東方歌唱録   作:苦労人ーくろうにん

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風を繰る男part7


第二十四話

 

圭亮と作戦を決めてから2分程経つが二人は今だ遠距離戦を繰り広げていた。

紅零は先ほどと変わらず、銃撃と弾幕と魔法のフルコース、妖夢はそれを弾きつつ、刀から弾幕を放っていた。

 

圭亮

「どうする…………あの二人なかなか近付かないぞ。

このまま遠距離戦で決着をつける気じゃ…………」

 

確かに圭亮がそう思うのも解らないでもないが妖夢はおそらく仕掛けるはずだ。

妖夢をよく観測していると急に顔つきが変わったのが解った、姿勢を低くし、体をひねり、歯を食いしばるのが見えた。

 

「圭亮!集中するんだ!妖夢が仕掛けるぞ…………!」

 

言い終わるとほぼ同時に妖夢が踏み込む。

紅零の弾幕を身体で受けながら一瞬で紅零を刀の範囲内に収め、刀を振る瞬間。

 

圭亮

「今だ!」

 

圭亮が二人に向けて手をかざすと突然二人の間に旋風が起きる。

 

妖夢

「うっ⁉︎」

 

紅零

「なにっ⁉︎」

 

庭の砂を巻き上げたらしく、二人とも目を押さえて動きを止める、それを視認すると同時に俺は地面を蹴る。

 

「悪いなお嬢さん!」

 

妖夢の左肩辺りの服と襟を掴んで足をかけつつ…………!

 

「うまく受け身とれよ!」

 

投げ飛ばす!

受け身を取れとは言ったが実のところそんなことをさせるわけもなく、思いっきり叩き伏せる。

妖夢が痛みに声を漏らすのを気にもせずに関節を極め、紅零に刀を向ける。

 

紅零

「…………っ。

翔、動いて大丈夫なのか?」

 

目を擦りながら紅零が近寄って来るのを一度制する。

 

「ストップだ紅零、お前がこの状態の彼女を追撃するとは思わないが先ずは事態の収束が先だ。」

 

圭亮

「妖夢ちゃん!」

 

妖夢を解放し、腕を掴んで立たせ、圭亮の方へ軽く突き飛ばす。

圭亮はうまく妖夢を受け止めて抱きしめる。

 

圭亮

「妖夢ちゃん…………彼等は侵入者なんかじゃない。

八雲紫って人に頼まれて俺の様子を見に来ただけなんだ、大丈夫だから刀を収めてくれ」

 

しばらく圭亮に抱きとめられていた妖夢は力無く刀を取り落とした。

 

「やれやれ、仕方のないお嬢さんだ…………っと⁉︎」

 

足に力が入らずに尻餅をつく。

立ち上がろうと力を入れるが足が動かない。

 

「参ったな、立てん…………短い時間に負傷と回復を繰り返した反動か…………?」

 

紅零

「おいおい大丈夫か?

ひどい顔してるぞ」

 

紅零と翔子が顔を覗き込んでいた。

 

「生まれつきだ、ほっとけ」

 

そこから先はよく覚えていない。

その日は白玉楼にお世話になる運びになり、夕食も風呂も終わってひと段落してからいきなり俺が狼狽しながら状況の説明を求めてきたらしいのだがそれすら覚えていない。

もちろん紅零と共にめちゃくちゃやらかしたお説教も妖夢から平謝りされたことも、うまかったであろう夕食も、ひろく、疲れを癒してくれたでろう風呂もなんにも覚えてはいなかった…………。

 




風を繰る男編、終了です。
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