翔side
俺達がここに飛ばされて一ヶ月が経った。
この一ヶ月でした事と言えば、風呂を確保した位だ。
たまたま見つけた川まで道を作り(紅零が魔法で一日でやってくれた)更に、風呂をなんとかしようと三人で川原に立ち尽くしていたら、クマに襲われていた里の人が偶然釣りに来ていた為、相談した所、一週間後には川辺に小屋が立っていた。なにごとかと里を訪ねると、なんと俺達のために風呂小屋を立ててくれたとの事だった。
翔子を気遣ってか鍵付きでお湯も沸かせる様な作りになっており、俺は恐らく生まれて初めてだろうと言うくらい頭を下げた。
食料に関しては俺と翔子はお互いから血をもらえばいいし、紅零にいたっては本当に何も口にしなくて良いらしい、魔法使いとは不思議なものだ。
そんな訳で文化的な生活を手に入れた俺達が次に考えたのが、誰が何の為にこんな事をしたか…………という事だった。
翔
「魔法で誰かが俺達を召喚した可能性は?」
紅零
「ないとは言い切れないけど呼び出した奴が接触して来ないのと、わざわざ家ごと召喚する必要性のなさから否定しても良いだろうな」
翔子
「じゃあ何者かの悪巧みに巻き込まれたとか?」
紅零
「まぁこれもないとは言い切れない。
でもどちらかと言えば悪巧みよりは悪戯だろうな」
翔
「随分大掛かりな悪戯だなおい
そのうち誰かが『ドッキリ大成功!』とか書いた看板もって来るパターンか」
翔、翔子、紅零
「「「HAHAHAHA!」」」
いつも通りバカみたいに騒いでいたら侵入者は突然やって来た。
「あらあら、いつ気付くかと思って見てたけど最近の子達って現実的なのね」
なんかこう、艶美って言うのか、取り敢えずエロい感じの女性の声が聞こえた方に弾かれた様に振り向く。
翔
「…………あんただったのか『八雲 紫(ヤクモ ユカリ)』まさか俺達が標的になるなんて思ってなかったが」
外の世界にある弾幕シューティングに出て来るボスキャラが今自分達の目の前にいる訳だが。
翔
「ククッ、こいつは中々壮観だな」
スキマと呼ばれる場所から上半身だけを出し、扇子で口元を隠しながら此方を伺う美女と言うのに相応しい女性を目の前にして、俺は心臓が弾けそうな思いだった。
紫
「あら?楽しそうね?田村翔」
眉をピクと動かす八雲紫、そりゃそうだろうさ。
翔
「当然だ、こんな素晴らしい世界に呼んでもらえたんだ、これからやりたい事が多すぎてな。
まずは此方の流儀をわきまえておかないとな…………弾幕ごっこ、だろ?」
紫
「わかってくれてる様で嬉しいわ、その二人にも教えてあげて頂戴ね?」
そのままスキマへと消えていった八雲紫を見送った後、俺は紅零と翔子を置き去りにして高笑いを抑えきれずに暫く笑っていた。
と、言うわけでゆかりんに御登場して頂きました。
次回から主人公達が幻想教に馴染んでいきます。