東方歌唱録   作:苦労人ーくろうにん

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傍観者


第五十六話

翔 side

 

 

八雲紫の依頼をこなして暫く経つある日…………。

ストレスを表すメーターがもし俺の中に存在するとしたらついにそのメーターが最大値を振り切り、壊れた。

 

「…………」

 

その原因は俺に付きまとう視線。

結局八雲紫から依頼を受けた日、あの時の視線は八雲紫だけでなく、他のものからも俺に注がれていたらしい。

あのよくわからない夢のお陰で少しばかり困惑しているときにこの視線は本当に堪えた。

無言で立ち上がり、龍牙を引っつかんで家出る。

 

翔子

「翔⁉︎」

 

紅零

「翔?

おーい、どうした!」

 

クレア

「翔ー?

待ってよー!」

 

三者三様のリアクションで俺の後を付いてくる三人に俺は言葉をかける言葉を見つけることができなかった。

家を飛び出し、暫く進んだ森の中、広場のように開けた場所で立ち止まる。

 

「いい加減にしたらどうだ?

どこの誰だか知らないがいつまで見ているつもりだ。

敵意のない視線でもこうも無遠慮だと不愉快だぞ…………用があるなら俺の目の前に出てこい…………!」

 

本当は「キサマ見ているな…………!」程度のセリフに留めておくつもりだったがやはりそれだけに留まらず、かなり怒りを開放してしまった。

 

「…………わかった、姿をみせる。

そして全て話すよ…………」

 

声が響いたと思うと、光の粒子が大量に現れた、そしてその中から1人の青年が現れた。

 

「…………」

 

目を閉じた状態で現れた青年がゆっくりと目を開け、俺の視線と青年の視線が絡んだ瞬間。

 

「はぁっ!」

 

背中に背負っていた龍牙を抜き放ちざまに斬りつける。

 

「っ!!?」

 

身体をひねり、刀を避けた青年は地面を転がりながらもすぐに体制を立て直し、緊張した面持ちでこちらの様子を伺っている。

 

「…………よし。

今ので俺の苛立ちと不快感は全て水に流すとしよう。

話を聞こう、俺がどう行動するかはそれから決める。」

 

龍牙を鞘に戻し地面にあぐらをかいて座ると、翔子も俺の隣まで来て地面に腰を下ろす。

 

紅零

「なんだかわからないけど俺も聞かせてもらおう。

翔、翔子…………構わないかな?」

 

紅零も俺の近くに寄って来る。

魔力を固めて簡易的な椅子を作りながらこちらの様子を見ている。

 

「構わんよ、クレアも聞きたければ近くにくるといい。

構わないな?」

 

青年は無言で頷いて、俺達との距離を少し詰めた。

 

「僕は構わないけどこれから話す内容には翔、それから翔子…………君達が幼い頃の記憶がない理由なんかもある…………。

君達は、いいの?」

 

「構わない」

 

一度刀で斬りかかられているというのに青年の瞳には敵意や恐怖の色は全く見えない、そんな瞳を俺は真っ直ぐに見て答えた。

 

「わかった…………。

じゃあ手始めに僕がどのような存在か…………というところから話をさせてもらうね?」




これから先は上手く表現できるかわかりませんががんばります
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