東方歌唱録   作:苦労人ーくろうにん

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恭典の姐さんpart2


第九十四話

人里で土産(酒とおつまみをたくさん買ってみた)を調達し、馬鹿みたいな大きさの風呂敷を一つずつ下げて旧地獄までやって来た。

 

恭典

「しかしこの量の酒とつまみ、姐さんも喜ぶに違いねェ。

そォ簡単には家に返してくンねェぞォ?」

 

カカッ!

と独特な笑い声をあげながら先を歩く恭典。

鬼を相手にするなら酒とつまみは欠かせないだろうという考えは間違っていないらしい。

鬼は酒好きという安直なイメージのご多分に漏れず、恭典の姐さんも酒が好きらしい。

…………もちろん俺だって酒は好きだし圭亮もそうだ。

 

賑わう通りを雑談に花を咲かせながら歩く。

こちらに絡んで来る喧嘩っ早い妖怪も多かったが大抵のやつは恭典が一睨みくれてやるとそそくさと逃げ出した。

そうじゃない輩も「姐さんの客だぞ?」という恭典の一言で舌打ちをして去ってゆく。

そんな輩も、陰鬱な雰囲気の小道(この辺から、最早独房の中を進んでいるのではと思う程の道となり、歩いている者もあまりいない)に入り始めると激減し、代わりに殺気を込めて睨んで来る物が数名いる。

おっかないことだと思いながらも警戒するのは負けた気がして、あえて力を抜き、わざとらしいにやけ笑いを浮かべてやると周りから気配が遠ざかるのを感じだ。

ざまぁない。

 

恭典

「あァ?なんか睨んでるやつ減ってねェかァ?

オイ翔?オマエ気づいて………うおォい!?」

 

こちらを振り向いた恭典が後ずさる。

 

「なんだよ?

その反応は失礼過ぎないか?」

 

恭典

「待て、顔、先に顔戻せ気持ち悪ィな」

 

表情を戻し軽く顔を揉んで首を軽く振る。

 

恭典

「オマエの仕業かよ。

あァービックリしたぜ」

 

少しにやけたぐらいでなんだよ

 

「俺のにやけ顔そんなにキモイか?」

 

恭典

「いや、完全にキマッてたぞ、あの顔」

 

そんな緊張感のないやりとりをしながらさらに歩く。

暫くすると、広い場所に出た。そこでは沢山の鬼達が酒盛りをしていた、どの鬼もかなり強いであろうことが解る。

ただそいつらは今までの連中の様にこちらを気にしたり、敵視はしたりはしていない。

むしろ俺達など眼中にないと言わんばかりの様子だ。

恭典について、その宴会が行われている中心あたりまでやって来たがその間、こちらを見たのは数名だっただろう。

 

恭典

「オーイ、姐さーん!連れてきてやったぞォー!」

 

その言葉に1人の女性が立ち上がる。

明るい茶髪の長髪を携え、青い着物を着崩している。

 

「っ!?

おいおい、マジかよ…………」

 

振り返った女性の顔を見て呼吸が止まりそうになる。

 

「おー、すまないねぇ恭典。

ほー、坊やが噂の吸血鬼かい?」

 

額の少し上辺りから生えた1本角には星の様なマークが刻まれている。

俺が知っている服装ではなかったから気付くのが遅れてしまったが彼女のことは知っている。

 

「星熊………勇儀………!?」

 

鬼の四天王の1人、怪力乱神の星熊勇儀【ホシグマ ユウギ】

俺は思わずその名を口にしていた。

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