてやろ。なんて言うかなぁ親父」
その言葉を聞いた
部活が終わり、帰路を歩く
「……大丈夫、大丈夫。親父にならきっと伝わる…」
自分に言って聞かせながら
リビングまで行くとソファに腰を下ろして書類を整理する
すぐに
「
「…ただいま、親父」
気まずい沈黙がしばし2人の間に流れる
あの下書きの画像を
「……これは?」
「部活で、書いてんだ。市の美術展に出す用の絵でテーマは『家族との思い出』ってヤツで…」
スマホを受け取り、じっくり画像を見る
「家族との思い出……」
不安そうに自分の肩を抱きながら、
「あたしさ、小さい頃親父に絵を褒めてもらえたのがすごい嬉しかったんだ。あたしが描いた絵で、笑って驚いて、喜んでくれたのが」
「そっから、絵を描くのが本当に好きになった。大好きなんだ」
「だから、将来も絵を描く仕事がしてみたい…大変かもしれない、叶わないかもしれない。でも、やってみたいんだ…‼︎」
「……血は争えんな」
観念したように
リビングから出てすぐに戻ってきた
「それ…親父の…⁉︎」
「なんだ、もう見つかっていたのか」
参ったな、と
「
娘の小さな手に父が筆を握らせる
その筆の柄には『TOUGO.I』と名前が刻まれていた
「今は心配しなくていい。私がお前を支えるから」
「
照れ臭そうに
ードクンッ
「ーん⁉︎ぐぉ……ッ‼︎」
「親父…?親父ィ⁉︎」
「なんだよ、どこか痛いのか…⁉︎苦しいのか⁉︎」
不安そうに問いかける
灰色の炎が揺れる無機質な瞳に
『ーいやぁ?すこぶる気分がいいなぁ…‼︎』
父の姿をして、父のものではない邪悪な顔で笑うそれを睨み、
「…お前、誰だよ……⁉︎」
『オイオイ、愛しい親父に聞く口かよ、それが』
《剣》のアニマアルカナが胸元から体内に入ると
バーナー・ノーワンに変貌し、その頭部の骸骨がカタンと口を開きより濃密な灰色の炎が噴き出し、笑っているような顔に変化する
【ーハハハハハ‼︎やっと‼︎やっと体が手に入ったぜぇ‼︎】
バーナー・ノーワンが高笑いしながら体のシリンダーを駆動させる
「な、ば、バケモノ…⁉︎親父、親父をどこやったァ‼︎」
【あぁん?喧しいガキだなぁ】
バーナー・ノーワンが右手のマズルで
「ーッ、あぁ…‼︎」
加熱されたマズルに殴られた右目の上あたりが赤く焼ける
【ここにいるだろぉ?もっとも、今のオレはお前の親父が押さえ込んで殺した過去の自分だがなぁ。こんなしみったれた町工場に押し込めて、オレの夢を否定しやがったこの家を、なくしちまいたくて仕方がなかった時のなぁ!!!!】
バーナー・ノーワンが家の中に灰色の炎を振り撒く
リビングが燃え上がる
昔2人で撮った写真を貼っていたクリップボードが、
「親父…なんで、なんでこんな…‼︎」
恐怖と混乱で身動きすらできない
【ハハハハハ‼︎燃えろ‼︎まとめて全部燃えちまいやがれ‼︎】
バーナー・ノーワンの腕のバーナーが
「はぁッ‼︎」
そこに燃え上がる家の壁を蹴り破り、黒い影が飛び込んでくる
影はバーナー・ノーワンを蹴り飛ばし、
外は夜になっており、工場から少し離れた空き地に怪人と
「
へたり込んだままの
「
呆然としたまま顔を上げる
「親父が…親父がバケモノになっちまった…あんな、あんなの親父じゃない…‼︎親父が、大切にしてきた工場に、あんな……」
その2人に怪人ーレクイエムが背を向ける
「レクイエムさん…‼︎」
「……
ぎゅっと胸を握り、絞り出した願い
それを聞き届けたレクイエムは、重々しくゆっくり頷き燃え上がる町工場へとバイクに跨り疾駆していった
埋葬部隊本部
「ノーワンのアニマ波動を感知‼︎」
「場所は
オペレーターからの報告を受け、部隊員たちが装備を纏って出動していく
機関銃を手に装甲服を着た
その前にプロフェッサー・ジュナが現れる
「…プロフェッサー?何の用です?」
「こ、こちらを……あ、あ、あなた、に…」
ジュナは手にした大型のアタッシュケースを開いて見せる
そこには純白の機構と付属装備らしいガジェットと拳銃が収納されており、蓋裏には『
「‼︎完成したのか…⁉︎」
「最終調整段階…です…じ、じ、実戦でのデータを、お願いし、しますよ…隊長…」
アタッシュケースを受け取る手に力が篭った
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
燃え盛る工場の中、炎を吹き出し続けるバーナー・ノーワンの前にレクイエムがコートの裾をはためかせながら現れる
【また来たのかよ⁉︎しつこいヤツだなお前も】
「何度でもやってくるとも。俺は死神で、鎮魂歌だ」
レクイエムが構える
「貴方の生、無駄にはしない…‼︎」
「その灰色の死も、生も、今ここで白黒つけて終わらせる‼︎」
レクイエムが駆ける
燃え上がる工場の崩れゆく柱を蹴り、バーナー・ノーワンの炎を回避しながら跳躍し、バーナー・ノーワンに拳を打ち込む
よろめきながらも炎を吹き出し反撃するのを回避しつつ、レクイエムのパンチやキックが打ち込まれ、バーナー・ノーワンを押し込んでいく
【ぐっ⁉︎舐めんなァ!!!】
バーナー・ノーワンが吠えると背中から新たなバーナーのマズルが伸び、そこから火炎弾が無数に放たれる
バク転やローリングで回避していたレクイエムだが、厚い弾幕全てを回避しきることはできず、いくつかの火炎弾を腕を閉じ防御して受け止める
「弾幕には弾幕だ」
《エクスキューションアップ》
《リバース・テンパランス》
ギロチンにより落とされた頭を蹴り飛ばしぶつけ、バーナー・ノーワンを怯ませると戻ってきた頭をキャッチし被り直し、ギロチン型のバイザーが装着される
【吹き飛べぇ!!】
バーナー・ノーワンが再び火炎弾の雨を降り注がせる
レクイエムは火炎弾を睨みながらバイザーを指でなぞる
ホロディスプレイ上で迫り来る火炎弾が全てロックオンされる
「はっ‼︎」
ブラストロフィーをマグナムモードで構え、黒炎弾を放つ
放たれた弾丸は狙い違わず全ての火炎弾に命中し、それを撃ち落とした
その爆炎の中から飛び出したレクイエムがブラストロフィーをバーナー・ノーワンに向ける
正確無比な弾丸が突き刺さり、バーナー・ノーワンを吹き飛ばした
燃え盛る工場を眺めながらジャック・ランタンが愉快そうに笑う
『フヒヒ、中々いいノーワンに育ったねェ。まぁトーチくんってばもう興味ないとかって放置しちゃったけどサ』
カツンと錫杖を地面に突き立てる
『まぁそのままやられるのは癪だしィ、ワタシも
ランタンが愉快そうに笑いながら工場へ歩み始める
が、後方から響く重い足音にその歩みを止めた
『おやァ?』
振り返った先には2人分の人影があった
片方は純白のアンダースーツに青い装甲を装着した人物
青い十字の形の複眼が光る「仮面」と左腕のみの厚い装甲、腰からたなびくマントが目立つ
もう1人は同じ純白のアンダースーツに紫の装甲を纏っている
菱形の紫に光る大きな複眼の「仮面」と背中から体の前方まですっぽりと覆う深い紫のマントが特徴的だった
「ジョンドゥ、ジャック・ランタン。貴様をこれより埋葬する‼︎」
十字目の怪人が告げ、腰に装備していた特殊銃で攻撃する
放たれた白い弾丸をランタンは錫杖で撃ち落とす
『乱暴だなァ……しかし興味深い』
銃撃を放ちながら突撃してきた怪人をランタンが錫杖で殴りつけようとするが装甲に覆われた左腕で防がれ、ガラ空きになった腹に銃口を押し当て、ゼロ距離から弾丸を乱射する
『ぐ、ぶぅっ!?痛いじゃない、かッ‼︎』
ランタンが錫杖を回すとその周囲にカボチャ型の爆弾が多数出現する
『ほぅら‼︎お返しだ‼︎』
錫杖を回し、ランタンが爆弾を十字目の怪人に投擲する
《
《
機械的な音声が響くと共に後方に待機していた菱形目の怪人の複眼や全身のラインが紫に発光
マントと思われていた背面のパーツが4枚離脱し、自律機動して爆弾を全て撃ち落とす
『なっ、なななっ!?』
十字目の怪人がベルトから取り出したカードー白いアニマアルカナを手にした銃の側面にリードする
《
銃身が縦に展開、開いた部分に白と蒼のエネルギー光が漲っていく
「ー正義、執行‼︎」
《
放たれた白と蒼の光弾がランタンに直撃
二色の稲光を撒き散らしながら盛大な爆煙を上げる
十字目の怪人は油断なく銃を構えている
『ーやれやれ、少し驚いちゃったじゃないかァ』
爆煙の中からぐるぐる巻きになったランタンが現れ、自身の体に巻き付けていたストールを引き剥がして肩を竦める
「まだ届かないのか…‼︎」
十字目の怪人が銃を向ける
ランタンはヒラヒラと手を振りヘラヘラと笑みを崩さない
『ヒヒヒッ、まさか
『まぁいいや。明日からはまた色々面白くなりそうだァ』
ランタンがパチンと指を鳴らすと2人の白いライダーの周りに無数の燃え盛るカボチャが降り注ぎ、大きな爆発を発生させる
菱形目のライダーが十字目のライダーに近づき、自身ごと4基のユニットから展開したエネルギーシールドで防御するが、晴れた爆煙の中にランタンの姿はなかった
「逃した…でも、今までの兵装よりはー」
「まだだ」
十字目のライダーが振り返り、炎が弱まりつつある町工場を見据える
「ー埋葬すべきターゲットはまだ残っている」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
炎に包まれた工場の中、バーナー・ノーワンの火炎を回避しながらレクイエムはブラストロフィーをサーベルモードに変化させ、肉薄して攻撃を続ける
「ハァッ‼︎」
レクイエムの一閃がバーナー・ノーワンの腕のバーナーを切り裂き、返す刀でもう片方のバーナーも破壊する
【な、クソがァ…ッ‼︎】
ヤケクソで襲い掛かろうとするバーナー・ノーワンにキックを撃ち込み、吹き飛ばす
吹き飛ばされたバーナー・ノーワンが床面を転がり、よろめきながら立とうとするのを見ながら、レクイエムは2挺のブラストロフィーをドッキングしてフィニッシュモードにする
「恨むといい、怒るといい。お前の黒いモノは俺が全て引き受けてやる…」
いつもよりゆっくりと、武器をバーナー・ノーワンに向ける
ホロディスプレイ上でもバーナー・ノーワンがロックオンされた
「………貴方の生は、無駄にさせない…‼︎」
レクイエムが引き金に手をかける
「ー待って!!!」
レクイエムとすれ違うように燃え上がる工場に入ってきた人影がバーナー・ノーワンの前に立ち塞がり、両手を開く
「
追いついてきたらしい
「おい⁉︎そこは危険だ、早く離れろ‼︎」
「嫌だ、嫌だ‼︎あたしの、あたしのたった1人の親父なんだ…‼︎」
「……キミのお父さんは、もういない‼︎」
「そんなワケがない‼︎」
泣き腫らした目で背後のバーナー・ノーワンを振り返る
「あんなになっても…あたしのこと忘れても…あたしの親父は…お節介で、一言足りなくて、お人好しで、世界一優しい親父はただ1人なんだよ……」
「まだ、ありがとうも、ごめんも言ってないんだよォッ‼︎」
ブラストロフィーの銃口を一旦下げようとし
《
《
冷淡な機械音声を耳にした
「ッ‼︎危ない‼︎」
レクイエムは咄嗟に駆け出し、
その直後、レクイエムと五月がいた直線上を蒼白のエネルギー弾が螺旋に回転しながら飛来し、延長線上にいたバーナー・ノーワンの胸を貫き、工場奥に着弾・爆発する
「親父ィィィ!!!」
レクイエムに抱えられたままの
貫かれたバーナー・ノーワンは悲鳴を上げることもなく膝を突いて倒れ、灰色の火柱をあげて爆散する
二度の爆発の衝撃で崩落が加速し始めた工場を見たレクイエムが素早く五月と共に脱出し、
レクイエムたちの目線の先に立つ純白のライダーは、エネルギーの残滓がスパークする銃を下ろして崩れ去る工場を前に業務的に告げる
「ー埋葬、完了」
「…お前は…ッ‼︎」
純白のライダーはゆっくりとレクイエムに向き直り、銃を向ける
が、突如警告音が鳴り響く
『せ、
「…了解した」
純白のライダーは銃をベルトのホルダーに固定し、バックルを開いてアニマアルカナを取り外す
《
装甲からのエネルギー排気と共に変身が解除され、その中から
「…命拾いしたな、非死者0号」
現れた
「
放心状態になっていた
しばらくして目を覚ました
「あれ?
五月がゆっくりと立ち上がり、火傷になった右のこめかみを痛そうに押さえる
「なんか、いってぇ…あれ?ここどこ…?」
燃え落ちている、とはいえ元自分の家だった工場の後を見て首を傾げる
「ここは…
「家って…なんで?あたしべつに工場の娘じゃないんだけど」
「…ッ、
「…お父さん?誰それ?」
「ーッ」
本当に何も覚えていないと言った顔で不思議そうに首を傾げる
頬を掻こうとしてその手に握られていた筆に気づく
「あれ?あたしいつの間に筆なんか…?」
ぼろぼろになった古い筆を不思議そうに見る
何もない柄を眺めていたはずなのに、
「…あ、れ?あたし…なんで、泣いて…?あれ…?」
自分が描いたイラストを誰かに見せる幼い自分
誰かと喧嘩する自分
誰かに褒められて嬉しくなる自分
その「誰か」は、黒く塗り潰されてわからなかった
「痛い……胸が痛い……なんで、なんで…⁉︎なんで、涙も止まらない、なんでなんだよぉ…⁉︎」
錯乱した様子を見せる
隣に呆然と立つ
「…この子は、ノーワンの関係者として私たちが保護するわ」
そのまま
それを見送った
「これが最良だ。あの少女は怪物になった父のことをじきに忘れ去る。そうして、日常に帰るんだ」
「日常になんて帰れません‼︎」
「
「ーどの道、死んだ命は戻らない。哀しみすがるなら、跡形もなく忘れ去る方が救いになる」
「それが俺たちの為す『正義』の形だ」
残されたレクイエムはただ俯き、拳を握っていた
朝焼けの光が、住むものの居なくなった工場の跡地をただ照らしていた
五月が去り、輪音の心に暗い影が落ちる
「よしッ‼︎じゃあ気分転換に行こうか‼︎」
そんな輪音を鼎が連れ出す
【あはは‼︎楽しいなぁ‼︎楽しいなぁ‼︎】
そんな2人の乗る電車に現れるノーワン
朗らかに笑いながら電車を暴走させ始める
「ノーワンは全て埋葬する…‼︎」
「お前の『正義』を、俺は否定する‼︎」
黒と白、異なる正義が今衝突する
《ACTIVATION》
《ELECT:JUSTICE》
次回仮面ライダーレクイエム
「6の正位置:暴走、パニックトレイン‼︎」
「さぁ、おいで」
「キミのその心の棘を、私が治してあげよう」