目の前は未だ黒一色。
そこに和磨の声が響いてくる。
和磨
「いいかな?今から君達4人に翔と翔子が転生する前の様子を記録したものを見せるよ?
翔、翔子。もう一度確認するけど紅零とクレアにも共有していいんだね?」
構わないと言ったはずだ…………あれ?声が出ないんだが…………?
和磨
「うん、二人とも合意したね。
そうそう、今君達は精神体だから声は出ないからね?
あと僕は君達から肯定、否定の意思は読み取れるけど心を読めるわけじゃないから途中で目を背けたくなったりしても記録の共有は止めることが出来ない。
正直に言うけど悲惨な記録もある。
それでもいいんだね?」
自分の事だしな。
見ておかなくてはなるまいよ。
他の三人がここで降りたとしてもだ…………。
和磨
「全員肯定…………。
それなら僕はもう何も言わない。」
その和磨の言葉とともに視界が色付き始める。
雨が降っている道を2人の老人が歩いている…………。
俺はその2人の顔に覚えがあった。
最近眠る度に見る夢。
あの夢の中で俺を溢れんばかりの愛情で育ててくれたおじいさんとおばあさんだった。
おじいさんとおばあさんが相合傘をしながら歩く道の先に大きな木があった。
その木の陰にふかふかした布に包まれた赤ん坊が寝かされていた…………誰の目から見ても捨て子だろう。
雨に濡れていないその赤ん坊はスヤスヤと穏やかな寝息を立てていた。
おばあさん
「おじいさん…………赤ん坊が…………」
赤ん坊に近付いておじいさんが赤ん坊を抱き上げる。
すると赤ん坊はパチリと目を開ける。
おじいさん
「この子はきっと神様がワシらに与えて下さった贈り物に違いない…………。
ワシらで育てよう。
よし、お前の名は『翔』…………。
『田村 翔』だ」
おじいさんにそう言われた赤ん坊はとても愉快だと言わんばかりに声をあげて笑った。
その後は暫く、俺の夢に出てきた内容をなぞる様に記録を見ていった。
夢で見た内容に抜けている場所はあったが間違っている場所はなく、おじいさんの焼いたパンを売りながらパンの作り方を教わり、翔子と出会い、俺が一目惚れをして、一緒に過ごす、そして翔子が吸血の衝動に駆られたら俺が血を与える。
適度に非現実的で、幸せな日々…………。
ここからは俺も知らないところだ。
なんども夢を見たがついぞこの先を見たことはなかった…………。
場面は俺と翔子が出会った教会…………。
恐らく翔子が突然姿を消したのだろう、夢の中の俺は汗だくで縋るように教会の扉を開け放った。
恐らくここが最後の心当たりだったのだろう。
そこに翔子は確かにいた。
しかし…………。
翔
「翔子!」
夢の中の俺が叫ぶ。
そこには禍々しい衣装を着た男と鎧甲冑を着た男が二人。
そして胸を銀の剣で貫かれた翔子がいた。
目眩がする。
吐き気がする。
視界が真っ赤に染まっていく。
翔
「そいつから離れろぉぉぉぉぉぉぉ!」
ストーリー性よりも説明を重視しましたがやはりわかりにくいかもしれません