東方歌唱録   作:苦労人ーくろうにん

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旧地獄の喧嘩大会part4


第三十四話

欠鬼

「そらそらそらぁ!」

 

慈悲のない顔面への連打に足ががくがくと震えだす。

しかし倒れる訳にはいかない、次に隙を見せたらありったけを叩き込んでやる!

倒れそうになる体に喝を入れ両拳に力を込める。

 

欠鬼

「堕ちちまいなぁ!田村翔!」

 

腰を落とし、正拳突きの構えを取る。

今だ!拳を打ち込む心構えをしつつ、歯を食いしばり、目を見開く。

 

欠鬼

「おらぁ!」

 

最初のジャブと同じ鼻っ柱を狙った正拳突きを…………。

 

「お、あああああああああああ!」

 

欠鬼の正拳突きを額で受け止める、脳が大きく揺れる感覚。

その痛みが不快が連打を受けて麻痺していた感覚を呼び覚ます。

 

欠鬼

「てめぇ⁉︎正気ブェア⁉︎」

 

最後まで言わせずに左拳でのアッパーカットを叩き込む。

欠鬼の体が一瞬浮かぶ。

 

欠鬼

「が、は…………?」

 

膝立ちの状態で虚空を見上げる格好になる欠鬼、アッパーカットが想像以上に上手く決まったらしい。

 

「お返しだ……………………受け取れ!」

 

鼻っ柱にありったけの力を込めた右拳を真上から勢いよく叩き込む。

鈍い音と共に地面にこうとうぶを叩きつけたらしく欠鬼は動かなくなった。

とはいっても。

 

欠鬼

「が!はぁ!

あー、ダメだ…………!体がうごかね…………。」

 

「だろうな、あれは打ち所が悪かったろうからな」

 

「勝者、田村翔ーーーーーー!」

 

歓声が湧き上がる、今すぐに腹の底から声が出そうなのを押し殺し、欠鬼の側に歩み寄る。

 

「立てるか?」

 

欠鬼

「いや、まだ無理そうだ、力が入らねー。

担架で運んでもらうとするぜ、それよりも早く行ってくれ、勝者が敗者にかける言葉なんざねぇはずだろ?」

 

「最後に一つだけ。

楽しかったぞ、あんたとの喧嘩」

 

それだけ言ってリングを出た。

せっかくだからこの後の恭典の試合も見ておこう。

 

 

一時間後。

恭典と満鬼(ミツキ)と呼ばれる欠鬼の弟分との試合はもはや狂気を感じる代物だった。

お互いにガードを一切せずに交互に攻撃を加えている。

 

満鬼

「ラァッ!」

 

満鬼の拳が恭典の顔面を捉える。

人間なら頭と体が別れを告げるであろう豪腕を受けて、恭典は少しよろめく程度だった。

 

恭典

「そらァ!」

 

対する恭典のボディブローは満鬼の体を宙に浮かせる。

 

満鬼

「ゴアァ…………!」

 

満鬼に追撃を加えることもなく、恭典はいつもの様に、飄々と立っている。

何とか立ち上がる満鬼であったが、結局恭典に拳を与えることなく、倒れてしまい、恭典が見事決勝戦へと駒を進めた。

 

「これは明日は遊び心を捨てて戦わないといけないな…………!」

 

こうして恭典の底しれなさを思い知らされ、準決勝は終了した。




喧嘩大会編、ラストスパートへ!
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