東方歌唱録   作:苦労人ーくろうにん

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恭典の姐さんpart5


第九十七話

勇儀

「よっと!」

 

目の前に突然拳が迫る。

呼吸を合わされた!?

 

「つっ!?」

 

顔を背けるが完全回避など間に合う訳もなく勇儀の拳が俺の頬の肉を浅く抉りとる。

 

「せい!」

 

震脚で足を踏み抜きにかかるが最小の動きで避けられる。

 

「ジャッ!」

 

踏み抜いた足を軸に無理やり体を捻り、中段回し蹴りを敢行。

流石に近距離の為回避行動は取れずガードされる。

蹴りが当たると同時にこれまた足を無理やり振り抜き、勇儀を蹴り飛ばす。

 

勇儀

「やるねぇ………流石恭典とやりあっただけあるじゃないか。

遊んでやるつもりだったけど舐めて掛かると負けちまうね…………」

 

俺の蹴りを受けた腕の調子を確かめながら愉快で堪らないという表情の勇儀。

………………やられっぱなしでいてはたまらない。

反撃だ。

 

「ふっ!」

 

ロープ際の勇儀に向けてダッシュし、勇儀の顔面目掛けて飛び蹴りを仕掛ける。

 

勇儀

「惜しい惜しい」

 

当然かわされる。

それでいい!

 

飛び蹴りの勢いをそのままに、ロープに捕まり、身体を引き寄せ、オーバーヘッドキックの要領で勇儀額に向けて右足で蹴りを放つ。

 

勇儀

「いっ!?」

 

両手をクロスさせて俺の蹴りを受けた勇儀。

あと一押し!行けるか!?

 

「い、けよぉ!」

 

自分を鼓舞しつつ気合いを込めた掛け声を放ち、身体を回転させ、左足を振り上げる。

一瞬勇儀の口が動いた気がした。

 

「ゼエァ!」

 

気合いと共に振り上げた足を振り下ろす!

 

勇儀

「むぅ!」

 

俺の空中踵落としは勇儀を捉える事はなく、俺の足首は勇儀によって鷲掴みにされていた。

顔が引き攣るのを感じると同時に…………。

 

勇儀

「よいしょお!」

 

俺の身体は石造りのリングに叩きつけられた。

 

【数分後】

 

「……………そろそろ大丈夫か。

すまない勇儀、手を貸してくれないか?」

 

打ちどころが悪かったのか良かったのか。

しばらくは言語に軽く異常が出てしまい、あーうーしか言えなくなってしまった。

しばし口と目を閉じて、身体の痛みが引いたので口を開くとすんなりと言葉が出てきた。

 

勇儀

「あ、あぁ…………大丈夫かい?悪かったね………加減が効かなくなっちまって……………」

 

バツが悪そうな勇儀の手を借りて立ち上がる。

首を回して、身体を動かす。

大丈夫だ、異常はない。

 

「問題ない、体に異常はないし痛みも無い。

びっくりはしたがな…………さて、次は武器ありだったな。

恭典、龍牙を。」

 

恭典

「ナイスファイトだったぜェ、翔。」

 

投げ渡された龍牙を背中に背負いつつ抜き放つ。

 

「さて、第二ラウンドといこうか?」

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