東方歌唱録   作:苦労人ーくろうにん

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黒幕と翔、翔子の過去


第五十五話

???side

 

長かった…………。

田村翔、並びに田村翔子、紅零・アルフィオーネの動向はしっかり見守っていた。

しかしある日突然所在が不明になった。

慌てて翔達が住んでいた家に行くと、家自体が忽然と消えていた。

それからの僕の慌てっぷりと言えば過去覚えている限り一番酷いものであったと思う。

あらゆる手を尽くし、犯人を見つけた。

 

「八雲紫…………!

面倒な事をしてくれるよ…………」

 

これからの苦労を考えると頭痛がするが八雲紫を相手に感情を優先した場合、僕の思惑とは180度反対の方に状況が動いてしまう事は間違いない。

なんとか八雲紫と会い、翔達ですら知らない彼らの状況や僕の事も含め、全てを説明した。

本来、本人達にしか説明しない予定だったが致し方ない。

八雲紫は全ての説明を聞くとなんとも苦々しい顔をした。

 

「それは申し訳ないことをしたわね…………たまたま人外を見つけたから『外の世界(あっち)』より『幻想郷(ここ)』の方が過ごしやすいこと思って連れてきてしまったわ」

 

ま、面白い子達だから外の世界に返してあげる気は無いけど。

 

なんてのたまう八雲紫に不思議と怒りは湧かなかった。

…………ただ少し、ほんの少しだけ彼女らの隠れ家に性欲旺盛なオークを数十匹程送り込んでやりたい衝動に駆られたけど、これは怒りじゃない。

うん。大丈夫。口にも出してないし表情にも出てない自信がある。

 

「そんなこわい顔しないで頂戴?

あの子達は最近では珍しく素直な子達なものだからこれからもよろしくしたいのよ。

それさえ許してくれたらこちらは貴方達がどうしようと邪魔はしないし場合によっては力を貸すわ、どうかしら?」

 

そんな契約を結んで翔達を見つけ、もう一度観察を始めてしばらく経ったある日。

僕の見ていない間にいくつか危ない場面も乗り越えたようで、いくらか成長したように見える。これなら全てを打ち明け日も近いかと思い、観察を続けていると、翔が突然リビングを飛び出した、何事かとそれに続いた翔子、紅零、クレアを引き連れ暫く歩いた翔は森の中にある開けた広場に出ると立ち止まり、状況が飲み込めずただ付いてきた三人を置き去りに静かに言葉を紡いだ。

 

「いい加減にしたらどうだ?

どこの誰だか知らないがいつまで見ているつもりだ。

敵意のない視線でもこうも無遠慮だと不愉快だぞ…………用があるなら俺の目の前に出てこい…………!」

 

どうやら潮時のようだ。

そろそろ全て話さなければならない…………全てを。

 

???side out

 




次話より、翔、翔子の過去と今回の語り部の正体を明かしていきます。
その後にオリキャラ説明のページも、もう一度作ります
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