東方歌唱録   作:苦労人ーくろうにん

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恭典の姐さんpart6


第九十八話

勇儀

「ほぅ、思ったよりタフだねぇ。

さて、アタシが使う武器は………」

 

リングの真中辺りに歩いていき…………。

 

勇儀

「これだぁ!」

 

思い切り床を踏み抜く勇儀。

カツン!と下駄がリングの床を打ち付ける爽快な音が鳴り響く。

 

「?」

 

しかし なにも おこらない!

 

勇儀

「あれ?

確かうちの若い衆がふざけてこの辺に…………」

 

しゃがんで床をペチペチし始め、果ては四つん這いになって床を触り始める勇儀。

下着見えてるぞー。

 

恭典

「なにしてンだよ姐さん………おーいもうちょい左だろォが!

…………ちッげェよ!手前…………行き過ぎだ!」

 

恭典がリングの外から声をかける。

その間も勇儀は

「あれ?おっかしいねぇー…………」

とかなんとか言いながら床をペチペチしている。

 

「……………」

 

声をかけ辛い空気感に、龍牙を一度納刀しようかと本気で考え始めた頃、カチリという音と共に何かが飛び出した。

 

勇儀

「おっ、これこれ!」

 

それを空中で掴みとり、こちらへ向けて構える勇儀。

 

「…………成程、【鬼に金棒】ってやつだな」

 

そう、勇儀が構えているのは紛れも無く金棒。

黒い鉄の棒に棘がついている、ただし勇儀のそれは細めの棒で棘の数もおびただしいという訳でもない、簡単に言うならどこか機能美を感じさせる様な金棒だった。

 

勇儀

「アタシにはこいつが向いてるのさ。

ただ力を込めて相手に振ればいい。

シンプルで絶対の基準だよ」

 

勇儀の雰囲気に変化が起こる。

快活な笑みに攻撃性が交じる。

思わず構えたくなる自分を叱咤し、無構えのまま相対する。

 

勇儀

「さっきも思ったけどアンタ構えないんだねぇ。

まぁ、構えようが構えまいが関係ないけど………ねッ!」

 

一息に間合いを詰めてくる勇儀に対して俺はまだ動かない。

段々と見えている景色が遅くなる、

恐らくそれは勇儀も同じ事だろう。

勇儀が龍牙の攻撃範囲に踏み込む。

右手に龍牙を握りしめるがまだ動かない。

勇儀の金棒の射程に入る。

勇儀が両手で握った金棒を頭上近くまで振り上げた、ここだ!

 

「ふっ!」

 

大きく踏み込み勇儀にぶつかる位まで近付きつつ、左手で掌底を繰り出す。

狙うは金棒の柄の部分。

 

勇儀

「なっ!?」

 

掌底で金棒を弾き飛ばそいうという俺の魂胆に気付いたらしい勇儀は即座に半歩後ろへ下がる。

掌底が避けられるのを見送ることなく右手の龍牙を勇儀の首筋へ向けて振るう。

 

勇儀

「っと!」

 

金棒で受けられる。と同時に一歩引いてまだ斬り掛かる。

ギリギリ勇儀の金棒が届かない所から攻撃を加える。

 

勇儀

「ぐぬぅ、このっ!」

 

お?思ったより簡単に焦れてきているか?

もう少し煽るために軽く口角を上げてみると、勇儀の眉が上がる。

よし、挑発は成功だ。

 

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