翔
「…………痛てーなクソッタレが…………」
翔が背中に激痛、胃のあたりに重さと温かさを感じて身を起こすと、翔子が上に乗っかっていた。
翔
「おい翔子、起きろ、早く起きないとなんか酷い目にあわすぞ」
肩をタップして声を掛ける。
部屋の奥からは紅零の間抜けなうめき声が聞こえる。
紅零
「く、くそぅどうなったか知らないけど頭打ったぞ…………」
よろよろと歩いてくる紅零を視界の端に捉えた翔は本気で翔子を起こしにかかることにした。
翔
「そぉい!」
翔子
「ひゃうんっ!?」
人差し指で翔子の脇腹を突つく翔、効果は抜群だったらしくあざとい悲鳴を上げながら翔子は飛び上がった。
紅零
「イチャつくのはいいんだが先に立ち上がって状況確認してみろよ、こりゃ泣けるぜ?」
大きな溜息に嫌な予感を携えながら翔子をどかし、恐る恐る立ち上がった翔。
部屋の状況を見て口から漏れた一言は…………。
翔
「勘弁してくれよ…………はぁ」
という諦めの入ったものだった。
それもそのはず、整理された紅零の本棚(魔術、魔法に関する本5割、漫画3割、ラノベ2割)からは本が飛び出し、床中に散乱し、電化製品は明らかにオジャンになっており、食器類は一つ残らず何処かに消えており、先ほど翔が自分の手足のように扱っていた包丁は入口のドアに突き立っていた。
それなのにガラスは何処も傷一つ付いていない。
翔
「チッ…………こうしてたって仕方ない、片付けちまおう」
取り敢えず本を片付けようとした所で紅零が異変に気付く。
紅零
「おい翔、そんな物騒なもの何処から持って来たんだ?」
翔
「あ?何がだ…………あれ?なんだこれ?」
翔の手にはいつの間にか長い直刀が握られていた。
翔子
「日本刀?」
少しだけ刀を抜いて刃の形状を見ながら翔は感嘆の声を漏らす。
翔
「こいつは…………確かに日本刀らしいが反りがないな、太い刀と書いて太刀(たち)と読むが、それが作られる前に作られてた大きい刀と書く大刀(たち)だな」
紅零
「wikiかなにかみたいに詳しいな」
若干引き気味に言いながら魔法で本を浮かせて片付けようとした紅零も自身の変化に気が付く。
紅零
「…………?
なんだ?なんか調子が良いな?」
普段なら一度に3〜4冊浮かせることが出来れば調子がいい方な紅零だが今回は少し意識しただけで5冊程の本が勢いよく浮き上がり、元あるべき場所まで戻っていく。
紅零
「二人とも外の様子見てきてくれないか?ここは俺が片付けるよ。」
ポケットからチョークの様なものを取り出し、部屋の中央に紋章を書きながら翔と翔子に促す紅零。
part2へ続きます。