東方歌唱録   作:苦労人ーくろうにん

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風を繰る男part3


第二十話

紅零side

 

俺達人外に人間の常識は通用しない。

それは身体の作りはもとより、物理的なものにまで及ぶ。

 

紅零

「…………っ!」

 

ひたすら翔に向けて引き金を引き絞る…………が。

 

「!」

 

走りながら刀で銃弾を弾き飛ばす翔。

当たる気配がない。

 

紅零

「こ、のおおおおおおお!」

 

狙いを定めず、ひたすら撃つ、当たらずともいいから近寄らせてはいけない。

翔はもともと持っていた刀(龍牙と名付けたらしい。)を右手に持ち、もう片方の手に龍牙の半分程の長さの小太刀を取り出し。

 

「はああああああああ!」

 

日本の刀で銃弾を次々と弾きながら近づいて来る。

よく見ると全てを完璧に弾ききれている訳ではないらしく、所々傷が見て取れた。

 

「せいっ!」

 

突然翔が短い刀を投げつけて来た、反射的に右に首を逸らすと、俺の顔のすぐ横に刀が突き刺さる。

俺の動きが止まった一瞬で翔は俺のすぐ前まで距離を詰めて来ていた。

 

紅零

「くっ⁉︎」

 

俺が翔の額に銃口を突きつけるのと翔の龍牙が俺の首のすぐ横で静止するのはほぼ同時だった。

 

「どうだった?

…………少しでもお前が勘を掴む手伝いは出来たか?」

 

息を整えながらニヤリと笑って見せた翔は心なしかいつもよりも子供っぽく見えた

 

紅零side out

 

 

 

 

 

 

翔side

 

家に帰り、紅零から傷の手当てを受けながらふと思う。

 

「そう言えば紅零よ、明日行く白玉楼ってところにはさっきみたいに二刀流の刀使いがいるぞ、俺なんかよりずっと剣の腕がある少女だ。

覚悟してかかれよ」

 

紅零

「まるで荒事は俺に任せるとでも言いたそうだな」

 

わざとらしく言う紅零に精一杯申し訳なさげな顔を作り言う。

 

「いや、とんでもない、ただこの傷だからな、もしかしたら刀が事あるごとにお前の方にすっぽ抜けるかもしれないが…………」

 

紅零

「いや、相棒、お前は怪我をしているんだから下がっていてくれ、俺が戦うよ」

 

まるで半角カタカナの文章を読み上げるような硬さで喋る紅零をドヤ顔で見ながら手当てを受ける。

お使いの段取りを話しながら紅零が手当てを終える頃には空が白みつつあった。

 

「ありがとな、俺はもう少し寝るよ」

 

紅零

「此方こそ悪かったな付き合わせて。

俺は今から寝たら起きれないだろうし起きとくよ」

 

二人同時にあくびをしながら紅零はリビングのソファに腰掛け俺は部屋に戻る。

 

「紅零、翔子が、起きて来てしばらくして俺が起きて来なかったら起こしに来てくれよ」

 

ヒラヒラと手を振る紅零を見て俺は二度寝をするため部屋に戻った。

……………………もちろん二人とも寝過ごして翔子に叩き起こされたのは言うまでもない(俺に至っては傷口が開いた)

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