東方歌唱録   作:苦労人ーくろうにん

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恭典の姐さんpart4


第九十六話

勇儀

「その『2回言う』の何のってのは流行ってる言葉なのかい?

たまーに聞くんだけどよくわからないね」

 

リングの上に来てこちらに手招きをする勇儀。

ため息を押し殺しながらリングの上へと登る。

 

「外の世界の有名人が宣伝の文句に使っていた台詞………だったと記憶している。

最も俺が幻想郷に来るまではまぁ、なんというか遊び言葉のような使われ方をしていたな。

おそらく今もあの世界ではそんな使われ方をしているのだろうよ。」

 

やれやれ、【ネットスラング】を便利な言葉だなんて思ったのは初めてだ。

外の言葉を使わないというだけでこれ程説明が面倒だとは思わなんだ。

 

勇儀

「ご丁寧に解説ありがとう。

さて、こうして向かいあった時点でアタシが何の為にアンタを連れてきたかわかったんじゃないかい?」

 

勇儀の笑顔が快活は物から獰猛な物へと変質する。

 

「会いに来いと言われた時点で可能性のひとつとして頭には入れていたよ。

受けるかどうかはあんたがどこまでやるつもりか次第だがな」

 

恐らく手合わせをしたいのだろうが流石にこんな所でこんな妖怪と殺し合いをする気はない、いざとなれば逃走も視野に入れなければな。

 

勇儀

「勿論どちらかが動けなくなるまで…………と言いたいところなんだけどねぇ。

今回は手合わせ程度で満足しておこうかね。

条件を変えて2戦、まずは素手、どちらかがダウンしたら終わり。

その次は武器ありの相手の武器をはじき飛ばすか相手からワンダウン取ったら終わり。

付き合ってくれるかい?」

 

ふむ、まぁそれくらいなら構わないか。

 

「ん、付き合わせてもらおう。

恭典、すまないが預かっててくれ。」

 

背中に背負っていた龍牙を恭典に投げ渡す。

 

恭典

「おィ、いいのか?

簡単に他人に渡しちまってよォ」

 

何だつまらんことを聞くじゃないか。

 

「友人は他人とは違うだろ?」

 

恭典

「…………えらく信頼されてンなァ」

 

なんとも言えない表情の恭典から視線を外しつつ勇儀と向き直る。

 

「待たせたな……………っとそういえばあんたその格好でやる気か?」

 

着崩した様な和服の勇儀。

肩は出ていて胸元もがっぽり空いている。

さらに下の丈は太股あたりまでしかなく足を上げれば大惨事確定である。

 

勇儀

「ん?

あぁ、坊やには刺激が強いかい?」

 

にやりとした笑みを浮かべる勇儀に軽いため息で返す。

 

「やれやれ、刺激が強いの辺りは肯定するがそれ以前に集中力が削がれて困る。

俺も男だからな」

 

からからと一通り笑った後、ゆるりと構える勇儀に対して俺は構えは取らずに足を肩幅に開いて肩の力を抜く。

 

勇儀

「大丈夫だよ、翔。

どーせアタシの身体をまじまじと見る余裕なんて……………ないさ!」

 

勇儀姿が掻き消えた。

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