東方歌唱録   作:苦労人ーくろうにん

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受け入れざる者


第五十話

八雲紫の依頼を受けた次の日。

俺は人間が近寄らないという森に来ていた。

いつも持ち歩いている刀、龍牙は、今日は翔子に預け、身一つで来たわけだ。

 

「おい、なんだてめぇは?

余所者の来る場所じゃねぇぞ。

おととい来やがれ…………」

 

森の入り口辺りで獣人の姿をした妖怪が行先を阻んで来た。

 

「あんた達の親玉に話があって来た。

すまないが通してくれ」

 

八雲紫の情報によると問題の妖怪とは人狼らしい。

八雲紫が敷いたスペルカードルールを真っ向から否定しているとのこと。

曰く【スペルカードルールにより誰にでも勝ち目がある事で人間が妖怪を畏れなくなる】と。

これは八雲紫自身も危惧していた事ではあったが、このルールを受け入れた幻想郷の上級妖怪たちはそれでも圧倒的な力を見せ付け、人間と妖怪の力の差をまざまざと見せ付けた。

 

獣人

「失せろって言ったんだよ!」

 

横道に逸れた思考を獣人の声が中断させる。

鋭い爪を避け、相手の頭を掴む。

 

「出来れば穏便にと思ったが無駄だったな」

 

横合いに投げ飛ばす。

打ち所が悪かったらしく気絶してしまった獣人に謝罪の言葉をかけて森の奥へ進む…………運のない奴。

道中で他の獣人や妖精、果ては野生の動物に絡まれながら奥へと進むと、大きな木に寄りかかる獣人を発見した。

他の獣人は何のケモノかわからないような者たちばかりだったが彼は随分と分かりやすかった。

 

「…………ワーウルフ。

あんたがこの森のボスだな?」

 

ワーウルフ

「なんだよ、あんた?

人の縄張り荒らしやがって…………どうゆうつもりだ?」

 

言葉遣いは他の者ほど荒くはない、しかしその姿から、声から、今までの連中とは比べられないほどの力を感じる。

 

「荒らす気はなかったさ、だがあれだけ絡まれてはな…………。

俺は八雲紫の依頼で来たものだ、敢えて名前は名乗らない」

 

ワーウルフ

「八雲紫の…………用件はなんだ?」

 

八雲紫の名前を聞いた途端に顔をしかめるワーウルフ。

胡散臭い上に力の強い妖怪なだけあって彼女の名前が出ると大体の者はこんな顔をする。

 

「あんたとその手下達にスペルカードルールを受け入れて貰いたい」

 

ワーウルフ

「あの女狐が…………。

あんたに言うのはお門違いかもしれないがその話は断ったはずだ。

理由も添えてな」

 

狼が女狐って言ったぞ…………。

ああ、まぁその、ダメなことはないんだがなんかその、あれだな…………。

なんてまたしても思考が90°程横にそれるのを感じながら溜息を吐く。

 

「だから俺が来たんだ。

あんたをこのまま放っておけば幻想郷の力のバランスを崩してしまうかも知れない。

最悪あんたを排除することも考えている」

 

冷たい空気が流れる。

俺はワーウルフがルールを受け入れる受けないに関わらず、戦闘は避けられないと感じていた。




スペルカードルールを受け入れているにも関わらずまだまともな弾幕ごっこをした事がない主人公がいるらしいですよ(白目)
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