翔
「外へは俺が行こう、翔子お前は二階だ。
衣服や見られたくないものがあるなら先に片付けといてくれ、流石に俺や紅零がお前の部屋に立ち入る訳にはいかんだろ」
刀を左手に下げ、ドアを開けて外に出た翔。
中々にリーダーぶりを発揮したのは良かったのだが、ドアを後ろでに閉めた瞬間「なんとぉ⁉︎」という悲鳴と共に草木をなぎ倒しながら転がる様な音が聞こえた為に、カリスマ性半減、むしろダサい感じが目立っていた。
何時もの事だと笑みを浮かべ二人は任された仕事に戻ったのだった。
紅零
「大丈夫か?アイツ…………」
二〜三時間が経過し、帰って来ない相棒にやれやれと溜息を隠せないでいる紅零だが、翔子の方は更に大変だった。
翔子
「どどどどうしよう、何かあったのかな
何処かのホモに掘られてたりしてないよね」
紅零
「お前といい翔といい、なんでニコ厨はすぐホモネタに走るんだよ」
某動画サイトの中毒者にありがちな暴走をしながら顔を蒼くしたり赤くしたりする翔子をなだめながら、紅零は、無駄に砂糖を多く入れた甘い紅茶を飲んでいた。
家の片付けは全て完了している為、翔が作り損ねたおにぎりを翔子が作り、あとは翔を待つのみとなっていた。
翔
「いま、帰った…………済まないな待たせて」
身体中傷だらけにしてジャラジャラと音のする小袋を右手、刀を左手に、更に背中には謎の風呂敷を背負って持って帰った翔は紅零や翔子が見て来た中で一番と言ってもいいほど疲れきっていた。
翔
「クマに襲われてな、返り討ちにしたらこの辺の里を荒らしてる奴だったらしくてな…………あれよあれよと状況に流されちまって…………報酬をくれるってんで頂いて帰って来たって訳だ」
荷物を全て下ろした翔は自分の部屋に戻り、タオルと着替えを持って出口へ向かった。
翔
「川を見つけたんで水を浴びて来る。
明日はあそこまでの道を作る、その次の日にでも風呂を作ろう、クマに襲われてわかった…………夢を見ているみたいで自分の正気を疑うがここは俺達が住んでた場所ではない」
翔子
「あ、あの、翔?」
いつになく真面目な翔に戸惑う翔子、それを翔もよくわかっていた。
翔
「………………………なにぼけっとしてんだ、明日から忙しくなるんだぞ?それにこんな漫画みたいな展開、そうそうあることじゃない」
二人に向けて振り向いた翔は疲労こそしていたものの、愉快で仕方ないと言いたげな顔をしていた。
因みに翔がもらった報酬は金銭と肉だった。
その晩は、その肉をなんとか火を起こし焼いて食べたわけなのだが。
紅零
「ふぅ。よく食ったな…………随分硬かったがヒレ肉か何かだったのかな?」
翔
「いや、俺が返り討ちにしたクマの肉だよ」
このあと、翔子と紅零の絶叫が響き渡ったのは言うまでもないことである。
第二話終了です。
主人公達はまだ幻想郷に飛ばされたことに気づいていませんが…………。
元いた世界から飛ばされた事には気付いた様です。
読書の皆様も生暖かく見守って頂ければ幸いです。