黄金の光が散る。
聖剣を振り下ろした瞬間、視界は一面の金色に塗り潰された。
そしてその光が夜の空へと消えた今、俺の目の前にはここに無いはずのものが存在していた。
翔
「…………見ていたのか?八雲紫…………」
目の前に展開された巨大なスキマを見ながらいるかいないか分からない依頼主へ声をかける。
紫
「えぇ、こんばんわ。
いい夜ね?田村翔?」
目の前の巨大なスキマから歩み出てくる八雲紫。
紫
「何故止めた…………とは聞かないのかしら?」
新しくスキマを作り、それに腰掛けながら八雲紫は子供に問うような声色で質問を投げかけてきた。
翔
「いや、まぁあのままだと結構な範囲に破壊を振りまいただろうからな。
止めてくれてありがとう…………もしあんたが止めてくれなければ今頃あんたや博麗霊夢に対する謝罪を考えるハメになってただろう……………………ところで奴は何処に?」
ふと、ワーウルフがいないことに気付いた。
一しきり周囲を見回して、八雲紫の方を見ると、彼女は扇子で口元を隠しながらクスクスと笑っていた。
紫
「彼とこの森に住まっていた彼の傘下の妖怪と妖精、動物達には相応しい場所へ移っていただいたわ。」
翔
「…………幻想郷から追い出した。
ってことか?」
紫
「当たらずも遠からずってとこかしら。
貴方が闘いながらあのわんちゃんの本音の深い所を聞き出してくれたのと少し外部の協力を取り付けたことで彼らが住みやすい世界を見つけることが出来たの。
今頃向こうで私の式から状況説明を受けていることでしょう」
…………八雲藍か。
いや、それよりも外部の協力を取り付けたってのはどうゆうことだ?
…………待て、変に探りを入れるのもどうなんだ?
翔
「そうか。
すまなかったな、俺に力と知恵があればもっとスマートにことを運べただろうに…………」
ここは気になることをスルーして下手に出ておこう。
八雲紫
「謝らないで頂戴?
貴方は私が思ったよりうまくやってくれたわ。
報酬は後日持って伺わせてもらうわ」
翔
「ん、了解した」
膝から力が抜けて、地面に座り込んでしまう。
流石にあのレベルの宝具を開放すればこうもなるか…………
紫
「スキマで送りましょうか?」
翔
「いや、それには及ばない。
少し月明かりを浴びれば問題なく動けるようになるだろう。
気持ちだけ受け取らせていただこう。
ありがとう、八雲紫」
紫
「そう、ではお先に失礼するわ」
翔
「あぁ、良い夜を」
腰掛けていたスキマに消えてゆく八雲紫に一言投げてやり、俺は思考を放棄した。
八雲紫の胡散臭さや底しれなさを表現したかったのですが、うまくいってるでしょうか?