東方歌唱録   作:苦労人ーくろうにん

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受け入れざる者part3


第五十二話

「鶴翼…………」

 

投げ付けた三組の干将、莫耶…………六本の剣がブーメランのように回転しながらワーウルフへと殺到する。

 

「三連!」

 

さらに干将、莫耶を取り出し、ワーウルフへと駆ける。

 

ワーウルフ

「この程度!」

 

両手の爪で飛んでくる剣の軌道を変え、剣同士をぶつけて打ち落とすワーウルフ。

しかしそれでは全ては落としきれない。

残りの干将莫耶は一組、更に斬りつければ…………!

 

ワーウルフ

「ガルァ!」

 

「なんとぉ⁉︎」

 

ワーウルフは飛来する干将莫耶を回し蹴りで打ち落とし、その勢いのまま軽くジャンプしたかと思うと、空中で脚を大きく振り回し直接斬りつけようとした干将莫耶を蹴り払って見せた。

腕力ではこちらがやや優勢であると思われるがあちらはとにかく動きが早い、それに自信がある攻撃を回避されたことに動揺してしまっているのかうまく剣を握る手に力が入らない。

 

「どんな運動性能してやがる…………このっ!」

 

今度は槍を取り出し、連続で突きを放つ…………が。

あの鶴翼三連をかいくぐった相手に通じる訳もなく、鋭い爪で弾かれ、ジリジリと、距離を詰められる。

 

「せい!」

 

ワーウルフの爪の射程範囲まで距離を詰められたところで槍の特徴的な攻撃方法の一つ。

遠心力を乗せたなぎ払いを繰り出す。

 

ワーウルフ

「グッ⁉︎」

 

突きしか警戒していなかったのか、避けそこなって爪でなぎ払いを受けたワーウルフ。

 

「おぉっ!」

 

槍を振り抜いてワーウルフを押し返す。

 

「…………そこまで力があれば人間に舐められることもないだろうに。

どうしてもスペルカードルールは受け入れられないのか?」

 

倒す…………おっかない言葉で表すなら命を奪ってしまうことも考えて戦闘を始めたが、いざ手を止めてしまうと、すぐに相手に向かうことは躊躇われて、俺は先ほどよりも弱いだろう声音でワーウルフへと言葉をかけた。

 

ワーウルフ

「くどいな。

俺は俺だけのためにあのルールを拒んだわけではない。

ここをまとめるボスとして…………人間と妖怪が対等に戦えるルールなんかみとめられない…………!」

 

…………そうか、ここで俺を襲ったものの中には腕力で人間に敵わない妖精も多く存在していたな。

頑なにスペルカードルールを拒む理由の中には妖精を庇うことも含まれていたのか…………。

 

「肩入れするものが違うだけでこれ程噛み合わないものなんだな…………お互い何かを気にかけていたわろうとしているのに…………」

 

黙ったまま踏み込むタイミングを計っていると、俺もワーウルフもとある事に気付いた。

 

ワーウルフ

「日が完全に暮れたな」

 

俺がこの森に入ってからかなりの時間が経ったようだ。

一瞬の暗闇の後、優しい月光が降り注いだ。

 




誰でも譲れないもの、抱えるものはあるのです。
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