百城千世子を生で見たい、なんなら喋りたいし触りたい 作:ジョー/ヤマナル
本当に遅れてすいません。もう入学式さえ終わってしまいました
あとめっちゃ今さらですけど日刊14位、お気に入り2500、四万五千UAありがとうございます
アクタージュ二次の作品の評価が赤ばっかでこりゃ中途半端な出来にはできないと思いました
今回の視点は黒山→主人公です
主人公はかなりの拗らせ百城オタクであり、なおかつ自分はそうあるべきと思っています
めんどくさい人ですね
スターズ本社のとあるビル、その一角の一般では会議室と呼ばれるような机が向かい合うように四角く並べられた部屋で二、三十人程の大人達が話し合っていた
「この子いいんじゃない?赤井ヒカリ」
「劇団経験長いし顔もいい」
「赤井ヒカリ髪黒いですよ」
「名字赤井で黒髪ってどうなの」
「芸名にしたら?」
「なるほど黒井とか?」
(コントかよ!! 役員に審査前から選考させてんじゃねェよ!!)
そこに座る一人である黒山はイラついていた
元々、ここに参加したのは自分が撮る映画の主役たる人物がいないのか探しに来たのとあの星アリサが作った芸能会社を確認したかったから
だが後者は審査員がこれなら程度も知れるものだった
(まぁいい、今日でここともお別れだ)
こんなことを話し合っているような奴らに今伝えた所で書類だけの品評会が始まるだけだとわかっていたがさすがに一言入れておくべきだと思い発言することにした
「すんません、言い忘れていたことが」
「どうしました、黒山さん?」
「最終審査で一人が辞退したんです、自信を失くしたそうで」
「だ、大丈夫なんですか?! 今からですよ試験!」
表に出してはいなかったがこればかりはあのアリサも少し驚いた反応を見せていて胸がすいて気分が良くなった
「夜凪を見て自信を失くしたと言っていました。というわけで最終審査は夜凪が来ます」
もうすでに手配しています、と付け加えて座ると状況を理解したアリサがこちらを睨み付けて来るがもうアキラを迎えに行かせた後であり、もう話し合う時間もあまり残っていないからどうしようもない
「それじゃあ夜凪にします? ラッキーガールだし」
俺がそう言ってからざわざわとくだらないことを話し合いだした
正直、昨日辞退を告げられた時からこのことは想像がついてしたし、辞退だけを伝えて夜凪を囲ってここをバックレることも考えたが、アリサの会社だからそれを行動に移すことはなかった
因みにその行為が外道極まりないことは黒山自身も自覚している
その後役員の話はほとんどスルーしていたがそのうちの誰かがもう時間だと言ってこの場は解散することになり、審査部屋まで行く事になった
「どういうつもり?黒山」
各々が机上の審査書類を持ってから席から離れていく
すると、先ほどからこちらを睨みつけて目でどういうつもりと問いかけていたがしたり顔しか返してこなかった俺に移動中アリサは声をかけてきた
「俺は審査員の一人として実力ある役者を受からせただけだぜ」
俺のその言葉にこちらを睨み付ける眼光の強さは前会った時よりもかなり鋭くなっているように見えて、なにか最近嫌なことでもあったんじゃないかとなんとなく思った
だが自分は今更このくらいで怯えるようなメンタルはしていない
「そんなことしてもうちはあの娘を受からせないわよ、それともこの場を使って見極めるのが目的?」
「さて、どうだか」
こちらを睨み付けながら言った言葉は正解なのだがなんとなく知った気になられるのがムカついたので適当にごまかした
その言葉を聞いたアリサが大きくため息をついた
「あなた達演出家はいつもそう。作品のためなら役者のことなんて考えない」
「いつか心を壊すって? 役者時代の自分のように?」
言われた言葉について思いを巡らすも、出てきたのはあのジジイは考えなかったとしても反省はしてるし後悔もしてるだろうというちょっとした反論だった
それじゃあ自分はどうなんだと思ったら、あまり反論出来ないような気がしたので気分が悪くなった
「それとも詳しくは知らないがスターズの顔だとか言われてたアイツもそうだったの「取り消しなさい」あ?」
ちょっとした腹いせとからかいを込めた言葉は思いの外強く否定された
言葉に割り込むように入ってきた星アリサ、その目に映るのは確かな怒りだった
「あの子が怪我をしたのはメソッド演技とはなんの関係もないわ」
そう言ってこちらを睨み付けて来るアリサに怪訝そうな目を向ける
「………すまなかったな」
アリサとは長い付き合いにはなる。若い頃こそ今ほどポーカーフェイスじゃなかったがそれでもこれ程怒ったアリサを見たのは初めてだった
「………いえ、こちらこそごめんなさい、急に怒ってしまって」
その姿に黒山がまず覚えたのは疑問だった
(………あいつ何やりやがったんだ?)
あの星アリサをここまで取り乱させる要因が解らなかった。それを考える黒山と元からあまり喋るタイプではないアリサ、その二人から生まれた雰囲気の中での沈黙は試験部屋に着くまで破られる事はなかった
「そういえば」
試験部屋に着き、審査員も役者達も準備が終わったというところまできても続いていた二人の沈黙は星アリサによって破られた
「アキラはどこにやったの? 姿が見えないけれど」
「まだ戻ってきてねぇのかアイツ? 夜凪を迎えに行かせただけだぞ」
そう言ってあたりを見渡してみるが、確かに星アキラの姿は見えなかった。夜凪はここに来ているそうだからここまで送って来たのは間違いないはずだ
何かあったのかと少し気にかかる。それでも黒山が心配することはなかった
「車だって運転出来るような年齢だろ?なら心配する程ガキじゃねぇだろ」
ならばわざわざ心配する程でもないだろうと思い、今から始まるオーディションに意識を向けた
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「君に火曜サスペンスの犯人役は似合わないと思うんだ」
「いきなり何を言い出すんだ君は」
夜凪が去ってから俺とアキラ君の間には気まずい空気が流れていた
ここに呼び出したのはアキラ君だし話したいことがあると言ってたからアキラ君が話し出すのを待っていたのだがその空気に耐えきれなかった俺が口を開いた
「いや……まぁ、変わってないな、君は」
「半年しかたってないしな」
せっかくジョークでも挟んで空気を弛緩させようと思ったのに少し言葉をかわしてからまた沈黙が続き、元の空気を戻ってしまった
沈黙が続くなか、決心がついたのかアキラ君が口を開いた
「………なんで」
「ん?」
「なんであんなことをしたんだ」
こりゃまた大雑把な質問だ、あんなこと、というのがなにを指してるかでどう答えたらいいのかが大きく変わってしまう
「ちょっと曖昧だけど、なんとなく言いたいことは解るよ。一言で言うなら後悔したくなかったからかな」
「っ! 君は!」
声を荒げて俺との距離を詰めてきたアキラ君は同時に言葉にも詰まってるようだった
それに対してまた俺は何も言わずにただただ言葉を待っていた
「スターズを抜けたことも……後悔してないって言うのか……?」
こうやって、面と向かって言われると心に来るものがある。でも全てを受け止めて自分を貫くべきなんだろう
………それなのにこんな場所に着いてきてしまったのはまだ過去にすがろうとしているんだろうか
「俺があの行動を取らなかったら百城が俺と同じような目にあったかもしれなかった」
「それなら絶対俺はそうするべきだし、しなかった方が後悔していた」
アキラ君は何も言わなかった。いや、たぶん口に出なかっただけで言いたいことはたくさんあるのだろう
「それに、これからは夜凪だって居るんだぞ、俺が居なくなった穴を埋めても有り余るレベルだぞあいつ「お前は母さんや百城さんが役者としての君が居なくなったことだけを後悔してると思うのか!?」
それは、俺が知る限りでは二回目のアキラ君の感情の発露だった
それだけは違うと、今お前が言った言葉は到底認められるものではないと、その思いを全て言葉に込めたからこその口調と声音
それを面と向かってそう言われるとなかなか心にくるものがあった
「そうじゃないだろ………?」
「僕達とは役者じゃなくなったからって全部終わるような関係だったのか!?」
そう言って声を荒げるアキラ君
本当なら、そんなことはないと声を大にして言いたい。戻れるものなら戻りたいと言いたい
でもそれを言ったら俺はもう止まれない
それは、役者としての自分も本来の自分も否定する行為だろう
だから、なるべく当たり障りの無いような。でも自分に嘘はつかないような言葉だけでこの場をすませようと思った
「そりゃ俺だって役者に戻りたいよ」
「でも俺は怪我を負ったことは後悔してないんだ」
「あの時に百城を庇ったのも、その事故を個人の過失として受け止めてスターズを辞めたのも全部俺の判断なんだ」
「だから後悔なんて出来ないんだよ」
「でもさ、またお前らと会ってさ、話したりなんかしたら、たぶん俺は何に迷惑掛けてでも、過去の自分を裏切ってでもまた役者に成りたいって思ってしまう」
この世界に来て、役者になって、百城さんたちと仲良くなったりしてきた今まで積み上げてきた全てがお前らとただの友達で居ることを許せそうにない
あれだけのことがあって、傷だって残ってるのに役者に復帰するのはまたスターズに迷惑をかけかねない
元々が話題の種だった俺が居なくなるという力業で終息させた問題だった。当時の話題性をみる限り、復帰するとまたそれが再熱してしまう可能性が高い
だから辞めたんだ
だからもう俺は役者には戻らない
…………少し、語りすぎたかもしれない
「………言いたいことはそれだけか?」
「ああ」
「言いたいことは解った。それとお前には言葉で言っても伝わらなさそうってことも」
そこで一度アキラ君は言葉を切り、とまっている自らの車に向かって歩き始めた
「だからついてこい」
「?」
いまいち理解してない俺を他所に、アキラ君は自分の車に乗り込んでエンジンを掛けた
鈍る程磨いてないのに書かなかったら鈍る小説の実力はなんなんでしょう。なんで今回3800字しかないのでしょう。1話が8000字くらいあるのはバグですね
主人公君は転生者特有の自己肯定感が欠場してるタイプです。ですが自分はアキラ君や千代子ちゃんと同じ会社に所属していて、なおかつ友達であるということが少しだけ主人公君の自己否定を掻き消して心に空洞ができています
アキラ君のキャラが良すぎてこの小説でちゃんと描ききれてるのかの自信が全くない
もっと上手く出来そうだけど俺の実力じゃここが限界
現在書いてる途中の千代子ちゃん視点よりこの回のアキラ君が湿度高いのなんでなんだろうね。アキラ君が元カノみたいになっちゃった