東方歌唱録   作:苦労人ーくろうにん

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恭典の姐さんpart7


第九十九話

勇儀

「らあぁっ!」

 

挑発に耐えかねた勇儀が俺の斬撃の合間を縫って突撃を仕掛けてくる。

落ち着いて防ぎつつ後方に跳んで威力を殺す。

すかさず大上段に金棒を構えて勇儀が突進して来る。

力比べは避けたかったが仕方ない。

大きく踏み込んで龍牙を振り上げる。

 

勇儀

「でやぁ!」

 

翔

「ふっ!」

 

お互いの獲物が交差し、甲高い音が響く。

すかさず龍牙を構えなおそうとして…………。

 

勇儀、翔

「………………へ?」

 

勇儀の金棒の真ん中からから上半分が消失していた。

どうなってる?と声をだそうとした瞬間。

 

【ガラン!】という音に視線が流される。

消失していた金棒の上半分がそこにあった。

 

勇儀

「アンタ…………今金棒を両断したのかい?」

 

半分になった金棒を愕然と見ながら勇儀が問いかけてくる。

 

翔

「いや………………そんなつもりはなかったんだが…………そうなるのか?」

 

正直自分が何をしたのか解らなかった。

 

勇儀

「…………やるじゃないか!

なんだかよくわからないけどこれはアタシの負けだ!

いやーすごいモノ見ちまったよ!」

 

俺よりも早く状況を理解したのか、それと理解するのを諦めてありのままの状況を受け入れることにしたのか、俺のそばまで寄ってきて肘でつついた挙句がっしりと肩を組んでくる勇儀。

 

翔

「勇儀、貴女は今ので納得できるのか?

狙ったわけではなく運が良かっただけかも知れないあの一撃で?」

 

はしゃいでる勇儀を見て、何か申し訳なくなって妙なことを聞いてしまう。

こんな勝ち方をするくらいなら負けてしまった方がすっきりとした気持ちでいられたかも知れない。

 

勇儀

「あ?

なんだいそんなに気にくわなかったのかい?

馬鹿だねぇ、勝ちは勝ちだよ。

あれが狙ったわけじゃないなら次はアレを狙ってやれる様にすればいいじゃないか。」

 

あまりの快活さに思考が止まる。

そして軽く笑いが漏れてしまった。

 

翔

「ククッ。

そうか、なら今回は素直に受け取るとしよう。

勇儀、まだいつか再戦してくれ。

その時は勝つにしろ負けるにしろ自分にも貴方にも納得のいく決着を約束する。」

 

認められたことがくすぐったくて思わずかっこつけてしまったが、偽りのない俺の気持ちでもある。

 

勇儀

「そうさねぇ、アタシは構わないよ、

その代わりと言ってはアレなんだけど恭典のこと、頼むよ。

アンタなら恭典のことを高めてやれると思うんだよ。

アイツには喧嘩相手が必要なんだよ。」

 

ふと恭典の方を見ると、こちらを見て、笑いながら口だけを動かしている

「やるじゃねェか」

と言ってるように見えた。

 

翔

「解った、貴女の弟分とは仲良くしていくつもりだ。

お互いに高みを目指すもの同士だからな」

 

こうして、ついぞ喧嘩大会の時に会うことのなかった恭典の姐さんとも、交流を深めることが出来た。

 

因みになんだが、この日はテンションの上がった勇儀に拉致られ、鬼達と酒盛りをするハメになり、記憶をなくすまで酒を飲まされた。

 

 

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