第六十九話
part4
翔
「メイド長殿、彼女を頼む。
それからな、ここは俺と晃に任せてもらえないか?」
妖精メイドを抱えて二人の所へ下がり、咲夜に妖精メイドを預ける。
咲夜はぎり。と歯が心配になるレベルの歯ぎしりの音を立てたが俺の顔を見るなりきょとんとし、溜息をつく。
咲夜
「わかりました。二人に任せるわ。
私達紅魔館の住人の代わりに徹底的に粛正してあげなさい」
それだけ言ってその場から消えた咲夜。
さっきも思ったが咲夜は女性にしてはかなりの膂力だと思う。
苦労して少しずつ対象を動かしている咲夜を思い浮かべると少し心が和むがそれで奴らへの怒りが消えるわけもなく。
晃
「せやな、本来なら翔にも下がってもらいたいとこやけど………。
あの形相見たらなぁ。
それに敵さんも…………隠れとるのがおらんとしたら八、いや翔が一人沈めてあと七人………。
翔、後衛に徹してくれへんか?」
晃が視線を向けると奴らはたじろいだ…………。
翔
「構わないが………。
さっきから違和感が……ああ、あいつら声一つあげないな。」
音や声を操作する能力を持ったやつがいるんだろうが…………何故そんなことをする必要がある?
翔
「声を聞かれてはまずい理由があるのか?」
晃にも聞こえるように声のボリュームを上げて呟く。
次の瞬間男達は一斉に空へと手をかざした。
晃
「魔法っ!?」
もちろん人間の身で魔法なんて使う奴はそういないのはわかっていた、しかし晃の言葉が耳に届いたその瞬間、俺の脳みそは最悪の状況をイメージし、それを避けるために身体を動かした。
翔
「っ!」
晃を庇うように前へ出る。
それと男達の手から色とりどりの光がこちらへ放たれるのはほぼ同時だった。
翔
「熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)!」
本来なら七枚の花弁を呼び寄せるこの宝具だが、とっさに発動させて呼び寄せる事が出来た花弁は五枚だけだった。
しかし一枚が古の城壁に匹敵する盾、何節の呪文を唱えたか知らないが飛び道具に対して無敵を誇るアイアスにぶつかった魔術は弾けるように消えていく。
晃
「あの娘の仕返しや…………覚悟しぃや!」
相手方の攻撃を防ぎ、アイアスが役目を終えて姿を消した瞬間、バチッ!とえらい音が聞こえて振り返ってみるがそこに晃はおらず、前方から鈍い打撃音が聞こえたので視線を戻すと、晃が刀で一人の首筋に峰打を………ん?刀?あいついつの間にあんな物…………ああ、あいつが持ってた棒か。
仕込み刀だったんだな、あれ。
そしてそんなもので首を殴打されて悲鳴を上げないあたり声をこちらに聞こえないようにしている奴は別の奴なんだろう。