東方歌唱録   作:苦労人ーくろうにん

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非日常へ


第四十九話

クレアを仲間として加えてしばらく経つ今日この頃。

あの夢を見る頻度はついに昼寝やうたた寝の時間にすら見るほどに増えた。

それだけなら首をかしげるだけで良いのだが最近は視線すら感じる。

 

「はぁ…………」

 

誰もいないリビングでため息を吐いてみる。

今日は翔子も紅零もクレアも外出していてしばらくは帰ってこない。

 

「用事があるなら声をかけたらどうなんだ?

黙って凝視し続けるのはあまりにも失礼じゃないのか?」

 

「あら、気付いてたの?

鋭いのね、田村翔?」

 

何もない空間が歪み、裂け、スキマが現れる。

そのスキマから歩いて出てきた女性。

 

「八雲紫…………俺に何か用があるのか?」

 

対面のソファを指し、態度だけで座るように促す。

八雲紫は「失礼しますわ」と軽く会釈をしてソファへと座る。

 

「飲むか?

今入れたばかりだから温かいぞ?」

 

ほんの数分前に入れてきた紅茶の入ったポットを持ち上げ、聞く。

 

「…………ではお言葉に甘えて」

 

その返事を聞いて能力でカップを取り出し、紅茶を注いで渡す。

 

「取り出したカップはすぐに消えたりはしないから安心して飲んでくれていいぞ」

 

「あの、一ついいかしら?」

 

カップを受け取った八雲紫がおずおずと声を掛けてくる。

 

「なんだ?」

 

「姿を隠して様子を伺っていたこと怒っていないの?」

 

「全く。

と、言えば嘘になるが、まぁ退屈だったからな」

 

流石に

「東方の原作キャラが会いに来てくれたやったー!」

なんて喜び方はするべきではないかと思い、少し気取った態度をとってみた。

 

「そう。

こうして若い子とお茶を飲むのも悪くはないけどグダグダと長引くといけないし本題に入っても良いかしら?」

 

「伺おう」

 

先を促すと八雲紫は紅茶少し口に含み、続きを話し始める。

 

「外の世界から来てなおかつスペルカードルールに理解があり、スペルカードを介さない暴力的な戦いも可能な取り込み易い人物…………正直に言うとあなたのような人を探していたの」

 

また随分と思い切り言うな

 

「なんのために?」

 

「貴方ならここまで言えば想像がつくと思ったのだけど?」

 

まぁ、この条件で言えば答えは一つだろう。

 

「つまりあれか?

スペルカードルールを受け入れない連中を説得、あるいは排除して欲しい…………と?」

 

「そうね、《お願い》して駄目なら《説得》して来ていただきたいの。

お願いできるかしら?」

 

うむぅ、いつかは巻き込まれると思っていたが…………早かったな

 

「ん、この世界のパワーバランスを保つ事に協力できるなら…………。

大きな力ではないが手を貸そう、詳細を教えてくれ。」

 

原作のキャラクターにそんな汚れ仕事させるわけには行かないしな。

 




やっと翔が小説の主人公らしき事をします
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