東方歌唱録   作:苦労人ーくろうにん

39 / 106
旧地獄の喧嘩大会part7


第三十七話

「せやっ!」

 

ボディブローを恭典の腹に叩き込む。

 

恭典

「ごはァ!

…………うらァ!」

 

丸まった背中に肘打ちを打とうとした瞬間、恭典の膝蹴りが俺の鳩尾に炸裂する。

 

「ごふっ⁉︎」

 

水気のある嫌な音が腹部から聞こえた気がした。

ここでひるんでしまえば追撃をもらってしまう。

 

「このぉ!」

 

俺がアッパーカットを放つのと恭典のストレートが放たれるのがほぼ同時だった、自然とお互いが拳を受けるのもほぼ同時。

 

「ぐっ⁉︎」

 

恭典

「ごっ⁉︎」

 

お互いによろめいて俺と恭典の間には5メートル程距離が開く。

 

「はーっ、はーっ、はーっ」

 

恭典

「フーッ、フーッ、フーッ」

 

息を整える。

もちろんこの間も相手の動きを観察する。

 

恭典

「カカッ、最初は『姉さん(あねさん)』からほぼ無理やり参加させられたみてェで気に食わなかったが…………久々にいい喧嘩だなァ」

 

「喜んでもらえたようで何よりだ。

だが優勝は頂いていくぞ?」

 

駆け出す。

拳を突き出す、蹴りを放つ。

俺も恭典もお互い回避も防御もとらなかった。

いや、少なくとも俺は回避も防御も出来なかった。

一瞬でも攻める手を止めたら恭典に負ける。

そんな予感がした。

 

恭典

「捕まえたぜェ!翔!」

 

胸ぐらをつかまれる、恭典が頭突きの体制をとるのをみて慌てて俺も頭を後ろに逸らす。

そして

 

翔、恭典

「ふんっ!!」

 

全力で頭突きを放つ。

ゴスッ!!と嫌な音が響く。

 

(ぐっ…………⁉︎)

 

床にたおれこむ。

視界が揺らぎ、体に力が入らない。

そこでアナウンスが聞こえた。

 

「試合終了!

医者の判断によりこの二人をこのまま戦わせると命に関わると判断され、今大会の優勝者は田村 翔、並びに和泉 恭典の2名とします!」

 

なにぃ!?いや待て、そんなの観客が許す訳が…………

 

「いいぞー若いの二人!」

 

「クールだったぜー!」

 

なっ!いいのかそれで!?

 

「恭典!」

 

恭典

「仕方ねェだろ、審判に文句言ったらルール違反だしな。

それに、次はもっと本気でやろうぜェ。

ルールなしでなァ」

 

歓声が聞こえる。

もう体に力は入らなかった。

 

「次か…………ククッ。

もう勘弁してもらいたいものだな」

 

大の字に寝転ぶ。

そのまま喧嘩大会は終了したのだが、結局大会委員長はアルコール中毒で倒れてしまって来れないという事だった。

一体誰だったんだ?

恭典の口ぶりからするに女性のようだがよっぽど酒呑みらしい。

酒呑童子か何かなのだろうか?

何はともあれ俺に地獄のおもてなしと新しい友人を与えてくれた喧嘩大会は同立一位として幕を閉じた。

観客も喜んでいたようだし恭典も不満は無いようなので俺も今は優勝を喜ぶことにした。




喧嘩大会編終了しました!
うん、戦闘描写は楽しいけどやはり難しいですね
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。